※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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研修終了

南方海域で様々な出会いがあった翌日、戦治郎達は舞鶴鎮守府での研修を終え、江田島軍学校に帰る事となるのであった

 

「短い間でしたが、本当にありがとうございましたっ!」

 

舞鶴鎮守府の門の前にて、研修生の代表として戦治郎が見送りに来てくれた大淀大将や舞鶴鎮守府に所属する艦娘達に向かって、そう言いながらそれはそれは綺麗なお辞儀をしたところ、艦娘達からはパチパチと拍手が送られ、舞鶴の艦娘代表として雲龍が戦治郎の前に出ると、前もって準備してくれていたのか、花束を手渡して来るのであった

 

その後戦治郎達は改めて礼を言った後、舞鶴鎮守府の者達に見送られながら舞鶴鎮守府を発ち、広島行の新幹線に乗る為に京都駅へと向かうのであった

 

その道中にて、戦治郎達は舞鶴鎮守府に滞在している時の思い出について話していたのだが……

 

「何て言うか……、とても貴重な体験をしたのは確かなんだけど……、どの出来事も精神的にも肉体的にも非常に疲れる内容だったわね……」

 

「神話生物の話も驚いたが、俺の場合は戦治郎が転生個体だった事の方が、よっぽど衝撃的だったな……」

 

瑞鶴と毅にとっては、今回の滞在は予想外の出来事が非常に多く、実りはあったものの大変疲れるものとなった様である

 

「俺とか大淀との見合い持ち掛けられるわ、祖父さんと酷ぇルールで戦う羽目になるわ、後々絶対問題が発生するフラグが乱立するわで、精神が擦り切れそうになって今でも胃と頭が痛ぇよ……」

 

「提督……、大丈夫ですか……?」

 

そんな2人の発言に同意する様に、戦治郎は苦々しい表情を浮かべながらこの様な言葉を口にし、それを聞くなり大和が心配そうに尋ねて来るのであった。如何やら戦治郎にとっても、今回の滞在は厳しいものがあった様である

 

そうしている内に戦治郎達は京都駅に到着し、大和が予め予約してくれていた個室がある新幹線の到着を、駅のホームで待っていた

 

と、その時である

 

「あっ!瑞鶴達だっ!!」

 

戦治郎達の背後から聞き覚えのある声が聞こえ、一同が揃ってそちらへ視線を向けたところ……

 

「瑞鳳先輩っ!」

 

「おぉ、ズホも次の新幹線に席取ってたのか?」

 

「うんっ!少し早めに戻って、クラスの友達に渡す戦利品(同人誌)の整理をしようと思ってねっ!」

 

そこには戦治郎達と同じく江田島軍学校に通う、翔鶴の友人であり瑞鶴の先輩に当たる瑞鳳の姿があったのだった

 

そして彼女の存在に気が付いた瑞鶴と戦治郎が、瑞鳳に向かってこの様に尋ねたところ、瑞鳳は笑顔でこの様に返答して見せ、それを聞いた瑞鶴と毅は引き攣った表情を浮かべ、コミケに疎い大和は瑞鳳が言う戦利品の意味がイマイチ分からず、思わずキョトンとした表情を浮かべる中、戦治郎だけがまるで獲物を捕捉した猛禽類の様な、やたら鋭い眼差しを瑞鳳に向けるのであった……

 

その後、戦治郎の提案を受けて瑞鳳も戦治郎達と同じ個室で新幹線に乗る事となり、新幹線が到着するまでの間、まだ転生個体や神話生物について知らない彼女に配慮して、その辺りの話題を避けながら舞鶴鎮守府であった出来事について話していると……

 

「そう言えば、琵琶湖の方で行方不明事件が発生してたけど、舞鶴鎮守府の中に琵琶湖の近くに実家がある人っていたのかな?」

 

「あぁ~……、いたっちゃいたけど、そいつの実家には特に被害は無かったらしいな……」

 

不意に瑞鳳がグラグラの事件の事を話し始め、それを聞いた関係者一同は思わず苦笑いを浮かべる中、戦治郎が皆の代表として嘘で塗り固めた返事を返すのであった……

 

そうしている間に、戦治郎達が乗る予定となっている新幹線が駅のホームに到着し、それに気が付いた戦治郎達は各々の荷物を手に取ると、列の順番を守って新幹線に乗り込み、大和が予約してくれた個室へと向かうのであった

 

こうして個室に入った戦治郎達が、他愛もない雑談を興じていると……

 

「すまん、ちょっちヤニ補給~」

 

不意に戦治郎がそう言って席を立ち、個室に向かう途中にあった喫煙所に煙草を吸いに行く……

 

それからほんの少し時間が経過したところで

 

「ごめん、ちょっとトイレに……」

 

そう言って今度は瑞鳳が席を立ち、財布が入っているのだろうと思われるバッグを手に、個室から出て行くのであった……

 

