能代を自分達の協力者に引き込む事に成功した通が、彼女の口から引き出す事に成功して得た情報は、自分が今まで集めて来た提督を逮捕する為に必要な証拠を確固たるものとし、通がその事を能代に伝えたところ……
「本当に……、あの提督から解放されるんですね……。良かった……、本当に良かった……」
如何やら通の言葉によって心の底から安堵した様で、能代は呟く様にしてこの様な事を口にしながら、その場に崩れ落ちる様にして座り込み、通が敢えて触れないでおいた事……、能代がこの様な反応をした理由の根底にあるもの、この物置にやって来た経緯などについてゆっくりと話し始めるのであった
この日能代は提督に呼び出され、とあるテレビ局のプロデューサーに1晩抱かれて来いと言う、それはそれは無茶苦茶な命令を受けたのだとか……
提督の話によると、その人物はこの世界で数字がとれる番組を幾つも手掛けている人物らしく、その人物が基地の艦娘を抱かせてくれれば、基地の艦娘を主要キャストに据えた特番を組み、更にはその番組をゴールデンタイムに放送すると言って来たのだそうな……
その話を持ち掛けられた提督は、すぐさま基地に所属する艦娘の顔写真付きのリストを作成し、それを件のプロデューサーに渡して彼の好みを聞き出したところ、そのプロデューサーは能代を指名して来たのだそうな……
当然そんな命令は聞けないと、能代がこの無茶苦茶な命令を受ける事を拒否しようとしたところ、提督は能代の実家の住所と姉や妹の名前を出し、能代がやらないと言うのであれば、彼女の姉妹に能代の命令無視の責任を取ってもらうと言って、彼女を脅迫したのだそうな……
流石にこの件とは全く無関係な家族を巻き込む事は出来ない……、そう考えた能代は内心では絶望のあまり怨嗟の言葉を叫び散らしながら、しかしそれを表情には余り出さない様必死に堪えながら、提督の命令を受ける事にしたのだそうな……
その後執務室を出た能代は気持ちを少しでも落ち着かせようと、基地内をアテも無く彷徨っていたところ、提督から何かしらの指示を受けたらしい彼と協力関係にある艦娘達が、能代が逃げ出そうとした場合、彼女を捕まえた後はどの様な仕打ちで追い詰めてやろうかと話し合っているところを目撃し、自身に逃げ場がないと悟った事で絶望感を覚えた能代は、逃げる様にしてこの物置にやって来たのだとか……
そんな能代を落ち着かせるべく、通が彼女の肩に優しく手を添え、情報提供をしてくれた事に対しての感謝の言葉や、これ以上能代の様な思いをする様な艦娘を、日本帝国海軍の中から出さない様にすると言った約束を口にしていると、能代は次から次に溢れ出て来る涙を拭いながら、通の手を借りて立ち上がるのであった
と、その直後である
「あ~、通さんが女の子泣かせてる~」
不意に天井の方から何処か冗談めかした様な声が聞こえ、それに大層驚いた通と能代が天井の方へと視線を向けると……
「川内さん……、何時からそこにいたのです……?」
「腕章見せる辺りからかな?」
「ほぼ全てのやり取りを見てたのですね……」
そこには天井裏に上手い具合に足を引っかけて、まるで天井に貼り付く様に立っている様に見える川内の姿があり、通がそんな川内に向かってこの様に尋ねると、川内はニヤニヤしながらこの様に返答し、それを聞いた通は頭巾の下にばつの悪そうな顔を浮かべ、ガックリと肩を落としながらこの様な言葉を口にするのであった
「全く~、神通がいながら通さんはそんな事するんだ~。この事を神通が聞いたら、どんな顔するだろうね~?」
「止めて下さい……、それだけは本当に止めて下さい……。後生ですから……」
「あの、通さん……、この方は……?」
その後川内と通はこの様なやり取りを交わした後、突然現れた川内の事を困惑する能代に紹介するのであった
そうして川内の事を紹介し終えた後……
「ところでさ、能代が色狂いのおっさんにあんな事やこんな事される日って、大体何時頃なの?」
「それが……、日程に関してはあちらの都合を確認してから、追って連絡するって事だったから、まだ聞かされていないの……」
能代が抱かれる日の事が気になった川内が、能代に向かってこの様に尋ねたところ、能代は少々申し訳なさそうな表情を浮かべながらこの様に返答するのであった
「成程……、能代さんが此処に来たタイミングから考えると、もしかすると今、提督は件の人物と日程について打ち合わせをしているのかもしれませんね……」
