「午前中の出撃、お疲れ様でした~!」
\お疲れ様でしたー!/
「では今回の任務成功を祝して……、乾杯っ!!」
\カンパーイ!/
研修4日目、夏休みの前半に帰省していた艦娘達が用事を終えて舞鶴鎮守府に戻り始め、後半に休みを貰っている艦娘達が任務の合間を縫って帰省の準備を進めていく中、戦治郎と毅、大和や瑞鶴や由良、そして午前中に任務で由良と共に出撃していた数名の駆逐艦娘は、食堂にて戦治郎の音頭を合図に昼食を摂っていたのであった
因みに瑞鶴は出撃が出来ない立場上、残念ながらその任務には参加していないのだが、馴染みの面子と昼食を一緒に摂りたい事と、後は軽いノリでこの集まりに参加していたりする
さて、何故これを戦治郎が取り仕切っているのかと言うと、この日の任務には戦治郎も由良達と共に参加、出撃していたからである
この日の午前中、戦治郎達は舞鶴鎮守府の司令室で、いつもの様に大淀大将の仕事振りを見学していたのだが……
「毎日見学ばかりでは退屈だろうし、良い機会だから実際に艦隊の指揮を執ってみないか?何、私が傍でその様子を見て、何か問題がありそうな事をやりそうならば、すぐに止めるなり助言するなりする。……どうだろうか?」
不意に大将がこの様な提案をして来たのである
その直後、戦治郎は自分は横須賀鎮守府で既にやったからと言って大将の提案を断り、結果として毅が艦隊の指揮を執る事になったのであった
尚、毅がこの戦治郎の発言を聞いた際
「お前……、軍学入学前にそんな事してたのかよ……。道理で首席で入学出来る訳だよなぁ……」
「因みに俺が練習として指揮執ったのは横須賀の主力艦隊、あの長門やダブルドラゴンがいる艦隊なんやで?」
「クッソずりぃっ!!!お前現在の日本最強の艦隊で艦隊指揮の練習とか、贅沢にも程があんだろうがよぉっ!!!」
この様な事を呟き、それを聞いた戦治郎がニヤニヤしながら返事をすると、毅は心底悔しそうに叫び、その様子を見ていた大将と大淀は苦笑いを浮かべ、大和は楽しそうに毅を煽る戦治郎の様子を見て、それはそれはにこやかに微笑んでいたのだとか……
それからしばらくして、毅が何とか落ち着きを取り戻したところで、大将から任務の内容についての話があり、それを基に毅が戦治郎からアドバイスを貰いながら艦隊編成をしていたのだが……
「……なぁ、もしこの任務中に、この間の……、何だったっけか……?古のもの?あぁ、確かそんな感じだったよな……、そう言った連中が乱入して来たら、俺は一体どうしたらいいんだ……?」
不意に毅の頭の中に古のもの達や咲作の姿が浮かび上がり、つい恐怖と不安が混ざり合った様な声で、毅は呟く様にして戦治郎に向かってこの様な事を言うと……
「それについては安心しろ」
戦治郎は己の胸を強く叩きながら自信満々にこの様に返答し、それを聞いた毅が不思議そうな表情を浮かべていると……
「この任務、俺も艦娘達と一緒に出撃すっからなっ!あぁそうそう、今回の任務の編成には、空母や軽空、水母とかは入れなくていいぞ。空母達の仕事は俺んとこの鷲四郎って艦載機がやってくれっかんなっ!」
毅に正体がバレた事を切っ掛けに、舞鶴鎮守府内にいる間は変装しなくなった戦治郎は、毅に紹介する為に鷲四郎を出現させながら、彼の不安や恐怖を吹き飛ばすかの様な力強い声で、この様に言葉を続けたのであった
この言葉を聞いた瞬間、毅の中の神話生物への恐怖は消し飛んだのだが……
「それって……、俺がお前の命預かるって事になんのか……?」
「そうだよ~?ってな訳で、しっかりとした指揮を頼むぜっ!」
「おっまっ!!!変なプレッシャーかけてんじゃねぇよクソッタレッ!!!」
毅は戦治郎の返答を聞くなり想像を絶するプレッシャーに襲われ、思わず戦治郎に向かってこの様に叫ぶのであった……
その後戦治郎は出撃準備の為に司令室から退出し、舞鶴の艦娘達と戦治郎の命を預かる羽目になった毅は、司令室を退出する前に貰っていた戦治郎のアドバイスと、自身の傍に立ち先程のやり取りを見ていた大将の意見を参考にしながら艦隊を編成し、その結果戦治郎と共に出撃する艦娘は、戦治郎と面識がある由良と、彼女が訓練などの面倒を見ている、古のもの達との戦いに巻き込まれた事で、転生個体や神話生物にある程度免疫が付いているであろう駆逐艦娘達が選ばれる事となるのであった
