※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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バイバイ ドスブラックポンポン

通達特警隊の面々が撤収した後、戦治郎達に対しての事情聴取が終了し、戦治郎達は機材を積み込んだ車に乗り込み、軍学校目指して未だガサ入れのせいで騒然とする基地を出るのであった

 

因みにだが、戦治郎達は軍学校から借りた車1台でこの基地にやって来ているが、帰る時には車の台数が2台に増えており、最初に乗って来た車には戦治郎と紅葉が、2台目には毅と勉が乗り込んでいる

 

突然増えたこの車、一体何処から出て来たのかと言うと、この車は元々今回の戦場となったこの基地の共用車で、トランクルームには憲兵達の手によって最新の機材が既に積み込まれている状態となっている

 

これは戦治郎が元帥と剣持に今回の件を話した際、元帥がこの基地を取り壊す事を決定し、それを聞いた戦治郎が軍学校の機材の貸し出し状況を伝えた上で、基地と共に瓦礫に埋もれさせるくらいならば、最新の機材と共用車を江田島軍学校の備品にさせて欲しいと頼み、それを元帥が了承し、それを傍から聞いていた剣持が、最新機材の積み込みはガサ入れに紛れて、憲兵達にやらせようと提案してきた事から実現している事である

 

ここで機材は物証にならないのか?と言う疑問が浮かぶところだが、物証になりそうな物は通と川内が基地に潜入した際に全てかき集め、とっくの昔に元帥達の下へと送り届けられており、機材を含む現在基地に残っている物証になりそうにない物は、全て基地を更地にした際に出る瓦礫諸共廃棄される予定となっている

 

尚、この基地が取り壊しになる事については、事情聴取を担当した憲兵達の口から紅葉達にザックリと伝えられており……

 

「桂島泊地もそうだが、元帥の目が行き渡らない様な場所にある拠点は、汚職の温床になり易いからなぁ……。それに拠点ってのは多くの人間が集まっているし、色んな設備が大量にあるモンだから、それらを維持する為に結構な額の金が掛かっちまうし、何よりそんなとこを何時までもほったらかしにしていようモンなら、海軍に対しての信用信頼が一向に回復しなくなっちまう……」

 

「それならいっその事そう言った拠点を取り壊して、これ以上海軍の評判を落とす要素を作らない様にした上で、それで余裕が出来た資金や物資を未だに復旧していない呉鎮守府やショートランド泊地に回そうって言うのが、元帥の考えなのね……」

 

「後はあの基地の提督みてぇな連中に、特警隊の実力を見せつける事で牽制、不祥事を抑止しようって魂胆だろうな。元帥や源補佐官の話によると、桂島の提督の影響を受けている提督が、海軍の強硬派の中に未だ残ってるみてぇだかんな」

 

帰りの車の中にて、基地の取り壊しに疑問を抱いた紅葉が、車を運転する戦治郎に向かって自身の中にある疑問をぶつけると、今回の件の全てを知る戦治郎はこの様に返答するのであった

 

そんな戦治郎の返答を聞いた紅葉が、無意識の内に不快そうな表情を浮かべて俯いていると……

 

「桂島チルドレンと一緒くたにされるのは嫌だ、って顔してんな」

 

不意に戦治郎はこの様な事を言い出し、それを聞いたナビシートに座っていた紅葉はハッとするなり勢いよく顔を上げ、戦治郎の方へと鋭い視線を向けるのであった

 

「その反応……、紅葉よぉ……、おめぇやっぱ軍学校を卒業した後、何かやらかそうって考えてたみてぇだな……?」

 

「……っ!?」

 

「やめとけやめとけ、おめぇも執務室で見たあのめっちゃつえぇ特警隊の副隊長、あいつは俺の身内なんだわ。後な、実の事を言うとだな、今回の逮捕劇は俺がおめえからその反応を得る為に、色んな人に掛け合って仕込んだ事なんだわ。提督の罪状をツレのハッカーに暴かせて、その情報を基にさっきの副隊長に証拠集めしてもらったりしてな。当然元帥も陸軍元帥大将もこっち側、俺達が車と最新機材を貰えたのも、俺が事前に掛け合ってたおかげなんだよな」

 

戦治郎のこの言葉を聞いた紅葉は、驚きのあまり戦治郎を睨みつけていたその目を丸くし、その表情の変化が面白かったのか、戦治郎は愕然とする紅葉の顔をチラリと横目で見た後、ククッと愉快そうに含み笑いをするのであった

 

「あんた……、一体何者よ……っ?!」

 

「まあ当然の反応だわな。でもまあ……、残念だが今のおめぇには俺の事は話せねぇなぁ……。軍学校卒業後にやらかそうって考えている、ポンポンドスブラックな輩にはなぁ……。俺は心から信用、信頼出来る様な奴にしか、自分の正体を明かすつもりはねぇんだわ」

 

相変わらず驚愕する紅葉が、何とか全身から絞り出したかの様なか細い声で、戦治郎に向かってこの様に尋ねると、戦治郎はニヤニヤしながらこの様に返答するのであった

 

