※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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舞鶴鎮守府研修編
そうだ、舞鶴行こう


打倒空と言う少々無謀な目標を掲げ、過酷なトレーニングに打ち込んでいた瑞鶴の問題や飛行するポリプによる襲撃事件、そして長門屋鎮守府(仮)に旧支配者のイオドことイオッチが加入した、それはそれは慌ただしい事この上なかった7月が終わり、夏真っ盛りである8月中旬を迎えた頃、江田島軍学校は8日間程の夏休みに突入していた

 

何が夏休みだ、軍が管轄する組織ならば休んでいないで日本を守る為に頑張れよ、そう思う者達もいる事だろうが、軍に所属する者達も、海軍に所属するゾアと陸軍に所属するヴォルヴァドスの2柱を除けばれっきとした人間であり、何処ぞの戦闘狂の様に常に戦い続けられる様な身体の構造をしている訳でないのである

 

故にこの時期になると、日本帝国軍は日本の為に戦う兵達に休息を与える為に、そして福利厚生関係で上からどやされる事を避ける為に、休暇期間が偶数になる長期休暇、所謂夏休みに入るのである

 

因みに何故休暇期間が偶数になっているかについてだが、幾ら休みだからと言って軍に所属する者達が一斉に休暇に入れば、日本の防衛が一切出来なくなってしまい、その間に日本が人類の脅威に襲われてしまえば大変な事になってしまう事が目に見えており、それの対策として休暇期間を前半と後半に分け、兵達を偏りなくバランスよく組み分けて交代制で休暇を取る様にする事で、戦力こそ半分にまってしまうものの、休暇期間中も常に軍を動かせる様にする際、非常に都合がいいからである

 

尚、特に戦場に出る訳でも無い軍学校の場合、生徒達も教官達も休暇期間中は丸々休む事が出来る様になっており、多くの者達がこの機会を利用して実家に帰省したり、ちょっとした旅行に出たり、許可を取って実際に稼働する鎮守府や泊地に赴き、鎮守府や泊地を見学したり、現場を経験する為に実際に働いてみたりするのであった。中には軍学校に戻る事を拒み、帰省を装ってバックレる者もいたりするが……

 

さて、そんな訳で現在軍学校に所属する戦治郎達は、8日間の夏休みに入った訳だが……

 

「周囲からの視線を気にせず、まったりのんびり出来るってホント素晴らしい……」

 

「提督のそのお姿はどうしても目立ってしまいますからね……、大和はそんな提督の為に、この個室を準備しました♪」

 

「流石大和、よくやってくれたっ!!」

 

戦治郎は戦治郎達の世界では無くなってしまった新幹線のぞみの中にある個室の中で、周囲からの視線に怯えずに済む現状に感激し思わず感嘆の声を上げ、それを聞いた大和は競争率が高い新幹線のぞみの個室を予約して来た事を褒めて欲しいと言う感情を心の内に潜ませながら、祈る様に指を組んで感激する戦治郎に向かってこの様な事を言い、それに対して戦治郎はそんな大和を称賛するのであった

 

そう、戦治郎達は現在、京都府北部にある舞鶴鎮守府に向かう為、新幹線のぞみで移動している最中なのである

 

皆さんは戦治郎達が江田島に向かっている最中に触れていた、インターンシップのお誘いの手紙の事を覚えているだろうか?その手紙の山の中には、横須賀の乱の後に雲龍達から話を聞き、戦治郎に興味を持った舞鶴鎮守府の提督からのお誘いの手紙も入っていたのである

 

この事を覚えていた戦治郎は、この夏休みを利用して舞鶴鎮守府にお邪魔する事にしたのである

 

横須賀の乱の後、元帥や燎の指導の下軍学校入学前から日本海軍の仕事に携わり、日本海軍がどの様な組織であるかについてや、日本海軍が抱える闇まで知り尽くした戦治郎が、舞鶴鎮守府からのお誘いを受けた理由は2つほどある

 

1つは舞鶴鎮守府の提督が元帥と同期の提督であり、機会があれば誰にも邪魔されない様に手配してから2人だけで盃を交わし、互いに実力を認め合う程の親友同士である事から、舞鶴鎮守府の提督から見た今の日本海軍をどう思うかについて聞く為、もう1つは横須賀の乱の際に初めて会った大井が、北上の名前を口にした時に感じた引っかかりの原因を探る為である

 

そう言う訳で戦治郎達は、夏休みの期間中は舞鶴鎮守府で過ごす事にした訳だが……

 

「広島駅で新幹線待ってる間も、皆から注目されてたわね……」

 

「まああんな格好してりゃ、誰でもつい見ちまうだろうよ……」

 

