モルディギアン改めシャーマンを配下に置く事に成功した空が、地上に残った艦娘達に結果報告をする為に先に帰還した翔達と合流すべくシャーマンを連れて地上に戻ると、まるでタイミングを見計らったかの様に食堂の明かりが消え、中から複数の影が出て来るのであった
そしてその影達が工廠の方へと向かっている事に気付くと、空はその影達の正体が翔達であると確信し、彼らと同じく自分の部屋がある工廠へ向かうのであった
「むっ、空か……、話は翔から聞いているのだ。今回は大変だったみたいだな……、こんな事になるならば我もついて行くべきだったのだ……」
「いや、多分お前は残っていた方が正解だったはずンゴ。話を聞いている限りだと納骨堂内部は結構狭くて、お前の本領を発揮出来る様な場所じゃなかったはずンゴ」
「ああそうだな、あの場所でゾアに戦闘形態になられてしまうと、その場にいる全員がお前の身体と壁に挟まれ、仲良く圧死していただろうな……」
それからすぐに空が翔達に近付くと、空の気配を察知したのか翔達と食堂で合流したと思われるゾアが悔しそうな表情を見せながら空に話し掛け、それにしていつの間にか鎮守府(警備府)に戻り、翔達と合流していたイオッチがこの様に言葉を続け、それを聞いた空はゾアの身体と納骨堂の壁に挟まれ、すり潰されていく自分達の姿を想像しながらこの様に返答するのであった
「お疲れ様です空さん、こちらの方はシゲが帰還中に何とか独りで歩けるくらいまで回復してくれたおかげで、艦娘達の不安を煽る様な事にならない様に説明する事が出来ました」
「その後は時間が時間だったんで、皆部屋に戻って寝る様に指示を出しておきました」
「一応自分のレーダーとシゲの熱源感知を使って、部屋を抜け出してる艦娘がいない事も確認済みッス」
空と長門屋所属の神話生物達のやり取りが終わったところで、翔達が空がいない間の鎮守府(警備府)の様子について報告を行い、それを聞いた空は1度静かに頷いてみせた後、翔達と共に大きな音を立てずに自宅に戻る際に使う工廠の裏口から工廠内に入るのであった
その後、翔達が空の部屋に入ろうと玄関のドアノブに手を伸ばしたその時……
「あぁ、今回使う部屋はそっちではない」
\……へ?/
空がそう言って翔達を制止し、それを受けた翔達は心底不思議そうな表情を浮かべ、思わず間の抜けた声を出してしまうのであった
「そっちじゃないって……、空さんの部屋は此処以外にもあるんッスか?」
「うむ」
それから間もなく、護が空に向かってこの様な疑問をぶつけたところ、空は頷きながら短く返事をすると、自宅がある方とは逆方向の工廠の奥の壁の方へと歩いて行き……
「少し待っていろ」
そう言って壁の中に隠してあった埋め込み式のスイッチボックスの様な物の中からUSB端子を取り出し、それを自身のタブレットに接続すると……
『生体認識を開始します、パネルに表示された手形に手を合わせて下さい』
突如としてどこか翔鶴の声に似た音声がタブレットから鳴り、空はその音声に沿ってタブレットに表示された手形に手を合わせる。するとピンポン!と言うインターホンの様な軽快な音がタブレットから鳴り、それと同時に壁の中から隠されていたエレベーターの扉が出現し、その様子を見守っていた翔達は思わず驚愕し、その中でも工廠で作業する事が多いシゲと護の2人は、この場にいる誰よりも目を真ん丸に見開いて愕然としていたのであった
こうして空達は姿を現した隠しエレベーターに乗り込み、空の隠し部屋……、空がクロム・ドラゴンスーツの強化改修や研究の為に使っている秘密ラボに向かう訳だが……
「少しだけ此処で待っていてくれ、隠し部屋は上の部屋の様に手入れが行き届いていなくてな、かなり乱雑に物を置いていたりしているものだから、足の踏み場も無い様な状態になっているんだ。だからお前達が入れるくらいのスペースを確保する為に、少し中を片付けて来る」
エレベーターが停まるや否や、空がこの様な事を言い残してエレベーターから降り、通路を挟んだ先にある扉の中に入って行き、空から待つ様に言われたシゲ達は、言いつけ通りにエレベーターの中で空が戻って来るのを待つ事にするのであった
