私が艦娘になろうと思ったのは御家に対しての使命感のようなものだったと思います
旧家の娘として生を受けた私は両親にそれはそれは大切に育てられてきました
私はその恩をどうにか返す事は出来ないかと考えていたところ人類の敵とされる深海棲艦が世間を騒がせている事を知り、御国の為に深海棲艦と戦い勝利する事で故郷に、御家に錦を飾る事こそが最大の恩返しになるだろうと思い立ちました
それからというもの艤装の使用許可証を入手する為に艤装の教習所に通いながら己自身を鍛え上げる毎日でした、そんな私の姿を見て心配する妹に大丈夫、心配しないでといつも言っていたのは今でも覚えています
艤装の使用許可証を入手してからは今度は海軍に入隊する為に己の力と技、知識を更に磨く日々が続き、海軍入隊試験の日が近づいて来たそんなある日、私の縁談が持ち上がったのです
この縁談に乗るのもお家の為、両親の為になるだろうとは思いました。しかし本当にそれでいいのか?自分を押し殺して言われるがままに従って生きていく事が正しいのか?今まで積み重ねて来たものは何のためのものだったか?もう1人の私が問い掛けてきました
その答えを出そうと悩みに悩んで……ふと気が付けば私は海の上にいました……、どうやら身体が勝手に動き家を飛び出してしまっていたようです……
その結果として私は1つの答えを出しました、両親の、御家の為に他者に言われた通りのやり方ではなく私自身が考えた私なりのやり方で恩を返そう、そう思い私は海の上を駆け出しました
「んで、その結果迷子になってオロオロしてるとこを深海棲艦に囲まれてボコられて沈んだ、と……」
「はい……、その通りです……」
シュンとしながら力無く答える姉様かわええ、ってそうじゃねぇや
「なんつぅかやる気は満ち溢れていたようだな、そのおかげで戦艦棲姫になっちまってたみてぇだし……、つかそれだと結構長い間戦艦棲姫として海彷徨ってた事になるのか?」
俺は今、医務室で扶桑姉様と話をしてる。俺が医務室に着いた時には既に目が覚めていたようでノックして返事待って入室したらテンパった姉様に艤装召喚されてからの砲撃叩き込まれますた……
あれ?そういや俺ってこの世界に来てから被弾したのこれが初めてじゃね……?やだ……姉様に俺の初めて奪われちゃった……///
とか冗談言ってる場合じゃねぇか、取り敢えず姉様が落ち着くまで砲撃に耐えてから落ち着いたところで自己紹介してからこちらの事情と姉様がここにいる経緯を話し、それからちと辛いだろうが姉様がどうして沈んだのか聞いていたところだ、しっかし姉様の砲撃痛かった……
「あのぉ……、今は何月何日なのでしょうか……?」
「今は12月28日の19時くらいだな、それでどのくらい前に沈んだんだ?」
いあ~、ドイツで時計とカレンダー買ってきて正解だったな~……、この拠点そういった類の品が全くなかったんだもん……
「確か家を飛び出したのは10月初めだったと思います……」
えちょ、この人2ヶ月は海の上彷徨ってたって事?時間経過で暴走したコアの侵食が進んで完全に深海棲艦になるって話だったはずだがそのへんどうなのさ妖精さん?
そう思って会議の後俺に付いて来た妖精さんの方を見てみると、妖精さんもめっちゃ驚いてらっしゃるんですがそれは……、って事は姉様には特殊な何かがあってそれが侵食を抑えたって事か……?
