「……なんつー事やってんだよあいつらはよぉ……」
イオッチから護達が能力覚醒に至った原因であるゾア汁について説明されたところ、戦治郎は頭を抱えながら呟く様にこの様な言葉を口にするのであった
「因みに鍋2つ分あったゾア出汁は、1つは能力覚醒後の転生個体や艦娘だったら美味しく食べられるからと言う理由で、翔が全部料理に使って長門屋のメンバーが残さず美味しく頂いて、残った方は冷凍された後空の指示で、ガダルカナルに送られる事になったンゴ。何か空がリチャードとやらにこの話をしたところ、組織内に多数の未覚醒転生個体を抱えているリチャードがゾア汁に興味を持ったみたいンゴ」
「リチャードさんって、確か穏健派連合のトップだったっけ……?戦力増強の為とは言え、そんなヤバそうな物に手を出そうとするとか……」
「そう言ってやんな、あの人のとこは規模はデカいがそれと比例してるかの如く、守らなきゃいけない範囲もデカけりゃ、敵対組織の数も規模もデカいからな……」
その後、イオッチから余ったゾア汁の処分方法を聞いた瑞鶴は、やや引き気味に思った事をそのまま言葉にし、それを聞いた戦治郎はリチャードをフォローする様に、この様な言葉を口にするのであった
こうして鎮守府建設組の話をイオッチから聞いた後、今度はこちらの番だとばかりに戦治郎が咲作の事をイオッチに話したところ……
「んげっ!?あの爺さんまで来てるンゴッ?!これ、地球は大丈夫ンゴ……?」
「一応、俺の祖父さんが手綱握ってるみたいだし、まあ大丈夫そうだと思うぞ?」
「戦治郎の爺さん……、一体何者ンゴ……?」
咲作が地球に来ている事に大層驚いた後、イオッチは心から心配そうにこの様な事を言い、それを聞いた戦治郎がこの様な返答をしたところ、イオッチは只々愕然としながらこの様な事を呟くのであった
それからすぐに、イオッチは用事を終えたと言うと、来た時と同じ様に電波に乗って鎮守府建設予定地に帰還し、この場には戦治郎と瑞鶴、そして戦治郎のマッサージが余りにも気持ち良過ぎて夢の世界に旅立った大和の3人だけが残される事となった
「何て言うか……、世界中の至る所で神話生物に関する問題が発生しているわね……」
「俺達が軍学卒業した後は、冗談抜きで忙しくなりそうだな……」
「特に戦治郎さん達の所は旧支配者が3柱もいるから、神話生物関連の問題が発生した時、問題解決の為にすぐに駆り出されそうね……」
「間違いねぇや……、何たってそれ専用の部署が、この時点で既にウチにあるからな……」
その後瑞鶴と戦治郎は、イオッチの話を聞いて気疲れしたのか、気だるげにこの様なやり取りを交わした後、2人揃ってしばらくの間沈黙してしまうのだった……
それから少し時間が経過したところで……
「んあああぁぁぁーーーっ!!!」
突然何かを振り払う様に戦治郎が叫び声を上げ、戦治郎の傍にいた瑞鶴は驚きの余りビクリと身体を震わせながら戦治郎に注目し、大和はその叫びで目を覚ましてしまったのか、即座にうつ伏せの状態から横に転がって仰向けになると、ガバリと上半身を起こして警戒する様にキョロキョロと見回し始め、特に異常が無い事に気付くと不思議そうな表情を浮かべながら、叫び声を上げる戦治郎の方へと顔を向けるのであった
「次から次へと俺の心労増やす様な事発生しやがってっ!こうなったらこのストレスぶっ飛ばす為にっ!!明日の休み使ってカラオケ行くぞっ!!!勿論毅も誘ってなっ!!!」
そんな中戦治郎は、突然の出来事に驚いた2人に対しての謝罪も無しに、怒りの感情のままにこの様な言葉を叫ぶのであった
因みに戦治郎が言う休みとは、今日舞鶴鎮守府で突発的に開催された咲作との特訓を見ていた大淀大将が、その余りにもハードな内容にドン引きし、この過酷過ぎる特訓に参加した艦娘達や、正蔵の話を聞くなり見る見るうちに弱っていく戦治郎を不憫に思い、心身ともにしっかり休む様にと特別に許可してくれたものである
そう、戦治郎はこの休みを利用して、今回の件で積もりに積もった自身の心労を発散すべく、大和達に近場にあるカラオケに行こうと誘っているのである
「カラオケか~……、一緒に行きたいところなんだけど、この部屋に来る前に電話で明日実家に顔を出すって言っちゃったからな~……」
