『ドイツ海軍諸君、今までよく頑張ってくれた。後は我々に任せて君達はドイツに戻るといい』
イギリス海軍からビス子へ通信が飛んできたので、護があっちに悟られないように通信を傍受、皆にも聞こえるようにしてくれているんだが内容が本当に腐ってやがる。要は美味しいとこだけ頂いて全部自分達の手柄にしようって事だろ?ふざけるのも大概にしやがれってんだっ!!!
「こちらドイツ海軍総旗艦ビスマルク、見たところそちらの艦隊に艦娘がいないようなのですが、まさかその軍艦で深海棲艦と戦うと言うのでしょうか?」
この作戦の本当の総旗艦は俺なんだけど、他国に見せる資料にこの戦いの記録残す時とかこういう時の名義はビス子にしてもらってるんだよな、今の俺は中身は人間だけど見た目は深海棲艦だから厄介事が湧いて来るかもしれんからな
『無論そのつもりだ、この間は不覚を取ったが今回はあの姫様もいないししっかりと準備もして来ているのだ、我々に負ける要素は何処にもない!』
このおっさん絶対負けないって言い切りおったぞ……、だが艦娘もいなければコアも使ってなさそうだしこれフラグだよな?つか前ので懲りろよぅ……
「何を言ってるのっ!?深海棲艦には通常兵器が効かないのを知らないわけではないでしょう!今ならまだ間に合うから早く戻りなさいっ!!!」
『黙れ小娘っ!!!貴様らのその豆鉄砲が効くのならば我々の艦砲もきっと有効なはずなのだ!私の命令が聞けないと言うのならば貴様らも深海棲艦諸共薙ぎ払ってくれるわっ!!!』
こいつら艤装の事とか知らねぇのか?見た目は確かにミニチュアみたいだけど威力は本物と全く変わらないってのに……、アクセルが他国にもきちんと艦娘関係の情報を提供しているのは俺もこないだ確認してるんだが、まさかその情報信じてないとかじゃねぇだろうな……?
『大体このあたりは我々の管轄のはずなのにどうしてドイツがそんな薄気味悪い連中を連れてまで出しゃばって来ているのだっ!?露払いに丁度いいと思ってしばらく静観していたがこれ以上出過ぎた真似をするのならばこの件を国際問題にするぞっ!!!』
OK分かったこのおっさん深海棲艦が何なのかすら分かってねぇや、俺らの事薄気味悪い連中って……間違ってねぇけどさぁ……、俺らと接触する前のドイツ海軍や日本海軍が見たら小便ちびって慌てて逃げ出すような鬼級姫級の集まりをその程度にしか思わないってんなら深海棲艦の事碌に知らないとしか思えない……
「あそこには私達の仲間が捕まっているのよ!私達はその子を助け出す為に来ているのだから全くの無関係とは言い切れないの!私達は今日この日の為に自分達を鍛え上げて確実にその子を助け出して、被害を最小限に抑えようとしているのよ!お願いだから退いて頂戴!私達の頑張りを無駄にするような真似を、無駄に血を流してあの子を追い詰めるような真似をしないで!」
最後のあたりは最早ビス子の悲痛の叫びだ、涙を流しながら通信機に向かって懇願してやがる……。もしプリンツが自分を助ける為に大量の犠牲が出たとか聞いたら悟のカウンセリングの常連になるか、最悪自殺コースだわなぁ……、そうならんように是非ともイギリスの皆さんにはとっととお帰り願いたいものなんだが……
『くどい!えぇいもういい!ヴァレンタイン大佐、奴らの事は無視して前進しろ!ロイヤルネイビーの力を見せつけてやるのだっ!!!』
ですよね~……、こっちの話全く聞いちゃいねぇや……。しかし不味いホント不味い……、このままいけば120%犠牲が出る……。だってあっちには通常兵器効かないけどあっちの攻撃は効くんだから一方的な展開にしかなんないじゃん?しかも的がでかいから当て放題、軍艦がモリモリ沈む未来しかねぇ……
「先輩!何とかしてイギリスの艦隊を止める事は出来ませんか?!」
うぉっ!びっくりした~……、俺がどうしたものかと思考を巡らせていると通が声を荒げながら俺に尋ねてくる。今それ考えてたとこだから!つか通がこんな焦ってるの見たのは久しぶりなのだがどうしたのだろうか?
「あの船にはセオドールさんが……、私の知り合いとその部下の方々が乗っているみたいなのです!早く何とかしないとセオドールさん達が……っ!!!」
何だとぉっ!?もしかしてさっきヴァレンタイン大佐って呼ばれてたのが通が言うセオドールさんとやらなのか?!いつの間に知り合いに……、あぁそういや前にイギリス海軍に助太刀したって言ってたっけな……その時に知り合った人なのか、ならば何とかしないとなぁ!
っと言ったもののいい案が全然浮かばねぇ……、俺自身心のどっかで焦ってるのかもしんねぇなぁ……。だあああぁぁぁっ!!!もうこうなったらこれしかねぇっ!!!
「真総旗艦戦治郎より各員へ!今からイギリスさんの防衛戦だっ!飛んでくる艦載機も砲弾も全部叩き落せ!!的がでかいから気ぃ引き締めてやらねぇとすぐ沈んじまうから全員気合入れていくぞぉぉぉっ!!!」
\了解!!!/
通が通信機入れっぱなしで話してた結果、皆すぐに事情を把握して動き出す。ビス子の懇願の件もあって皆やる気十分だっ!!!
