※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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話の切り口

埠頭にて輝が編み出したと言う極めて強力だが、余りにも珍妙な攻撃を目の当たりにした光太郎達は、もう少し射程を伸ばそうと奮闘する輝と、その光景を見守るギャラリー達を残して、当初の目的地である翔がいるであろう食堂へと改めて向かうのであった

 

尚この時、加賀は輝の傍にいたいと言う衝動を何とか理性で抑え込む事に成功、とある質問をゲームの艦これに精通しているであろう翔達に投げかける為に、光太郎達と行動を共にするのであった

 

そして食堂に到着した光太郎達が、食堂の扉を開いて中に入ったところ……

 

「タイショー!計画有給とはどう言う事でぃしゅかっ!?如何してショシェー達からまた労働する機会を奪おうとするんでぃしゅかっ?!」

 

「仕方ないだろう、労働者は年に5日は有給を取る様にと、法で義務化されてしまったのだからな」

 

そこには週7で働きたい、給料よりも仕事を欲しがる仕事中毒者の代表であるエイブラムスと、エイブラムス及びその眷属達の上司にあたる空の姿があり、件の1人と1柱は何やら仕事の事で言い争っていたのであった……

 

そんな中……

 

「あっ、光太郎さん達っ!おかえりなさいっ!」

 

「ふむ、如何やら久しく対面する者達と、初対面となる者達もいる様だな!」

 

厨房で昼食の下拵えをしていた翔とゾアが、今しがた食堂に入って来て、目の前の光景に困惑する光太郎達の存在に気付くと、笑顔を浮かべ待ってましたと言わんばかりに声を上げるのであった

 

「ただいま翔、っとぉそれはそうとして……、空達は何を言い争ってるんだ……?まぁ、エイブラムスがいる時点で仕事の事だと何となく分かるけど……」

 

「それなんですけど……」

 

尚も困惑する光太郎が、翔に向かってこの様に尋ねたところ、翔は苦笑しながら今の状況の説明を始めるのであった

 

さて翔が言うには、如何やら法の改正により長時間労働対策が施された事を空がエイブラムス達に伝えたところ、その内容がぶっ倒れるまで仕事がしたいエイブラムス達の反感を買った様で、こうしてエイブラムスが代表して空に抗議しに来たのだとか……

 

「光太郎達が出た後、空が朝食を摂りに来たのだが、その時に織り手達と共に書いた嘆願書を咥えたエイブラムスが、食堂に突撃して来てだな……」

 

「そこから今の今まで、ずっとああして言い争ってるんですよ……」

 

場所が場所故に否応なくその言い争いを聞かされ続ける羽目になったゾアと翔が、ゲンナリしながらこの様に言って状況を説明し終えると……

 

「エイブラムスとは、あのアトラク=ナクアの事か……。あいつらは相変わらずの様だな……」

 

「その声は……、まさかヴルトゥーム殿かっ!?」

 

「久しいなガタノトーア、いや……、今はゾアと呼ばれているのだったな」

 

誰もがエイブラムスの仕事中毒っぷりにドン引きする中、ヴルが呆れながらこの様な事を呟き、その呟きを耳にしたゾアが驚きの声を上げたところ、ヴルは軽く手を上げながら、驚くゾアに対してこの様に返答するのであった

 

「言葉の端々から何となく予想はしてたけど……、やっぱりヴルさんも神話生物だったのか……」

 

「うむ、この方はヴルトゥームと言う旧支配者でな……」

 

そのやり取りを見聞きしていた光太郎がそう呟くと、それを聞いたゾアはそう言ってヴルがどの様な存在であるかについて話し始めるのであった

 

そして……

 

「純粋な科学者か……、俺達の仲間内の間にはいないタイプだな……。一応戦治郎と空が、悟と協力して大学で義肢の研究とかしてたけど……、あいつらは科学者って言うよりも技術者だからな……」

 

「えっ!?戦治郎さん達ってそんな事してたのっ?!」

 

「つまり私と皐月の義肢は、その研究のおかげで生まれた物なのだな……」

 

ゾアの話を聞いた光太郎が、ポロリとこの様な事を呟き、その呟きに反応した皐月と長月は、思い思いに言葉を口にしながら、アムステルダム泊地の件で戦治郎達によって与えられたそれぞれの義肢を見つめるのであった

