「おいこらシゲ!たまには俺に構え~!」
拠点の浜辺でシゲ、通、護の3人を見つけたので俺はそう叫んで迷わずシゲの背中に飛びついた
「うぉっとぉ!何だ弥七か、そういや最近お前と遊んでやってなかったな」
シゲの背中に張り付いて遊べ遊べと肩越しに催促する俺の頭をシゲはポンポンと優しく叩く、ご主人のように優しく撫でられるのは確かに気持ちいいから好きだ、そんでシゲのこのポンポンも心が落ち着くから同じくらい好きだ
「しかし、シゲは本当に弥七に懐かれていますね、確かチーム編成のときもシゲと弥七を分けようとしたら弥七が物凄くゴネていましたね」
「そりゃまあシゲは赤ん坊だった弥七の面倒よく見てたッスからねぇ、あれじゃないッスか?シャチョーが弥七の父ちゃんでシゲが母ちゃんだと思われてたりするんじゃないッスか?」
護が言ってるのに近いのかもしれない、ご主人や太郎丸によく叱られてその度にシゲと大五郎に慰めてもらったっけな~
「俺が母親とか何の冗談だよ……」
シゲが真顔で言う、シゲは俺の母ちゃんはもしかして嫌だったのか……?ちょっと残念でションボリする
「おお……、そういえばシゲも弥七と似たような境遇なんでしたっけ……」
おい通、それは本当か?俺初耳だぞ?
「きっと自分と同じような境遇だった弥七に自分のような思いをさせたくなかったからよく世話してたんじゃないッスか?」
「……あ~、もしかしたらそうなのかもしんねぇな~」
シゲは遠い目をしながらシゲの膝の上に移動していた俺の頭を撫で回す
俺が物心ついたときには周りには皆がいたから実感ねぇんだが、太郎丸の話によるとどうやら俺は動物園で生まれたが母親に完全放置された挙句、父親にあたる虎に喰い殺されそうになっていたらしい
飼育員に何とか救出され人工飼育される事になったらしいがその動物園があまり稼ぎがよくなく資金的な問題が発生してしまったようで、仕方ないから動物病院の掲示板なんかに募金を呼びかける広告を掲載したところ太郎丸の定期健診に来ていたご主人の目に留まり、俺はご主人に引き取られる事になったそうだ
「シゲ~、シゲが俺と同じような境遇ってどういう事だ?ずっと遊んでなかった罰として俺に教えろ~」
「そういや言ってなかったっけな~……、ホントクソみてぇな話だから聞かねぇ方がいいと思うぞ?」
シゲは止めていたが俺はゴネまくって何とか話を聞き出すが、シゲが言ってた通り聞かなきゃよかったと後悔する……、もしその場に俺がいたら躊躇わずシゲの母ちゃんを喰い殺していただろうな~……
「似たような境遇と言えば大五郎もかなり近い感じでしたね、ただあちらは母熊が病気で亡くなっていましたが……」
確かにペット衆の中では大五郎がよく遊んでくれたが、そんな理由があったのか……。話って聞いてみるもんだな~
「亡くなっていたって……まるでその現場にいたような口振りだな、通」
「ええ、シゲの言う通り先輩と私と翔の3人でその現場を目撃しています。先輩が刀鍛冶を学ぶ為に職人さんのところに住み込みで修行に行くのに付いて行ったんですよ、そこには腕のいい研師さんもいると聞いたので私達も包丁や居合刀の手入れの為に研ぎの技術を学ぼうかと思いましてね」
「通も翔も真面目ッスね~、まあ気持ちは分かるッスけどね~」
護も長門屋に入ってから電動ガンのメンテナンスの腕が上がったって喜んでたよな
「んで、どうやって大五郎の事見つけたんだ?」
「いえ、先輩の日課の朝の訓練に付き合っていた時にたまたまその光景を目にしたんですよ……」
通が言うには、ご主人達が剣術の朝練やってた時に子熊の鳴き声が聞こえて来たから興味本位で覗きに行ったら、いつまで経っても動かない母熊を必死に揺り動かしたり顔を舐めたりしている子熊を発見したそうで、その子熊が今の大五郎だって話だった