そのへんの事情を姉様に教えたところ、心当たりがあったのか姉様が話し始めた
「そういえば母方が神道と深く関わり合いのある血筋だったと聞いています、もしかしたらそれが何か関係があるのかもしれませんね」
あっこれビンゴかもしんねぇ、妖精さんにもちゃんと確認とった話だが深海棲艦は死の恐怖や怨念の塊が実体化したようなもんっつってたからな、神道的に言えば穢れの塊みたいなもんだから神道関係者の血筋が侵食を抑えていた可能性は十分有り得る、禊とか行法知ってたらいつでも出来るだろうからな、周り一面海だし
「それがもし正解だったら親御さんにはホント感謝しねぇとだな……、っとそういや姉様は両親の恩返しの為に戦う事選んだんだったっけな」
「はい、御国の為、故郷の為、両親の為にも深海棲艦と戦う事が最大の恩返しになると思い行動していたわけなのですが……」
まぁたしょぼくれちゃったよ……この状態で姉様の身体がもう普通の人間のものじゃなくなっている事教えるのは追撃にしかならんよなぁ……
「その件は取り敢えず置いておいて、だ、姉様は今後どうするつもりなんだ?」
「それがそのぉ……、正直に言ってしまうと分からなくなってしまいました……、やはり両親への恩返しはしたいのですが今の私の力では深海棲艦に太刀打ち出来ないと知ってしまいましたから……」
成程、まだやる気はあるみたいだな……、念の為しっかり確認とっとこっと、ついさっき置いといた話を速攻ほじくり返す事になるとは思わんかったが……
「まだ戦う意志はあるって事でOK?」
「それは……はい、ですが今の私では……「じゃあその問題を俺が取っ払ってやるっつったら姉様はどうする?」え……?」
お~驚いとる驚いとる
「俺らの事情はさっきも言ったな?ドイツの友人の今の悩み事解決したら日本に向かうっての、そんでそんな俺らに同行するって言う気合の入った艦娘達がいるんだが俺から見たら正直言って現状じゃ昔海軍に所属していた神通除いて全員素人みたいなもんなんだわ」
いあ俺も過去に軍にいたわけじゃねぇから素人っちゃ素人だが今はそこら関係ねぇ!実戦を既に何度か経験したからヘーキヘーキ!
「んで、今は友人の悩み解決の為の準備の一環としてその艦娘達に俺らなりに生き残る術を教えてるところなんだわ、もし姉様が「あのっ!」おおう、どうした?」
ちょっちビビった~……急に姉様が大声出すんだもん……、つかすげぇ食い付きだな……何か目からやる気が満ち溢れているのですが……、って近い近い顔が近い!身を乗り出しすぎィ!っと勢いあり過ぎたのに気づいたみたいでちょっと赤面しながら姿勢戻して咳払い、うん可愛い!
「その生き残る術と言うのは、私にも教えてもらえるのでしょうか?」
姉様さえ良ければって聞こうとしたらあっちから申し出てきたでござる、まあこの場合の返事は決まっているな
「もちろんさぁ」
「ありがとうございます、この扶桑、精一杯頑張って戦治郎さんが言う生き残る術を学ばせてもらいますね」
「おっしゃ任せろ!異能生存体並に生き残れるよう鍛えてやっから覚悟しとけ!」
言ってみたけどやっぱネタ分かんねぇよな~……首傾げてらっしゃる……、でもその仕種がまた可愛い事可愛い事……
「それとそのぉ……、ちょっとしたお願いがあるのですが……」
何々~?おっちゃんが出来る範疇の事なら何でもやっちゃうぞ~?
「そのぉ……、もし許されると言うのなら私も日本に向かうのに同行させてもらえないでしょうか……?実は私、小さい頃からよく迷子になる事が多くてですね……、そのぉ……このまま1人で無事に日本に帰れるか不安で……」
……連れて帰らなきゃ(使命感)これ多分ドイツ経由で送ったとしても迷子になって家に帰れなくなっちまうだろ……、つか深海棲艦と戦う気満々だから送り返してもまた飛び出してきそうだし……、そうなるよりこっちで連れて帰った方が間違いなさそうだな、道中で恐らく腐るほど深海棲艦と戦う事になるだろうから姉様の目標も多少達成出来るだろうしな
「分かった、道中はものっそい危険だろうがその状況下でも生き残れる術教えるっつったからな、それに俺らもフォロー入れるつもりだしな、でも覚悟はしとけよ?」
「はい!どうかよろしくお願い致します!」
後に【清麗高雅の扶桑】の異名を持つ事になる扶桑はこのような形で戦治郎達の仲間になった
尚、この後その身体が普通の人間のものではなくなっている事を告げた時は少々驚きはしていたが姿も記憶も戻っているなら何ら問題ない、むしろ身体能力の向上と艤装召喚は現状では好都合だとものっそい前向きな答えが返ってきました