射撃組が主体になって支援艦隊と共に艦載機と砲弾の嵐を迎え撃ち、その間に近接攻撃部隊が相手陣営に突撃し空母や戦艦を中心に仕留めていく。俺と姉様がミゴロさんとハタチさんで駆逐や軽巡など軽量級の連中を始末していくのだが、いくら俺達が頑張ってもやはり撃ち漏らし出てしまい図体がでかいイギリスさんの船はその度に被弾する……、そして最悪の事態に陥ってしまう……
「くそぉ!」「ちぃっ!」「しまった!」
イギリスさんの船が次々に炎上し始める、俺達はそれに気を取られてしまい撃ち漏らしが増え更に被弾するイギリス艦隊、向こうの通信は怒号が飛び交い阿鼻叫喚、遂には沈み始める艦も出て来てしまった
何とか脱出艇で脱出したもののそこを狙われて無残な最後を遂げる乗組員が大量に出てしまった……、結局こうなっちまうのかよ……っ!!!
「何故だっ!?何故あいつらの攻撃は効いて我々の攻撃が効いていないのだっ?!おかしいだろうっ!??一体どういう事だっ?!?誰か説明しろぉぉぉっ!!!」
俺達の頑張りも空しくイギリスの艦隊は今脱出艇の上で叫んでいるおっさんが乗っていた艦が最後に沈んだ事で完全で完璧な全滅、とてつもない数の死者を出してしまった……
「おい貴様!聞いているのかっ!?どうしてこうなったのか説明しろっ!!!」
自分の失態から目を背けて俺に噛み付いて来るおっさん、最大の原因はおめぇがビス子の言ってる事無視したからだろうがよ……。俺はおっさんを養豚場のブタでもみるかのように冷たい目で見る、このおっさんが乗っている脱出艇にはおっさん以外の乗組員の姿がない事から乗組員を見捨てて1人で先に脱出したんだろうな……
「貴様!何だその目はっ!?言いたい事があるなr」
このおっさんは最後までセリフを言い切る前に飛んできた砲弾が直撃して爆散しちまった、まあこればっかりは当然の報いだな……
っと、おっさんの事はもう終わったからいいとして他に脱出した奴がいないかを確認する為に周囲を見回す、いくつかの脱出艇が無事だったようなので皆に指示を飛ばして戦力の一部を救助活動に回して救助した乗組員達はこっちの支援艦隊の子達に頼んでイギリスの方へと送ってもらう
光太郎が積極的に動いてくれたおかげでかなりスムーズに救助活動が進み、最後の1隻ってところでその脱出艇目掛けて砲弾が飛んでくる
俺がいる位置からかなり離れたところにあった為、間に合うかどうか分からないが全力で疾走する俺。頼む、間に合ってくれっ!!!
……ダメだ、間に合わないっ!もう砲弾は脱出艇の目と鼻の先……、これほど自分の速力に絶望した事はねぇ……、くっそ!そう簡単に諦めてたまるかぁぁぁっ!!!俺は最後の悪あがきとして脱出艇の前へヘッドスライディングする
脱出艇があったところで水柱が上がる……、俺は1人空しく海面を滑る……、すまねぇ……、本当にすまねぇ……、俺は助けられなかった乗組員達に謝りながら自分の無力を呪っていた……
「……間に合ってよかった……お久しぶりですね、セオドールさん」
んん~?間に合った?どっこと?疑問を浮かべながら顔を上げると、俺がヘッドスライディングしていた位置からちょっち先のとこで脱出艇を抱えた通の姿が見えた。おっまいたんなら声かけろよおおおぉぉぉっ!!!ヘッドスライディングした俺が馬鹿みたいじゃんかよぉぉぉっ!!!超恥ずかしいいいぃぃぃっ!!!
つか、それにおめぇの知り合い乗ってたんだ……
「通……なのか……?本当に通が来てくれたのか……?」
「来たと言うより最初からいたと言ったところでしょうか……、さっきまでここの最前線で戦っていましたからね」
通の言葉を聞いた乗組員の皆さんが大歓声を上げる、まるで無事に帰れるのが確定したと言わんばかりの勢いである、セオドールさんらしき人はなんか涙流し始めたんですが……
「皆さん落ち着いて下さい、まだ戦いは終わっていません。これから私達の仲間が皆さんをイギリスに送ってくれますからその子達が到着するまでの間しばらく待ってて下さい。私は今から前線に戻ります、そういう事なので後はお願いしますね、先輩」
お、おう……任された……、……やっべこれ通ブチギレてやがる……、まあ知り合いにこんな仕打ちされりゃぁ誰だってキレるだろうが……
因みに既に悟もブチギレているようで通信機の電源切られてて通信出来ません……、水面下で何が起こってるか分からなくて怖いです……
そんな事考えてたらマックス達がこっちに来てくれたので、脱出艇を任せて俺も前線に戻る事にした。そういやセオドールさんとやらに挨拶してなかった!まあ祝勝会に招いてそのとき挨拶すりゃいいか!
他の皆が頑張ってくれたおかげか、増援もこなくなり残りの連中を始末したら突入出来そうだ。こっからが本番ってとこだな!気合入れていくぜっ!!!
俺は気合を入れ直し、通が向かった方角へ駆け出していった
「……数多くの命を奪い、それだけでは飽き足らず私の友人まで手をかけようとした……。私はそんな貴方達を絶対に許さない……っ!!!」
私は最大戦速で海上を進みながら深海棲艦への怒りを募らせる、もし私がセオドールさんの救出に間に合っていなかったら……私はきっとこの怒りを抑える事が出来なかったでしょう……。結果として救出する事が出来たが故に今の私は何とか自我を保っていられる状態なのである
「……御首頂戴」
倒すべき敵の姿を視認し私がこう呟いたとき、何処からかガシャリという音が響き全身に力が漲ってくる感覚を覚えました