陽炎よ!私は光太郎さんと司さん、翔さんと一緒に浜辺で呆然としているわ……
何で浜辺にいるかと言えばさっきこの拠点に深海棲艦の艦隊が接近したみたいで警報が鳴り響いたものだから、皆で慌てて迎え撃つ為に戦闘準備をして浜辺に集まったんだけど……
「だー!わいどんいい加減やぐらしかっさ!折角翔さんの夜はひやかし年も明けたけんて夜警しよったおい達にわっざぁわざ雑煮ば作ってくいて皆でおいしかおいしかて食いよったとけ!かんよぉけくんなさフケタレどんがぁっ!!!」
訳『あー!もう!お前達いい加減鬱陶しいんだよ!折角翔さんが夜は寒いし年も明けたからって夜警していた俺達にわざわざ雑煮を作ってくれて皆で美味しく食べていたのに!こんなにいっぱい来るなよ馬鹿野郎共がぁっ!!!』
何かよく分からない言葉を叫びながらチェーンソー振り回して深海棲艦を叩き切ってるのよね……藤吉さんが……
「翔、これは一体どういう事だ……?」
光太郎さんが翔さんに状況を確認する為に話を聞こうとしている、本当は翔さんもこっちのチームだったんだけど輝さんがお酒飲んで酔い潰れて寝ちゃって……
光太郎さんが叩き起こそうと何度も引っ叩いたみたいだけどダメだったから急遽翔さんが代わりに入る事になったわけよ
「あ、光太郎さん……それが僕にもよく分からなくって……、夜は冷えるからって僕がお雑煮を作って皆で食べてたんです、その最中に警報が鳴って皆海に飛び出していったんですけど藤吉君だけがしばらく動かなくなって……それでちょっと心配になって声をかけたら急に艤装からチェーンソー取り出して叫びながら突っ込んで行っちゃったんです……」
何それ怖い、藤吉さんって確かかなり大人しい人だったわよね……?何で急にこんなアグレッシブになっているの?食べ物の恨みなの?と言うかそれ何語?何か一緒に戦ってる天津風と弥七も困惑してるっぽいんだけど……
『昼組の皆来てくれたんスね!』
この声はシゲさんか、あっちで戦いながら通信するって中々器用な事するわね……
『ちょい聞きたいんスけど、その中で藤吉が九尺(くしゃく)って名乗るの知ってる人いますかね?!』
は?藤吉さんが九尺と名乗る?どういう事?
「すまん、俺は初めて聞いたな……、司は聞いた事あるか?」
「いあ~、俺様も初めて聞きますわ~、シゲ~もしかして今藤吉が九尺って名乗ってんのか?」
「僕も初めて聞きます……、そっちの方で藤吉君に何があったか分からないかな?」
ここにいる皆はこの現象を見るのは初めてって事?
「シゲさん何ばおらびよっとさ!戦闘に集中しんしゃいさっ!」
『シゲさん何を叫んでいるんですか!戦闘に集中して下さい!』
だからどこの言葉よこれ……、って言うか通信機の内容聞こえてない?とか考えてたら藤吉さん?がヌ級を真っ二つにしてる、チェーンソーでやるとすっごくグロい!何かビチャビチャ飛んでるしぃ!
「これは輝が何か知ってるかもしれないが……、まだ起きないだろうな~……」
「光太郎さんそれは取り敢えずどっか置いておきやしょうよ、今は拠点守らないとヤバいんじゃないです?」
「……それもそうだな、取り敢えずこの件は保留して目の前の敵を何とかしよう、話はそれからでも出来るだろうしな、それじゃあ皆いくぞ!」
光太郎さんの号令に従って私達はもう半分くらいまで減った敵艦隊へ突撃を開始した
「あ~、こいであいどんの相手しよっぎんたぁ返り血で身体のじゅっくいなんにゃ~……」
『あ~、これであいつらの相手していたら返り血で身体がびしょびしょになるな~……』
何とか敵艦隊を殲滅し皆で浜辺に戻った時藤吉さんが言った言葉だけど、じゅっくいってなんなのよ……
「皆お疲れ~……、んでえ~っと九尺でいいんだったか?」
シゲさんが藤吉さんに尋ねる、多分藤吉さんに何が起こっているのか聞こうとしてるのよね?
