※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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2019/7/10 1:03 少々加筆しました


宅配ピザ殺人事件 結

「こいつがこの事件の犯人か……、みっともねぇ姿晒してやがるが、これだけの人間をいとも容易く殺せる実力の持ち主である以上、油断は出来ねぇな……っ!」

 

部屋に踏み入り怯えた様に震えるイオドの姿を目にしたシゲが、そう呟きながら両腕に炎を纏わせ、イオドがいる部屋の隅の方へと1歩踏み出したところ……

 

「ヒェ……ッ!!?」

 

シゲの存在に気が付いたイオドは、その大きな身体をビクリと大きく震わせながら短い悲鳴を上げ、それと同時に先程シゲ達に仕掛けた脳の電気信号を書き換え、相手に精神的ダメージを与える電波を発する……っ!

 

「おっと、流石にそれは面倒な事になりかねないから、防がせてもらいますよっ!」

 

だが、それは翔が作り出した魔法障壁によって防がれてしまい……

 

「ンゴォッ?!何でそいつは魔法を使えるンゴッ!?まさか日本は秘密裏にタイタス・クロウみたいな奴を沢山集めて組織を作って、神話生物を日本から駆除しようとしているンゴッ?!?」

 

その様子を目の当たりにしたイオドは、訳の分からない事を口にしながら、今以上に激しいパニック状態に陥ってしまうのであった……

 

因みにイオドがタイタス・クロウの事を知っている理由だが、その手の情報はネット上に結構転がっているもので、恐らくイオドはそれらを目を通した事で、タイタス・クロウの事を知ったのだと考えられる……

 

さて、こうして更なるパニック状態に陥ったイオドを、護が自分がイオドのネトゲ仲間であるライトニングボルトペンギンである事を明かした上で、何とか落ち着かせようとするのだが、イオドは護がライトニングボルトペンギンであると知るや否や……

 

「ンゴオオオォォォーーーッ!!!知り合いにワイの姿見られたンゴオオオォォォーーーッ!!!きっとルナティックキモいワイの姿はネット上に晒されて、ネット仲間からは揃って絶縁宣言されるンゴオオオォォォーーーッ!!!」

 

「いや、そんな事しねぇッスからっ!!!ネット上にその姿晒すとか、ネット経由で被害拡大待った無しじゃないッスかっ!!?」

 

護やバックラーこと剣持の部下である盾井に嫌われると思ったイオドは、その大きな複眼から滝の様な涙を流し、泣き叫ぶ様にしてこの様な言葉を口にし、それを聞いた護は思わず声を荒げながらこの様な事を口にするのであった

 

その後、イオドがクトゥルフの知り合いである関係で、ルルイエにいる頃からイオドと面識があったゾアが前に出て、自分の正体を明かす事でイオドの注意を引き、そこから自分が翔達と共に行動している事や、その背景などを詳しく説明した事で、何とかイオドは落ち着きを取り戻し、護達とまともに話が出来る状態になるのであった

 

さて、ゾアのおかげでイオドと話が出来る状態になったのだが、死体がゴロゴロと転がっている部屋では、護達の方が落ち着いて話が出来ないと言う事で、護達はイオドの案内で死体が無い部屋へと移動し、本来の目的であるイオドにピザを食べさせる為に、部屋の隅の方で艤装を展開して翔がピザを作る中、護達はイオドに自分達が此処に来た事情を説明し、それからイオドの方の話を聞く事にするのであった

 

こうして護達はイオドから話を聞く事に成功し、イオドと行方不明事件の関連性を明らかにする事が出来たのだが、これがまた非常に面倒臭い事になっていたのであった……

 

イオドとこの事件の関連性だが、率直に言えばモノクロ……、完全な白でもなければ黒でもない……、しかしながらグレーとも言えない様な状態だったのである……

 

話を聞く限り、如何やらイオドはこの屋敷である者に召喚されたらしいのだが……

 