尚この時、大和も戦治郎と共に出撃したいと申し出、それを聞いた毅が日本最強の戦艦艦娘の大和に指示を出せるかもしれない事に心を躍らせるのだが……
『もし今回の任務中、俺だけじゃ対処出来ない様な事態が発生した時の事を考えて、大和には安全な司令室に残っていてもらっておいて、俺の身に何かあった時はすぐに空達や祖父さん達を呼べる様にしておきたいんだ。此処で空達や祖父さん達に通信傍受しにくい護の回線使って連絡を入れられるのは、大和と雲龍くらいしかいない訳だが、雲龍の方は明日天城と交代する形で帰省する為の準備してるだろ?そんな雲龍にこっちの都合押し付ける訳にはいかねぇから、この大役を大和にお願いしたいんだが……、ダメか……?』
判断に困った大将が出撃準備を進める戦治郎に通信を入れ、この件について相談したところ、戦治郎はこの様に答えて大和の出撃を引き留めるのであった
尚、戦治郎のこの言葉を聞いた大和は、戦治郎と出撃出来ない残念さと戦治郎からの信頼を受けた喜びが合わさった様な、とても複雑な表情を浮かべていたのだとか……
それからしばらくして、大将から出撃命令を出された艦娘達が司令室に集まり、作戦に参加する事となった由良達は作戦概要を聞いた後急いで出撃準備を始め、出撃準備を終わらせると先に準備を済ませていた戦治郎と合流し、舞鶴鎮守府が引き受けた任務の中で、自分がこれ以上出しゃばり過ぎるのは良くないと言う戦治郎の言葉により、任務に参加する艦隊は由良を旗艦として舞鶴鎮守府を発ったのであった
因みに戦治郎はこの作戦中、先程の発言の通り由良達だけで如何にか出来そうな状況であれば、自身の行動は基本由良達を帝之型を使用して強化し、鷲四郎で制空権を確保するだけに留めており、戦艦や空母と言った軽巡や駆逐では対処が難しい相手が出て来た時に限って、対象を大妖丸でバッサリと斬り捨てたり、ヨイチさんによる集中砲火や対艦ライフルによる狙撃で容易く蹴散らしていたのであった
尚、その様子を由良の艤装に取り付けられたカメラで見ていた毅は……
「こないだあいつがあいつの爺さんと戦ってたの見た時思ったんだが……、あいつ滅茶苦茶強くね……?あいつが手にしてるガトリングとか、1発喰らっただけでル級が爆散してるよな……?」
「あれはヨイチさんと言って、長門さんが使っていた41cm砲を参考にして提督自らが生み出した物で、その1発1発が41cm砲と同等の威力を持っている、立派な戦艦主砲なんです。その形状からはとても信じられないと思いますが……」
「……転生個体やべぇ……、超やべぇ……」
記憶の片隅に残っている先日の出来事を思い出しながら、戦治郎の戦いぶりを目にした際の感想を口にし、それを聞いた大和がこの様な感じで戦治郎の武器を解説したところ、そう呟きながら頭を抱えてしまうのであった……
それからしばらく時間が経過し、毅の指揮の下特にトラブルも無く任務を達成した戦治郎達が舞鶴鎮守府に戻ったところで、時刻が丁度昼食の時間となった為、出撃していた戦治郎達と司令室に残っていた毅達、そして舞鶴の空母艦娘達に訓練をつけてもらっていた瑞鶴は食堂で合流した後、冒頭の様に任務成功を祝して祝杯を挙げていたのであった
そうして戦治郎達が昼食を摂っていたところで、不意に食堂の扉が開かれ、帰省する為なのだろうか、スーツケースを手にした1人の少女が片足を引き摺る様にして食堂の中へと入って来るのであった
「おっ?」
食堂の扉が開かれた事に反応した戦治郎が、何気なくそちらに視線を向けたところ、今しがた食堂に入って来た人物に見覚えがあったのか、思わず声を上げる。すると……
「おっ、いたいた。食事中にごめんね~」
戦治郎の声に気付いた少女……、普段舞鶴鎮守府の工廠で働いている北上は、そう言いながらスーツケースを引っ張りながら戦治郎達の席に近付いて来るのであった