「片付けか……、一体何を片付けてんだろうな?」
「案外上の部屋に置いておけないエロ関係のグッズとかじゃないッスか?翔鶴さん以外にも、アイマスの貴音とか東方の咲夜さんとか、ちょい古い奴だったらローゼンの水銀燈と言った、銀髪キャラのエロ同人とかありそうッス」
「ッス~……、有り得ねぇ話じゃねぇな……。翔鶴さん、意外と嫉妬深ぇ人みてぇだったし……」
ラボに向かった空の背中を見送ったシゲと護が、こんな調子で空が何を片付けにいったのかについて話しているその傍らでは……
『翔……、空が片付けると言っていたのは……』
『恐らくクロム・ドラゴン関係の道具一式だろうね……、あれはまだ皆には秘密みたいだし……』
空が局長からクロム・ドラゴンスーツの前身となったスーツを受け取っている事や、空がエイブラムスと戦った際、クロム・ドラゴンスーツを装着していた事を知っていたゾアと翔は、テレパシーでこの様なやり取りを交わしていたのだった……
因みにこのラボの存在は、建築物掌握能力を持つ輝も気付いてはいるのだが、その事を空に尋ねに言った際、口止め料としてかなりいい値段の日本酒を渡された為、それ以降全くこのラボの事について触れなくなっていたりする
それとこれは余談だが、護達の予想は実際のところ割と当たっており、このラボの何処かに設置された電子ロック付きの隠し棚の中には、空の秘蔵の翔鶴関係のエロ同人が大切に保管されていたりする……
とまあこんな感じでそれぞれが各々に盛り上がっているところで、翔が想像していたよりも早く、そして何故か早足になりながら空がエレベーターの方へと戻って来る
そんな空にシゲが待ってましたとばかりに話し掛けようとしたその時
「お前も手伝え」
「うげっ!?バレたでゲスッ!!」
空はそう言って今まで気配を消していたシャーマンの首根っこを掴んで彼をエレベーターから引きずり降ろし、空に捕まったシャーマンはそう言って短い手足をバタバタと振り回して抵抗するのだが、その甲斐虚しくシャーマンは空に引きずられる様にして連れて行かれてしまうのであった
「そういやさっきからずっと気になってたんだが……、さっきのゲンガーって地下で戦ったモルディギアンなのか……?」
「うん、シゲにした仕打ちの罰として、彼とグール達には空さんの下で働いてもらう事になったんだ。今回此処に来てもらったのは、初仕事の内容を教える為だね」
「空さんの下でッスか~……、ワーホリのエイブラムス達なら兎も角、あいつらにはそれが罰になるんッスかね~?」
「その辺は空が提示する仕事の内容次第ンゴ、ワイ達はそれを伝えられたモルディギアンの反応を見て楽しむ事にするンゴ」
「イオド殿は相変わらず趣味が悪いのだ……」
そんなシャーマンを見送った一同は、何とも言えない様な複雑な表情を浮かべながら、各々にこの様な事を口にするのであった
それからしばらくして、再びエレベーターに戻って来た空から付いて来る様にと指示を受けたシゲ達が、空を追う様にしてラボの中へと入ったところ……
「タイショーは本当に鬼や悪魔の類ディシュ!こっちの要求には碌に耳も傾けず、自分の都合でショーシェー達を振り回し、下手に逆らえばすぐに殴ったり蹴ったりしてくるんディシュ!!」
「お、オレッチ達はとんでもない奴の下に就く事になったんでゲスな……。今から伝えられる仕事って奴は、どれだけ恐ろしい内容になっているんでゲス……?」
いつの間にかラボに到着していたエイブラムスが、やらなければいいのに碌でも無い事をシャーマンに吹き込んでおり、それを聞いていたシャーマンは今から伝えられる仕事の内容に恐怖し、ブルブルと震えていたのであった……
その直後、空は目にも留まらぬ速さでエイブラムスの下へ駆け寄り、彼にそれはそれは強烈な正拳突きをお見舞いし、それを受けたエイブラムスは悲鳴を上げながら凄まじい勢いで吹っ飛び、その身体は派手な音を立てながらラボの壁に叩きつけられるのだった……
「あいつの話を真に受けるな、さっきあいつが言っていた要求というのも、週7で働かせろだの毎日6時間以上の残業をさせろだのといった碌でもないものばかりなんだ。そして俺があいつに手を上げるのは、俺や俺の親友の立場が危うくなりかねない労基違反を犯そうとしたり、さっきの様なパワハラをあいつがやるからだ」