「と言う事は……、提督と2人っきりのカラオケデートと言う事ですね……♪」
「瑞鶴の方はまあしゃーないとして……、大和ぉ……、俺は毅も誘うつもりなんだけどぉ……?」
戦治郎の提案を聞いた瑞鶴と大和はそれぞれこの様な反応を返し、それを聞いた戦治郎は困った様な表情を浮かべながら、この様な言葉を口にするのであった……
尚、戦治郎が誘おうとしていた毅だが、その日は墓参りの後に地元の友達と遊ぶと言う予定を入れていた為、戦治郎からのカラオケの誘いを断る事となり、図らずして大和が言っていた通り、その日は戦治郎と大和の2人きりのカラオケデートとなるのであった……
当日の朝、戦治郎達は大淀大将に一言挨拶をした後、舞鶴鎮守府を出て舞鶴市に繰り出し、目的地であるカラオケボックスに身体作りと称して徒歩で向かおうとするのだが……
「……ん……?」
「提督?どうかなさいましたか?」
その途中、転生個体となった事で今まで以上に勘が冴える様になった戦治郎が、何かに気付き歩みを止めてある方角へ顰めた顔を向けると、戦治郎と並び立って歩いていた大和が戦治郎の異変に気付き、同じく歩みを止めて不思議そうに尋ねるのであった
「いや……、今何か野郎の叫び声が聞こえた気がして……、それも複数……」
「こんな時間から喧嘩でしょうか……?」
大和の問いに対して戦治郎がこの様に答え、それを聞いた大和がこの様な疑問を口にしたところ……
「……っ!?打撃音と女性の声がしたっ!何か嫌な予感がすっからちょっち行って来るっ!!」
「えっ!?ちょっと待って下さいっ!提督っ!!」
直後に戦治郎は叫ぶ様にこの様に言い残し、制止する大和を置いて急いで問題の声が聞こえた方へと駆け出すのであった……
さて、そんな戦治郎の予感は如何やら正しかった様で、戦治郎が辿り着いた場所……、飲み屋と思わしき建物の傍にある駐車場にはガラの悪そうな男が3人が、この3人の誰かに殴られたのであろうか、頬を紅く腫らした褐色の肌をした、イブニングドレスの様な衣服を纏った女性を取り囲み、女性に向かってかなり威圧的にがなっていたのであった……
(あっ、これかなりヤバい状況かも……っ!?)
その様子を見ていた戦治郎が内心でそう呟いた刹那、3人の男の1人が女性に向かって勢いよく手を伸ばし、彼女の衣服を掴むと力任せに破いてしまうのであった
その直後、戦治郎の身体は既にそちらの方へと駆け出しており、男達が戦治郎の足音に気付きそちらに顔を向けた瞬間、3人の内の1人……、その雰囲気から恐らくこの3人のリーダーであろう男の顔面に、戦治郎の飛び蹴りが突き刺さるのであった
「な、何だこいつ……?!」
「うっせバーカッ!!!女性1人に対して野郎3人で襲い掛かるとか、恥を知れ恥をっ!!!」
突然の出来事に残った男達が動揺し、この様な事を呟いた直後、飛び蹴りの反動を利用して天高く舞い上がり、クルクルと何度か捻りを加えながら後方回転した後、男達に背を向けて華麗にヒーロー着地を成功させた戦治郎は、男達の方に向き直りながらこの様に叫ぶのであった
それからすぐに、男達はその矛先を戦治郎の方へ向け、飛び掛かる様にして戦治郎に襲い掛かるのだが、その実力の差は歴然であった為、男達は戦治郎に一方的にボコボコにされ、戦治郎に向かって捨て台詞を吐いた後、ボロボロになった身体を引き摺る様にしてこの場を後にするのであった
「ふぅ……、取り敢えず追っ払えたな……。っと、そこのお姉さんや、怪我は無いか?」
こうしてガラの悪い男達を退ける事に成功した戦治郎は、一息つくなり褐色肌の女性の方へと向き直り、彼女の安否を確認する為にこの様な質問をするのであった
「え、ええ……、身体の方は特に問題無いわ……」
そんな戦治郎の問いに対して、件の女性は突然姿を現し自身に暴力を振るおうとして来た男達をあっという間に追っ払って見せた戦治郎に驚いたのだろうか、呆然としながらこの様に返答するのであった
「せかせか、なら問題は……、うん、あったわ……」
