プルートからグレートゼオライマースーツの扱い方を教えられ、教えに従ってその巨体を1歩前進させる事に成功した剛は、この後すぐに機体のデータ収集の為に伊吹の指示に従って機体を動かし、伊吹がグレートゼオライマースーツの微調整の為にに必要としていたグレートゼオライマースーツの基礎データを集め終えるのだったが……
「おっしゃ!これで必要なデータは全部揃いやしたっ!ホントお疲れ様ですわっ!!」
「あら……、これでお終いなの……?そう……」
伊吹が剛に向かってデータ収集が終わった事を告げたところ、剛は何処か煮え切らない様子で返事をするのであった
そんな剛の返事を聞き、伊吹や陽炎達が不思議そうな表情を浮かべていると……
「ついでだから自分用の実戦データも収集しておきたかった……、そんな事を考えていないかい?」
いつの間にかメタルウルフスーツを着込んだリチャードが陽炎達の歩み出て、グレートゼオライマースーツの中の剛に向かってこの様に尋ねるのであった
「流石はリチャード……、アタシの事をよく分かっているのね」
「そりゃそうさ、何たって僕は君の数少ない親友なんだからねっ!」
すると剛は薄っすらと笑みを浮かべながらこの様に返答し、それを聞いたリチャードはヘルメットの下でニカリと笑顔を浮かべつつ、剛に向かってサムズアップをしながらこの様に返事をするのであった
そう、リチャードが指摘した通り、剛は基礎データ収集の為の動作テストだけでは実戦の際の動作感覚は掴めない、基礎データと実戦データとの間に齟齬が発生するかもしれないと思い、何らかの形で模擬戦もやっておきたいと考えていたのである
これに関しては、動作テスト中にプルートに如何して模擬戦もやらないのか?と尋ねていたのだが……
【この機体はマスターが考えている以上に、非常に危険な機体となっております。もし仮に模擬戦を行い、何かしらの大きな事故が発生してしまう様な事態になれば、この機体は安全の為に解体せざるを得なくなってしまいます。ですので今は実戦データの事は気にせず、基礎データの収集に集中しましょう】
プルートはこの様に模擬戦の実施に反対し、剛に基礎データの収集に集中する様促したのであった
そんなの実際にやってみないと分からないだろう……、そんなプルートの返答に不満が湧き上がった為、剛は伊吹からのデータ収集終了宣言に対してあの様な返事をし、そこから剛との付き合いが長かったリチャードにその内心を見透かされてしまったのである
その後リチャードの提案により、グレートゼオライマースーツの一部の兵装の使用の禁止と、何かしらのトラブルが発生した場合、その責任は全てリチャードが背負う事を条件に、伊吹の制止を振り切るどころか伊吹をも巻き込んでグレートゼオライマースーツの実戦データ収集の為の模擬戦が敢行される事となるのであった……
こうしてリチャードと伊吹、更にグレートゼオライマースーツの性能に興味津々な陽炎と時雨の4人と、グレートゼオライマースーツを纏った剛1人による模擬戦を、ガダルカナル島付近の海上で行う事になったのだが……
「……っ!?この機体の装甲……、凄まじく硬い……っ!!」
キュクロープスに乗り込み、グレートゼオライマーの足元を縦横無尽に駆け回りながら、時雨はキュクロープスに搭載された4門の主砲と4門の機関砲から、ありったけの砲弾をグレートゼオライマー目掛けて浴びせたのだが、それでも尚微動だにせず、海上に悠然と浮遊するグレートゼオライマーの姿を見て、思わず舌打ちしながらそう呟くのであった
それから間もなくして、グレートゼオライマーはゆっくりと首を動かし、時雨の方へと何かよく分からない光球を中心に据えた顔を向ける。それを見て時雨は嫌な悪寒に襲われ、急いで後退しようとするのだが……
「ぐぅ……っ!?」