「そいつ、ワイの姿を見るなりショックで発狂して、すぐさまポックリ逝っちまったンゴ。因みにそいつの死体は、さっきワイがいた部屋の中に転がってるンゴ、必要だったら後で調べてみるといいンゴ」

 

「そいつ……、ちょっとばっかし覚悟と準備が足りなかったんじゃねぇか……?」

 

「神話生物に関しての知識が足りてないってのは、間違いないだろうねぇ……」

 

肝心の召喚者は自身の目的も告げぬまま、イオドを目の当たりにするなり発狂死してしまったらしく、それを聞いたシゲと翔は、少々呆れながらそれぞれ思った事を口にするのであった……

 

召喚者が召喚理由を告げぬまま死んだ事で、イオドは自分は一体何をしたらいいのか分からず、しばらくの間その場で立ち尽くしどうしたものかと考えていると、ふと彼の視界に宅配ピザ屋の広告チラシが映る。如何やらこの屋敷の持ち主だった者が、この屋敷で暮らしている時に、ピザ屋にピザを注文する為にとっておいた物が残っていた様だ

 

それに興味を持ったイオドが、それに関する知識を得る為に召喚者の死体から記憶を読み取り、注文方法を覚えるなり自身の能力を駆使してピザを注文、召喚者の懐からピザの代金を回収し、召喚者の身に起こった出来事を繰り返さない為に、自身の姿を配達員に見せない様にしながらピザと代金の受け渡しを行い、そうして得たピザを食べたところ、そのピザのあまりの美味しさに魅了され、イオドはピザの虜になってしまい、イオドはピザを食べる為にこの世界に残る事を決意したのだとか……

 

因みにイオドが召喚者から記憶を読み取った際、ネトゲについての知識も彼の頭の中に流れ込んだらしく、それにも興味を示したイオドは、この区域の住民達の避難が完了し、この区域が危険区域として立ち入り禁止区域になった後、屋敷の主が契約を解約した事で使用不可能になったネット回線を自分の能力を使って使える状態にし、それを用いて興味本位でネトゲをやってみたところ、物の見事にネトゲにドハマりしてしまったそうな……

 

この時である、ガダルカナル島に到着した事でようやくネットにありつく事が出来た護と、初めてのネトゲに驚き戸惑っていたイオドがネトゲの中で知り合い、今に至るまでバディーを組む様になったのは……

 

又、この記憶の読み取りのおかげで、イオドは自身の召喚者がネット上にあったデマ混じりの知識を使ってイオドを召喚し、自分の平穏なニート生活を脅かす深海棲艦と戦わせようとしていた事を知ったのだとか……

 

尚、イオドの証言を基に護が調査を行った結果、護は見事イオドの召喚方法が記載されたサイトや掲示板を特定する事に成功し、その情報は今後この様な事が起こらない様にと言う理由で、護とイオドの手によって電子の海の藻屑にされるのであった……

 

さて、こうしてピザとネトゲの為に、イオドはこの屋敷に留まる事を決意したのだが、それから数日経ったある日、屋敷の前にパトカーが停まり、パトカーの中から出て来た2人の警察官が、イオドが現在住んでいる屋敷の中に踏み込んで来たのだそうな……

 

この時イオドは、ネトゲに集中する為にお得意のレーダーを切っており、ネトゲに夢中になるあまり部屋の入口の襖が開かれるその時まで、警察官が屋敷に踏み込んで来た事に気付かなかったのだそうな……

 

「どうしてその時レーダーを切っていたんだい?」

 

「そうしないとレーダーが周囲の生体反応を感知しまくって、音楽アプリを10000個ほど同時起動したスマホと繋がったイヤホンと、音楽プレイヤーを50000個ほど同時起動したPCと繋がったヘッドホンを同時に耳に付けてる様な状態になって、ネトゲに集中出来なくンゴ。だからネトゲやってる時は、基本レーダー切ってるンゴ」

 

「折角のレーダーが……、何か勿体ないのだ……」

 

「自分はその気持ち、痛い程分かるッス……。ある程度対象を絞り込んでいないと、レーダーが反応しまくってウザいんッスよねぇ……」

 

