※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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北上と接触しよう

「戦治郎さん、これって……」

 

「ああ、そういや瑞鶴には横須賀の乱の時の事話してなかったっけな……」

 

戦治郎の隣に立ってディスプレイを見ていた瑞鶴が、イオッチから送られて来た情報に目を通すなり、状況が掴めないからか困惑しながら戦治郎に向かって声を掛け、それに反応した戦治郎はこの様に答えると、横須賀の乱の際に舞鶴鎮守府の艦娘達と接触した時の事を瑞鶴に教えるのであった

 

「う~ん……、その北上さんの事を気に掛けてるって言う割には、夏休みに入るなりすぐに実家に帰ったんだよね?その大井さんって……」

 

「恐らくだが、大井は後遺症の件で北上に対して負い目を感じていて、北上と顔合わせるのも辛い状態になってるのかもしんねぇな。大井が休みになるなりとっとと帰った件も、建前じゃ俺達に興味無いからってなってるのかもしれねぇが、本当のところは北上と距離をとる事で北上に負傷の事を想起させない様にする事と、自分の精神的疲労を回復させる事が目的なのかもしんねぇな……。まあ、これは俺の推測に過ぎねぇんだけどな……」

 

戦治郎の話を聞いた後、瑞鶴は大井の行動に疑問を覚え、思わずその事を口にしたところ、戦治郎はそんな瑞鶴に向かって、少々困った様な表情を浮かべながら、イオッチがもたらした情報を基に考えた自身の推論を話すのであった

 

さて、戦治郎と瑞鶴がこの様なやり取りを交わしていると……

 

「はい、ではその様に……、はい、その時はよろしくお願いします。はい、それでは……」

 

何処かに電話をしていたと思われる大和が、そう言って通話を終了させるのであった

 

「大和さん、誰と話していたんです?」

 

「提督のご友人の1人で、現在横須賀鎮守府の近くの病院でお医者様として研修をなさっている悟さんに、北上さんの後遺症の治療をお願いする為に、悟さんのスケジュールの確認をしていたんです」

 

大和が話をしていた相手が気になった瑞鶴が、大和に向かって不思議そうな表情を浮かべながら尋ねたところ、大和は笑顔を浮かべながらこの様に返事をするのであった

 

因みに、瑞鶴は大和の事をさん付けで呼んでいるが、これはあくまでプライベートな時間に限っての事であり、軍学校内ではきちんと礼節を弁えて大和教官と呼んでいる模様

 

「悟のスケジュール確認って事は……?」

 

「はい、提督がイオッチさんから送られて来た情報を確認している間に、北上さんのスケジュールの確認を終わらせておきました。後は北上さんが治療を受ける事を希望すれば、北上さんにはこの休みの期間を利用して横須賀に向かってもらえれば、すぐに悟さんから治療を受けられると言う状態になっていますね」

 

「流石大和っ!よくやってくれたっ!!」

 

そんな大和の言葉を聞いた戦治郎は、大和に賛辞を送るとすぐさま大和の頭を撫で始め、戦治郎に頭を撫でられる大和はそれはそれは幸せそうな表情を浮かべるのだった

 

「何やってんのよ、あの2人は……」

 

「こんな時は、『リア充爆発しろ!』って言うべきンゴ?」

 

自分の目の前でイチャつき始めた戦治郎達を見て、瑞鶴が呆れながらこの様な言葉を口にしたところで、イオッチがこの様な事を瑞鶴に尋ねて来る。それを瑞鶴は適当に流そうとしたのだが、その声にちょっとした違和感を感じ、声が聞こえた方へと視線を向けると、そこには戦治郎のノートPCのUSBポートから、自分専用の弁当箱であるピザの箱を引っ張り出そうとするイオッチの姿があったのであった……

 

イオッチの姿を視認した瑞鶴が、思わずPCのディスプレイに目を向けると、そこにはイオッチの姿は無く、今一度目の前にいるイオッチに視線を送ったところ……

 

「何か面白そうだったから、ネット回線を利用してこっちに来てみたンゴ」

 

無事にUSBポートからピザの箱を取り出せたイオッチは、箱の中のピザを頬張りながら、あっけらかんとした様子でこの様な言葉を口にするのであった

 

「あんた、そんな事も出来るの……?」

 

「その気になったら、Wi-Fiの電波に乗って飛んで来る事も出来るンゴ」

 

「神話生物って何でもアリなのね……」

 

とても非常識な方法で舞鶴やって来たイオッチに対して、瑞鶴がこの様な事を尋ねてみると、イオッチは更にとんでもない方法で移動可能であると答え、それを聞いた瑞鶴は背筋に薄ら寒いものを感じるのであった……

