※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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相手の情報をブッコ抜け!大至急だっ!!

戦治郎達がお互いを理解し合う為の雑談を開始してからしばらくして……

 

「さて……、取り敢えずこれで俺達はある程度お互いの事を知る事が出来たと思うんだが……、ここで改めて聞かせてくれ」

 

「何じゃ?急に改まって……」

 

「おめぇさん、俺と会うまでは選抜演習を辞退しようと考えてただろ?そこはやっぱまだ変わらねぇのか?」

 

戦治郎が日進に対して、まだ選抜演習を辞退するつもりでいるのかについて確認を取ったところ、日進は少しだけ考え込む様な素振りを見せた後

 

「選抜演習辞退の件じゃが、お前さんの事を信じて撤回しようと思っちょる。お前さん達がやっちょった長門屋海賊団じゃったか?その話を聞いて普通に考えたらとても纏められそうに無い様な連中を纏め上げ、欧州から旅立ち、被害を最小限に抑えながら日本に辿り着いたっちゅうお前さんの指揮官としての実力に興味を持ったからのう。そんなお前さんなら、わしの正体を公衆の面前に晒さない様にしながら、選抜演習を成功させられそうじゃからのう」

 

「そこはあんま期待しねぇでくれ……、俺は祖父さんから教えられた組織運用に関する知識の応用と、この姿になる前に蓄えて来た艦これに関する知識、後は横須賀での予習のおかげで此処までこれた様な奴だからな。同じ提督科に在籍する勉や三原みてぇな、ガチの軍事関係の才能を持つ様な連中には及ばねぇ所とかあっからな……」

 

戦治郎に向かって抜演習辞退を撤回する事を告げると同時に、戦治郎の指揮官としての能力に期待していると言う旨を伝え、それを聞いた戦治郎は苦笑しながらこの様に返事をし……

 

「それは人によっては嫌味に聞こえるかもしれんぞ?先程のお前さんの発言を聞く限り、お前さんは自分に出来る努力を可能な限り積み重ね、天賦の才を持つ者達と肩を並べられていると受け取れるからのう。確かに謙遜は美徳かもしれんが、場合によっては人を傷つけかねんから、発言には注意した方がええと思うぞ?まあそれはそうとしてじゃ、それだけ努力が出来ると言うもの才能の1つじゃろう、お前さんはもっと胸を張ってええとわしは思うぞ?」

 

戦治郎の返事を聞いた日進は、先程までの暗い表情から一転、何処か悪戯っぽい笑顔を浮かべながらこの様に言葉を返すのであった

 

彼女のこの様な表情の変化には、恐らく自分と似た様な立場の存在がいる事が判明し、これまでの様に独りで思い悩む必要が無くなったから、心の重圧がかなり軽減したからではないかと考えられる

 

こうして日進を味方に引き込む事に成功した戦治郎だったが、選抜演習に参加するにあたって少々気になる事があった為、彼女に対してとあるお願いをし、それを受けた日進は不思議そうな表情を浮かべながらそのお願いを聞き入れ、戦治郎にとある物を貸し与えるのであった

 

そしてそれを受け取った戦治郎は、すぐさまそれに目を通し始め……

 

「日進……、甲……?」

 

「あぁ、それか……。それはわしが稚内から広島に戻った後、ボロボロになっちょった艤装を修理に出した時、業者から甲標的母艦への改修が出来る様になっちょるっつう知らせを受けて、出来るならやっちょってくれと頼んだところ、本当に艤装が改修された状態で戻って来たんじゃよ……。如何してそないな事になったんか、わしも全く分からんのじゃがなぁ……」

 

それを手に難しい表情をしながら戦治郎がそう呟くと、日進はそれに関する明確な答えを出せない事に申し訳なさを感じたのか、困惑と後ろめたさが綯交ぜとなった様な表情を浮かべ、戦治郎に向かってこの様な言葉をかけるのであった

 

現在戦治郎が見ているもの……、それは日進の艤装のマニュアルの様な物で、日進と言う艦娘の事を全く知らない戦治郎は、選抜演習の際に日進にどの様な立ち回りをさせればいいのかを考える為の材料を得る為に、彼女の艤装のマニュアルを貸してもらい、彼女の艤装が一体どの様な仕様のものであるか、どのくらいの基本スペックを持っているのかを確認する事にしたのである

 

そうして貸してもらったマニュアルの、艤装の名称と型式番号が書かれた欄に、明らかに艦娘候補生が持つのは異常であると思える様な名称が書かれていた為、戦治郎は思わずあの様な言葉を口にしたのである

 

尤も、この現象が発生してしまった理由については、戦治郎はこれまでの経験でよく知っていた為、これについては日進に簡単にその原因を説明する程度に話を留めるのであった

 

