※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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豪快老人(ゴーカイシルバー)VS.巨大老人(メガシルバー) その3

自分達が先程まで立っていた場所に、煌々と燃え盛る太陽の如き莫大な熱を放っていると思わしき巨大な火球が発生してからしばらくしても、朝潮達は只々その場に立ち尽くし、問題の火球を呆然と眺めていた……

 

正蔵が咄嗟の判断で自分達を蹴り飛ばしていなかったら、今頃自分達はあの火球に全身を焼き尽くされ、この世から消滅していたかもしれない……。いや、それよりも先に考えるべきは、自分達の事を助けてくれた正蔵の安否ではなかろうか?朝潮達は頭の中ではこの様な事を考えていたのだが……

 

(身体が……、思う様に動いてくれない……っ!!)

 

朝潮が内心でそう呟く通り、彼女達の身体はこの不可思議過ぎる現象を目の当たりにした事で、この事象を発生させた張本人であると思われる目の前の巨大な怪物……、外なる神であるサクサクルース対して絶大な恐怖を覚え、完全に立ち竦んでしまっていたのである……

 

そんな朝潮達の姿を見ていたサクサクルースは……

 

(ふむ、あのおっかない奴も仕留める事が出来たし、この娘っ子達も怯んで動けなくなっとるし、核熱コンボは効果覿面と言ったとこじゃのう)

 

内心でこの様に呟いた直後、自身が空腹である事を思い出し……

 

(う~む……、折角喰おうと思っとったあの船に乗っていた者達は何処かに行ってしもうたし……、他に人間の姿は見受けられんし……、仕方があるまい、取り敢えずこの娘っ子達だけでも喰って、空腹を誤魔化すとするかのう……)

 

この様に言葉を続けると、ゆっくりとした動作で朝潮達の方へと触手を触手を伸ばし、彼女達を捕らえて喰らおうとする

 

と、その時である

 

突如として辺りに大量のプロペラの音が鳴り響いたかと思うと、小さな飛行物体が朝潮達に向けて伸ばされた触手に向かって一直線に飛んで来て何かを投下、飛行物体から投下された物体は大爆発を起こして触手を吹き飛ばし、その軌道を朝潮達から逸らして見せるのであった

 

「あれって……、まさか……っ!?」

 

それを見た満潮が驚きの表情を浮かべながら、自分達を救ってくれた飛行物体を目で追い始め……

 

「陸上型深海棲艦がよく使う、陸爆型の航空機ね~……」

 

「っと言う事はっ!!?」

 

その飛行物体の正体が、深海棲艦の陸爆である事に気付いた荒潮が、その事実を知れた事が嬉しかったのか、うっすらと笑みを浮かべながらこの様な事を言い、それを聞いた大潮がその表情を明るくしながらそう叫んだその直後

 

「ぶっはあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

朝潮達にとって聞き慣れた声が彼女達の耳を打ち、急いでそちらの方へと視線を向けたところ、そこには彼女達にとっては見慣れない、彼岸花の花弁で出来た真紅の筋斗雲に乗り、全身を真っ赤な甲冑で覆い尽くした鎧武者の姿があったのであった

 

「えぇい……、まだ頭がクラクラするのう……。しっかしまさかお前が核反応を利用した攻撃をしてくるとは思ってもおらんかったぞ……、しかも相手の周囲を真空状態にして拘束するオマケ付きときた……。全く……、戦治郎の舎弟モドキのシゲじゃったか?兼継と中学が同じだったあのヤンキー君は……。あいつの攻撃もそうじゃが、流石に核攻撃は洒落にならんわい……っ!」

 

件の鎧武者は片手で頭を抱える様にしながら頭を振り、ある程度眩暈が収まった所でこの様に言葉を続けた後、後方宙返りをしながら今まで乗っていた赤い筋斗雲から飛び下り、赤い鎧武者の姿を呆然と眺める朝潮達の目の前に、水柱を上げながら着水するのであった

 

「もしかして……、正蔵さんなのですか……?」

 

「応、愛され憎まれ80と数年、見た者全てが噂する皆の人気者の長門 正蔵様じゃぞ~?」

 

「何よそれ……、って言うか、何なのよその恰好は……?」

 

「これか?これは紅吹雪を高密度で集めて形成した、儂の本気モード用の鎧甲冑じゃっ!どうじゃ?中々かっこいいじゃろ?」

 

