※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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ファッションは衣服の事だけではない

「ったくよぉ……、シゲの奴……、お前は鎮守府に残っておけって……。確かにシゲの言い分は分かるけどよぉ……」

 

「こればかりは仕方がないんじゃないかしら……」

 

入渠施設の中に存在する『ファッションショップ フェニックス』の中にある扉を潜った先にある部屋にて、シャンプーチェアに座る摩耶は背もたれを倒されながらこの様な愚痴を吐き、そのシャンプーチェアを操作していた大鳳は、背もたれが良い具合に倒れたところを確認した後、苦笑しながらこの様に返事をしつつ、摩耶の洗髪の準備を進めるのであった

 

今摩耶達がいるこの部屋、ここは戦治郎達が必死になって軍学校入学の為の試験勉強や資格取得の為に奮闘する中、誰よりも早く生前取得していた資格を全て取り戻した事で暇を持て余し、暇つぶしとして理容師と美容師の資格を取得した司が経営している美容室なのである

 

空達が石油を掘りに行く事を決定した日、ジェットコースター落下事件が原因でシゲに対して心配性になってしまった摩耶は、その作戦にシゲが参加する事を知るや否や、すぐさま空に採掘の手伝いを申し出たのだが、それをシゲに止められてしまったのである

 

そんなシゲの言い分だが、この作戦が始まると鎮守府(張りぼて)に残る纏め役が光太郎くらいになってしまい、有事の際にすぐに行動を起こせなくなってしまう可能性がある為、木曾と同じく自分達と最も付き合いが長い艦娘である摩耶には、出来れば鎮守府(張りぼて)に残ってもらい、光太郎のサポートをしてもらいたいと言う事だった

 

これには現長門屋鎮守府(張りぼて)の最高責任者代理を務める空も同意し、シゲに真剣な眼差しで見つめられながら話を聞いていた摩耶は、顔を僅かに紅潮させながら渋々それを了承したのであった

 

そうして作戦当日、シゲ達が石油採掘の為に鎮守府(張りぼて)を発った後、強硬派深海棲艦達を見かけなかったが為に予定よりもかなり早く剛達が帰投した事で、手持無沙汰となってしまった摩耶は、当てもなく鎮守府(張りぼて)内を散策、その際に立ち寄ったファッションショップ内で鏡に映るかなり伸びた自分の髪を見て、戦治郎達と出会ってから今までの間、まともに美容室に行っていなかった事に気付くと同時に、司が美容師の資格を取っていた事を思い出すと、良い機会だからと司に自身の髪のカットを頼んだのであった

 

こうして司に良い塩梅に髪をカットしてもらった摩耶は、司のお願いでファッションショップや美容室の手伝いをしている大鳳に、シャンプーをしてもらいながら愚痴を零していたのであった

 

因みに大鳳が司のお願いを受けた理由だが、彼女は長門屋に加入した当初は自分が持つトレーニングなどの知識や、これまでの戦闘経験で培ってきた技術を活かして教官役をやろうと考えていたのだが、自分の完全上位互換の様な空やベテランの鬼教官である剛の存在によって、教える立場ではなく教えられる立場になってしまい、完全にお株を奪われてどうしたものかと途方に暮れていたところ、司から自分のショップの手伝いを頼まれ、悩みに悩んだ末にトレーニング以外の事に触れる事で、自分に出来る事の幅を広げようと思い至ったからなのだとか……

 

「結局、シゲ達の心配は杞憂に終わっちまってたな……」

 

「そうでもないかもしれませんよ?剛さん達が強硬派深海棲艦と遭遇しなかったと言っていた件……、これはもしかしたら何かの前触れかもしれませんし……」

 

「あぁ……、そう言えばそんな事言ってたな……」

 

大鳳に髪を洗ってもらっているのが余程気持ちいいのか、摩耶が先程よりもリラックスした様子でこの様な事を口にすると、それに反応した大鳳は作業の手を止めずに、やや深刻そうな表情を浮かべながらこの様な事を言い、それを聞いた摩耶もまた、眉間に皺を寄せながらこの様に呟くのであった

 

その後、洗髪が終わった摩耶と大鳳は、この件に関しての自分達の推測を交わしながらドライヤーで髪を乾かし、髪が乾き切ったところで摩耶は難しい表情を浮かべながらファッションショップを後にするのであった

