※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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2020/2/20 20:55 一部加筆修正しました


研修6日目

グラグラが引き起こした琵琶湖での一連の騒動に、佐世保での犯罪発生件数の急激な増加が明るみになったり、陸軍がニャルの娘と接触したり、横須賀鎮守府に封印されていた元アムステルダム泊地の提督がニャルに奪われたり、通が秘密裏に最強クラスの外なる神であるダークネスと協力関係にあった事が磯風に知られたりした、あまりにも濃密過ぎる研修5日目が終わり、研修6日目を迎えたその日、戦治郎は舞鶴鎮守府の工廠で、武器の開発を行っていたのであった

 

先ず戦治郎が作り出した武器、それは護が使用している小型マルチプルミサイルランチャーと、現在剛が保有しているテュポーンのデータを流用した、海上でも水中でも使用可能な追尾性の高い小型誘導ミサイルを、連続で撃ち出せる携行式12連装ミサイルポッド、『海坊主』であった

 

これを開発するに至った経緯だが、言わずもがなグラグラとの戦闘の際、戦治郎の武装の中で水中で使える物がアンカークローしか無かった事で、グラグラに余計な苦戦を強いられる羽目になったからである

 

因みにこの海坊主、今は空達と共に鎮守府の建設に携わっている大五郎用に、両脚の太ももに装着出来るタイプの物も合わせて作られていたりする

 

その次に戦治郎が作り出した武器、それは屋内戦闘で使用する事を目的とした2丁の小型の短機関銃である『アルルカン(Arlequin)』と『ピエロット(pierrot)』、そして携行性はこの2つよりも悪くなるが、弾1発1発の威力と速射性能では勝ると言うアサルトライフルの『クラウン(clown)』、更にはM203グレネードランチャーの様にクラウンのハンドガードの下部に装着する事で、クラウンに擲弾発射機構を増設出来る『フール(fool)』、そして戦車の堅牢な装甲すらも易々と撃ち抜き、戦車の搭乗者に確実にダメージを与えられる威力の弾丸を撃ち出す事が出来る対物ライフルである『ジョーカー(Joker)』であった

 

これらを開発した経緯については、提督として鎮守府に着任した後、もしかしたら何らかの形で人間と戦う事になり、殺傷力が高過ぎる艤装を使えない状況に陥った場合に備える為、最近の神話生物達の動きの活発さから、海軍だけでなく陸軍の武装強化の必要性も考えられる様になり、アリーズウェポンの代わりとなる武器を陸軍に提供しようと戦治郎が思い至ったから、そしていつの日にか太郎丸と交わした、いつか新しい装備を作ってあげると言う約束を果たす為である

 

因みに戦治郎が開発した武器の名前についてだが、アルルカンもピエロットも、クラウンもフールもジョーカーも、戦治郎がケルベロスのデータから作り出したハンドガンであるジェスターと同様に、『道化師』と関連性がある名前になっており、戦治郎が作り出す対人用兵器が、後に『道化師シリーズ』と呼ばれる切っ掛けとなっているのであった

 

尚、如何して戦治郎が道化師に関連する名前を、対人兵器に付けているのかと言うと……

 

「自分達の幸せを守る為なら、俺は幾らだって道化を演じてやってもいいって覚悟の表明と、皆を笑わせるのは道化師の役目だからって感じか?後はジェスター……、宮廷道化師ってのは、君主に対してジョークとして無礼な物言いが出来る存在であったり、国家間の紛争の仲介役やったりしてたんだわ。まあ要は今の俺がそれっぽいポジションにいる気がするからってとこだな~」

 

と、こんな調子で戦治郎は、対人兵器に道化師に関係する名前を付けている理由を語っている

 

尚、海坊主に関しては、基となったテュポーンに因んで、日本の妖怪から名前を取った結果、この様になったのだとか……

 

因みに陸軍に回す予定となっている物に関しては、戦治郎が舞鶴鎮守府の工廠妖精さん達と、妖精さん達のネットワークを用いて連絡を入れた横須賀鎮守府の工廠妖精さん達にお願いして、深海棲艦に対しての特効性をオミットした量産型になる予定となっている

 