 

と、その時である

 

「まあ、今は純粋な科学者と言える立場ではないのだがな……」

 

「それはどう言う事なのです?」

 

「それはだな……」

 

「それについては、私の方から説明するわ」

 

光太郎の呟きに対してヴルがそう言うと、ヴルが純粋な科学者ではなくなった事が気になったゾアがこの様に尋ね、それについてヴルが口を開こうとした時、加賀が会話に割って入る様にして、現在のヴルの立場について……、文月教の教祖となったヴルの事について説明し始めるのであった……

 

「文月教……、生まれちゃったのかぁ……」

 

「旧支配者が文月ちゃんを崇拝するとか……、これもう分かんねぇな……」

 

加賀の口から文月教誕生の経緯を聞いた翔と光太郎が、果てしなく愕然としながらそれぞれこの様に呟き……

 

「加賀よ、何故話に割って入ったのだ?私は文月教の説明ついでに、彼らにも文月の素晴らしさを説き、文月教に入信させようと考えていたのだが……?」

 

「貴方に余計な事をさせない為よ」

 

「ヴル~……、それは恥ずかしいから止めて~……」

 

光太郎達を文月教に勧誘しようとしていたヴルが、加賀に対してこの様に尋ねたところ、加賀はピシャリとそう言い切り、それに続く様にして恥ずかしさから赤面した文月がそう言うと、文月に言われたのならば仕方ないとして、ヴルは黙ってしまうのであった……

 

その傍らでは……

 

「先程ヴル殿が光太郎さんを攻撃した理由は、自分が妄信している文月を光太郎さんから守ろうとしたからなのだろうか……?」

 

「案外、文月と仲良うしちょる光太郎さんに、嫉妬しての行動かもしれんよ?」

 

「その辺りの事情については、外野である私達では判断出来ませんね……」

 

磯風達が何やらコソコソと話をし……

 

「あっ!食堂で思い出しましたっ!翔さん達に嬉しいお知らせですっ!横須賀の食堂で翔さん達と一緒に働いていた間宮さんと伊良湖ちゃんですけど、翔さんの負担軽減の為に、3月末辺りにこっちに来てくれるそうですっ!」

 

我に返った際、間宮達の異動の事を思い出した明石がこの様な事を言い……

 

「何か面白そうな話の匂いが此処からするッス!!!」

 

「面白そうな話ある所にワイ達有りンゴ!!!さあお前達、ピザのお供になりそうな話をするンゴ!!!」

 

「ピザのお供じゃねぇよ!!!客人が来てる間は迷惑かけねぇ様、大人しくしてろっつっただろうがっ!!!」

 

今の食堂から放たれる混沌とした空気を嗅ぎ付けて来たのか、護とイオッチと、彼らを止める為に後を追って来たシゲが、この様な事を叫びながら、勢いよく食堂の扉を開き突撃してくるのであった……

 

さて、こうして食堂内に入って来たイオッチの姿を目にしたヴルはと言うと……

 

「ガタノトーアにアトラク=ナクア、更にはかなりの古参であるイオド殿までもがこの鎮守府にいると言うのか……。これではまるで珍獣の園……、差し詰め珍獣府と言ったところか……」

 

流石にイオッチが此処にいる事は予想外だったらしく、愕然としながら思わずこの様な事を呟くのであった

 

尚、このヴルの発言が実現してしまう日が来てしまう事は、恐らく全ての時間に存在する全知全能の外なる神であるヨグ=ソトース以外の誰もが、全く以て予想していなかったのであった……

 

こうして役者が揃ったところで……

 

「そう言えば加賀さん、今日ヴルさんを此処に連れて来たのは、ヴルさんの事を俺達に紹介する為だけだったんです?」

 

「いや、実は少し気になる事が佐世保の方で起こっていてな、その報告ついでに貴殿らにもこの現象の解明の為に、文月教の活動の手伝いをしてもらいたいと思ってな」

 

光太郎が思い出した様に口にしたこの言葉を切っ掛けに、ヴルの口から現在佐世保の方で起こっている現象……、急激な犯罪発生件数の増加についての説明と、文月教が裏でその原因究明の為に活動している事について語られるのであった……

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