この時、大和が何か嫌な予感を感じ取るのだが、それは恐らく戦治郎が傍にいない事から感じる不安のせいだとして、これは気のせいであると頭の中で処理するのであった……。尤もこの予感は、大和の感性を基準にするならば、ズバリ的中していたりするのだが……

 

 

 

 

 

「……来たか」

 

一服終えた戦治郎が喫煙所から出たところで、喫煙所の方へと向かって来る瑞鳳の存在に気付き、戦治郎は真剣な表情を浮かべながらこの様な事を呟く……

 

「お待たせ、本当は軍学校に着いてから渡そうと思ってたんだけど……」

 

「軍学校にいる間は、2人きりで会える時間が限られちまうからな……。そんな訳でこの偶然を利用しねぇ手はねぇ……っ!」

 

こうして喫煙所前で合流した戦治郎達はこの様なやり取りを交わした後、瑞鳳はバッグの中から数冊の成人向け同人誌を取り出し、戦治郎はそれを受け取った瞬間、思わずその頬を綻ばせるのであった

 

そう、瑞鳳が言った戦利品を渡す友人の中には、戦治郎の事も含まれていたのである……っ!!

 

戦治郎は瑞鳳がコミケに行くと聞いた時、すかさず横須賀にいる時から調べていた同人作家の同人誌の購入を依頼、軍資金もしっかりと彼女に手渡していたのである

 

因みに女性にエロ同人を買わせるのはどうなのか?と言う話になるが、コミケに参加するだけの事はあって、瑞鳳もその辺についてはある程度理解を示してくれている様で、戦治郎に頼まれた時は特に嫌がりもせずに引き受けたのだとか……

 

「……よ~しよしよしよしぃ!依頼してた奴は全部あるなっ!パーフェクトだズホッ!!っとこれは成功報酬だ、遠慮なく受け取り給えっ!!」

 

戦治郎は頼んでいたエロ同人が全部ある事を確認すると、そう言いながら腰部格納ボックスから、サラが横須賀に来た際に手に入れた艦載機の試作機の設計図から作り出した夜戦型艦上戦闘機F6F-5Nと、夜間作戦型艦上攻撃機TBM-3Dを取り出し、瑞鳳に手渡すのであった

 

「これって……、アメリカ軍の艦載機じゃないっ!?これってどうやって手に入れたのっ?!」

 

「そこは企業秘密って事で……、ってなっ!取り敢えず盗まれたら大事になるから、そいつらの存在は出来るだけ大っぴらにはせず、もしもって時にだけ使う様にしてくれよ?」

 

それらを受け取った瑞鳳は、思わず驚愕しながら戦治郎にこの様に尋ね、それを受けた戦治郎は自身の口元に人差し指を当てながらこの様に返答し、それを聞いた瑞鳳は、やや興奮気味に縦に何度も首を振って見せるのであった

 

尚、こうして戦治郎が手に入れたエロ同人は、長門屋鎮守府着任後に大和にその存在がバレ、これ以外にも購入していたエロDVDやエロゲ、エロ本などと一緒に焼かれる事になるのだが、この時の戦治郎はその事をまだ知らないでいたのであった……

 

その後戦治郎達が個室に戻ると

 

「2人共おかえり、そう言えば2人に聞いておきたい事があったんだけど……」

 

何やら考え込む毅を余所に、瑞鶴が戦治郎達に向かってこの様に尋ねて来て、それを聞いた戦治郎と瑞鳳が不思議そうな表情をうかべていると、瑞鶴は本題を切り出して来るのであった

 

「この休みの後に行われる予定の江田校祭だったっけ?それの出し物って提督科と軽空科はもう決めてたリするの?」

 

瑞鶴のこの言葉の直後、戦治郎も毅と同じ様に、渋い表情をしながら考え込み始めるのであった……




やり忘れていた璃栖瑠の能力の説明と、英吉郎の能力の名前公開をば……

英吉郎の能力名 『痛みの獅子』

詳細は能力名と同じタイトルの話で語っている為割愛

璃栖瑠の能力名 『ヒュプノス・アロマ』

フランス人のクォーターなのに英語の名前、理由は英語の方が周りに理解してもらい易いから

能力の内容は璃栖瑠の身体からコーヒーの様な匂いを発生させ、それを嗅いだ者を強制的に深い眠りにつかせると言うもの

これによって眠ってしまった対象は、殴った程度では目を覚まさず、どうしても起こしたい場合は悟の翠緑を使用するか、精神干渉系の能力や魔法で無理矢理起こすしか手段が無い

対象を即座に無力化、無防備な状態に出来る点は優秀ではあるが、衣服に匂いが残ってしまい、その匂いで味方も眠らせてしまうと言う問題点も抱えている

又、ガスマスクなどで匂いを防げば無効化出来る上に、強靭な精神を持つ相手が睡魔に打ち勝つ場合もある為、案外使い勝手が悪い能力だったりするかもしれない……
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