※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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盆休み中に話を進められるだけ進めておきたいところです

それ以降は週1で投稿出来たらいいなぁ……

今回、とあるネタがブチ込まれています、ご容赦下さい

2018/1/27 悟の口調を修正しました


長門屋鎮守府ツアー 入渠ドック編

「はぁ……」

 

工廠から出て入渠ドックに向かう道中、漣は大きな溜息をついた

 

「どったの漣~、もしかしてもう疲れたとか?」

 

その様子に気付いた鈴谷が声をかけてくる

 

「あ~、確かに疲れた感じはありますね~、主に精神的に……」

 

工廠で出会った石川 空という人物、一見落ち着いた大人でもしかしたら鎮守府の良心たる人物だと思っていたら後半で思いっきりハジけた事言いだして、第一印象が爆発四散し戦治郎と同等若しくはそれ以上にとんでもない人物だというのが分かってしまった

 

「漣、何かもう今日だけで一生分のツッコミ入れてるような気がするんですよね~……」

 

「あ~……、なんて言うか、ご愁傷様……」

 

あはは……っと苦笑いを浮かべながら鈴谷が返す、何でこの人達は平気でいられるのだろうか、何かちょっと不公平だと思いながらもその足は入渠ドックへと近づいていく

 

入渠ドックとは、艦娘の疲れを癒したり怪我の治療を行う複合施設であり、その中には大浴場やマッサージ、クリーニングや美容室や医療用施設などが完備されている

 

油で汚れ血に塗れ、硝煙の臭いを纏う艦娘達にとって入渠ドックは美容と健康の為には欠かせない、食堂と並ぶ重要施設と言っても過言ではないのである

 

そこにも戦治郎の仲間がいるというのだ、正直気が重い

 

「それにしても……」

 

「ん? どしたよ榛名」

 

榛名が不思議そうに戦治郎に話しかける

 

「いえ、提督の腕のタトゥー……というのでしょうか? 榛名達が初めて見たときよりも綺麗になっているように思ったのですが……」

 

「そういえばそうね、前見たときは何て言うかほら、無理矢理腕に文字になるように傷を付けてそこに塗料流し込んで付けたみたいになってたはずなんだけど、今はそんな感じが全くない、専門の彫り師さんにやってもらったようになってるじゃん、このあたりにいい彫り師さんがいたの?」

 

「あ~、確かに、前の『大和魂』って奴はホント見てて痛々しい感じがしてたのが今じゃキチンとカッコよくなってるし、鈴谷が書いたのに上書きしたのも綺麗にやってもらってるみたいだし~……、そうだ、その人に頼んでどっかに今度こそ『鈴谷命』って書いてもらおうか!」

 

榛名の疑問に瑞鶴と鈴谷が続く、え? そのタトゥーは昔はもっと別の意味で迫力があったの?入れ方とか瑞鶴が言った方法でやってたとしたら……、嫌だ考えたくない超怖い

 

「まず鈴谷のは却下、さっきも言ったけど俺はおめぇの所有物じゃないってぇの、そんで瑞鶴、墨の入れ方は大正解だおめでとう!」

 

「うげっ! ホントにそんなやり方だったんだ……、やってるとこ想像したらすっごく怖いんだけど……」

 

当たって欲しくないものが当たってしまったようだ、何でそこまでして入れようと思ったし……

 

そう思ったとき、瑞鶴が今漣が思った事をそっくりそのまま質問してくれた、瑞鶴さんマジ勇者、大好き

 

「入れようと思った理由か? そりゃ何かしら特徴になるようなもんが身体のどっかにあって、そんなのがある奴が艦娘助けた~とか深海棲艦とステゴロやってた~とか目立つ事やってたら印象に残るだろ? で、上に報告するとき大体は特徴になる部分も報告するわけだ、そしたら艦娘だったら警戒して近づかないか接触してきたりとかするんじゃね?って事で入れたんだよ」

 

要は敵味方の識別用という事か、だったらもっと別の方法もあったのではないだろうか……、そう思っていたら目当ての施設、入渠ドックに辿り着いた

 

「ここは入口のとこにMAP付けてあるから、後日利用したい施設があったらそれ見て場所確認してから各自で行ってくれ、今日は医療施設の関係者に挨拶して次いくぞ」

 

そう言って戦治郎は迷う事なく目的の場所へと進んでいく、そういえば榛名の質問の答えが返ってきていなかったがそのあたりはどうなっているのだろうか……?

