※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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マフィア出身の総司令官 その6

イタリア海軍の情報がふんだんに詰まったスーパーコンピューターに侵入したと言う神話生物の目的を探るべく、ロッソ達はこの部屋とは別の部屋から拝借して来たノートパソコンをスパコンに接続し、件の神話生物の痕跡探しを開始するのであった

 

因みにこの部屋にスパコンを操作する為の専用端末を置いていない理由は、駆逐艦艦娘達の悪戯のせいでデータを破損したりしない様にする為、そして外部から来た人間が簡単にスパコンにアクセス出来ない様にする為である

 

組織の下っ端時代、様々なものの電子化に伴ってボスが雇ったクラッカーと共に仕事をする機会があった事で、仲良くなったクラッカーからパソコンの扱い方のイロハを教えてもらっていたロッソは、膨大な情報の海から神話生物の痕跡を見つけ出す為にデータを1つ1つ確認していくのだが、それらしいものを見つける事は全く以て出来ないでいたのであった

 

まあこれは仕方ない事であろう、この時点でのロッソ達は侵入者は神話生物だけだと思っており、件の神話生物ことイオッチと共にハッキングに参加している怪物クラスのハッキング技術を持った護が、自分達の不正アクセスをイタリア海軍に感知させない様にする為にカムフラージュを施しているなどとは思ってもいなかったのだから……

 

それでも何かしらの手がかりを得ようと、ロッソがパソコンを操作してデータの確認作業を行っていたその時である

 

「待ってロッソ!それっぽいの見つけたかもっ!」

 

不意にニィ=ラカスがそう叫び、それを聞いたロッソは慌ててパソコンを操作する手を止め、ニィ=ラカスに痕跡が残っているらしいと言うそのデータを確認してもらう

 

そのデータはロッソが調べた限りでは、護によるカムフラージュが施されていた事もあって、抜き取りなどされた様には見えなかったのだが……

 

「ロッソには分かんないと思うけど、侵入者が抜き取ったと思われるデータに、粘液みたいなのが付着してるんだ。んでこんな真似が出来る奴の中で粘液で身体を覆っている神話生物と言うと、過去にヨグ義兄の誘いを断った事がある旧支配者、イオドくらいしかいないんだ」

 

外なる神であるニィ=ラカスの目には侵入者であるイオッチの痕跡である粘液がハッキリ見える様で、それを聞いたロッソが粘液が付着していると言うデータを調べたところ、如何やら抜き取られたと思わしきデータは、イタリア海軍の人員名簿や名簿に記載された人物の学歴や病歴を含む個人情報、更には艤装や兵装に関するデータばかりだった事が判明するのであった

 

「イタリア海軍(ウチ)の人間と兵器関連のデータが目的か……、この手の情報を現在一番欲しがっているところ言やぁ……、今度演習する事になってる日本の軍学校か……?ったく……、そこにはとんでもねぇ奴がいるみてぇだな……」

 

「僕としては如何してイオドが日本の軍学校に手を貸してるのかが気になるね……。もしかしたらその軍学校に、例の神話生物の胃を掴んじゃう人がいて、その人がイオドをこちらに嗾けて来たのかも……」

 

抜き取られたデータが判明すると、ロッソ達はこの様なやり取りを交わした後、日本のこの行動の意図やイオドが日本に手を貸している理由などについて議論を交わすのだが、この時点では日本についての情報が少な過ぎるが故にそれらしい推論すら出す事も出来ないでいた……

 

神話生物すらも駆使して情報集めを行う日本をこのまま放置するのは良くない、そう考えたニィ=ラカスは意を決し、手持ちの札の中でも最強の切り札を切る事にするのであった。そんなニィ=ラカスの切り札が何なのかと言うと……

 

「ちょっと賭けになっちゃうけど、日本の情報を集める為にヨグ義兄さんの所に行って来るよ……っ!あの神格(ひと)は何でも知ってるから、恐らく日本の事も知ってると思うから……っ!!」