(こうは言ったが、俺の正体はまだ紅葉や勉には刺激がつえぇかんなぁ、仮に紅葉が今回の件で思い留まってくれても、俺の事を話すのは卒業前くらいになるかもなぁ……。そもそも、こいつらが今の本当の世界情勢を知って尚、戦う覚悟があるかどうか確認出来てねぇかんなぁ……)

 

戦治郎のバックには陸軍と海軍のトップがいると知り、項垂れる紅葉の様子をチラチラと観察しながら、戦治郎が内心でこの様な事を呟いていると……

 

「ねぇ……、さっきあんたは私の反応を得る為に、今回の件を仕込んだって言ったわよね……?それってつまり……」

 

「察しの通り、ツレのハッカーに頼んでおめぇの事も調べさせてもらった」

 

「……サイテー」

 

「悪く思うなよ、俺は出来るだけクリーンで居心地の良い職場を作りてぇんだ。だからおめぇみてぇな輩を野放しには出来ねぇんだわ」

 

不意に紅葉がかすれ切った声でこの様に尋ねて来たので、戦治郎はハンドルを操作しつつギアチェンジを行いながらこの様に答え、それを受けた紅葉が短く悪態をつくと、困った様な表情を浮かべながらこの様な言葉を口にするのであった

 

その後、紅葉は観念した様に自身の企みについて戦治郎に話し始め、戦治郎は紅葉が今も苦しい生活を強いられている家族の為に、軍の金を横領するつもりであった事を本人の口から聞き出す事に成功するのであった

 

「これで私の計画はオジャン……、きっと私は軍学校を追い出されるのでしょうね……。なんたって組織のトップと密接な繋がりを持ったあんたにバレたんだしね……」

 

「あぁ、その件なら安心しろ。既にやらかしてるってんなら相応の罰を受けてもらうとこなんだが、おめぇは計画してただけで実行はしていねぇ、未遂で思い留まってくれたみてぇだから、俺はおめぇの事を密告(チク)るつもりはねぇよ」

 

自分の企みを全て戦治郎に打ち明けた紅葉が、諦めが付いた様な表情を浮かべながら力なくこの様に呟くと、戦治郎は変わらず車を運転しながら、あっけらかんとした様子でこの様な事を口にし、再び紅葉を驚かせるのであった

 

「そう……、それならまぁ……、父さんが遺した借金も何とか出来そうね……。相当時間が掛かりそうだけど……」

 

その後、何とか落ち着きを取り戻した紅葉が、安堵の息を吐きながらこの様に呟いた直後、戦治郎から全く予想していなかった言葉を告げられ、紅葉は三度驚愕の表情をその顔に貼り付ける事となるのであった……

 

「そっちも安心しろ、直接金をどうこうしてやる事は出来ねぇけど、おめぇの家族が背負った借金を即座に消し飛ばせる様なえげつねぇ代物を、ドスブラックポンポンのおめぇへの餞としてくれてやるよ。それを活かすも殺すも、おめぇさんの家族次第になるだろうけどな」

 

この時の紅葉は、戦治郎の言葉の意味を理解する事が出来ず、只々驚きの表情を浮かべたまま呆然とする事しか出来ないでいたのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……

 

「護うううぅぅぅーーーっ!!!しっかり掴まってっかあああぁぁぁーーーっ!!?」

 

「ヒュウウウゥゥゥーーーッ!!!シゲェッ!!!もっともっとトバすッスよおおおぉぉぉーーーっ!!!今こそ風になる時ッスよおおおぉぉぉーーーっ!!!」

 

「おい空っ!!!こっちもガンガントバせっ!!!」

 

「そうしてやりたいのは山々なんだが、如何せんお前の艤装とポリ戦車(タンク)が中々重くてだな……」

 

「頑張れポリ戦車(タンク)の脚ぃっ!!!何とか耐えてくれえええぇぇぇーーーっ!!!」

 

「天龍ちゃん……、ちょっと静かにしてもらえるぅ~……?私……、ちょっと気持ち悪くなって来ちゃったの~……」

 

「うぅ……、レディーがこんな事で吐く訳には……」

 

「ちょっと待って欲しいディシュウウウゥゥゥーーーッ!!!タイショー達いいいぃぃぃーーーっ!!!幾ら障害物が無いからってトバし過ぎディシュよおおおぉぉぉーーーっ!!!」

 

鉄鉱石探しの為にエイブラムスが作った坑道を、リュウセイに跨ったシゲと護がぶっちぎり、その後を輝の艤装をワイヤーで後部に括りつけたライトニングⅡに搭乗する輝と空が追従し、輝の艤装の後部に壁に貼り付く要領で貼り付くポリ戦車(タンク)の中で天龍と龍田と暁がこの様なやり取りを行い、そんな彼等をモリブデン・アーマーを装着したエイブラムスが、眷属である織り手達を大量に引き連れて追いかけていたのであった……

 

そんな彼等が目指す場所は唯1つ……、紅葉の実家の地下であり、彼等が求めるもの……、それは地下深くに眠る石油の油脈なのであった……

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