 

そう考えてる間に目的の場所へはすぐに着いた、まあ、外を歩くのと違って入渠ドックの内部を歩いて行くのだから当たり前と言えば当たり前なのだが……

 

「邪魔すんぜ~」

 

「邪魔すんだったらとっとと帰りなぁ、こっちはいつ動かなきゃならなくなるか分かったもんじゃねぇかんなぁ」

 

ああ、また個性が強そうな人が……

 

「それともあれかぁ? そんなに女侍らせてよぉ、俺モテ過ぎて困っちゃう~ってかぁ? 望ちゃん塩持ってこい塩、それもバケツ山盛りになぁ、くふっ♪」

 

「先生、流石にそれは酷いんじゃないですか……? 多分昨日戦治郎さんが言っていた新しく鎮守府に来た艦娘さん達じゃないでしょうか……?」

 

増えた、でもこの人はまだマトモそうだ、だが空の件があるから油断出来ない……

 

「そう言う事かよぉ、だったらはよ言えばぁたれ」

 

「悟てめぇぜってぇ分かっててやってんだろ」

 

「さぁてぇ、何の事やらぁ? おめぇが何言ってるかサッパリ分かんねぇなぁ、くひゅ♪」

 

何か喋り方がいちいち腹立つ、戦治郎の声からもイラつきが感じられる

 

「悟、そのへんにしておけ、怪我人治す場所で怪我人出すような真似するなよ、て言うかお前が怪我したら誰が治療するんだよ……」

 

うへ、3人目、こっちもマトモそうだけどまだ駄目だ、しっかり見極めないと……、つかここは戦治郎の仲間が多くないか? 工廠は空だけだったけど……、もしかして工廠にはまだ他に誰かいたのか……?

 

「そんときゃぁ望ちゃんに手厚~い看護をしてもらっちゃいましょうかねぇ、いひっ♪」

 

「……あ"?」

 

「そう怒んなって光太郎ぉ、こっからは真面目にやるからよぅ」

 

どうやらさっきまでのふざけた態度は演技だったようだ、それにしたってふざけ過ぎだろう、一体何者なのだろうかこの人は……

 

「改めましてこんにちはってなぁ、医療施設の元締めやってる元医者の伊藤 悟(いとう さとる)ってもんだぁ、専門は精神科だがやれる事は全部やってきたからよぉ、カウンセリングでも外科でも内科でも産婦人科でも何でも出来るから、何かありゃ言っとくれよぉ、手遅れになる前になぁ」

 

産婦人科のところで翔鶴と大和がピクリと反応した、この2人はもうそのあたりまでいくつもり満々なのですね……、漣にはまだよく分かりません……、ていうかやれる事全部やったって何それ怖い、この人はスーパードクターとか呼ばれてたりしたんだろうか?

 

「こいつが気味の悪い笑いこぼしたときは大体冗談だから真に受けないようにしておくといいよ、分かっていても腹は立つけどな……」

 

「光太郎よぉ、そこバラしてくれんなよぉ、折角からかって遊ぼうと思ったのによぅ」

 

「お前は精神科とか心療内科の知識総動員させて的確に煽ったりからかったりするから性質が悪いんだよ……」

 

光太郎と呼ばれた人から忠告される、あ、この人はマトモだ、良心だ、何か色々助けられた気分になった

 

「えっと、春雨 望(はるさめ のぞみ)と言います、ここでは看護師見習いとして伊藤先生に医療に関わる事を色々と教えてもらいながらお手伝いをさせてもらっています、どうぞよろしくお願いしますね」

 

「因みに望ちゃんは今のところウチらの中でも最年少で唯一の女の子だからよぉ、世代もちけぇ事だし仲良くしてやっとくれぇ」

 

望は女の子だったのか、それでいて最年少ときた、ふむ、そうなると他の皆さんは全員男の人になるわけか……、何か皆さんの年齢が気になってくる、それにしてもウチらの部分が妙に引っかかる、なんだろうこれ?

 

「最後は俺か、俺の名前は南 光太郎(みなみ こうたろう)……、どうした?漣、瑞鶴、何かおかしかったか?」

 

うおぉい! 南 光太郎ってあれじゃねぇか! 仮面〇イダーだろう! て〇をだろう! まさか偽名か!? この人マトモだと思っていたのにぃ!チキショウ! チキショウ! すっごく裏切られた気分だっ! でも笑っちゃう! 悔しい! って言うか瑞鶴も震えてるんだけどもしかして分かるの!? 分かっちゃうの!? このネタが分かってしまう人種だったの!?!

 

「ヒント:お前の名前」

 

戦治郎が言う、言ってしまう

 

「……、ゆ"る"さ"ん"!!」

 

「「ぶっふぉ!!!」」

 

そう言うなり光太郎があるポーズをとる

 

吹き出す漣と瑞鶴

 

そう、仮面ラ〇ダーブ〇ックRXの変身ポーズ!

 

こうなると止まらない! 堪えろっていうのが無理無理無理無理かたつむり! 2人で大爆笑ですよもう! ダメだお腹痛い!

 

変身ポーズを解いて肩を落とす光太郎

 

「瑞鶴、人の名前を笑うなんて失礼でしょ!それに漣さんも! いつまでも笑っていないで早く光太郎さんに謝りなさい! ああ、光太郎さん、瑞鶴達がすみません!」

 

流石に翔鶴が叱りつけ光太郎に謝る、そりゃ人の名前を笑うのは失礼なんてのは重々承知、でも無理なんです、ポーズまでやられたら笑うしかないんですよ!