後退するのが少し遅かったのか、時雨は真っ直ぐ伸ばされたグレートゼオライマーの右腕に取り付けられた、顔のソレとよく似た光球から発射された光線の様なものの直撃を受け、時雨はキュクロープス諸共ガダルカナル島まで勢いよく吹き飛ばされてしまうのであった……
そうして時雨を退けたグレートゼオライマーは、次のターゲットを見つけ出す為に辺りを見回そうとするのだが……
「じゃいやあああぁぁぁーーーっ!!!」
その直後に、両手にパニッシャー改を携えた伊吹がグレートゼオライマーに雄叫びを上げながら飛び掛かり、グレートゼオライマーの首に両脚を巻き付ける事に成功した伊吹は、人間1人簡単に押し潰してしまう程の重量を持つパニッシャー改を、まるで曲調が激しい楽曲を演奏するロックバンドのドラマーの如く、何度も何度もグレートゼオライマーの頭部に叩きつけ……
「これで仕舞いじゃあああぁぁぁーーーっ!!!」
これでトドメとばかりに、魂の咆哮を上げながら両脚をグレートゼオライマーの首に巻き付けたまま、グレートゼオライマーの顔にパニッシャー改に搭載されたロケットランチャーの砲口を向け、そのまま引き金を引いて直径数百mの範囲を吹き飛ばす程の威力を誇るロケット弾を2発、至近距離からお見舞いするのであった
「これなら流石にダメージを与えられたじゃろうっ!!」
若干ボロボロになりつつも、ロケット弾の爆風を利用してグレートゼオライマーから距離を取る様に後方に吹き飛ぶ伊吹が、してやったとばかりにグレートゼオライマーの方へと視線を向けて叫ぶのだが……
「……やってくれたのうっ!!!親方あああぁぁぁーーーっ!!!!!」
あれだけの攻撃を加えて尚、煤が付いた程度のダメージしか受けておらず、相変わらず雄々しく聳え立つグレートゼオライマーの姿を目にした伊吹は、思わずそう叫ぶのであった……
確かに伊吹はこのグレートゼオライマースーツの開発に関わっており、その装甲の強度などもしっかりと把握し、どの様に攻めればダメージを与えられるかについても知っていた……。しかしそれはより高品質なものを追求する英吉郎の手によって、伊吹達が知らぬ間に強化改造が施された結果、伊吹が知っている数値から大きく変化、データを狂わされてしまっていたのであった……
その事にグレートゼオライマーと直接戦って気付いた伊吹は、そう叫びながら真っ直ぐガダルカナル島の方へと飛んで行き、途中で次元連結砲の追撃を浴びた結果、物の見事に砂浜に頭から突き刺さるのであった……
「……次元連結システムって、ホント恐ろしい代物ね……」
【分かって頂けましたか、マスター】
ガダルカナル島の方角に飛んで行く伊吹に向かって、腕を掲げて次元連結砲をお見舞いした剛は、その時の姿勢のまま思わずこの様に呟き、それを聞いたプルートは相変わらず淡々とした口調でこの様に返事をするのであった
今までのグレートゼオライマーの行動の中で、次元連結システムが関わっていると思われる行動は、精々別次元から取り出したエネルギーを集束させ、そのエネルギーをワープさせて敵にぶつける次元連結砲くらいだと思うところだろう
しかし実際はそうではなく、時雨や伊吹からの攻撃を受けた際、プルートが次元連結システムを使って装甲が受けたダメージの8割くらいを別次元に保管する事で、グレートゼオライマー本体へのダメージを極限まで抑え込み、挙句の果てにそのダメージをエネルギーに変換し、次元連結砲として使用出来る様にしてしまっていたのである。この事をプルートから解説された事で、剛は思わず先程の言葉を呟いたのである
因みにグレートゼオライマーの装甲が伊吹が察した通り英吉郎の手によって強化されていた事もあり、この2つの要素が絶妙に絡み合った結果、グレートゼオライマーは煤で汚れた以外、あれだけの攻撃を受けたにも関わらずほぼノーダメージであったりする……