話の途中、ふと思い浮かんだ疑問をヴェルが口にしたところ、その質問に対してイオドはこの様に答え、それを聞いたゾアは何とも言えない表情を浮かべながら、呆れた様子でこの様な言葉を口にし、むせる君の関係で似た様な経験をした事がある護は、ウンウンと頷きながら、イオドの言葉に同意するのであった……

 

話を戻し、屋敷に入って来た警察官達は、イオドの姿を直視するなりこの世の終わりがやって来た様な、凄まじい悲鳴を上げながらパトカーに逃げる様にして戻り、驚くべき速度でパトカーを発進させてこの区域から立ち去ったと、その時の事を思い出しながらイオドは言葉を紡ぎ……

 

「結局あの警察官達は、この屋敷に何しに来たンゴ?ワイ、今でもこの事が不思議でたまらないンゴ」

 

「多分だけど、召喚者の親族が召喚者の捜索願を警察に出したんじゃないかな……?」

 

それに続ける様にして、イオドはこの様な疑問を口にし、それを聞いた翔はピザを作る手を止めずに、自分の推論を口にするのであった

 

因みにこの時屋敷に踏み込んだ警察官2人だが、護の調べによると如何やらこの出来事の後、まともに仕事が出来る精神状態ではなくなり、2人仲良く精神病院送りになってしまっているのだそうな……

 

尚、この事をイオドから聞いたシゲとゾアは……

 

「国民を守る警察としては情けねぇ事この上ねぇが、神話生物相手って事ならまあ仕方ねぇってとこだな……。いや、寧ろ神話生物を直視していながら、逃げようって気を起こせた肝っ玉を褒めるべきなのかもな……」

 

「先程廊下で話を聞いた魂達は、イオド殿の姿を見た直後にショックで死んでいる様だったからな……。そう考えると、精神病院送りで留まったのは凄い事だと思うのだ……」

 

この様な言葉をそれぞれ口にしながら、件の警察官達の精神の強靭さに感心するのであった……

 

さてこの出来事が起こった後、イオドが住む屋敷は心霊スポットとしてネット上で紹介され、この区域が立ち入り禁止区域に指定してあるにも関わらず、その真偽を確かめる為や、スリルを味わう為に屋敷に侵入する者達が激増し、屋敷の中でイオドを直視した者達が、次々と発狂死すると言う哀れな末路を辿る様になり、それが大量行方不明事件として世に取り上げられる様になってしまったのだと、イオドは語るのであった……

 

尚……

 

「そう言えば、イオドさんはシゲ達に対しては精神攻撃を行ってたけど、他の人達にも精神攻撃を行ったの?」

 

「いや、普通の人間にはやってないンゴ、お前達に精神攻撃をしたのは、お前達の姿が深海棲艦の上位種である鬼級や姫級だったからンゴ」

 

「ん?おめぇ、深海棲艦の事知ってんのか?」

 

「ンゴ、伊達や酔狂で3億年以上生きてないンゴ、深海棲艦が誕生している経緯なんかも知ってるンゴ」

 

「今、サラッと重大な事を口にしたね……」

 

イオドに振舞うピザに最後の仕上げを行う翔が、自分達以外の侵入者達にも精神攻撃を仕掛けたかどうか、イオドに対して尋ねてみたところ、イオドは人間に対して精神攻撃を行っていないと言って翔の発言を否定し、イオドが深海棲艦の事を知っている事に疑問を覚えたシゲがこの様な質問をすると、イオドはやや自慢げにこの様に答えてみせ、それを聞いたヴェルが思わずこの様な事を零すのであった……

 

さて、此処でようやくイオドとこの事件の関連性が、モノクロであると判断された理由に触れていこうと思う

 

先ず黒だと判断された理由は、被害者達の死因の多くがイオドの姿を直視したから、つまり死因とイオドの存在が直接繋がってしまっているからである

 