 

「待てニィ=ラカス!それじゃあ最悪おめぇが姉ちゃんに見つかっちまうかも……っ!」

「それでもっ!!日本が変な気を起こしてイタリアに攻めて来る可能性が考えられる以上、日本の事を知って対策を練る必要があるだろうっ!?その為にも僕はヨグ義兄さんから日本の情報を手に入れる必要があるんだっ!!それにもし本当に日本と戦争になって、それでロッソ達がいなくなっちゃうなんて事……、僕は絶対に認めない……っ!!!」

 

ニィ=ラカスは自身の義兄であり魔王アザトースの腹心、『全にして一、一にして全なる者』の二つ名を持つクトゥルフ神話における最高神であるヨグ=ソトースから、日本の情報を引き出すと言い出し、それを聞いたロッソがその際にニィ=ラカスがシュブ=ニグラスに見つかり戻ってくれなくなってしまう事を危惧し、慌ててそれを制止しようと声を上げるのだが、ニィ=ラカスの決意は固く、ロッソの言葉を遮ってまでその必要性を説き、それを聞いたロッソはニィ=ラカスの意志を尊重する事にし、ニィ=ラカスはロッソの胸から飛び出して来た魔法陣を通ってヨグ=ソトースの下へと向かうのであった

 

その後、この場に残っていてもどうしようもないからと、ロッソは執務室に戻ってニィ=ラカスの事を待ちつつ途中で投げ出してきた書類作業をしようと考え、コンピュータルームを出て執務室へと足を運ぶのだが……

 

「提督……、仕事をほっぽりだして何処で何をしていたんですか……?」

 

戻った先にはいつの間にか帰還していたリットリオとローマの姿があり、ローマは腕を組んで仁王立ちしながらロッソに向かってこの様に尋ね、リットリオは何処か不機嫌そうにロッソにジットリとした視線を送っていたのであった

 

「いや、ちょっと緊急事態が発生してだな……」

「黒山羊と一緒に基地内をランニングする事が緊急事態とでも言いたいのですか?!」

 

「黒山羊とランニングって……」

「基地内の誰もが、黒山羊と並走する貴方の姿を目撃していますっ!!これは如何弁明するつもりですかっ!?」

 

ロッソが執務室を離れていた理由を口にしようとする度に、ローマは青筋を立てながらロッソの言葉を遮って質問を繰り返し、こりゃ駄目だと思ったロッソは視線でリットリオに助けを求めるのだが、ロッソが執務室で大人しく書類作業を進め、頑張って任務をこなして来た自分達を温かく出迎え、いの一番で自分に労いの言葉を掛けてくれるであろう事を期待していたところをこの様な形で裏切られ、不機嫌になってしまったリットリオはロッソの視線に気付くと、唇を尖らせながらそっぽを向いてしまうのであった……

 

さて、この状況をどうやって打破するか……。ロッソがその様な事を考えた直後、ロッソの胸の刻印が突然妖しく輝き出し、それを見たローマは突然の出来事に大いに驚いてロッソの傍から飛び退き、この光景を何度か目にした事があるリットリオは、咄嗟に執務室の扉を閉めて鍵を掛ける。それから大して間も空けず、ロッソの胸から魔法陣が飛び出し……

 

「分かったよロッソ!!今の日本どころか世界全体の状況と日本とイオドとの関連性がっ!!!」

 

「でかしたニィ=ラカスッ!!!でもまぁ……、しでかしてもいるんだけどな……」

 

「ニィ=ラカスさんの様子から、緊急事態と言うのは本当だったんですね……っ!」

 

その魔法陣からニィ=ラカスが飛び出して来るなりこの様に叫ぶと、ロッソはニィ=ラカスの言葉に思わず歓声を上げるのだが、目の前で放心状態になっているローマの姿に気付くと苦笑しながらこの様に言葉を続け、ニィ=ラカスの様子から事態を察したリットリオはこの様に呟いた後、ロッソから事情を聞き、彼に対してそっけない態度を取ってしまった事を謝罪するのであった