「先輩が母熊を調べたんですがその時には既に……、母熊の死亡を確認したところで先輩が大五郎を抱きしめて泣いていましたね……」
その時の光景を思い出したのか通が目頭押さえてる……、しかしご主人が泣くって信じられねぇな~……
「そういや俺って他のペット衆の事あんま知らねぇんだよな~。シゲ達は何か知ってるか?」
大五郎の過去の話聞いてふと思った事を口に出す、俺は名前の通り長門ペット衆に入ったのが7番目、現状では一番最後になるから今さっき話聞いた大五郎以外の面子がどういう経緯でペットになったのかが気になったのだ
「他の連中の事か?ん~……太郎丸の名前が襲名制なのは知ってたか?」
それはまあ知っている、ご主人の兄貴が生まれたくらいから飼い始めた初代から受け継がれて我らがリーダーが確か4代目だったっけか……、代を重ねながら長門家に連綿と忠義を誓い続ける忠犬太郎丸だとかなんとか……。4代目はあんな調子だが実は既に子孫を残していると言うから驚きだ……、5代目の顔が見れないのはちょっと可哀想だな……
「確か金次郎が意外にも長寿だってのは知ってるッスか?あれで12年は生きてたらしいッスよ?」
平均5年が寿命の琉金を10年レベルで生かすご主人もスゲェけどそれ以上に10年以上生き続けた金次郎マジスゲェ!!!これもしかしてペット衆で一番長生きしてたんじゃね?
「鷲四郎もエピソード持ちだったと記憶していますね……、確かアメリカに留学していた先輩が白頭鷲のメスを助けたらその白頭鷲が先輩の事を日本まで追いかけて来たとかなんとか……。まあその子はすぐにアメリカに送り返されてしまいましたけど、そのせいで先輩が白頭鷲を飼いたくなってしまって正規の手続きをして購入した白頭鷲、今の鷲四郎が先輩を追いかけて来た子の子供だったと聞きました」
何だその数奇な巡り合わせ……、つか鷲四郎の母ちゃん情熱的過ぎんだろう!
「鷲四郎の母ちゃん頑張り過ぎだろう……、つか鳥すら魅了するアニキって何かマジでやべぇな……」
ご主人って言葉では言い表せない特別な何かを持っている気がするんだよな~……、それが何なのかは俺にはサッパリ分からねぇけどな!
そんなご主人達は、こないだ制圧した深海棲艦の補給拠点でドイツの艦娘達と俺達の仲間になった艦娘を集めて特訓をしているそうだ
「さて、ここで駄弁ってばっかってのも面白くねえから……、弥七!ご希望通り今から遊ぶか!」
シゲが立ち上がり海の方へと走っていく
「待ってたぜ!一体何やるんだー!」
俺はシゲとどんな遊びをするのか凄く楽しみで、期待に胸を膨らませてシゲの後を追って走り出す
「さて、私達はどうしましょうか?」
「シゲの奴、弥七にジャイアントスイングかけて海にブン投げたッスね~、っとどうせだからシゲを弥七みたいに海にブン投げるッスかね、ここにいても面白味もないッスからね~」
俺がシゲに投げられた後、護と通がやって来てシゲに対してツープラトンブレーンバスターをお見舞いしシゲを海に叩き込んでいた
それからは俺とシゲvs通と護のタッグマッチになって、波打際で飛沫を上げながらプロレスを楽しんだ。戦闘以外でこうやってはしゃぐのは久しぶりだから超楽しかった!
そんなこんなしてたら日も傾いて来て、哨戒に出ていた光太郎が戻って来たあたりでプロレスも切り上げて皆で飯食いに食堂に向かう。今日は翔がいないから大したものは食えなかったが……
その後は風呂入って寝るわけだが今日は久しぶりにシゲのとこで寝るとするか、そう思ってシゲの部屋行ってみたらシゲはもう寝てたから勝手にベッドに潜り込む
ご主人達が特訓とかやってるって事は決戦が近いんだろうな~……、まあどんな戦いになろうと俺はご主人とシゲを守る、そんで戦い終わったら遊んでもらうつもりだから俺自身も絶対沈んでなんかやんねぇ!俺は静かにそんな事を考えながら眠るのだった