※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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機材を借りに行こう(建前)

三原と紅葉の素性調査から数日後、戦治郎と毅は土日を利用して勉と紅葉を連れて、倉橋島の端にあると言う海軍基地に向かっていた

 

話によるとその海軍基地は、横須賀の乱で低下した海軍と艦娘の信用信頼を取り戻すと言う名目で、本調子ではない呉鎮守府の代わりに近海の警護をするだけではなく、地域のイベントなどに積極的に艦娘を派遣したり、地元のテレビ局やラジオ局の番組に艦娘を出演させるだけでは留まらず、基地内にインターネット放送用の設備を有し、そこから艦娘達が作った番組を放送しているのだとか……

 

そんな基地に何故戦治郎達が向かっているのかと言えば、戦治郎達が提督科の出し物を決定し、特設ステージの使用許可を貰った段階で、江田島軍学校が持っていたステージなどで使用する機材の貸し出しの受付が、希望者が多過ぎたが為に終了してしまっていたのである……

 

これでは流石に不味い……、そう思った戦治郎が情報を漁りに漁った結果、この海軍基地の存在に気付き、この鎮守府ならば使わなくなった古い機材があるかもしれないと思い、藁にも縋る思いで連絡を入れてみたところ、戦治郎の予感がドンピシャで的中、丁度古くなって使わなくなり、そろそろ処分しようとしていたインターネット放送用の機材がある事が判明し、戦治郎達はそれを譲り受ける為に、軍学校が保有する車を1台借りてその基地に向かっているのである

 

機材がこの基地にあると分かったところで、戦治郎は提督科の面々にこの事を話し、機材の運び出しの手伝いをお願いしたのだが、毅と勉からは了承を得る事に成功するものの、三原からはキッパリと断られ、紅葉からも断られそうになるのであったが……

 

「手伝ってくれたら出す物出す」

 

戦治郎のこの一言によって紅葉の心は揺れ動き……

 

「額は言い値でいいぞ」

 

戦治郎からの追撃の一言によって、表面上は渋々と言った様子なのだが、内面では吹っかける気満々で、それはそれはウッキウキで戦治郎の頼みを了承するのであった

 

因みに紅葉が提示した額は前金20万+30万の合計50万……、金額を聞くや否や毅と勉は紅葉の貪欲さに思わずドン引きしていたのだが、その大金を払う立場にある戦治郎は、笑顔でポンッ!と20万を紅葉に渡し、毅達を大いに驚かせるのであった

 

尚この後、毅が戦治郎の懐事情を心配して、件の基地に向かう前に本当に20万をそんな簡単に渡していいのかと尋ねてみたところ……

 

「危険手当って考えたら、これでも安い方だな。これからあいつにはおっかない目にあってもらうんだからな……。勉に関しては……、こっちの事情話せる様になった時にでも、ごめんなさいしとくかね……」

 

戦治郎は言葉の前半ではニヤリと笑いながら、後半にはその不敵な笑みを苦笑いに変えながら、この様に返答するのであった……

 

そう、これまで長々と話していた事は、全て紅葉に対しての荒療治の為に、戦治郎が仕込んだものだったのである

 

件の海軍基地に関しては、確かに上記の様な活動をしてはいるのだが、その資金は資源の横流しで得た物から成されており、更には番組出演の為に一部の艦娘と結託し、番組関係者が指名した艦娘を罠に嵌め、それを脅迫材料にして枕営業を強要している事が、護とイオッチの調査で判明しているのである

 

この事は剛だけではなく、元帥や剣持の方にも伝えられており、戦治郎は元帥からこの基地の提督の身柄を拘束する様命令を受け、そこから剛に陸軍と協力して基地の制圧と提督及び提督に協力する艦娘を捕まえる様に指示を出したのである

 

此処まで書けば分かると思うが、戦治郎が思いついた荒療治とは、紅葉に実際に悪徳提督が憲兵と特警隊に拘束されるところを見せ、紅葉から悪行に走る気を完全に削ごうと言うものなのである

 

この計画で戦治郎の助けになったのが、機材の貸し出し受付終了の知らせであった

 

戦治郎がこの計画の為に、どうやってこの基地に接触しようかと考えているところに、勉からこの知らせを受けた戦治郎は、すぐさまその基地と接触する方法を思い付き、古い機材がある事を心の中で盛大に祈ったのだそうな……

 

さて、こうして問題の基地と接触する事に成功した戦治郎は、基地に到着するとまずは機材を車に積み込み、作業が終わったところで……

 

