※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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働かざる者食うべからず 但し・・・・・・

「別にイオドが精神操作で被害者達を誘導している訳でもなければ、イオド自身も被害者達をどうこうしようとする気も無く、被害者達には一切手を出していない……。しかしながら、被害者達の方から立ち入り禁止区域に指定されてるイオドの棲み処に突っ込んで行って、イオドを直視して勝手に発狂死しちまって被害が出ている……、か……。うん、確かにこりゃややこしい事になってんな……」

 

『そうッスそうッス、そんでこのまま放置してたら余計被害が出て、それによって尾ひれがついた噂が更にネットを通して拡散されて、好奇心を刺激された連中が増加してってな具合に、被害のスパイラルが完全に出来上がってしまってるッスから、それを断ち切る意味合いも込めて、イオドの身柄はこちらで預かる事にしたんッスよ』

 

『いや~、屋敷を出てホントによかったンゴ!翔のピザを毎日たらふく食べられるだけでなく、護の部屋にいれば途轍もなく快適なネトゲ環境でネトゲやりまくれるンゴ!あの時護が来ていなかったら、ワイは今もあのきったない家で、かなりの頻度で押し寄せて来る侵入者に怯える毎日を過ごす羽目になってたンゴ~。ホント、護達には感謝してるンゴ~」

 

護からイオドが長門屋鎮守府建築予定地に来た経緯を聞いた戦治郎は、自分の認識が間違っていないかを確認する為に、自分なりに先程の話を纏めると、PCと接続したマイクが自身の音声を拾えるくらいの声量で纏めた内容を口にし、それを聞いた護は戦治郎の言葉を肯定する様に、何度か頷いて見せながらこの様な言葉を口にし、そのやり取りを護の傍で聞いていたイオド改めイオッチは、護の話の途中で翔が持って来た出来立てピザを頬張りながら、護の言葉に続くのであった

 

「取り敢えず、イオドがウチに来た経緯は分かった。んでウチに来る以上、働かざる者食うべからずって事で、イオドにも何かしら仕事をしてもらう事になるんだが……」

 

『それに関してなら、ワイは働く気はこれっぽっちも無いンゴ、ワイは此処で毎日ピザとネトゲで贅沢三昧する予定になってるンゴ~』

 

「……あ"ぁ"?」

 

その後、護の話に納得した戦治郎が、イオッチに対して自分達の鎮守府のルールを口にし、イオッチが何処で働く事になっているか確認の為に尋ねてみたところ、イオッチは戦治郎に向かってしれっとこの様な事を言い放ち、それを聞いた戦治郎は左目から赤い炎をほんの僅かに吹き出しながら、怒気の籠った声を上げるのであった……

 

まあ、戦治郎が怒るのも無理も無い……。戦治郎は自分が運営する鎮守府に所属する艦娘達や神話生物達にも、出撃や遠征などの軍務以外の仕事を与える事で艦娘達に手に職をつけておいて、退役後に就職する際に事を有利に進められる様にする為や、作戦行動中のトラブルにも、それらの技術を用いて即座に対応出来る様にする事で、生存確率を多少なれど上げる為、そしてそれらの作業を皆で協力して進める事で、協調性を培ってそれを作戦行動中にも活かせる様にしようと考えているのである

 

そんな中に働かないと言い出す者が入ってしまうと、すぐさま軋轢が生じてしまい、折角今まで築き上げて来た信頼関係が崩壊し、それによって作戦行動において支障が出て、最悪の場合轟沈者が出てしまう……。そう考えたからこそ、戦治郎はイオッチの発言を聞くなり、怒りを露わにしたのである……

 

『ちょっ!?イオッチ?!!シャチョーに向かってそんな事言っちゃダメじゃないッスかーっ!!!っとぉシャチョーッ!ちょっとばかし落ち着いて欲しいッス!!これについてもちょっとした事情があるんッスYO!!!だから少しだけでいいッスから、自分の話聞いて欲しいッス!!!』

 

その直後、イオドと戦治郎のやり取りを見ていた護が、戦治郎が目に見えて怒っている事に気付くなり、それはそれは大慌てしながら1人と1柱の話に割って入り、何とか怒る戦治郎を落ち着かせ、イオドが働かないと言い出した理由について話し始めるのであった……

 

『正直、とても信じ難い事だと思うんッスけど……、イオッチは鎮守府建設予定地に来るなり、ピザと新居のお礼としてある物を見つけてくれたんッスよ……』

 

