※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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魂を狩り立てる者の実力

ここまでイオドことイオッチが、長門屋鎮守府に加入するまでの経緯について話した訳だが、その中で1つ気になる点があったと思われる。そう、イオッチは一体どうやってボーキサイトの鉱脈を見つけたのかについてである

 

今回は少し時間を遡り、ボーキサイトの鉱脈が発見されるまでについて触れていこうと思う

 

 

 

 

 

護達がイオッチを鎮守府建設予定地に連れて帰った後、長門屋鎮守府(仮)のメンバーは全員食堂に集められ、イオッチがここに来る事になった理由について翔から説明がなされ、それを聞いたメンバーは複雑そうな表情を浮かべながらも、イオッチに対してそれぞれ自己紹介を行い、イオッチは長門屋鎮守府(仮)の新しいメンバーとして皆から温かく迎え入れられるのであった

 

因みにイオッチと最初に接触したメンバー以外の者達が、イオッチの身の上話を聞いて複雑そうな表情を浮かべていた理由だが、もし自分がイオッチと同じ立場だった場合について考えたからである

 

イオッチは人間の都合で召喚され、イオッチを見た事で召喚者が発狂死した関係でしばらくの間放置され、挙句の果てには静かに暮らそうとしていたら、好奇心旺盛な者達が棲み処にワラワラとやって来て、イオッチを見て発狂死して勝手に誘拐殺人をでっち上げられていく……

 

確かにイオッチは人間からしたら脅威以外何でもない、旧支配者と呼ばれる神話生物ではあるのだが、幾ら何でもこれは流石に可哀想なのではないか……?そう考えたからこそ、長門屋鎮守府(仮)のメンバー達は、複雑そうな表情を浮かべていたのである

 

それはそうと、長門屋鎮守府(仮)のメンバー達の自己紹介が終わったところで、不意にイオッチはこの様な事を言い出すのであった

 

「そう言えば、まだ屋敷で食べたピザの代金を翔に払って無かったンゴ。でも、今手持ちが全く無いンゴ……」

 

この言葉を聞いた翔が、それについては別に気にしなくてもいいと言うのだが、イオッチはあれ程美味しいピザをタダで食べるのは心苦しいと言い返し、何とかしてピザの代金を払おうと思考を巡らせ始め……

 

「むっ!これは……、丁度良い物を見つけたンゴッ!これならピザの代金の代わりになるはずンゴッ!問題は~……」

 

ふと思案中に何かを発見したイオッチは、突然この様な事を口にするなり、品定めする様に長門屋鎮守府(仮)のメンバー達の顔を見回し……

 

「護っ!シゲッ!それとアトラク=ナクアッ!ちょっとワイの後について来るンゴッ!」

 

護とシゲ、そして工廠組の分派として新しく設置された採掘組の代表として、今回の集まりに参加していたエイブラムスを名指しすると食堂を飛び出し、その様子を見ていた護とシゲは不思議そうな表情を浮かべながら、そして自己紹介したにも関わらず、旧支配者としての名前で呼ばれたエイブラムスは、不満そうな表情を浮かべながら食堂を飛び出したイオッチの後を追い、エイブラムスが何かやらかすのではないか?と、自分の事を完全に棚上げして心配した空が、更にその後を追って行くのであった

 

「皆~こっちンゴ~、ちゃんとワイについて来るンゴ~」

 

「イオッチよぉ、一体何処に向かってんだ?んでその先に何があるってんだ?」

 

「それは目的地に着いてからのお楽しみンゴ~」

 

それからしばらくして、護達は何とかイオッチに追いつく事に成功し、フヨフヨと空中に浮遊しながら移動するイオッチは、自分の後に付いて来る護達に向かってこの様な言葉を掛け、それを聞いたシゲは思わず内心に湧き上がった疑問を口にし、それを聞いたイオッチは、この様に返事をして目的地と目的の物を隠すのであった

 

その後、護達は他愛もない話をしながらイオッチの後について行くのだが、現在エイブラムスの眷属達の主な職場となっている、耕作地及び牧場建設予定地の近くにある石油化学コンビナートを通り過ぎ、そこから少し歩いた所に突如出現した岩肌が剥き出しとなった山の麓に到着したところで、イオッチは不意に歩みを止め、護達の方へと向き直るとこの様な事を尋ねて来るのであった

 

「目的の場所に到着したンゴッ!っとぉそれはそうと、護達は防塵マスクは持って来てるンゴ?」

 

「防塵マスクッスか?一応何時でも作業出来る様に持ち歩いてはいるッスけど……」

 

「ショーシェーはそんな物持ってないでぃしゅっ!」

 