「そう言えば、提督さんは私にインターンシップのお誘いの手紙を送っていましたね。あの時は舞鶴鎮守府からもお誘いがあり、嬉しさのあまり思わずそちらの方へと行ってしまったのですが……、もしよろしければなのですが、私の見聞を広げる為に、提督さんのお話も聞かせてもらえませんか?」

 

戦治郎が件の基地の提督に向かってこの様な事を言い、それを聞いた提督はそれを快諾し、どうせだからと毅達も執務室に招き入れ、自分の基地の自慢話を展開するのであった

 

(よくもまあ、きったねぇ金でやってるドス黒い事を、そんな得意げに話せるモンだなぁ……。こいつはよぉ……)

 

(うっわぁ……、こうはなりたくねぇなぁ……)

 

提督の話を聞いている中、この提督の悪行を知る戦治郎と毅が、内心で苛立ちながらこの様な事を呟いているその時である

 

「提督、提督との面会を希望している艦娘が、2名ほど来ていらっしゃるのですが……」

 

「面会希望?そんな予定は確か無かったはず……」

 

執務室の外で待機していた秘書艦と思わしき艦娘が、執務室に入って来てこの様な事を言い、それを聞いた提督が不思議そうな表情を浮かべていると……

 

「よいしょーっ!」

 

この声と共に執務室の扉が蹴破られ、偶々扉の前にいた秘書艦らしき艦娘は、蹴破られた扉と扉付近の壁に勢いよく挟まれ、その衝撃で気絶してしまうのであった……

 

「貴方がこの基地の提督さんですか……?」

 

突然の出来事に勉と紅葉が騒めく中、先程とは別の声が執務室の入口の方から聞こえ、誰もがそちらに視線を向けると……

 

「な……っ!?元二水戦の神通……っ?!」

 

「私もいるんだけどな~……、まあ、神通は有名だったから仕方ないか~……」

 

そこには長門屋に所属する神通と川内の姿があり、神通の姿を見た提督は驚愕しながら、掠れた声でこの様な言葉を口から放ち、それを聞いた川内がそう言ってぶぅ垂れるのであった

 

「お前……、確か退役したはずでは……?」

 

「訳あって、帝国海軍に復帰する事になったのですよ……」

 

神通が後遺症が原因で退役していた事を知っていた提督が、呟く様にこの様な言葉を口にしたところ、間髪入れずに神通がこの様に返答し……

 

「そんな事よりさ~、提督さん?私達が付けてるこの腕章、何だか分かる?」

 

直後に川内がそう言いながら、自身の腕に付けた腕章を提督に見せると、提督の顔色がみるみる内に青く……、いや、それすら通り越して土気色になっていく……

 

川内と神通が付ける腕章に腕章に描かれているのは、『PUNISHER(断罪者)』の文字を恐ろしい表情で咥えた狼の頭部……。特警隊が設立された際、剛がイメージしたものを元に、戦治郎がデザインした特警隊のエンブレムなのであった

 

「元帥から貴方の身柄を拘束する様、命令が下っています。こちらがその旨が書かれた逮捕状です」

 

神通が凛とした表情で、その表情の下に怒りの炎を燃やしながら、そう言って逮捕状を提督に見せると、提督は慌てた様子で執務机の方へと駆け寄り、机の下に設置しておいた警報のスイッチをオンにするのであった

 

こうして基地中に警報が鳴り響き、基地内が騒然とする中……

 

「えっ!?えぇっ?!一体何がどうなってるのっ?!!」

 

「何コレっ?!怖い怖い怖いってっ!!」

 

事態がいまいち掴めていない紅葉と勉は、混乱の極致に至り激しく動揺するのだが……

 

「なぁ……、こっからどうなるんだ……?」

 

「めっちゃ派手な戦闘が始まる」

 

「俺達、無事に帰れるのか……?」

 

「大丈夫だ、問題無い」

 

事情を知る毅と戦治郎は、混乱する2人に気付かれない様にこの様なやり取りを交わした後、混乱する2人を連れて安全な場所へと移動するのであった

 

戦治郎達がそんな事をしている間に、恐らく提督とグルであると思われる艦娘達が執務室になだれ込み、神通と川内と戦闘を開始するのだが……

 

『提督っ!大変ですっ!!この基地の上空に、未確認飛行物体が現れましたっ!!!』

 

執務室の一角にある無線機から、この基地の艦娘からの通信が入った直後、大きな複数の爆発音と共に、基地全体が激しく揺れ動くのであった……

 

(おっ!剛さんの方もおっ始めたんかな?)

 

心の中でそう呟く戦治郎が、執務室の窓から空の方へと視線を向けると、そこには艶消しの黒と濃いグレーと濃い紺色で塗装された、両手にプラズマカッターを携えた1体のΞガンダムが存在していたのであった……

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