 

 

 

 

 

一方その頃……

 

「シゲェッ!!!おめぇぜってぇ能力暴発させんじゃねぇぞっ!!?」

 

「そんなん分かってますってっ!!!輝さんの方こそ力み過ぎて地盤沈下起こしたり、能力暴発させてアニキの同期の人の実家を高層ビルで貫いたりしないで下さいよ!?!」

 

目的地に到着したシゲ達は、それぞれの役目を果たすべく行動を開始していたのであった

 

因みに役割分担の内容だが、空と輝とエイブラムスの2人と1柱がイオッチから教えられたポイントを真下に向かって地面を掘り進んでいき、それによって出た土は鎮守府(張りぼて)の農耕地に使うべく、天龍と龍田が駆るポリ戦車(タンク)と織り手達が鎮守府(張りぼて)に運び出し、シゲは自分達が通って来た坑道に石油が入って来ない様にする為の、開閉弁の役割を持つゲートの様な物の設置を担当、護はそのゲートの開閉操作をする為の電波を送る為に必要になって来る中継点の設置を受け持ち、暁は護に同行し中継点の設置ポイントの目印となっている織り手達を見つけ、都度護に報告すると言った感じになっている

 

如何して暁がこの様な役割を担っているかと言うと、彼女は何故だかよく分からないのだが、妙に織り手達に懐かれているのである。この件についてエイブラムスが織り手達に対して、何が理由で暁に懐いているのか尋ねたらしいのだが、織り手達自身もその理由が分からない様で、返事はどれも曖昧なものであったのだとか……

 

尚、この原因が発覚するのは、彼女が自らの手で栽培したショゴス達に、自分達の女王として崇められる様になってからだったりする……

 

又、栽培ショゴス達に女王として認められた事が切っ掛けで、暁は古のもの達の手から逃れた天然ショゴス達の面倒を見ていた外なる神、ウボ=サスラに気に入られたりするのだが、それはまだ先の話である……

 

それはさて置き……

 

「よっし!設置完了っ!!何時でもやっちゃって下さいっ!!!」

 

「待ってましたってなぁっ!!空っ!!ラストは景気よくやろうじゃねぇかっ!!!」

 

「正直に言えば、あまり気乗りはしないのだが……。もうここまで来てしまったんだ、いい加減俺も腹を括るとしよう……っ!!」

 

「じゃあショーシェーは退避しておくディシュ~」

 

ゲートを鎮守府(張りぼて)である程度作っておいたおかげか、輝の艤装から取り出したゲートを予定より早く設置し終えたシゲがそう宣言すると、待ってましたとばかりに輝が気合を入れ直し、ハンマーの先端を自身の艤装に銜えさせながら空に向かってこの様な言葉を掛けると、空は溜息を1つ吐いた後その表情を引き締め、そのやり取りを傍から聞いていたエイブラムスは、そう言いながらシゲがいるゲートの方へとそそくさと退避するのであった

 

その後、空はライトニングⅡを使って急上昇し、輝が力一杯艤装付きハンマーを自分達の足元にある岩盤に振り下ろそうとしたところで空が急降下を開始、そして輝のハンマーが岩盤に叩きつけられるタイミングに合わせる様にして、急降下してきた空が上からハンマーにライダーキックの如く蹴りを叩き込んだところ、その衝撃に耐えられなかった岩盤は粉々に砕け散り、岩盤の下にある地面も巨大な化物が口を開くかの如く割れていき、それはやがてイオッチが発見した油脈に到達、油脈の中にあった石油はその割れ目から何もかもを飲み込まんとばかりに、勢いよく噴き出すのであった

 

その光景を目の当たりにしたシゲは……

 

「ちょっとおおおぉぉぉーーーっ!??足場になってる岩盤全部ぶっ壊してどうするんですかあああぁぁぁーーーっ?!!これから必要以上に石油が出ない様にする為のパイプ設置するんでしょうがあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

思わずそう叫ぶのであった……

 

尚、空が蹴りを入れた直後、輝の身体を引っ掴んでライトニングⅡ上に引き上げ、急いでゲートに向かっていた為、岩盤を破壊した2人が石油に押し流される様な事は無かった模様

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