※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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大和の夢と大淀あれこれ

大淀大将と大淀の事をどうするべきかについて、BARで深夜になるまで話し込んでいた戦治郎が、恐らく既に就寝しているであろう大和を起こさない様に、注意しながら自室に戻ったところ……

 

「提督、おかえりなさいませ……っ!」

 

そこには自身のベッドの上に腰掛け、眠い目を擦りながらも戦治郎の帰りを待っていた大和の姿があったのであった

 

「おっま……、俺の事待ってたのか……?そんな無理せず先に寝てて良かったのによぉ……」

 

「それが……、少し前までは提督の言いつけ通り、大和はベッドで寝ていたのですが……、少し嫌な夢を見てしまいまして……」

 

そんな大和に向かって、大和の隣に腰を下ろした戦治郎が、少々困った様な顔をしながらこの様に尋ねると、大和はその表情をやや曇らせながらこの様に答えるのだった

 

「嫌な夢?」

 

「はい……、細かい事までは覚えていないのですが……、提督が大和の下を去ってしまう……、そんな恐ろしい夢を見たんです……。それからずっと、もしかしたら提督が大将との飲みの後、提督が此処に戻ってこないのではないかと不安になってしまいまして……」

 

(これって……、大将から大淀と結婚してくれとか言われた事が関係してるのか……?まさかな……?)

 

大和が見たと言う夢について、戦治郎が不思議そうな表情を浮かべながら尋ね、相変わらず不安そうな表情を浮かべる大和がこの様な返答をすると、戦治郎は大和の勘の鋭さにやや驚きながら、内心でこの様な事を呟くのであった

 

「っと済みません、急に変な事を言ってしまって……。それで、提督は大将と一体何をしてらしたのですか?」

 

「あ~……、それなんだが……」

 

その後、我に返って戦治郎に謝罪を入れた大和が、戦治郎に大将と何をしていたのかについて尋ねたところ、戦治郎はばつの悪そうな表情を浮かべ、後頭部をポリポリと掻きながら、大和に先程BARで大将と話していた事を、大淀の件について話し始めるのであった

 

当然の事ながら、その中で戦治郎は大将から大淀と結婚して欲しいと言われた事も、大和には嘘は付けないと言う一心から正直に話し、それを聞いた大和は先程の不安が的中したとばかりに、絶望感の余りその顔から感情を消失させてしまうのだが……

 

「安心しろ大和、その件はちゃんと断っておいたから。おめぇの事を裏切れねぇっつってな」

 

「提督……っ!」

 

そんな大和に対して、戦治郎がこの様な言葉を掛けながら、彼女の肩に手を置き優しく抱き寄せると、大和はそう呟きながら安堵の表情を浮かべるのであった

 

それからすぐに、戦治郎は大将がどうして自分にこの様な頼みをして来たのかについて、そして大淀はもしかしたら裏で何かを企んでおり、それが原因で帝国海軍内で混乱が発生する可能性について、戦治郎の体温を感じる事で、幸せそうな表情を浮かべている大和に向かって話したところ、事の重大さに気付いた大和はすぐさまその表情を引き締め、真剣に戦治郎の話を静かに聞き始めるのであった

 

「もし大将が睨んでいる通り、大淀が過激な思想を持っていた場合、海軍の穏健派派閥が見る見るうちに強硬派的な思想に塗り替えられ、その影響で強硬派の声が大きくなっちまったら、最悪帝国海軍はリチャードさん達のとことも戦わなくちゃいけなくなっちまう可能性が出ちまうんだよな……」

 

「こちらの強硬派は、深海棲艦は全て敵だと言う認識ですからね……。そうなってしまうと、提督達の頑張りも水泡に帰す結果となるだけでは留まらず、多くの犠牲が出てしまう危険性がありますね……」

 

「まあ強硬派の連中の気持ちも、ウチに復讐鬼が数人いるからある程度は分かるんだが、リチャードさんだけでなく、ウチの祖父さんや咲作さんも所属してる穏健派連合まで敵視すんのは非常によろしくねぇんだよなぁ……。だからって強硬派を根絶やしにする訳にはいかん、そうなると穏健派が内部で緩やかに腐敗しちまうからなぁ……」