「うお~!すっごく強そうですっ!なんかもう、超アゲアゲって感じですっ!!」

 

「本気モードって……、それってつまり……、あいつは正蔵さんでも本気を出さないと勝てそうにない相手……、って事なのかしら~?」

 

「残念な事にのう……、流石に何の予備動作も無く、無から有を生み出すが如く核反応を用いた攻撃を行える相手に、手加減する事は出来んからのう……」

 

鎧武者が目の前に着水した事を合図に、我に返った朝潮達は顔まで仮面で覆った鎧武者となった正蔵とこの様なやり取りを交わし、正蔵が放った最後の言葉を聞くなりその表情を引き攣らせ……

 

「核攻撃って……、それ、私達は大丈夫なの?その……、放射線?放射能?ちょっとどっちかよく分からないけど、兎に角あの球体からそんなに離れていなかった私達は、そんな感じの奴を浴びたりしてるんじゃ……?」

 

「被曝が気になるんか?それなら問題無いわい」

 

満潮が皆を代表して正蔵に疑問をぶつけたところ、正蔵はこの様に返答しながら満潮達の身体方を指差し、彼女達4人が揃って正蔵の指先が指し示すところに視線を送ったところ……

 

「これは……、紅吹雪の……?」

 

「そうじゃ、朝潮達2人を蹴り飛ばした時、儂はコッソリ防護系の力を込めた花弁を幾らかお前さん達2人の身体に付着させ、4人仲良く転がっている間に全員に花弁を行き渡らせる事で、お前さん達を核熱と放射線から守っておったんじゃよ」

 

「たったあれだけの時間で、よくそんな事が出来たわね……」

 

「年の功って奴かのう?っと、それよりも……」

 

自分達の身体に紅吹雪の花弁が付着している事に気付いた朝潮がそう呟き、それを聞いた正蔵が得意げに返事をすると、それを聞いた満潮が驚きと呆れが混ざった様な声で、正蔵に向かってこの様に尋ねたところ、正蔵はこの様に返答しするなりサクサクルースの方へと鋭い視線を向けるのであった……

 

「そろそろこいつの顔も見飽きた事じゃし、本気でこいつを始末して、とっととリンガに戻るとするかのう……」

 

核熱コンボを凌ぎ切って見せた正蔵の姿を見て、思わず動揺するサクサクルースを睨みつけながら、正蔵は朝潮達に向かってこの様な言葉を掛け、朝潮達が静かに頷いて見せた事を確認すると、正蔵も朝潮達に向かって頷き返し……

 

「3度目の正直っ!!今度こそ行くぞおおおぉぉぉーーーっ!!!全員気合入れろおおおぉぉぉーーーっ!!!」

 

\了解っ!!!/

 

正蔵の叫び声が上がると同時に、正蔵達5人はサクサクルースに向かって3度目の突撃を開始するのであった

 

3度目の突撃では朝潮と満潮が先行し、その後ろに正蔵が続き、荒潮達射撃組が更にその後方に控える様な陣形を組み、正蔵が倒れ込むのではないかと思うほど深く姿勢を落とし、酒呑童子の切っ先を海面に触れさせたと同時に、朝潮と満潮が一気に加速を開始し、正蔵の艦載機と射撃組の援護の下、未だに存在する触手の森を突破する事に成功する

 

さて、そんな正蔵達に気付いたサクサクルースが

 

(えぇい!また来るかっ!!ならばもう容赦はせんぞっ!!!)

 

内心でそう呟きながら再び核熱コンボを、今度は先行する朝潮達に向かって叩き込むのだが……

 

「儂の紅吹雪を舐めるなあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

超々高温の球体の中から、正蔵の叫び声と共に紅吹雪で作った球状のバリアを展開した正蔵達が飛び出して来るのであった

 

さてこの球状のバリア、触手攻撃にはあっけなく破壊されてしまったが、それはサクサクルースの触手の質量が凄まじく、更にそれが驚くべき速さで叩きつけられたから、つまり質量と速さで物理的に攻撃されたから容易く破壊されてしまったのであって、熱線やビームなどに対してはまだまだその堅牢さは健在なのである。なので正蔵は、真空対策としてバリア内にたっぷりと空気を閉じ込める事が出来るこの球状バリアを、光球突破の際に使用する事にしたのである

 