「よし、今から執務室に向かおうっ!これで日時が分かれば、こっちの作戦を開始する日時も決め易くなるだろうし、上手く能代を匿う事が出来れば、能代の貞操も守れるだろうからねっ!!」
能代のこの言葉を聞いた通が、考え込む様な仕草をしながらこの様な言葉を口にすると、同じ女性であるが故、能代の気持ちが理解出来る川内がやる気に満ちた声でこの様な事を口にするのであった
「匿う……、ですか……。それは流石に難しいと思いますよ……?今から私達が能代さんを基地から連れ出そうとすると、最悪私達が潜入している事が基地側にバレてしまい、作戦に支障が出てしまう可能性が……」
川内の発言の内、能代を匿うと言う件について、通が困った様な表情を浮かべながらこの様に返答したその直後である……
「その心配は非必要っ!」
「「……えっ?」」
「ちょ……っ!?」
通の腰の方から川内と能代には聞き覚えの無い声が聞こえ、その声に反応した川内と能代が驚いた顔をしながら、そしてその声の主の事を良く知る通が、焦りの為か顔面蒼白になりながら自身の腰に差した脇差……、月影の方へと視線を向けた直後である、突然月影は鞘ごと通から飛び出す様にして離れ、ある程度通達から距離を取ると物置内にある『闇』と言う『闇』を吸い寄せ始め、見る見るうちに漆黒の球体へと姿を変える……
これには川内と能代だけでなく、月影の持ち主である通も大いに驚き、3人が愕然とする中で球体は徐々に姿を変えていき……
「これって……?ポケモン……?」
「ポケモン……?確か妹がよくやっていたわね……。でもこんなポケモンは見た事無いわ……」
「よりにもよって、そのポケモンですか……」
その姿を目にした通達が、各々に反応をしていると……
「封印が解けられたっ!!!」
球体から変化したソレ……、あんこくポケモン『ダークライ』は、声高らかに訳の分からない事を叫ぶのであった
「ちょっとっ!何いきなり叫んだりするのっ!!?見つかったらどうするのっ!?!」
「問題にい、今この部屋の内部の声は絶対に外に漏れない様、俺が全部闇に葬っているからな。だから
唐突に叫び出したダークネス扮するダークライに対して、慌てて川内が注意を促すのだが、常識も非常識も裸足で逃げ出してしまう様な超常を超えた超常であるダークネスは、あっけらかんとした様子でこの様に返事をするのであった
「そうなんですね、それは良かったです。では脇差に戻って下さい」
「おいぃ……、登場するなり戻れとか、あもりにも酷過ぐるでしょう……?想像を絶する悲しみがダークネスを襲った……」
「私は前に言いましたよね?鎮守府の皆さんには貴方の事は秘密にしたいと……。どうして勝手に出て来たんですか……?事と次第によっては、溶接も視野に入れようと思っているのですが……?」
「おい、やめろ馬鹿!このスレは早くも終了ですね」
「ちょっと通さん……、そのやり取りを見てる感じだと、このポケモンみたいなのの扱いに慣れてる風に見えるんだけど……、如何言う事か説明してもらえるかな……?」
相変わらず愕然とする能代を余所に、通、ダークネス、川内の2人と1柱はこの様なやり取りを交わし、これはもう誤魔化せないと悟った通は川内にダークネスの事を紹介、彼と知り合った経緯について説明した後、ダークネスの事は混乱を避ける為に皆には秘密にして欲しいと懇願し……
「そこまで言うなら皆には秘密にしておくけど……、でもタダでって言うのはな~……。そうだっ!この任務が終わったらさ、真っ直ぐ帰投しないで広島に行って、通さんの奢りでお好み焼き食べようっ!」
「口止め料と言う訳ですか……。いいですよ、そのくらいなら」
通に懇願された川内はいたずらっぽく笑顔を浮かべながらこの様な提案をし、それを受けた通はお好み焼き1つで秘匿してもらえるなら安いと判断し、その提案を呑む事にするのであった
因みに……
「ほう……、経験が生きたな……。ならば俺も今後勝手に出てこない事を約束する代わりに、お好み焼きを奢ってもらうとしよう。俺は謙虚だからな、お好み焼きは9枚でいい(この辺の心配りが人気の秘訣)」
川内に便乗する形でダークネスも通にお好み焼きをたかり、任務完了後に向かったお好み焼き屋にて、実際に9枚もの広島風お好み焼きをペロリと平らげ、通の精神と財布に多大なダメージを与えたのだそうな……
ダークネスはお好み焼き屋の中では、通と川内以外には自分の姿を認識出来ない様にしていた模様