 

「バランスが大事、と言う事ですね……」

 

「そそ、話し合いってのは反対意見で内容を研ぎ澄ました方が、いい内容になる事があると思うかんな。その関係で今回の大淀の件は、そのバランスを崩しかねない厄介な問題になっちまう訳よ」

 

ある程度戦治郎が大和に今回の大淀の件について話したところで、大和も自分の考えを口にするようになり、2人はしばらくの間この件について話し合い、その結果取り敢えず先ずは、大淀と気軽に話が出来る様な関係を築き、最終的には護達にも協力してもらい、様々な方向から大淀が何をしようとしているか探る事にしようと言う結論を出し、その後2人は同じベッドで眠りに就くのであった。また先程の様な夢を見るのではないか?と、夢に怯える大和を落ち着かせる為に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして一夜が明け、戦治郎達がいつもの様に朝礼を済ませ、いつもの様に研修を行おうとしたその時……、呼んでもいないのに地獄がこっちにやって来る……

 

「前半組だけ儂らの特訓を受けたと言うのも不公平じゃし、後半組が揃ったであろう今日この日っ!後半組にも特訓を受けてもらうぞっ!!!」

 

「ルールは前回と大体同じで、油断しとるとワシがすぐにひん剥いてしまうぞーっ!!!」

 

そう、夏休み前半に休みを取っていた艦娘と、後半に休みを取っている艦娘の入れ替わりが終わった研修5日目のこの日、一体何処からその情報を聞きつけたのか分からないが、艦娘達に地獄の対神話生物戦の特訓を行う為に、正蔵と咲作が再び舞鶴鎮守府にやって来たのだ……

 

尚後半組の艦娘達は、大将が撮影していた前半組の特訓の様子を記録したビデオを見せられていた様で、正蔵の発言を聞くなりその表情を青褪めさせていたりする……

 

「因みに今回も大和と瑞鶴、大淀には特訓に参加してもらうぞ。後半組にお前達の立ち回りを見せ、参考にさせる為にのうっ!」

 

「それと戦治郎、お前も今回は儂ではなく咲作を相手にしてもらうぞ。お前は神話生物と戦う機会が多そうじゃからな」

 

この1人と1柱の発言を聞いた大和達もまた、前回の戦いを思い出してしまったのか、思わずその表情を引き攣らせてしまうのだが……

 

(大淀も参加すんのか……、これってもしかしたら大淀との距離を縮められるチャンスになるんじゃね……?)

 

そんな中戦治郎だけが、内心でこの様な事を呟きながら、小さくガッツポーズを決めるのであった

 

(正直、前回は鬼帝之型発動させて祖父さんと戦り合ってたもんだから、その時の記憶が完全に吹っ飛んでて咲作さんの動きは大将のビデオで見た分しか分かんねぇから、ちょっち不安なところがあるが……、まあなる様になるだろうよっ!)

 

その傍らで、初めて外なる神を相手にする事になった戦治郎は、内心では多少不安を感じながらも、そんな事は一切おくびにも出さず……

 

「聞いたかおめぇらっ!!!今回は俺も参加する事になったっ!!!俺の方もおめぇらが簡単にひん剥かれない様に頑張っから、おめぇらもすぐにひん剥かれない様に気合い入れていけよっ!!?」

 

\りょ、了解っ!!/

 

咲作に怯える舞鶴の艦娘達や大和達に檄を飛ばして立ち直らせ、艦娘達の返事を聞いて1度だけ小さく頷いて見せると、すぐさま神帝之型を発動させ戦闘態勢に入るのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな戦治郎と艦娘達の様子を見ていた大淀は……

 

「彼が言葉を口にした瞬間、恐怖に立ち竦んでいた艦娘達が我に返り、無謀だと分かっていても、咲作さんに立ち向かおうと言う意思を持ち始めましたね……。もしかしたら、この人は私の計画に使えるかもしれませんね……」

 

値踏みする様な目で戦治郎を見据えながら、誰にも聞こえない様な小さな声でそう呟くのであった……

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