「……あいつの話を馬鹿正直に聞いていたオレッチが馬鹿みたいでゲス……」
シャーマンを脅すエイブラムスを殴り飛ばした空が、その光景を見て身体を震えさせて怯えながら両手で頭を守る様に押さえるシャーマンに向かってそう言うと、シャーマンは脱力した様に両手をダラリと垂らし、安堵と呆れが混ざった様な表情を浮かべながらこの様に返事をするのであった
「さて、馬鹿の躾が終わったところで本題に入ろう。先ずはシゲ、あの事故の後お前の身に一体何が起こったのかについて、俺達に詳しく教えてくれないか?此処なら艦娘達も盗み聞きする為に入って来る事もないだろうからな」
「分かりました……」
その後、空はそう言ってシゲに桂島での事故の後の事について、ミゼーアから話を聞いて知っているにも関わらず尋ね、それを受けたシゲはその表情を曇らせながら、当時の事を思い出しつつ自身が黄泉帰りを果たした経緯について話し始めるのであった
因みに空が何故この様な行動に出たのかと言えば、隠し事をするにあたって発生するその内容が周囲にバレる事への恐怖心や不安を、こうして話す事で少しでも和らげる事と、戦治郎が軍学校でやっている様に秘密を共有する協力者を作り、その者達と協力してより効率よく、より効果的に隠し事を隠蔽する様にする為である
そう、それこそ先程空が猫艦載機達やエイブラムスやシャーマンと共に、ラボ内にあったクロム・ドラゴンスーツ関連のアイテムの隠蔽を行った様に……
「これが俺が復活を果たした経緯……、俺とクトゥグアの間にあった出来事の全てです……。こんな馬鹿みたいな事で死んじまって、アニキの封印を1つ解除しちまう様な事しちまって、本当に済みませんでした……」
空が所々で相槌を打ちながら、翔が心配そうな表情でシゲを見守りながら、護やイオッチを始めとした神格達がその壮絶な内容に愕然としながら、シゲの話を静かに聞いていると、シゲはそう言って話を締めて空に向かって謝罪の言葉を口にしながら頭を下げる……
「そうか……、よく話してくれたな……。お前が死んでしまった事については、あの時現場の責任者だった俺にも責任がある。だからお前はそう気に病むな」
「でも……っ!!」
「シゲ……、人の上に立つと言う事は、こう言う事なんだ……」
そんなシゲに対して、空が彼の震える方に手を置きながらそう言うと、シゲはすぐさま顔を上げ、空の目を真っ直ぐ見ながら反論しようとするのだが、次の空の言葉を聞くと複雑そうな表情を浮かべたまま黙り込んでしまうのであった
そんなやり取りがあり、しばらくの間ラボ内は静寂に包まれていたのだが……
「あ~……、ちょっといいッスか?」
静寂の終わりを告げる様に、不意に護がそう言いながら発言権を貰うべく挙手をする
それにラボ内の誰もが反応し、護の方へと視線を集中させると、護はそれを発言を許可されたものと受け取り、自身の中に湧き上がった疑問を口にする
「シゲはクトゥグアのお気に入りだったんッスよね?だったらなんで今回の戦いでクトゥグアはシゲのピンチに駆け付けなかったんッスかね?」
それを聞いた空以外の誰もが、ハッとするなりその疑問の答えについて考え始めたその時……
「それについてだが……、とある神格がクトゥグアの武力介入を妨害したんだ……」
詳細を知る空が複雑そうな表情を浮かべながらそう口にし、それを聞いた誰もが険しい顔をしながら空に視線を向ける
空はその表情と視線から、この場にいる誰もが怒りの感情を抱いている事を察するのだが、その神格から力を貸してもらって今回の戦いを収める事が出来た空は、何とも言えない複雑な気分になるのであった
「空さんは詳しい事情を知っているみたいですね……?」
「ああ……、誰が妨害したのかも、妨害した理由も、その後の行動についてもな……」
「その辺りについて、詳しく聞かせてもらってもいいですか……?こっちはその妨害のおかげで、危うくまた死ぬとこだったんっすからね……」
ラボ内に剣呑な雰囲気が漂う中、翔が変わらず険しい表情をしながら空に尋ねると、空は重い口調でこの様に返事をし、今度はそれを聞いたシゲが、爆発寸前の怒りを何とか抑え込みながら空にそう尋ねるのであった……