「ん?なんしたと?」『ん?どうしたの?』
もういいうや、大人しく聞いていよう……
「九尺って何もんなんだ?唐突に現れてチェーンソー振り回して暴れてたが、俺達の仲間って認識していいのか?」
「おいの事ば聞きたかと?よかばい、いくらでん教えてやっけん。改めて名乗っぎんたおいは九尺、簡単に言うぎんたおいは藤吉の別人格になっとさ、輝さんの動ききらん時とか近くにおんしゃらん時に藤吉の痛か事ばしとうなか、されとうなかって思ったら表に出てこらるっとさ、仲間かどうかってとこは仲間って認識でよかよ」
『俺の事を聞きたいんです?いいですよ、いくらでも教えてあげますから。改めて名乗ると俺は九尺、簡単に言えば俺は藤吉の別人格になるんですよ、輝さんが動けない時や近くにいない時に藤吉が痛い事をしたくない、されたくないと思ったら表に出てくる事が出来るんですよ、仲間かどうかってとこは仲間って認識でいいですよ』
別人格ってマジですか……、確かに藤吉さんの紹介を輝さんにしてもらった時過去に酷い事をされたってのは聞いていたけど、別人格が出来るほどの仕打ちって一体……
「言いたい事は何とな~くニュアンスで分かるけど、それって一体何処の言葉よ?俺様が今まで1度も聞いた事無い単語がボコボコ出てきてるから気になっちゃってね~」
司さんが尋ねる、それ私も気になった!よく聞いてくれました!
「こい?こいは佐賀弁さ、何でおいが佐賀弁ばしゃべいよっとかはおいでも分からんです!やけんて藤吉に聞いても分からんと思うよ?おいはあいつが何ばしよっか把握でくっとけどあいつはおいが何ばしよっか知らんとさ、そいどころか藤吉はおいが存在しとっことば知らんはずやけんね」
『これ?これは佐賀弁だよ、何で俺が佐賀弁を喋っているのかは俺でも分からないです!だからって藤吉に聞いても分からないと思うよ?俺はあいつが何をしているのか把握出来るんだけどあいつは俺が何をやってるのか知らないんですよ、それどころか藤吉は俺が存在している事を知らないはずですからね』
佐賀弁……、『がばい』って言うのは聞いた事あるけどそれ以外は殆ど聞いた事がない……、てか今までの会話で1度も『がばい』って使ってなかったな~、すごいって意味みたいだけど何か違うのかな?
「そう言えば輝が動けない時や近くにいない時に出てこれるって言ってたが、輝はお前の事を知っているのか?」
「うんにゃ、おいの事ば知っとったとは悟さんだけやったよ、何でか分からんけど悟さんにおいの事のバレてしもうてね、時々カウンセリングばしてくんしゃぁけど中々出れる条件の揃わんかったい出てこれたとしてもおいの言葉のよぅ分からんごたぁで中々上手くいっとらんねぇ」
『いいえ、俺の事を知っていたのは悟さんだけでしたよ、何でか分からないけど悟さんに俺の事がバレてしまいましてね、時々カウンセリングをしてくれますけど中々出れる条件が揃わなかったり出てこれたとしても俺の言葉がよく分からないみたいで中々上手くいってないですね』
悟さんよく気付けたわね……、やっぱり専門が精神科だから?でも佐賀弁のせいでカウンセリングが難航してるって何とも言えないわ……
「まあ悟さんはおいば無理に藤吉と統合するつもりはなかて言いよんしゃったね、統合すっかどうかはおいが時期ば見て決めろて言いよんしゃったけんが、今はよんにゅ戦う事のあっけんまだおいのおった方が都合はよかろうねぇ」
『まあ悟さんは俺を無理に藤吉と統合するつもりは無いって言ってましたね、統合するかどうかは俺が時期を見て決めろと言ってましたから、今は沢山戦う事があるからまだ俺がいた方が都合はいいだろうねぇ』
確かに戦わないと生き残れないこの世界じゃ藤吉さんの性格だと生き辛いかもしれない……、藤吉さんが生きる為にも今は九尺さんの力が必要……何か複雑な気分……
「あ、もしよかぎんたぁおいの事は藤吉と輝さんには秘密にしとってもろぉてよかです?あの2人に迷惑ばかけとうなかけんね」
『あ、もしよかったら俺の事は藤吉と輝さんには秘密にしておいてもらっていいです?あの2人には迷惑をかけたくないからね』
九尺さんがそう言うと皆が頷く、私も頷いてはおいたけどやっぱり輝さんには伝えた方がいいんじゃないかな~?
まあそれは九尺さんが決める事か、私があれこれと口を挟む問題じゃなさそうだし
こうして、九尺の力を借りる事で藤吉も戦場に出れるようになった。但しその事を藤吉本人はまだ知らない……
後で聞いたけど九尺の名前は九尺藤から来てるんだとかなんとか、そんで武器のチェーンソーは藤吉さんが輝さんの手伝いする時に使う機会が多かったからだって言っていたわ、九尺はその作業見ててハラハラしてたみたいだけど……
取り敢えず訳付きは今回のみで、今後九尺のセリフは訳無し佐賀弁になります
何故佐賀弁かは作者の地元の方言+九州の外だと何言っているかがかなり分かり辛いからだったりします