 

尚、イチャつき終えた戦治郎達も、イオッチの姿を確認するなり大いに驚いた模様……

 

「それで、戦治郎達はこの情報を基に、どう動くつもりでいるンゴ?」

 

「ああ、そうだな……」

 

イオッチの行動に驚いた戦治郎達が落ち着いたところで、イオッチが戦治郎に向かって疑問を投げかけると、戦治郎は考える様な素振りを見せた後、今回の作戦概要をこの場にいる者達に話し始めるのであった

 

「先ずは北上の方から片付けるか、って事で明日研修が終わった後、俺が工廠に行って北上に接触して、北上が大井の事をどう思っているかについて聞いてから、治療の話を持ち掛けてみようと思う。これが成功したら、多分大井の方がかなり楽になりそうだかんな」

 

「その間、私達はどうしたらいいの?」

 

「瑞鶴は訓練があるだろうからタイミング外れそうだが……、もしタイミングが合った場合、瑞鶴は大和と協力して毅を工廠に近付けない様にしてくれ」

 

「あいつにはまだ秘密にするんだね……、戦治郎さんの正体の事……」

 

戦治郎からの指示を聞いた瑞鶴が、不満な点があるのかジト目になりながらこの様な言葉を口にすると……

 

「俺はあいつの事を決して信用してない訳じゃねぇんだが……、あいつに俺の事を教えるのは、まだちょっち時期尚早な気がするんだわ……。実際、あいつはまだこの世界の実情って奴に触れてねぇからな……」

 

「穏健派については兎も角、転生個体に関しては誕生の経緯が少々複雑過ぎて、教本の追加冊子に全てを記載出来ませんでしたからね……」

 

「そもそも転生個体に関しては一部超極秘の軍事機密が関わってるから、全てを丸出しにする訳にはいかねぇんだよなぁ……。それに転生個体以上の脅威である、神話生物の件もあるときてやがる……」

 

戦治郎は渋い表情を浮かべながらこの様に答え、それを聞いた大和が戦治郎の言葉にこの様に続き、そこから更に表情を苦々しいものに変えながら、戦治郎が大和の話を補足する様に言葉を続けるのであった

 

その後、戦治郎は不満そうな瑞鶴に向かって、時期が来たら必ず毅達に自分の正体を明かした上で、この世界の実情を話す事を約束する事で瑞鶴を納得させ、この集まりをお開きにするのであった

 

尚この時……

 

「また何か情報が欲しくなったら、ピザ1枚を報酬として出してくれるのならば、ワイが今回みたいに爆速で情報収集してやるンゴ」

 

長門屋鎮守府建設予定地に帰還しようとしたイオッチは、持ち込んだピザをしっかり平らげると、イオッチ専用お弁当箱であるピザの空箱に乗りながら戦治郎達に向かってそう言い放ち、あっと言う間に自身の身体とピザ箱をWi-Fi電波に変換し、本当に電波に乗って帰っていくのであった……

 

「あいつ……、ホントに何でもアリなのね……」

 

「信じられるか?世の中にはあれの更に上位互換である外なる神ってのがいて、そっちは電波に乗って移動とか、魔法でワープするなんて真似はせず、目的地を決めたその瞬間から目的地に存在してるなんて芸当やらかすらしいぜ……?」

 

本当にWi-Fi電波に乗って帰ったイオッチを見て愕然とする瑞鶴がそう言うと、戦治郎が翔から教えてもらった事を基に外なる神について話したところ、瑞鶴は驚愕の色を更に濃くするのであった……

 

この様な信じ難い出来事を目の当たりにした瑞鶴は、精神的疲労のせいかこの後すぐに自室へと戻るなりベッドと枕とのデートを開始し、そんな瑞鶴を見送った戦治郎と大和も、北上と接触する予定となっている明日に備えてベッドに潜り込むのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尚……

 

「あの~、大和さん?貴方のベッドは向こうですよ?」

 

「すぅ……、すぅ……」

 

「あらやだ、この子めっちゃ寝つきがいいじゃないの……」

 

戦治郎がベッドに潜り込んだところ、大和も戦治郎のベッドに潜り込んで来て、それを戦治郎が可能な限り優しく指摘するのだが、戦治郎の匂いを間近で嗅いだ事でリラックスしきった大和はすぐさま戦治郎のベッドの中で寝息を立て始め、それに気付いた戦治郎は困った顔をしながらそう呟き、大和と同衾する覚悟を完了させると、すぐさま眠りにつくのであった……

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