「とても信じ難いある物だぁ……?」

 

『心して聞いて欲しいッス……、イオッチは何と……、鎮守府建設予定地の近くに、ボーキサイトの鉱脈がある事を教えてくれたんッスよ……。しかもとんでもない量の埋蔵量がある鉱脈ッス……』

 

「……ファアアアァァァーーーッ!!?!?」

 

護の言葉通り、とても信じられない様な話を聞いた戦治郎は、驚きの余りイオッチに対しての怒りなどスッカリ忘れ、驚愕の表情を浮かべながら、やたら甲高い奇声を上げてその場に固まってしまうのであった……

 

ボーキサイトと言えば、燃料、弾薬、鋼材と同じく、鎮守府を運営するにあたってそれはそれは大切な資源であり、日本では産出されていない事が反映している為か、ゲームの中では自然回復量が他の3つの資源より少なく、主な入手経路が任務消化や遠征、そして出撃時に少量拾って来るくらいしかない、本当に貴重な資源なのである

 

そんな日本にはあるはずのないボーキサイトの鉱脈を、このイオッチとやらは鎮守府の近くで発見したと、護はそう言っているのである……。故に戦治郎はこれほどまでに驚いているのである……

 

『追い打ちをかける様で申し訳ないんッスけど、先程言った埋蔵量について少し触れておくッス……。で、この鉱脈の埋蔵量なんッスけど、欧州にあった深海棲艦の補給基地と、ミッドウェーにあった飛行場姫の拠点……、あの2つの拠点にあったボーキの合計数の100万倍は優にある事が判明してるッス……。恐らくッスけど、今のウチらのメンバーの採掘能力があっても、皆が天寿を全うするまでの間に、この鉱脈を掘り尽くしてボーキを枯渇させる事は到底無理みたいッス……』

 

「あっひゃっひゃ!!!頭おかしい!!!このクッソ狭い日本の何処に、そんなおっそろしい量のボーキが埋まってるってぇんだよっ!!?つか何で日本にボーキの鉱脈があるんだYO!?!」

 

『イオッチが見つけたんもんッスから、自分に聞かれても困るッス!!!』

 

戦治郎が愕然とする中、護はこの様に言葉を続け、それを聞いた戦治郎は奇妙な笑い声を上げた後、捲し立てる様にして護に向かって自分の中に湧き上がった質問をぶつけ、戦治郎に質問された護は、声を荒げながらこの様に返答するのであった……

 

 

 

それからしばらくして……

 

『取り敢えずッス、イオッチはこのお化け鉱脈を屋敷で食べた翔のピザの代金として自分達に譲ってくれたんッスけど、流石にこれはピザ1枚の代金としては破格過ぎるって事で、こっちのメンバー全員で話し合った結果、イオッチはこちらの作業関係を全て免除された、軍から資金を貰えない自分達のスポンサー的なポジションにつく事になったッス』

 

「イオッチ様、先程は大変失礼致しました。心よりお詫び申し上げます」

 

先程まで言い争いをしていた2人が何とか落ち着き、護が戦治郎に向かってイオッチが働かないと言い出した理由を話したところ、戦治郎は先程とは打って変わって誠に紳士的な態度をとりながら、イオッチに向かって謝罪の言葉を述べるのであった……

 

護が先程言った様に、戦治郎達は以前のやらかしの関係で、軍から軍資金と給料を貰えない状態となっているのである。その為、イオッチが見つけた鉱脈から産出されるボーキサイトは、正規ルートで売りに出せる様にすれば、まだ開園していない艦娘ランド以外の、長門屋鎮守府の貴重な資金の調達方法となり得るのである

 

故に戦治郎は長門屋鎮守府のスポンサーとなったイオッチに対して、態度を改めて素直に謝罪する事にしたのである。そうしなければ、自分を信じてついて来てくれた者達に対して、しっかりとした給料を払ってあげられなくなってしまうから……

 

こうして、長門屋鎮守府に新たな仲間、長門屋鎮守府のスポンサーとなった、旧支配者のイオドのイオッチが加入する事となるのであった

 

尚、この時イオッチは働く気は無いと言っているが、ある事件をきっかけに護と共に行動する様になり、出撃の際も己の力をフル活用し、護の事を全力でサポートする様になるのだが、それはまだ少し先の話となっている……

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