イオッチの質問を聞いた護、シゲ、空の3人は、不思議そうな表情を浮かべながら互いの顔を見合わせ、護が代表して工廠組は防塵マスクを普段から携行している事をイオッチに伝え、その身体の性質上、防塵マスクが不要なエイブラムスは、何処か自慢げにこの様に返答するのであった

 

さて、その事を聞いたイオッチは、護達に防塵マスクを着用する様に促し、準備が整うと護達に向かってこの岩山を掘ってみて欲しいと言い……

 

「そう言う事なら……、いくぞエイブラムス……ッ!」

 

「合点でぃしゅっ!」

 

それを聞いた空が、エイブラムスを連れて岩山の方へ歩き出そうとするのだが……

 

「ああっ空さん、ちょっと待ってもらえます?」

 

不意にシゲがそう言って、1人と1柱に待ったをかけるのであった

 

自分達に対して待ったをかけたシゲに向かって、不思議そうな表情を浮かべる空が理由を聞いたところ……

 

「ほら、空さんはショートランド泊地での戦いの時、龍気で出来た銀色の龍で島の一部削って、世界地図を書き換えなきゃいけなくなる様な大事引き起こしたじゃないですか?」

 

「ふむ……、つまり近隣に被害を出さない様にする為に、俺は大人しくしててくれと……?」

 

「あ~……、それも一応あるっちゃあるんですけど……。それよりも、それと似た様な事が、クトゥグアの力の一部を貰ってる俺にも出来ないかな~って、そう思ってちょいと試してみたいってところです」

 

シゲはこの様に返答し、それを聞いた空はそう言う事ならと納得し、岩山を掘る役目をシゲに譲り、許しを得たシゲは小さくガッツポーズをした後、自身の身体に埋め込まれたクトゥグア焔晶を出現させ……

 

「いくぞゴル"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ーーーッ!!!」

 

右腕に真っ赤な炎を纏わせると、気合いの雄叫びを上げながら小指から順に指を曲げて拳を握り締め、岩山目掛けて真っ直ぐ右腕を突き出し、その拳を勢いよく岩山に叩きつけて、辺りにそれはそれは大きな爆発音を鳴り響かせ、見事岩山の中心部にまで及ぶほどの巨大な穴を開けて見せるのであった……

 

「まるで生きたダイナマイトッスね~……」

 

「あんな真似が出来るんなら、ショーシェー達の作業を手伝って欲しいでぃしゅ」

 

「そういえばシゲは、屋敷でワイに襲い掛かろうとした時、あれと同じ様な事をしてた気がするンゴ……」

 

「ふむ……、敢えて熱線を避けたのは、岩山を貫通した熱線が近隣の民家に被害を出さない様にする為……む……?」

 

岩山に殴りかかるシゲの様子を見て、護達がこの様なやり取りをする中、空がふと視界に入って来た岩山の破片を見るなり違和感を覚え、その違和感を払拭する為に破片を手に取って観察しようと、破片に向かって手を伸ばそうとするのだが……

 

「……っ!?イオッチが防塵マスクを装着する様促していたのはそう言う事だったのか……っ!!シゲッ!!!この辺りに漂う岩山から出た粉塵を、お前の力で全てプラズマ化しろっ!!!」

 

「うぇっ!?りょ、了解ですっ!!!」

 

空はこの破片の正体に気付くと伸ばした腕を急いで引き戻し、血相を変えてシゲにこの様な指示を出し、それを聞いたシゲは突然の出来事に驚きながらも、空の指示通りに辺りに漂う粉塵を迦具土の力を用いて一気に加熱、粉塵を構成する陽子、電子、中性子の結合をその熱によって破壊し、粉塵を全てプラズマ化させるのであった……

 

尚、空がシゲに指示を飛ばした直後、護は急いで羽織っていたパーカーを脱ぎ、大慌てしながら自身の周囲に漂う粉塵を自身から遠ざけようと、必死になって先程脱いだパーカーで辺りをバサバサと扇ぎ、エイブラムスは身の危険を感じ取って急いで地中に潜るのであった

 

さて、シゲが全ての粉塵をプラズマ化した後、突然この様な指示を出した空に向かって護が理由を尋ねてみたところ、空はその手に手袋を装着するなり自身の足元に転がる破片を手に取って、この破片をよく見る様にと護達に促したところ……

 

「これって……、ボーキじゃないッスかっ!?」

 

その破片がボーキサイトである事に気付くと、護は思わず驚きの声を上げるのであった

 

「ムフ~、驚いたンゴ?実はあの山とその地下には、大量のボーキサイトが埋まってるンゴ。さっきピザの代金になりそうな物を探す為に、地下に棲む生物達の生体信号を利用して何か埋まっていないか調べていたところ、このボーキサイトの鉱脈を見つけたンゴ」