舞鶴鎮守府で過ごすメンバーである瑞鶴と毅は、戦治郎達のやり取りを目にすると思わずこの様な言葉を零すのであった……

 

戦治郎が舞鶴行きを決定し、それに合わせて大和が新幹線のチケットを予約するよりも前に、戦治郎達は食堂で夏休みの予定を主題とした雑談を興じ、その際に出身が京都であり、夏休み中に帰省しようと考えていた毅と瑞鶴が、戦治郎の予定を聞くなり戦治郎に便乗してインターンシップに参加する事にした為、彼女達も戦治郎達と共に舞鶴鎮守府へ向かう事となったのである

 

尚、飛行するポリプとの戦いで、戦治郎の実力を目の当たりにした瑞鶴は、戦治郎自身が自分よりも強いと言う空を倒す事を既に諦めており、今回のインターンシップ参加の理由は、軍学校卒業後に翔鶴と同じ横須賀鎮守府に着任した際、翔鶴の足を引っ張らない様に今の内に場数を踏んでおこうと言う目論見と、既に戦治郎の正体を知っている大和や舞鶴鎮守府の艦娘達と協力して、戦治郎の正体を知らない毅に戦治郎の正体を知られない様にする為である

 

因みに、話を聞いた鈴谷も戦治郎達に同行しようとしたのだが……

 

「いや、おめぇは熊野の親父さんにお礼言いに神戸に帰っとけ。おめぇが今こうして軍学校にいれるのは、大元の部分に熊野の親父さんの力があったからだかんな」

 

戦治郎のこの一言によって、熊野と共に神戸に帰る事にしたのである

 

又、瑞鳳も瑞鶴達と同じく、京都出身なのだが……

 

「ごめん、この休み中はどうしても外せない用事(コミケ)があるから、インターンシップには参加出来そうに無いの……」

 

この様な理由で、インターンシップ参加を断っていた……

 

因みに瑞鳳の外せない用事(コミケ)についてだが、後に戦治郎達はハグルマ工務店としてサークル参加し、そこでとあるトラブルに巻き込まれ、その中で戦治郎と空は技術者としての自分達を育て上げたある人物と再会する事となるのだが、それはまだ先の話となっている……

 

それはそうと、新幹線での移動中、尿意を催した毅がトイレに行く為に個室から出たところで……

 

「ねぇ戦治郎さん、ちょっと質問していい?」

 

「う?一体何ぞ?おっちゃんが答えられる奴なら何でも答えちゃうZO☆」

 

不意に瑞鶴が戦治郎に対してこの様な事を言い、それを聞いた戦治郎は人目を気にしないで済む事が余程嬉しいのか、上機嫌になりながら瑞鶴に向かってこの様に返答し、それを聞いた瑞鶴は戦治郎の様子など気にも留めず、自身の中に湧き上がった疑問を口にするのであった

 

「前に戦治郎さん達とポリプとか言う奴等と戦った時なんだけどさ、島に向かう時や軍学校に帰る時、一切深海棲艦と遭遇してなかった気がするんだけど……、これって何かおかしくない……?」

 

「あぁ……、言われてみれば……」

 

「確かに……、幾ら武蔵達が頑張っているからと言っても、完全に深海棲艦の侵入を防ぐ事は出来ませんからね……」

 

「深海棲艦は憎悪や悲しみが尽きない限り、海上なら何処からでも自然発生するんだったか……。んで、そうやって生まれた野良の深海棲艦を、リコリスのとこの奴等が仲間に引き入れると……」

 

「リコリス云々は兎も角、あの時野良の深海棲艦とも遭遇しなかった事にどうしても違和感感じて、色んなとこ渡り歩いて色んな事を知った戦治郎さんなら何か知ってると思って、こうして試しに聞いてみたんだけど……、その反応からすると……」

 

「すまん、これはちょっち俺にも分かんねぇわ……」

 

瑞鶴の疑問を聞いた戦治郎と大和は、当時の事を思い出すとこの様な言葉を口にし、戦治郎達の反応を見た瑞鶴がこの様な事を口にすると、戦治郎は申し訳なさそうな表情を浮かべながら、瑞鶴に向かってその疑問に答えられなかった事を詫びるのであった……

 

それからしばらくの間、個室の中は戦治郎達がその件に関してそれぞれ思考を巡らせ始めた事で、毅がトイレから戻って来るまで静寂に包まれてしまい、毅が戻って来た事で静寂が破られると、戦治郎達は思考を巡らせる事を中断し、先程の疑問から生まれた不安を拭い去る様に雑談を興じ、戦治郎達がそうしている内に新幹線は京都駅に到着し、戦治郎達は新幹線を降りると今度はバスに乗り換え、舞鶴鎮守府を目指すのであった

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