※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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待ち人来てくれる(らしい)

「こう言った事があって、俺は望の能力は身体が受けた刺激を基に突然変異をするものだと推測するに至り、この推測が正しいものである事を実証する為に、悟と相談して今回のテスト戦闘を実行する事にしたんだ」

 

「望の能力に当たりを付けた経緯や、今回のテスト戦闘を実行しようと思った理由は分かったんだが、如何してシゲさん達はそんな馬鹿みたいな事望にやらせたんだよ……?」

 

空から今回のテスト戦闘や望の能力に関する話を聞いた木曾は、空の話の中に登場したシゲ達に呆れ返りながら、思わずこの様な言葉を口にするのであった

 

尚、望が護に複数箇所同時サブミッションを実行した経緯だが、割とアッサリと望の能力に当たりを付ける事が出来た空とは裏腹に、シゲ達の方では幾ら話し合いを重ねてもこれだ!と思う様な意見が出て来ず、時間だけが無駄に経過するだけで話し合いは行き詰まり、辺りに微妙な空気が流れ始めたのだそうな

 

そしてその状況を打破するべく、シゲ達は翔の提案で休憩を取っていた訳なのだが、その最中にふとシゲが触手以外にも何か出せないのか?と思った事を何となく尋ね、それを受けた望が何か出てこないか試してみたところ、件の腕がズルリと生えて来たのだそうな……

 

その様子を見た面々は、一瞬ギョッとしたかと思うと……

 

「まるでアシュラマンみてぇだな……」

 

「そう言えば中国神話に登場する、蚩尤と言う神様も6本腕だったそうですね……」

 

「ごめんね望ちゃん……、僕が真っ先に思いついたのは姦姦蛇螺だったよ……」

 

「マフェットちゃんも6本腕だった事を忘れてもらっちゃぁ困るッスねぇ」

 

「如何して特撮同好会なのに、誰もMUTOの名前を出さないのか……」

 

それぞれこの様な言葉を口にしたのだとか……

 

この出来事によって、シゲ達は望の身体から触手や腕が生えて来た事などどうでもよくなってしまい、代わりに望がこの腕達をどのくらい自由に扱う事が出来るかについて調べる事にしたのだそうな

 

この時護が攻撃対象になったのは、現在長門屋鎮守府(張りぼて)の共用資金となっているアクセルから貰った資金の残りが若干減っている事が、厨房の仕事以外にも主計の仕事も担当している翔の調べで発覚、その事を知った翔の依頼で特警隊の副隊長である通が捜査を行った結果、護の部屋から長門屋名義で購入されたゲーミングPCとその領収書が見つかり、共用資金横領の犯人が護であった事がこの場で明らかになったからである

 

因みに護が横領を働いた理由は、横須賀にいる間に普段から護が装備しているHMD型PCのむせる君の強化及びメンテナンスや、同人ゲーム製作用の超ハイスペックPC購入、南方海域にいた頃に打ち上げた人工衛星群が経年劣化で性能が落ちたり、スペースデブリなどで破損した時に備えての貯金などで懐が極寒になっているところに、イオッチから自分専用のゲーミングPCを要求されたからなのだそうな……

 

そうして護が横領事件を起こした理由を知ったメンバーは、それはもう何とも言えない表情をしていたのだとか……。何せむせる君と人工衛星はこれまで何度も長門屋の面々を助けてくれている為、それらが故障して使えなくなってしまうと非常に困る事は誰もが良く知っており、どうしても文句を付ける事が出来なかったのである

 

更にゲーム製作用PCについても、護達が作る同人ゲームが現在の最大勢力である穏健派連合のトップであるリチャードとの交渉に使える品である事が、戦治郎達が南方海域に到着した際に発覚しており、護達が高品質な物を作れればこちらの多少無茶な要求も呑んでもらい易くなる可能性が考えられる為、それを無碍にする事が出来ないと誰もが分かっているから、こちらに関しても誰も何も言えなかったのである

 

そして最後にイオッチ用ゲーミングPC……、こちらはクトゥルフ並の古参旧支配者であるイオッチのご機嫌取りの為には、どうしても必要な品である事は分かり切っている……。もしここをケチってしまえば、長門屋の面々は今後イオッチの助力を得られなくなってしまうかもしれないので、それを避ける為には必要な物であると皆心の中で割り切るのであった……

 

ただまぁ、だからと言って護が無罪放免になるかと言えばそんな事は無く、取り敢えずケジメをつける為に殴られろと言う事で、護は望から複数箇所同時サブミッションを受ける事となるのであった

 

尚、例の光景を目の当たりにした空は、細かい理由など一切聞かずに、シゲと光太郎に思いっきり拳骨をかまし、床と家の土台をブチ抜いてシゲと光太郎の首から下を地面に埋没させ、翔と通から理由を聞いた後は護も同様に埋没、後日その3人に自宅の修復を厳命したのだそうな……

 