 

「まさかショーシェー達の職場の近くに、こんな鉱脈があるとは……。何でショーシェーは気付く事が出来なかったんでぃしゅか……?」

 

「まあ……、恐らく作業に集中し過ぎて気付かなかったのだろう……」

 

ボーキを見て驚く護を見て、イオッチは得意げにこの様な事を言い、普段から地下にいるエイブラムスはこの事実に軽いショックを受け、空は落ち込むエイブラムスに精一杯のフォローの言葉を掛けるのであった……

 

さて、先程イオッチがこのボーキサイトの鉱脈を発見した方法について、本当に簡単に説明しているが、これについてもう少し細かい説明をしておこうと思う

 

護達がイオドの棲み処であった屋敷に踏み込んだ際、ゾアがイオッチは生物が体内で発する電気信号を感知、その信号の内容を自由に書き換える事が出来、その力を応用して自身を途轍もない索敵範囲を持つレーダーにする事で、地球に飛来する地球外生命体を捕捉し、クトゥルフ達に頼んで始末してもらっていたと言っており、更にはイオッチ自身が、召喚者の死体から記憶を読み取ったと言っていた事を覚えているだろうか?

 

イオッチはこれらの能力をフルに活用して、先ず地底に棲む生物達の電気信号を乗っ取り、その記憶を読み取りながら生物を地下でも問題無く動くレーダーに仕立て上げ、その生物の記憶の中に金目の物を目撃したと言う情報が無かった場合、レーダーで別の生物を探し出し、電気信号を乗っ取った生物を中継点にして、新しく見つけた地下生物の電気信号を乗っ取ると言う行為を、短時間で幾度となく繰り返して、この鉱脈の情報を手に入れたのである

 

それだけでも十分凄い事なのだが、このイオッチの実力はそれだけでは留まらない

 

イオッチは自称非力な旧支配者なのだが、実際のところそんな事は無く、その戦闘力はその気になれば宇宙ヤクザのクトゥグアと張り合える程のものであったりするのである

 

本来の姿のイオッチの身体を覆う鱗や身体から溢れ出る粘液は、それはそれは眩く輝いているのだが、この輝きは鱗や粘液の中に蓄積している微弱な電気の光が原因となっているのである

 

そう、イオッチはそれらの電気を自在に操る事が出来、電気信号を読み取り乗っ取る力や、自身の超高性能レーダー化はこの力の一環であり、やろうと思えば身体中に溜まった電気を一点に集め、それを相手に向けて放電すると言う攻撃が出来るのである。しかもその電撃は、驚くべき事に硬質ゴムを絶縁破壊に追いやる程の電圧に至らせる事も可能であり、生半可な旧支配者なら一撃で完全に葬り去れる程の威力となるのである

 

因みにイオッチレーダーの索敵範囲だが、全力を出そうものならば、その有効範囲の半径は2億3000万km……、地球から火星までの距離に匹敵する程のものになるのだとか……。尚、流石に常時使用していると頭がおかしくなりそうな程の騒音に悩まされると言う事で、普段はかなり有効範囲と精度を落としているのだそうな

 

実のところ、過去にクトゥグアを自分達の軍門に引き入れようとした、アザトース配下のヨグ=ソトースは、クトゥグアを勧誘する前にイオッチを勧誘しようと考えていたのだが、自身を過小評価し過ぎるイオッチの姿を見て、これでは自分達のところではやっていけないだろうと考え、イオッチの勧誘を取り止めたと言う、表沙汰になっていない驚くべき事実が存在しているほど、イオッチの実力は高かったりするのである……

 

それはさて置き、こうして超弩級のボーキサイトの鉱脈の存在を知った空達は、急いで食堂に戻ると長門屋鎮守府(仮)のメンバーを集めて鉱脈の事を説明し、この鉱脈の扱いについて話し合い、話し合いの結果は護が戦治郎に説明した通りの結論に至り、工廠組はエイブラムス達が使用する採掘用の装置や、この鉱脈が原因で発生すると思われる環境汚染対策の為の装置作りを開始し、完成した装置は輝達建築組によって正確に設置され、それらの作業が終わるとすぐさまエイブラムス率いる採掘部隊が鉱脈に突撃し、ボーキサイトの発掘作業を開始するのであった……

 

これが、イオッチが鉱脈を発見した方法と、イオッチの本当の実力についての全てである……




イオッチの鱗や粘液が輝いている理由や、電気を自在に操れる設定は、この作品独自のものとなっております。どうかご了承下さい……
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