それを見たサクサクルースが慌てた様子で触手を伸ばし、先程と同様に球状バリアを破壊しようとするのだが、触手がある程度伸びて来たところで正蔵が急にバリアを解除、それと同時に朝潮と満潮がそれぞれ違う触手に飛び乗り、サクサクルース目掛けて一直線に走り出すのであった

 

「防御以外にも、身体強化とかも出来るのね……、この花びら……」

 

「身体が軽い……っ!これならいけますっ!!」

 

サクサクルースの触手に飛び乗った2人が、この様な事を言いながら触手上を走っていると、2人の思い通りにはさせないとばかりに、サクサクルースは2人が走る触手から更に細い触手を生やし、それを用いて2人に攻撃を仕掛けるのだが……

 

「これくらいなら……っ!!」

 

満潮はそう呟くや否や大嶽丸に手を添え、目の前の触手を断ち切って見せると言う強い意志を大嶽丸に込め、目にも留まらぬ速さで大嶽丸を鞘から引き抜き、抜刀術の要領で目の前に迫る細い触手達に斬りかかる。するとどうだ、細い触手達は満潮にいとも容易く斬り捨てられ、斬られた触手達はボトボトと海に落ちていくのであった

 

これは一体どう言う事か?その答えは鉄パイプにあった

 

そう、戦治郎が愛弟子である木曾に伝え、木曾が現在天龍に仕込んでいる、鉄パイプで鋼鉄を切り裂くあの技を、リチャード達と出会う前から体得していた正蔵は、自身が才能を見出した満潮に仕込んでいたのである

 

これによって刀で触手が処理出来る事が分かった満潮は、迫る細い触手の群れをバッサバッサと斬り捨てながら、触手上を走る速度を更に上げ、サクサクルース本体の所まで辿り着く事に成功すると……

 

「でやあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

女の子らしからぬ、気合いたっぷりの雄叫びを上げながら大嶽丸を横薙ぎに振り、サクサクルースの頭部と思わしき部位に大きな横一文字の傷を付け……

 

「これでえええぇぇぇーーーっ!!!」

 

正蔵から教えられた身のこなしと、拳による受け流しの技術を用いて触手の猛攻を掻い潜り、満潮の本体到着からやや遅れてやって来た朝潮が、満潮に負けない程の咆哮を上げながら、ありったけの魚雷を先程満潮が付けた傷の中に投擲し……

 

「どっかーーーんっ!!!」

 

「くらいなさ~い」

 

朝潮が投げた魚雷が全て傷の中に入ったところで、朝潮と満潮は急いで触手から飛び下り、直後に赤い筋斗雲が2人を拾いサクサクルースから距離を取ったところで、今度は大潮が2人以上の大声を張り上げながら、荒潮はいつもの調子でそう言いながら、ハルコネンとダブルファングの砲弾と銃弾を魚雷目掛けて発射、それによって魚雷が誘爆し、サクサクルースを仰け反らせてしまう程の大爆発を起こしてみせるのであった

 

(なっ!?)

 

朝潮達のコンビネーションによって予想外のダメージを受けたサクサクルースが、思わず驚愕し混乱していると……

 

「トドメじゃあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

サクサクルースにとって今1番聞きたくなかった声が、辺りの空気をそれはもう激しく振動させ、それによって我に返ったサクサクルースが声の発生源に視線を向けると、そこには赤い彼岸花の花弁を大量に撒き散らしながら驚異的な速度で海上を駆け、地を這う様な姿勢で突撃を仕掛けて来る赤い鎧武者の姿があり……

 

「ずぇあああらあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

赤い鎧武者……、正蔵は有り得ない程の大きさの咆哮を上げながら、海と言う鞘から酒呑童子を尋常では無い速度で引き抜き、海水による抵抗から解放された反動によって威力を増したその斬撃は、その光景を見る者達全てに巨大な三日月を幻視させながら、外なる神であるサクサクルースを見事真っ二つに切り裂き、更に彼の後方に広がる海までも割ってしまうのであった

 

これこそがその昔正蔵が1度だけ幼き戦治郎に見せ、成長しこの世界に転生した戦治郎が初めて防人と戦った際に見様見真似で使用し、見事防人を倒して見せた技……、後に空から【地すり残月】と呼ばれる様になる、正蔵のとっておき中のとっておきの技なのであった

 

こうして、正蔵達とサクサクルースの戦いは、正蔵達の勝利と言う形で幕を閉じるのであった……

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