 

その後ロッソ達は我に返ったローマに対し、ロッソが艦娘達にセクハラをする理由を含めて事情を話した上でこの事は口外しない様にと釘を刺し、ローマがそれを了承したところでニィ=ラカスが持ち帰った情報を聞こうとするのだが……

 

「ただこの情報……、開示する為の条件をヨグ義兄さんから付けられてるんだ……」

 

「条件?」

 

ニィ=ラカスは戸惑いながらこの様な言葉を口にし、それを聞いたロッソは不思議そうに条件とやらについて尋ねるのであった

 

「条件って言うのは情報を提供する代わりに僕をイタリア海軍に所属させる事、これに如何言う意図があるか分かんないけど、ヨグ義兄さんが何か企んでいるのは間違いないと思う……」

 

「ホントヨグ義兄さんの意図って奴が分かんねぇな……、けどまぁ、その条件ならこっちとしては嬉しい限りなんだが……、おめぇとしてはどうなんだ?」

 

「ロッソが良いのなら……」

 

「なら決まりだっ!」

 

件の条件を聞いたロッソは、ヨグ=ソトースの企みについては取り敢えず置いておき、そう言って外なる神ニィ=ラカスを正式にイタリア海軍に所属させる事を決定し、彼に参謀の地位を与えるのであった

 

その後ロッソ達はヨグ=ソトースから提供された情報により、今の世界の本当の情勢や転生個体の詳細について、転生個体の出現によって神話生物達の活動が活発化した事、ドイツやイギリスなどの今の世界の主要国家は目の前の深海棲艦以上にそちらの方を警戒し準備を進めている事、そしてそんな主要国家を結託させている人物である戦治郎の事を知るのであった

 

「この戦治郎って人が、今現在提督になる為に通っている江田島軍学校と演習する事になっているウチの艦娘とその艤装に関する情報を集める様にって、自分の部下とその人の相棒になったイオドに情報収集を指示したみたい」

 

「……ドイツとイギリス、そして日本はこいつと俺達を戦わせる事で、俺達を味方に引き込もうってハラなんだろうな……。まぁ世界情勢から考えっと悪ぃ話じゃねぇが……、個人的にはこの世界の現状を打破する為の重要人物だろうと、実際に会った事もねぇ何処の馬の骨だか分かんねぇ様な奴に、偉そうにされんのはどうしても気に食わねぇんだよなぁ……」

 

「その口振りからすると……、その戦治郎さんと言う方を試すつもり……?」

 

「あぁ、そいつの指揮官としての能力だけでなく、他の部分についてもな……」

 

「じゃあそう言う流れを作る為の台本を、僕の方で作っておくよ。後、どうせロッソの事だから演習当日にステゴロで勝負を挑むだろうから、その時は少し手伝わせてもらうよ。なんたって相手は対神話生物用に強化された転生個体だから、ロッソ自身にも何かしらバフを与えてないと勝負にならないだろうからね」

 

「ロッソ……、あまり無茶はしないでくださいね……?」

 

こうして戦治郎の事を知ったロッソは、戦治郎がどの様な人物であるか試す事を決め、ロッソの言葉を聞いたローマ、ニィ=ラカス、リットリオは思い思いに言葉を口にするのであった

 

 

 

因みに今回の件で自身を守る為の粘液が仇となった事を知ったイオッチは、粘液がデータに付着しない様にする方法について護と話し合い、その結果ハッキングの際は護が作り出した特殊スーツを身に纏って作業する事になり、ある事件を切っ掛けにイオッチはデータの海の中で電光超人ならぬ電光超神としてヒーロー活動をする事になるのだが、詳細についてはもっと先の未来で話す事になる模様




イオッチの特殊スーツのモチーフは、SSSS版のグリッドマンとなっております
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