そうして驚く女性の返答を聞いた戦治郎は、女性が纏っているドレスが男達に破られ、その形のいい大きな乳房とその先端にある乳首が露わになっている事に気が付くなり、この様な言葉を口にすると格納ボックスから裁縫道具を取り出し……
「流石にその格好のままこの辺歩くのは危な過ぎるわな……、ってかそのタイプのドレス着るんなら、せめてヌーブラくらい付けといてくれよ……」
この様な事を呟きながら、司ほどの腕前こそは無いものの、彼女のドレスを手早く綺麗に修繕して見せるのであった
「よっし!これなら大丈夫そうだっ!っとぉ俺は人待たせてるからもう行くけど、姉ちゃんも早めに此処から立ち去っとけよ?もしかしたらさっきの連中が仲間を連れて戻って来るかもしんねぇかんなっ!」
こうして女性のドレスを修繕した戦治郎は、そう言うと何か言おうとしていた女性の事など目もくれず、すぐさま置いて来た大和がいるであろう場所に向かう為に走り出すのであった
その後戦治郎は無事に大和と合流し、先程置いて行った件を謝罪した後目的地であるカラオケボックスに入店し、時にはアニソンや特撮ソング、輝に付き合わされた事で知ったパチンコやパチスロなどで使用された曲や、音楽ゲームなどで使用された曲などを熱唱したり、時にはこう言った娯楽にやや疎い大和の少々拙い歌を静かに聴いたり、大和をリードしながら一緒にデュエットしたりと2人でカラオケを満喫し、丁度いい時間になったところで、大和と共に舞鶴鎮守府に帰るのであった
因みにカラオケを終えた後、代金の支払いの際に戦治郎と大和は互いに今回は自分が奢ると主張し、しばらくの間軽く衝突してしまったのだが、最終的には割り勘と言う形でその場を収めたのであった……
さて、戦治郎達がカラオケを満喫していた頃……
「……まさかこんな所に転生個体だったかしら……?まあそんな感じの奴がいるなんてねぇ……。もしかしてあいつが、最近ニャルの奴がお熱になっている出雲丸 翔って奴……、ではなさそうね……。さっきの奴とニャルの話に出た奴とじゃ、雰囲気が全然違ったし……」
先程戦治郎に助けられた褐色肌の女性は、戦治郎の忠告など一切気にも留めていなかったのか、ついさっき男達に襲われた駐車場で、戦治郎が走り去った方角へと顔を向けながら、この様な事を呟いていたのであった……
「しかし……、まさか私が施した人払いの術を突き破って此処に来るなんて、中々とんでもない奴がいたものね……」
それから大して間も空けず、彼女はこの様に言葉を続けながら、先程戦治郎が修繕してくれたドレスの破けた場所に指を這わせ……
「ん……、ふ~ん……、この魂の残滓……、中々美味しいじゃない……。残滓でこのレベルだったら、彼の魂はさぞかし美味しい事でしょうね……。長門 戦治郎……、私の術を破った件といい、魂の味といい、興味深い存在の様ね……」
女性はドレスに這わせた指を妖艶な仕草で舐めると、この様な事を口にしながらニヤリと笑みを浮かべるのであった……
と、彼女がそんな事をしていると……
「いたぞっ!さっきの女だっ!!」
戦治郎が予想していた通り、先程彼女に絡んで来た男達が仲間を連れてこの場に戻って来た様で、先程の3人の内の1人が彼女の事を指差しながら、叫び声を上げるのであった……
「……あ~あ……、折角気分が良くなってたところなのに……。全くこいつらは命知らずも良いとこね……、さっき戦治郎に助けられたのは私では無く、貴方達の方だったと言うのに……」
それにより男達の存在に気付いた女性は、呆れた様子でこの様な事を呟き……
「まあいいわ、来ると言うなら相手してあげる……。外なる神であるこの私がねぇ……っ!!」
彼女はこの様に言葉を続けた直後、その背中から蝙蝠の様な翼を生やし、ゆっくりと宙に浮きながら女性の変貌を目の当たりにして驚く男達に視線を向け、それはそれは恐ろしい笑みを浮かべて見せるのであった……
尚、この男達はその日の正午頃、変死体となっているところを近隣の住民に発見され、その日の午後の京都のニュース番組を騒がせる事となるのであった……
これがニャルの話を聞いて翔に興味を持った事で地球にやって来た、ニャルや咲作、
マイノグーラ、本当は出さない予定だったのですが……
何かこうしたら面白そうと言う事で、急遽参戦する事になりました