「只、これで1つ分かった事がある。如何やら腕と触手に関しては、追加装甲や鉤爪などとは違い狂戦士状態にならなくても使える様なんだ」

 

当時の事を思い出しながらシゲ達の行動理由を木曾に説明し終えた後、空はそう言って言葉を続けるのであった

 

望の話を聞いたところによると、彼女はアマゾンズの例のシーンを見た時、自分にもこのような力があれば、後方で前線で戦う皆の援護をするだけでなく、皆と同じ様に前線で戦えるのではないか?もしそうなるのであれば自分もこの様な力が欲しいと、心の片隅で思ったのだそうな

 

「追加装甲や鉤爪に関しては、恐らく元アムステルダム泊地の提督に洗脳されている間……、望に自由意思が存在していない時に発現した物である為、望自身が欲しいと願って発現した腕や触手ほどの自由度がないのかもしれんと、俺はそう考えている」

 

「成程な……、じゃあ今回のテスト戦闘は……」

 

「自由に操れる触手と腕を、狂戦士状態でしか使えない追加装甲と鉤爪と併用出来るかを調べる為と、その様子を悟に確認してもらう為の映像データの撮影する事が中心となっている。恐らく今、護が自室で映像データの圧縮し、悟のPCに送信しているところだろうな」

 

このやり取りの後、木曾は納得した様な表情を浮かべながら、小刻みに頷いていたのだったが、空の方は何か難しそうな表情を浮かべながら、考え込む様な仕草を取るのであった

 

それを不審に思った木曾が、空にその理由を尋ねたところ……

 

「いや、確かに望は望んだ通りに俺達と同じ様に、最前線に出て戦闘を行う力を得たのだが……」

 

「あぁ……、例の臓器か……」

 

「あぁ……、それがあるせいで望は、長時間最前線で相手のヘイトを稼ぎながら、可能な限り相手を撃破すると言う、俺達がよく使う戦術が使えないと言う問題があるんだ……」

 

「今の表情は、それの解決方法を考えてたってところか?」

 

「そんなところだ……」

 

それからしばらくの間、この様なやり取りを交わした空と木曾は、薬物に対しての専門的な知識を持ってない者なりに、望の例の臓器の問題を解決する方法を模索する様に考え込んでは意見交換をする……

 

そして……

 

「駄目だ、医療にそこまで詳しくねぇ俺じゃあ全く解決方法を思いつけねぇ……。こんな時に悟さんみてぇに、薬に詳しい奴がいたら……」

 

「悟は薬に対しての知識はあるが、それを実際に作り出す薬剤師としての技術は……っ!?」

 

問題の解決方法を思いつけなかった木曾が、悔しそうにこの様な事を呟き、それに対して空が何かを言おうとしたその時、空は木曾の呟きから過去に遭遇したある男の存在を思い出し、思わず発しようとしていた言葉を止め、目を見開くのであった

 

そんな空の脳裏に浮かんだのは、自身の掌からダラダラと、自身の能力によって改良したと言う高速修復材を垂れ流す集積地棲姫……、いや、集積地棲姫の転生個体である積 始の姿なのであった……

 

「あいつの力を借りる事が出来れば、望の臓器の問題も解決出来るのではないか……っ!?」

 

「あいつ……?」

 

そう呟く空の姿に向かって、怪訝そうな表情を浮かべる木曾は、思わずこの様な事を呟き、それを受けた空は始の事について、自分が知っている限りの情報を用いて説明し、それを聞いた木曾も空の考えに同意するのであった

 

そうしている内に望のメディカルチェックも終了し、望の身体に異常が確認されなかった事を天津風から報告された空は、すぐさま鎮守府(張りぼて)に帰還する事にし、この場を後にするのであった

 

そして鎮守府(張りぼて)に戻って来た空が、始の事でリチャードに連絡を入れる為に自室のPCを起動したところで……

 

「空ちゃん、ちょっといいかしら?」

 

空が帰って来た事を知った剛が、空の部屋に尋ねて来るのであった

 

そんな剛に目もくれず、空がPCを操作してリチャードを呼び出そうとした時、剛の口から空からしたら思い掛けない言葉が飛び出し、空は思わずマウスを動かす手を止め、剛の方へと驚愕の表情を向けるのであった

 

「今すぐって訳じゃないんだけど、以前空ちゃんが助けた集積地棲姫だったかしら?その転生個体の積 始って子が、その子が助けたって言う山風ちゃんと一緒にウチに所属したいって言ってるんだけど、2人を受け入れるにあたって何か特別な手続きとかって必要なのかしら?」

 

「何……だと……っ!!?」

 

このやり取りの後、剛は空に自分と始の関係や、始の現状などについて説明し……

 

「始についてもっと色々と尋ねたい事はありますが、始の加入希望はこっちとしては願ったり叶ったりなので、例えどんな事があったとしても、あらゆる手段を使ってでも始をウチに加入させようと思います」

 

剛の話を聞いた空は、即座にこの様に返事をするのであった

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