何故戦治郎が作った物を直接陸軍に回さないのかと言えば、戦治郎本人が直接作った武器は、今まで登場した物からも分かる様に、基本的に艤装の兵装と認識されてしまい、深海棲艦に対して強い特効性が強制的に付与されてしまうのである。そうなってしまえば、道化師シリーズはアリーズウェポンの二の舞となってしまうのである

 

そう言った事情と生産性と管理関係の事情もあって、オリジナルの道化師シリーズは戦治郎と太郎丸、そして後に長門屋鎮守府に非常勤と言う形で着任するとある人物、更には後にこの世界で戦治郎と再会する事となる、佐世保鎮守府の提督である兼続の4人だけが使用する対人用武器となり、長門屋鎮守府に所属する艦娘達の対人用装備は、護が作り出す『ペンギンシリーズ』が主流となるのであった

 

そして最後に戦治郎が作ったのは、自分用の太刀の『妖魔刃(ようまじん)』と小太刀の『小妖丸(しょうようまる)』、それに少し前に通から依頼されていた忍刀の『白夜(びゃくや)』の3振りであった

 

妖魔刃と小妖丸に関しては、屋内での戦闘などで巨大な大妖丸が振れない様な状況に陥った場合に備えて、前々から戦治郎が準備しておきたいと考えていた事から、今回の武器作りでついでに作る事にした物であり、白夜に関しては恐らくこれまでの話を読んでいる方々なら察しが付くと思われるが、月影があの様な事になってしまった関係で、これでは任務に支障が出てしまう可能性があると考えた通が、ダークネスの事は戦治郎に伏せ、潜入任務にも使えそうな刀が欲しいと言って、ダークネスが宿った月影を初めて振った日に、速攻でメールで製作を依頼した物となっている

 

尚この白夜にも、通が持つ打刀である朝日影にも、それぞれとんでもない存在が憑依してしまう事となってしまうのだが、この時の通はまだその事を知らないでいるのであった……

 

そうして戦治郎が様々な武器を新たに生み出し、道化師シリーズをある程度テストした後、そのデータを工廠妖精さん達に渡し、少し休憩をする為に工廠から出て1服しようと喫煙所に向かいながら、作業服の胸ポケットに忍ばせておいた煙草と携帯灰皿、そしてオイルライターを手にした直後、突然ポケットに入れていたスマホが振るえ始めるのであった

 

「ん?スマホに着信……?俺の身内だったら通信機に通信入れると思うんだが……?」

 

怪訝そうな顔をし、その様な事を考えながら戦治郎が手にした煙草一式を胸ポケットに仕舞い直し、ポケットからスマホを取り出してその画面を見てみると……

 

「あぁ、あいつか……。つか俺ってあいつに通信機渡してなかったっけか……?んぁ~……、どうだったっけかな~……?何か渡していなかった様な気もするんだが……、ダメだ、グラグラの件や佐世保の件、陸軍の件に横須賀の件と、昨日濃ゆ過ぎるイベントが発生しまくったせいで、未だに頭ん中混乱してて上手く思い出せねぇ……。っとぉ、そんな事よりずっと待たせてるのも悪ぃからっとぉ……」

 

戦治郎はこの様な事を呟いた後、電話に出ると先ずは相手と他愛もない話をし、それから少しして、相手からあるお願いをされると……

 

「OK分かった、んじゃあその様な手筈で……」

 

戦治郎はニヤニヤしながらこの様に返答し、相手の返事を聞くと電話を切り、すぐさま大和に通信を入れるのであった

 

「あぁ大和?ちょっち聞きてぇんだけどよぉ、大井って今……、って大和さ~ん?何かちょっち機嫌悪くない?え?あっそう?ならいいけどよぉ……。ってそうじゃねぇや、大井は今何処にいるか分かるか?あ、大和の傍にいる?ならちょっち大井に工廠まで来る様頼めるか……、って大和さん?さっきより明らかに機嫌が悪く……、お、応……、っとぉ兎に角、大井に俺が呼んでるって伝えてくれ」

 

通信中、百面相をしながら戦治郎は大和に向かって大井に工廠に来る様に伝えると……

 

「……大和が思ってる様な事は、ぜってぇ有り得ねぇっての……」

 

通信を切るなり、溜息を吐きながら思わずこの様に呟いてしまうのであった……

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