そして白だと判断された理由は、被害者達に対してイオドが一切手を出していないから、そして被害者達が死んでしまったのは、立ち入り禁止である筈の場所に勝手に入り、イオドを見るなり勝手に死んだから、所謂自業自得と言える理由で死んでしまっているからである

 

とまあ、取り敢えず色々な事をグダグダと並べているが、結局イオドに罪があるか否かについて答える場合、一体どうなるのかと言えば……、何と無罪判決となるのである。しかも翔達の判断だけでなく、この世界の日本の司法と照らし合わせてみても、イオドは無罪判決となるのである

 

翔達の判断については、白と判断された理由で大体話してある為、ここでは割愛させてもらうとして、何故この世界の日本の司法でも無罪になるのかについて話そうと思う

 

確かにイオドは多くの被害者の死因となっている、しかし肝心なイオドは日本に到着するまでの戦治郎達と同じく、何処の国の国籍も持っておらず、それどころか人権さえ持っていない状態なのである

 

そうなるとイオドは被告ではなく、凶器として扱われる事となるのである。例え生物であったとしても、この世界の日本の司法では人として正式に認められていなければ、それらは全て物として扱われるからである

 

そしてこの場合、凶器の持ち主が被告として扱われるのだが、肝心なイオドと言う凶器の持ち主である召喚者は、イオドを見るなり真っ先に死んでしまっている為、召喚者を立件する事は不可能となり、召喚者に放置されたイオドが原因で死んだ者達は、召喚者の扱いが自殺になる以外、ほぼ全て自業自得の事故死として処理される様になっているのである……

 

つまりこの事件を物凄く大雑把に説明すると、被害者達は立ち入り禁止である屋敷の中に勝手に侵入し、何かの拍子で転んだ際に偶々屋敷の中に転がっていたイオドと言う持ち主不明の包丁が胸に刺さり、そのまま死んでしまった感じである

 

こんな感じでイオドは法の場に立てば、確実に無罪を勝ち取る事が出来るのだが、法廷に立つ事が出来るのは、あくまで人権を認められた人間だけである為、人権を持たないイオドは、そもそもその土俵に上がる事さえ出来ないのである……

 

そんなイオドを待ち構えているのは、保健所や猟友会の皆様だったりする……。人に被害を出してしまっている以上、人として認められていないイオドは確実に害獣認定され、その駆除の為に保健所や猟友会の皆様に追われる羽目になってしまうのである……。尤も、その保健所や猟友会の皆様が、イオドの姿を見て無事で済むかどうかは分からないが……

 

さてこれまで話した内容は、資格取得の為に特別に国籍を手に入れたゾアや、穏健派大連合結成の際、燎の手引きで国籍を手に入れたルルイエや旧神の皆様以外の神話生物全てに当てはまる事となっており、これらを対処する事も神話生物対策本部の仕事となっているのである

 

つまり、この件を翔達が白だと判断した場合、これまで話した事は殆ど意味が無く、例えどれだけ人が死んでいようとも、被害者の親族には悪いが、悪意を持って凶行に及んでおらず、無闇に刺激せず放っておけば基本無害なイオドは罪に問われないのである……。そもそも、これまで何度も出ているが、彼等の死の殆どはやってはいけない事をやった末の自業自得の結果なのだから……

 

こうして結論が出たところで翔特製のピザが出来上がり、翔達はピザを囲んで今後の事を話し合い、翔のピザを食べた事でその味を大いに気に入ったイオドは、翔のピザを満喫する為にこの屋敷を離れて翔達についていく事を決意し、それを聞いた翔は屋敷中に転がる死体を親族の下に届ける為に警察に通報、自分の役職と事件の詳細を伝えると、後の事は警察に任せてこの場を後にする事にするのであった

 

尚、流石にイオドをこのままの姿で鎮守府建設予定地に連れて帰る訳にもいかなかった為、イオドの姿はイオドのネトゲ仲間である護の脳内イメージから、ポケモンのロトムの姿に変える事となるのであった




ロトム化したイオドは、自身の身体のサイズを10cm~30cmの間なら、好きに変更出来る模様
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