※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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死の天使の覚醒

グレートゼオライマースーツの微調整を終えてガダルカナルから帰還した剛は、『レッドキャップ反応弾』のデータを譲ってくれた事に対しての礼を言う為に、そして始と山風の事を相談する為に、工廠にいるであろう空の下へ向かおうとするのだが……

 

「空さんですか?空さんなら剛さん達が戻って来るより少し前に、試したい事があるとか言って望ちゃんと夕立ちゃん、それに木曾さんと天津風ちゃんと電ちゃんを連れて出かけましたよ?」

 

「試したい事……?望ちゃんを連れて……?」

 

「ええ、詳しい事はちょっと分からないんですけど、何でもその試したい事と言うのが、望ちゃんに関係している事らしいんです……」

 

工廠に入った剛が空がいない事に気付き、近くで司令室に設置するものだと思われる装置を作っていた明石に空の居場所を尋ねてみると、話し掛けられた明石は作業の手を止め、空が現在出掛けている事を教えてくれるのであった

 

「空ちゃんは一体何をするつもりなのかしら……?」

 

何処か申し訳無さそうにしている明石に礼を言ってから、工廠を後にした剛は考え込む様な仕草をしながら、この様な事を呟きながら特警隊の詰め所の方へ、自分が帰還した事を他の隊員の皆に報告する為に向かうのであった……

 

 

 

 

 

一方その頃、外出していると言う空達は、一体何をしているのかと言うと……

 

「ふむ、10時方向に強硬派深海棲艦の艦隊を発見……、数は……、大体64隻と言ったところか……」

 

「結構な数がいるわね……」

 

「残念だが鬼級や姫級の影は無し……、只戦艦や空母はそれなりにいる様だ……」

 

「普通なら残念がるところじゃないんだが……、まあ今回の目的を考えたら、少し物足りない相手……、なんだろうな……」

 

鎮守府(張りぼて)を発ち、日本海側に到着したところで、艦載機を飛ばして強硬派深海棲艦の艦隊を探していた空は、ターゲットを発見すると少々残念そうにこの事を報告、それを聞いた天津風と木曾は複雑そうな表情を浮かべながら、それぞれこの様な言葉を口にするのであった

 

と、その直後、空は残念そうな表情から一転、真剣な面持ちをしながらやや緊張した様子の望の方へと顔を向け……

 

「いいか望、悟は3分が限界だと言っていたが、此処はリスクを減らす為に2分……、いや、1分半だ、1分半で全て片付けて来い。出来るな……?」

 

「は、はい……っ!」

 

望に向かってこの様な事を言い、それを受けた望は相変わらず緊張したまま、やや声を震わせながらこの様に返事をし、それからすぐに先程空が言った、敵艦隊の方角へゆっくりと歩み出ると、まるで精神統一でもするかの様に両目を閉じ、深呼吸を開始するのであった……

 

「空さん……、本当に大丈夫っぽい……?」

 

「正直なところ、断言する事は出来ん……。だが、これは望が望んでやっている事なのだから、俺達にとやかく言う権利は無いだろう……。尤も、俺がこれ以上は危険だと判断すれば、すぐに止めるつもりだがな……」

 

そんな望の様子を見守っていた夕立が、心配そうな表情を浮かべながら空に向かってこの様に尋ねると、空は変わらず真剣な面持ちのまま、腕を組みながらこの様に返事をするのであった

 

さて、空達がこの様なやり取りを交わしている間に、望の深呼吸のスパンが段々と短くなっていき……

 

「う"……っ!う"ぅ"ぅ"……っ"!!」

 

呼吸音の中にくぐもった呻き声が混ざり始め、それからしばらくしたところで……

 

「う"お"お"お"ぉ"ぉ"ぉ"ーーーっ"!!!」

 

遂に望がその双眸を開き、天を仰ぐ様に仰け反りながら、とても年頃の女の子が出さない様な、出してはいけない様な力強い咆哮を上げ始めるのであった

 

その直後から、望の身体に変化が起こる……

 

突如として望の身体から黒い粘性の高そうな液体が滲み出て来て、見る見るうちに望の身体を覆っていき、それは瞬く間の内に望の姿を、空達が初めて望と遭遇した時の様な、禍々しい姿に変貌させてしまうのであった……

 

いや、それだけでは留まらない……、右手のガントレットや左手の鉤爪付きの砲の外側に、以前見た時には存在していなかった、まるで鋸の刃の如く交互に振れて並ぶ3枚の大きな刃が出現したではないか……っ!