(まあ……、この件は情報共有するつもりだったから話してもいいんだが……、この空気の中で話すのは気が重いな……)
空は頭の中でそう呟くと、意を決してその神格の名を口にする
「その神格の名はミゼーア、ヨグ=ソトースの宿敵にして異空間ティンダロスを統治するティンダロスの王の中の王……、ティンダロスの大君主と呼ばれる外なる神だ……」
\はあああぁぁぁーーーっ!?!?!/
空の言葉を……、ミゼーアの名を聞いた瞬間、ラボ内が事情を知るシャーマン以外の者達の驚愕の声で震える……
「奴はシゲがティンダロスを通過してこの世界に戻っているところを目撃しており、それが切っ掛けでシゲの事を時間跳躍を駆使して調べ上げ、その結果シゲの事を気に入ったそうだ……。そして今回の件では、シゲを苦しめるシャーマンに立場を分からせる為に、俺に力の一部を貸してくれたんだ……」
「クトゥグアに続いてなんつー奴に気に入られてんだ俺えええぇぇぇーーーっ!!?」
「えっ?!えっ!?!じゃあミゼーアさんがクトゥグアさんの妨害をした理由って……」
「シゲの中のクトゥグアの株を上げない様にする為と、今回の件を通して俺達と接点を作る事で今後接触し易くする為だ……」
「自分達と接点を作るって……、一体何の為なんッスか……?」
「奴はシゲを自分の配下にしたいらしくてな……、シゲが今以上に強くなったその時、奴は互いの立場を賭けてシゲに勝負を挑むつもりなのだと……」
「ウソダドンドコドーンッ!!!!!!」
「あぁっ!シゲがおかしくなってきているのだっ!!」
「さっきの話を聞けば、ミゼーアがシゲに興味を抱くのも頷けるンゴ……。しかしこれは流石に酷過ぎるンゴ……、実力の差が開き過ぎてるンゴ……」
「オレッチもこいつのバックにクトゥグアとミゼーアがいるって知ってれば、あんな事しなかったでゲス……」
その後、この場にいる者達から飛び出して来る疑問の数々を、空は相変わらず複雑そうな表情を浮かべながら次々と捌いていき……
「他に質問はないか?無いならばミゼーアに関する話はこれで締めるんだが……?」
質問に答えると言う形であの戦いで空の身に何が起こったのかについてや、ミゼーアに関する事を皆に粗方説明し終えた空が、周りを見回しながらそう尋ねてみたところ、今回の戦いにミゼーアが関わっていた事に大いに驚き、混乱している中で次々と更なる混乱の原因になりそうなネタを叩き込まれ、精神的に疲れ切ってしまった面々は、グッタリしながらこれ以上の質問はないと、空に向かってジェスチャーでそう伝えるのであった
因みにこの先ミゼーアと戦う未来が待つ事となってしまったシゲは、ミゼーアの大きさに関する話を聞いた途端、顔色を何処までも悪く……、青やら白を通り越して土気色にしながら目を見開いて硬直していたりする……。まぁ頭だけで長門屋鎮守府(警備府)よりでかく、空の証言でミゼーアが如何なる物理法則や自然法則による拘束も、容易く引き千切り、捻じ伏せ、振り切ってしまうほどの強大な力を、魔力による強化ではなく素の身体能力で持っている事も知る事になってしまった為、シゲのこの反応も当然と言えば当然の事なのかもしれない……
「質問は無いようだな、ならばミゼーアに関する話はこれで締めさせてもらう。それで今回の件を顧みて、俺から1つ提案があるんだが……、聞いてもらえるか?」
これ以上質問が無い事を確認し終えた空は、これまでの複雑そうな表情から打って変わり、真剣な表情をしながら皆に向かってこの様に尋ね、空から漂う雰囲気から何かを察した面々は、真剣に話を聞く為に空同様真剣な面持ちになりながら居住まいを正し、空の言葉を待つのであった
「今回の件で聞けば誰もが不安になってしまう様な、とても公に出来そうに無い話が大量に出て来た訳だが、その殆どは俺達神話生物対策本部にとって見過ごす訳にはいかない話ばかりだった事だろう」
この場にいる全員が話を聞く姿勢になったところで、空が皆の顔を見回しながらそう言うと、誰もが空に向かって静かに頷き返す……