【これ以外にも、次元連結砲よりもエネルギー放出量が大きい『メイオウ攻撃』や、その強化型である『烈メイオウ』なども存在しますが、今回の模擬戦では使用が禁止されています】
「……その2つはどのくらいの威力があるのかしら?」
【『メイオウ攻撃』の段階でツァーリ・ボンバの威力を超え、その強化型である『烈メイオウ』に至っては、衛星軌道上からも爆発の規模を観測可能なレベルとなっております】
「何で伊吹ちゃんはこんな恐ろしい物をアタシに託そうとしてるのかしら……?って言うか、山のナントカの核ミサイルなんて、その2つと比較したら可愛いものじゃない……」
このやり取りの後、プルートは『メイオウ攻撃』と『烈メイオウ』以外の禁止技……
①巨大な竜巻を幾つも発生させて相手を破壊する『デッド・ロンフーン』
②核ミサイルを発射した後、相手を地震で足止めすると同時に隆起などで相手を痛めつけ、相手が弱ったところで核ミサイルでトドメを刺す『アトミック・クエイク』
③自身の分身を生み出して相手を前後で挟み込み、前からはプラズマ火球光弾、後ろからは高出力のビームを叩き込む『トゥインロード』
④別次元から取り出したエネルギーをビーム砲の様な物に注ぎ込み、辺りの地形を変えてしまう程の威力を持つビームを放出する『Jカイザー』
⑤両肩にある小さな砲身から放出するエネルギーによって、相手を微粒子レベルまで分解してしまう『プロトン・サンダー』
これら5つの技がある事を剛に伝え、それを聞いた剛は急に発症した頭痛にその表情を歪めつつ、思わず溜息を吐き……
「貴方が模擬戦に反対した理由が、今ので痛いくらい分かったわ……。それと貴方の存在理由もね……、もし貴方がいなかったらこれらの恐ろしい技を、興味本位で使ってしまっていたかもしれないしね……」
【流石はマスター、理解が早くて助かります】
内心で痛む頭に手を添えつつこの様な事を言い、それを聞いたプルートは相変わらず淡々と、この様に返事をするのであった
因みに剛が実際に頭に手を添えなかった理由として、グレートゼオライマースーツのサイズの関係で、操縦システムにはフルメタル・パニック!に登場するアーム・スレイブの操縦システムである『セミ・マスター・スレイブ』と言うものが採用されており、迂闊に頭の中に思い描いた通りの動作を実際にやってしまうと、機体がその動作を増幅して追従する様にして動き、機体の頭部に強烈な張り手を自分でかましてしまう恐れがあったからだったりする……
さて、剛達がこんなやり取りをしている間に、リチャードと陽炎は砲撃の準備を整え、陽炎はペーガソスに取り付けられた10門のバーストセイバーから30発もの砲弾を発射し、リチャードはメタルウルフスーツに搭載された武器の全てを同時使用すると共に、自身の艤装であるサムソン、アドン、バラン、更にはアメリカ海軍やルルイエのディープ・ワン達が形成する防衛網を潜り抜けて、ガダルカナル島までやって来た強硬派深海棲艦達との戦いによって成長した能力の影響で増えたイダテン、ビル、ロイドにも一斉に砲撃させるのだが……
【致し方ありません、此処は次元連結システムを使ったワープでこの砲弾の雨を切り抜け、ワープの着地点を陽炎様の目の前に設定し、ワープが完了した直後に一気に懐に潜り込み、陽炎様のペーガソスにアッパーカット+エネルギー波を喰らわせつつ、追撃に備えてバリアを展開しながら次元連結砲でリチャード様を討ちましょう】
「……もう何でもアリ過ぎて、頭がクラクラしてきたわ……」
それにいち早く気が付いたプルートが、剛に向かってこの様な提案をし、それを聞いた剛は自身の理解を遥かに超えたその内容に、頭痛を通り越して眩暈を起こし始めるのだが、何とかそれに耐えつつこの様な事を呟き、プルートの提案通りに行動を起こして陽炎とリチャードを完封、正直あまり嬉しくない勝利を勝ち取るのであった……