 

そうして一頻り叫んだところで、以前より禍々しさが増した姿となった望は、その血走った鋭い眼光を真っ直ぐ前に……、敵艦隊がいると言う方角へ向ける……

 

「う"があ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ーーーっ"!!!」

 

そしてまるで怒り狂った獣の如く叫びながら、常識ではとても考えられない様な、実際に目の当たりにしても信じる事が出来ない様な驚くべき速度で、望は敵艦隊がいる方角へと駆け出していくのであった……

 

 

 

さぁ、殺戮劇の始まりだ……っ!!

 

数十kmと言う距離をほんの数秒足らずで駆け抜けた望は、望の姿を見て動揺する艦隊の先頭に立つリ級に、その勢いを殺す事無く飛び掛かり、即座にその腕に新たに出現した3枚の刃を使い、その首を刎ね飛ばす

 

それによって望が敵であると理解したネ級が、望の方へと急いで砲を向けるのだが、その頃にはそこに望の姿は無く、ネ級が望を見つけるべく辺りを見回したその直後、視界が突然暗転すると同時に後頭部から両目にかけて激痛が走る……。そう、望はリ級を始末したその直後にネ級を標的に定め、彼女が自分に砲の狙いを定めようとしたその瞬間に、驚くべき速度で彼女の背後に回り込み、背後から左手の砲に付いた鉤爪をネ級の後頭部に、視神経と眼球を貫く様に突き立てたのである

 

当然これだけでは終わらない、望はネ級の後頭部に鉤爪を突き刺したまま、砲のトリガーを引いて砲撃を行い、ネ級の頭部を木っ端微塵に吹き飛ばしてしまうのであった

 

こうして望が大立ち回りを展開している間に、突然の望の登場で浮足立っていた艦隊は何とか体勢を立て直し、望を排除すべく行動を開始するのだが、それらも全て次の望の行動によって水泡と化してしまうのであった……

 

敵艦隊の狙いが全て自分の方へ向いた事を本能的に察知した望が、自身の胸の前で両腕を交差させ、全身に力を込めた様に僅かにその身を震わせた直後、何と望の両肩や両脇下からは右手と同じ様に鋭い爪が付いたガントレットを装着した腕が、背中からはまるで蛇腹剣の様な形状の触手が無数に生えて来たのである

 

この唐突な望の身体の変化には、この艦隊に所属する強硬派深海棲艦の誰もが驚愕し、思わず唖然としてしまうのであった。それが命取りになると、頭では理解していながらも……

 

「お"お"お"ぉ"ぉ"ぉ"ーーーっ!!!」

 

その直後である、望が本来の姿からはとても想像出来ない様な、あまりにも雄々し過ぎる咆哮を上げるや否や、背中から生えて来た触手達が一斉に動き始め、次々と強硬派深海棲艦達に襲い掛かるのであった

 

ある者は何本もの触手に身体のあらゆるところを貫かれ、ある者は巻き付いて来た触手に全身を締め上げられて骨と言う骨を粉々に砕かれ、ある者は触手の蛇腹に肉を幾度となく削り取られ、ある者は鞭の様にしなる触手に輪切りにされる……

 

こうして望の登場から45秒が経過したところで、辺りに鳴り響いていた断末魔の悲鳴も静まり返り、64隻もいた強硬派深海棲艦達はその全てが見るも無残な姿となって、仄暗い海底へと沈んで逝くのであった……

 

 

 

\うわぁ……/

 

その様子を空の艦載機から送られて来た映像を映し出すタブレットを用いて見守っていた木曾達は、あまりにもグロテスク過ぎる望の戦い方にドン引きし、引き攣った表情を浮かべながら、掠れた声で思わずそう呟くのであった……

 

その傍らでは……

 

「これでようやく望の能力が分かったな……。しかしあの姿と言い、あの戦い方と言い、余程望はこれを気に入った様だな……」

 

空が納得した様な表情を浮かべ、手にしたある物を見つめながら、この様な事を呟いていたのであった

 

そんな空が手にしていたのは、最近空が特撮同好会の集まりの為に購入した、『仮面ライダーアマゾンズ SEASON2』のブルーレイ版のパッケージなのであった……

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