 

「ああ、大丈夫ですよ翔鶴さん、もう慣れましたから」

 

苦笑しながら気にしていないと言う光太郎、やっぱこの人いい人だったよ……、名前笑ってごめんなさい……

 

何とか落ち着いた後瑞鶴と共に謝罪する、そして光太郎の自己紹介が再開される

 

「改めて、南 光太郎だ、この名前は偽名でもなんでない正真正銘俺の本名なんだ、因みにあの特撮が放映される前に付けられてたから被ったのは本当に偶然だから、そこだけは覚えておいてくれ」

 

「「あっはい」」

 

2人して返事する、偶然って怖い

 

「で、昔はハイパーレスキューにいたんだけど色々あって辞めてしまってね、それから戦治郎に拾われて修理を依頼された物や修理が完了した物を運ぶトラックの運転手をやっていたんだ」

 

ハイパーレスキューって、確か人命救助のエリート集団じゃなかったっけ? この人凄いところにいたんだな~、でも色々あって辞めたって何があったんだろう? この話が出たとき望の表情が暗くなったのは何か関係があるのだろうか?

 

「あぁ、俺は医者辞めた後は戦治郎の店の受付やってたんだぜぇ」

 

個人営業の話、本当だったんだ……、しかし元医者に元ハイパーレスキューの隊員、空もかなりの技術者のようだし戦治郎の店はエリートばかりが集まる店だった……? 何か凄いな……

 

「ここでは輸送任務中の艦娘が深海棲艦に襲われたときに助太刀したり、海上で要救助者が出た場合の救助、搬送、それに輸送任務が多い南西諸島や南方方面を巡回するのが主な仕事になっているんだ、辞めたとはいえやっぱり人命救助の仕事に未練があったみたいでね、ここでまた携わる事にしたんだ、元々人命救助に関わろうと思ったきっかけは自分と同じ名前のヒーローがいたから俺もそうなりたいって言う子供っぽい憧れからだったんだけどね、今はとてもやりがいを感じるよ」

 

やだ、この人かっこいい、本物のヒーローじゃないか、名前を笑ってしまった事を本当に後悔し、最初にこの人も変人でないかと疑った事を恥じた

 

「大体は南西諸島辺りから南下して南方方面を巡回して戻るようにしてるから、案外海上で会う事があるかもしれないね、っと長くなってごめんね、今後ともよろしく!」

 

そう言って光太郎は自己紹介を締めくくる

 

改めて、この長門屋鎮守府の医療チームの面々の姿を見る

 

悟は潜水棲姫、白衣を纏っているくらいで細かい違いはなさそうである

 

望は駆逐棲姫、この子もベレー帽に赤十字が書かれてるくらいで違いはなさそうだ

 

光太郎、彼は南方棲戦姫のようだが紺色のカーゴパンツを穿き、上は男性用の黒いタンクトップシャツを着ていた、やはりあの姿は恥ずかしかったのだろうか

 

「よし、医療班との挨拶も終わったしそろそろ次のとこ向かうべ、確かこの後光太郎は巡回行くんだったよな、頑張ってこいよ~」

 

「ああ、出来れば俺の出番がなければいいんだけどな、それじゃあ艤装の準備してくるから望ちゃん、その間に応急セットの準備をしておいてもらえないか?」

 

「はい!すぐに準備しますね! 光太郎さん、頑張ってくださいね!」

 

「戦治郎よぉ、後で新規着任の艦娘のデータこっちにも回しやがれ、医療ミスなんてヘマやらかしたくないんでなぁ」

 

「おう、後でそっちのパソコンに送っておくわ、んじゃまたな~」

 

そう言ってその場を立ち去ろうとしたとき

 

「あっ!」

 

榛名が声を上げる

 

「提督、そういえば榛名の質問の答え、まだ聞いていませんでした!」

 

今更かい、榛名は意外とマイペースなのだろうか……

 

「あん? 戦治郎に何か質問してたのかぁ?」

 

尋ねてくるのは悟、もしかしたらこの人は戦治郎のタトゥーについて何か知っているんじゃないだろうか、身体に傷つけたりするわけなんだし

 

「はい、提督のタトゥーが榛名達が軍学校で見せてもらったときよりも綺麗になっていたのはどうしてでしょうか? と質問したのです、それでその答えを榛名はまだ聞いてなかったんです」

 

「あぁ、それなぁ、それやったの俺だわなぁ、ここ来て設備も色々揃ってる事だしあの見るからに痛々しいぶっさいくなタトゥーのままってのが我慢出来なかったから俺がちょちょいっとやったんよぉ、その出来見てこのばぁたれ追加注文で右腕にも彫れとか言い出しやがったしなぁ」

 

おおぅ、何か知ってるだろうと思ったら彫った張本人でしたか……、でも漣がその医者すらも痛々しいと評するタトゥーを見ないで済んだ事に関しては素直にGJと言っておきます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入渠ドックを出て次の目的地へと向かっているわけだが、次は何処へ行くのだろうか?

 

食堂か?っと思っていたら食堂を通り過ぎていく、そうなると次は何処へ向かうのか見当もつかない

 

「あの~、次は何処へ行くのです?」

 

あまりにも気になったのでつい聞いてしまう

 

「ん? 次? 次は牧場だ」

 

「「「「……え?」」」」

 

全く予想外な答えが返ってきた、牧場ってどういう事よ……

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