「それで改めて聞きますが、如何してダークネスさんは勝手に出て来たのですか?それとその姿は一体どうしたのです?」
唐突なダークネスの登場で騒然となったこの場を何とか収束させた通は、改めてダークネスに対してこの様に尋ねる
「お前ら『郷に入っては郷を従え』と言う名セリフを知らないのかよ。俺はただそれに従って
するとダークネスは何処か得意げに胸を張りながら、この様に返答するのであった
その後、ダークネスは協力者である能代をどうするべきかについて、この様な提案をしてくるのであった
ダークネスの提案を簡単に説明すると、基地から連れ出せないのならば能代の存在を完全に隠しきってしまい、作戦開始直後に元に戻せば良いと言うものであった
「それが簡単に出来たら、私達もこんなに悩んだりしないって……」
それに対して川内が渋い表情をしながら、苦言を呈するのだったが……
「
相変わらずドヤ顔をしていたかと思えば、表情を一転させて真剣な面持ちになりながらズイッと川内の顔に自身の顔を寄せてダークネスがこの様な事を言い放つと、川内は何かに気が付いたのか、ハッとしながらキョロキョロと辺りを見回したり、周囲の音をしっかりと聞き取る為に目を閉じて耳を澄まし、先程あれだけ騒いだにも関わらず、誰一人として基地の艦娘達がこの物置に近付いてこない事を確認すると、驚愕しながらダークネスの方へと顔を向け、そんな川内の驚く顔を見たダークネスは、再び腕を組みながら胸を大きく逸らしてドヤ顔を浮かべるのであった
「俺の力を使えば力が効いている間は
「でもそうなったら、別の娘が酷い目に遭うんじゃ……」
「それが実行される前に、私達がその計画を叩き潰せば済むだけの話です。タゲ移しについては、貴重な情報を提供してくれた能代さんへの報酬だと考えるべきでしょうね。こうする事で能代さんはその日が来るまでの間、提督傘下の艦娘からの嫌がらせを受けずに済む訳ですから」
「ちょっと、ダークネスさんが何を言ってるのかよく分からないのだけど……?」
ダークネスの発言内容を上手く理解出来ず、只々不思議そうな表情を浮かべ続ける能代を余所に、通達はこの様なやり取りを交わして話を纏めると、恐らく能代を抱かせる日を決めるべく、執務室で件のプロデューサーと通話をしているであろう提督の下へ、日時の確認と証拠を押さえる為に物置を出て執務室へと向かうのであった
こうして通達一行は、無事に執務室の入口に到着した訳なのだが……
「ダークネスさんの力……、正直侮ってたわ……」
「まさか他の娘の目の前を堂々と通過しても、全く気付かれないなんて……」
「黄金の鉄の塊で出来た闇が皮装備の艦娘に遅れをとるはずがないからな」
道中で基地の艦娘に遭遇したにも関わらず、まるで自分達を認識していないかの様に振舞う艦娘の姿を目の当たりにし、思わず川内と能代が愕然とする中、ダークネスは得意げにこの様な事を口にするのであった
その後通達は執務室の扉を開き、提督に自分達の存在を認識されないのは分かってはいるものの、念の為と言う事で物音を立てない様に注意しながら執務室の中に潜入し、スマホを片手に丹の笑みを浮かべながら誰かと話す提督がいる執務机の方へと歩み寄り、能代の件の決定的な証拠を確保するべく、川内はカメラを手にして至近距離からその様子をビデオ撮影し、通は護が準備してくれたタブレットを操作してアプリを起動し、提督の通話記録を抜き取ると同時にその内容を録音し始めるのであった
そうして証拠を集め終えた直後の事である、不意に川内が何かを思いついたのか、邪悪な笑みを浮かべながらこの様な事を口にするのであった……
「ねぇ……、提督は私達の事を認識出来ないんだよね……?だったらさ、私達が提督にどんなことをしても、提督には気付かれないって事だよね……?」
「うむ」
「じゃぁさぁ……」
川内の言葉を肯定する様に、ダークネス頷きながら短く返事をしたその直後、川内はこの様に呟くや否や、邪悪さを増した笑みを浮かべながら執務机上にあるペン立てに手を伸ばし、ボールペンを2本ほど拝借すると……
「ていっ!」
気合いの声と共に、その2本のボールペンを提督のそれぞれの鼻の穴に勢いよく突っ込んで見せるのであった
それに対して提督は全くリアクションを起こさず、鼻声になりながらも通話を続け、その様子を見ていた川内と能代はそんな提督の姿が滑稽に見えたのか、思わず笑い出してしまうのであった
「いや~……、まさかこんな事しても反応しないなんて……。ダークネスさんの力は想像以上のものだな~……」
提督の鼻の穴に突っ込んだボールペンをグリグリと動かしながら、ダークネスの力に感心する川内がこの様な事を言った直後である
「
「今のは何となくだけど分かったわ……。そうね、ここは提督に苦しめられてきた娘達皆の代表として……っ!!」
ダークネスが能代に向かって唆す様にこの様な事を言い、それを受けた能代はこの様に返答すると1度深呼吸をし、鋭い目つきで未だに下品な笑みを浮かべる提督を見据えると、思いっきり提督の右頬に平手打ちをお見舞いし、執務室の中に乾いた音が木霊するのであった
「おぉ~……、中々いい音がしたね~……」
「積年の恨みがよく籠った、いい平手打ちでしたね……。っと、能代さんがやったのであるならば、私もやっておくべきですね……。もしかしたら衣服が汚れてしまう可能性があるので、お二人は少し離れていて下さい」
能代の平手打ちに関する感想を川内と通が各々に話した直後、通はこの様な事を口にしながら川内にタブレットを手渡し、提督の前に歩み出ると懐からある物を取り出し、それを勢いよく振り出すのであった
「折角ダークネスさんから頂いたものですが……」
「よいぞ」
「では遠慮なく……っ!」
通は手にした『ソレ』……、先程物置でダークネスから貰った得体のしれない缶ジュース、『ヌギル・コーラ』の缶がガチガチに硬くなった事を確認すると、缶を振るのを止めて飲み口を提督の方へと向け、ダークネスに一言詫びを入れて、ダークネスからの返事を聞いたその瞬間、器用に片手でプルタブを開け放つのであった
これにより飲み口と言う逃げ道が出来た缶の中身は、まるで消防車の放水の如き勢いで提督に襲い掛かり、あっと言う間に提督の頭からつま先まで、全身をベッチャベチャに濡らし、執務室内をこの世のものとは思えない程の、強烈過ぎる甘ったるい匂いで支配してしまうのであった……
これでもかなり強烈な仕打ちだが、通は更に追撃を仕掛ける……っ!
そう、通はその腕力で提督の口を強引に開くと、缶の中に残っていた中身を無理矢理流し込んで提督に飲ませたのである……っ!
こうして提督に対しての嫌がらせを済ませた通達は、手筈通りにダークネスの力で能代の存在を一時的にこの世界から晦ませ、集めた証拠がちゃんと自分達の手元に全てある事を確認すると、基地を出てお好み焼き屋を目指して広島へと向かうのであった
因みにだが、広島に向かっている道中でダークネスが思い出したかの様に能代以外のメンバーに掛けていた隠蔽工作を解除したが為に、これは通達が知り得ない事になるのだが、ダークネスが力を解除したその直後、提督は鼻の穴と右頬に激痛を覚えると同時に、尋常では無い腹痛に襲われ、更にはその身体は何の前触れも無く木で出来た執務室の壁にめり込むほどの勢いで吹っ飛んだりしている……