因みにこの現象、黄泉個体化した日進自身の身体スペックが、熟練の艦娘のそれの数値を大きく上回ってしまった為に発生してしまった現象だったりする

 

それからしばらくして、日進の艤装のマニュアルに目を通し終えた戦治郎は、先程よりも深刻そうな表情を浮かべながら、考え込む様な仕草をし始めるのであった

 

(日進の艤装……、元々のスペックが俺が想像してたより高ぇ……。これに黄泉個体化ブーストがかかってっから、あの成績を叩き出せたのかもな……。これはまあ、こっちとしては嬉しい限りの事なんだが……)

 

「如何したんじゃ戦治郎?突然そんな難しい顔をしおって……」

 

そんな戦治郎がこの様な事を内心で呟いていると、戦治郎の様子を見ていた日進が、怪訝そうな表情を浮かべながら戦治郎に対して何事かと質問し、それを受けた戦治郎はすぐさま我に返ると、この様に返事をするのであった

 

「いやな……、おめぇの艤装って俺からしたら全くの未知の艤装な訳なんだが……、俺が思っていたよりもその艤装が強くてな……、んでその関係でちょっち気になる事が頭を過ったんだわ……」

 

「ほう?その気になる事とは?」

 

「実はイタリア海軍の主力艦隊の中に、俺にとって未知の艦娘が4人くらいいるんだわ。んで、おめぇの艤装が俺の想像よりハイスペックだった事から、もしかしたらそのイタリア海軍の未知の艦娘の艤装のスペックも、俺の想像より上である可能性があるかもしんねぇって思ってなぁ……」

 

「成程のう……、それは確かに気になるところじゃな……」

 

このやり取りの後、戦治郎はこの件について調べる事を決定し、日進と自分の仲間達に日進の事を紹介する為に、今日の夜にいつもの浜辺に日進を連れて行く事を約束すると、日進の部屋を後にして自室に戻り、先ずは件のイタリア海軍と戦ったと言うアクセルとセオドールに連絡を入れてその時のデータを譲ってもらい、その次に護に連絡を入れ、イオッチと協力してイタリア海軍のメインサーバーにハッキングを仕掛け、イタリア海軍がアクセル達に見せていないであろうデータを、大至急でブッコ抜く様に指示を出すのであった

 

それからしばらくして、3種類のデータを手に入れた戦治郎は、すぐにそれらのデータを照合する作業を開始し……

 

「中々小賢しい真似してくれんなぁ……、イタリア海軍さんはよぉ……。はぁ……、マジで調べておいて正解だったな、この件はよぉ……」

 

データの照合作業を終えた戦治郎は、その結果を目にすると渋い顔をしながら、溜息交じりにこの様に呟くのであった

 

戦治郎がこの様な反応を見せた理由……、それは軽巡であるアブルッツィとガリバルディのデータに、ちょっとした欺瞞が仕込まれていたからであった……

 

少し踏み込んで説明すると、アクセル達のデータ上ではこの2人は3スロット分しか兵装を積んでいなかったのだが、護達がブッコ抜いて来たデータ上ではその2人は夕張や大淀と同じく4スロットの軽巡であった事が判明したのである

 

これについては、アクセル達の演習の後に改修が行われ、スロットが増えたのではないかと考えられるところだが、残念ながら護達が奪って来たデータの日付は、アクセル達と演習を行った日付よりも前のものであった為、イタリア海軍が演習の際3スロット分しか兵装を積まなかった事は、故意である事が確定するのであった

 

そして4スロである事を加味したその2人のスペックは、一部の重巡改クラスに匹敵するものがあったのである

 

「身近なイギリスとドイツには弱いアピールしておいて、何かあった時にはすぐに力を貸してもらえる様にしておいて、遠く離れた日本には舐められない様に全力……、いや……、艦娘大国の日本だからこそ全力で戦って勝ちをもぎ取って、自分達が本当は最強って事アピールしようって魂胆か……?アクセル達に敗北したのは、アクセル達が俺と繋がっている事を事前に知っていたから、わざと負けて偽のデータを俺に掴ませ、それに踊らされた俺達をボッコにして、そこから煽りを入れて長門達を引きずり出して戦うつもりとか……?ちきせう、不安のせいかネガティブな事しか考えられねぇ……。如何かこの予想は外れて欲しいモンだなぁ……」

 

未知の艦娘が多いイタリア海軍との演習に対して、不安になってしまったのせいなのか、あまりよろしくない事ばかり思い浮かぶようになってしまった戦治郎は、思わず両手で自身の顔を覆い隠しながら、先程よりも深い溜息を吐きながらこの様な事を呟くのであった……

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