そう、シゲの死と復活に関する事も、ミゼーアが空達に干渉して来た事も、空の言う通り神話生物対策本部としてはとても看過出来ない事なのである
シゲの死と復活の場合、あのミゼーアまでもがシゲに興味を持ったと言う事が、神話生物達の界隈で広く知れ渡る事となってしまえば、恐らく旧支配者だけでなく外なる神までもがシゲに関心を示し、そんなシゲを一目見ようと地球に押しかけて来る可能性が考えられ、最悪の場合ミゼーアの様にシゲを気に入った神格達が、地球上でシゲを巡って争奪戦を勃発させる恐れがあるのである……
これに関してはルルイエと人間の架け橋となった翔も他人事と言える立場ではなく、質問大会でその可能性が指摘された時、シゲ共々顔面蒼白になっていたりする……
そしてミゼーアが干渉して来た事に関しては、それが長門屋がミゼーアの勢力と協力関係になったと思われ、場合によってはヨグ=ソトースを筆頭としたミゼーアと敵対する存在達に、長門屋が狙われる可能性が考えられるのである……
もしそんな事態が発生してしまえば、長門屋鎮守府(警備府)がある鹿島市どころか、地球を飛び越えて太陽系が戦場となってしまい、尋常では無い犠牲者が発生してしまうかもしれないのである……
「そして俺達はこれらに関する事や、これらと同レベルの問題が発生した時、何処かで神話生物対策本部として会議をしなければならなくなるのだが……」
「食堂でやるのは絶対ダメですね……、あそこは人の出入りが激し過ぎますから……」
「会議室も不安ッスね、あそこは盗み聞き対策で防音はしっかりしてるッスけど、使う時はシャチョー達に議事録を提出しなくちゃいけない上に、出撃前のブリーフィングなんかでも使うッスから、シャチョーや艦娘達と鉢合わせしてしまう可能性もあるッス」
「工廠もダメだな、スパナ妖精さん以外の妖精さん達に話聞かれて、アニキにチクられちまう可能性もあるし、何より周りが機材だらけで危ねぇし汚ぇしうるせぇし……」
空のこの言葉に続く様にして翔、護、シゲの3人が、公に出来ない出来事に関する話し合いをするのに適した場所について考え始める
情報を共有する事で協力者を得る事は本当に大切な事なのだが、こと神話生物対策本部が関わる事となる事件に関しては、その殆どが深海棲艦との戦いとは比べ物にならないほど危険な事ばかりである為、幾らメンバーと強い信頼関係を築いたとしても、それ相応の実力が無ければ足手まといにしかならず、下手をすれば他のメンバーにまで被害が出てしまうかもしれないのである……
故に翔達は艦娘達を可能な限り神話生物達関連の事件に巻き込まない様に遠ざけ、自分達の力だけでそれらを解決する必要があり、その為にも会議する場所は考えなければいけないのである……
「そこでだ、そういった類の話をする場所として、俺のこの地下のラボを神話生物対策本部の本拠地にするのはどうだろうか?此処なら早々誰かが侵入して来る事も無く、安心して今回の様に話し合いが出来ると思うのだが……、どうだろうか?」
翔達だけでなくゾアやイオッチまでもが、唸り声を上げながら神話生物対策本部の会議に適した場所について思考を巡らせていたその時、空がこの様な提案をし、それを聞いた誰もが多少驚きながら空に視線を向けるのであった
「今までずっと隠していた場所なのに……、良いんですか?」
「こんな状況になってしまえば致し方あるまい」
驚く翔の問いに対して空はこの様に返答し、空の返事を聞いたシゲ達も空の提案に賛成、その日を以て空のクロム・ドラゴンスーツ研究用の地下の秘密ラボは、神話生物対策本部の本拠地となるのであった
尚……
「そういやイオッチ、お前は一体何処に行ってたんッスか?」
「戦治郎のとこでちょいと特訓してたンゴ、戦治郎はニィ=ラカスと関りがあるイタリア海軍の総司令と戦うハメになっちまったから、その手伝いをしてたンゴ」
「待って、ニィ=ラカスって確か……」
「……戦治郎から詳しい事情を聞き次第、此処で会議する必要があるかもしれんな……」
ふと思い出した様に護がイオッチに何処にいたのかについて尋ねたところ、イオッチが核爆弾クラスの爆弾発言をし、ニィ=ラカスの名を聞いた翔はその表情を引き攣らせ、空は頭を抱えながらそう呟くのであった……