※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

71 / 655
誇り高き風魔の末裔

お互いの自己紹介が終わったところで私はセオドールさん達イギリス海軍がここで何をやっていたのか、彼が言う責任とはどういう事かを問い掛けます

 

「俺達は練習航海をやってたのさ、まあ最近はさっきみたいな化け物が出るって事である程度武装してからやるようになっているんだが……、まさかこっちの攻撃が全然効かないとは思いもしなかったぜ……」

 

どうやらイギリス海軍は奴らに深海棲艦と言う名称が付いている事すら知らないようですね……、この調子だと艦娘の事も知らないかもしれません……。彼らから情報をいくらかもらおうと思っていましたらまさかこちらが提供する側になるとは思いもしませんでした……

 

「そんで俺はこの艦隊の指揮を任されていたんだが攻撃が効いてないのはあいつらが頑丈なだけで、もっと攻撃すりゃぁ倒せるんじゃないかって思って半ば意地になってガンガン攻撃するように指示を出してたんだよ。その結果がこれだ……、艦隊は全滅して死傷者もかなりの数になっちまった……、そしてこれだけの犠牲を出しながらも倒せたのは0と来たもんだ、こりゃぁ絶対処分受けるだろうな……。俺が冷静にもっと早く撤退命令を出していればこんな事にはならなかったはずだからなぁ……」

 

深海棲艦と言う名称すら知らなかったのですから、通常兵器での攻撃が効かないという情報も知るはずないですからね……、攻撃が一切効いていないところを見せつけられれば意地になったり混乱するのは詮無き事……、まあ今回の件で今まで知らなかった情報が手に入ったと思えば成果0ではないのですが、その為の代償が少々大きいですね……

 

「セオドールさん達が何をやっていたのか、そして貴方の責任云々については分かりました

。それで……何故そちらの方々が軍艦に乗っていたのでしょうか?」

 

私はセオドールさんに次の質問を投げかけます、この2人が軍艦に乗っていた事がどう考えてもおかしかったので不思議で仕方がなかったのですよね……

 

セオドールさんは苦笑いを浮かべながらこの問いに答えてくれました、お忍びで日本に留学したら日本オタクになって帰って来たので母国の素晴らしさを思い出させる為に乗艦させたとは……、さっきから姫様がキラキラした瞳で私を見ていたのはそういう事ですか……。そう言えば先程空蝉が使えるようになってしまったので、もう私は忍者ではないと否定する事が出来なくなってしまいましたね……、どうしましょうか……

 

「さて、こっちは質問された事は全部答えたわけだ、次はこっちが質問する番だな。そんで通は何者なんだ?さっきからウチの姫様がニンジャニンジャ言ってるが、まさか本当にニンジャだったりすんのか……?」

 

セオドールさんの質問は私が予想していた通りのものでした、本当ならセオドールさん達を混乱させない為に嘘を付くべきところなのでしょうが、私は嘘偽りなく彼らに私が何者なのか、何をする為にここにいたのかを伝えました。話していて思ったのですが、このセオドールさんはどことなく先輩と似ているんですよね……、何処が?と言われると困るのですが……。まあそのせいかこの人は恐らく信頼出来るだろうと思い正直に話す事にしたんですよね

 

私が話し終わるとセオドールさんは頭を抱えていました、まあ今まで知らなかった事が濁流のように押し寄せて来たら誰だってこうなりますよね……

 

「悪ぃ、ちょい整理させてくれ……、さっき戦っていた連中は深海棲艦でいいんだよな?」

 

「はい」

 

「そんで通は深海棲艦が実在しない世界で生きていた、ここまで合ってるよな?」

 

「そうですね、合っています」

 

「んで、通達は職場の雇用主の家でクリスマスパーティーやってたら何かが起こって気付いたら北海の真ん中でその姿になって気絶していた、ここまでOK?」

 

「はい、その通りですね」

 

「それで、その姿ってのが深海棲艦の上位クラスの連中の姿なんだったか?」

 

「おっしゃる通りです」

 

セオドールさんが驚愕していますね、まあ彼らからしたら今の状況は敵の雑魚の相手をしていたら人の心を持った敵のボスが助太刀してくれた挙句情報提供してくれているようなものですからね、自分で言っててもわけが分かりません……

 

「尤も、私達は転生個体と呼ばれており奴らとは敵対関係にあるみたいなんです」

 

「転生個体……?何だそりゃ?」

 

まあ知るわけがないですよね……、こればっかりは私達も分かりませんから……

 

「転生個体について調べる為に私はイギリスに潜入して情報収集しようとしていたのですが、その道中でセオドールさん達が戦闘しているところを発見したので助太刀に入った、それが今の状況になりますね」

 

私が潜入と言う単語を口にしたところで、セオドールさんの顔が険しくなりました。まあその件はもう心配しなくてもいいんですけどね

 

「安心して下さい、私がイギリスに潜入する必要性がたった今セオドールさんのおかげでなくなりましたから、イギリスに潜入しても私達が欲しがっている情報は碌にないと言うのが今までの会話で分かりましたからね……」

 

イギリスが深海棲艦の事すら知らなかったなら当然の如く転生個体の事など知らないでしょう……、それに深海棲艦が暴れているのはヨーロッパだけではないはずなので深海棲艦と言う名称も情報として何処かの国から入ってくるはずなのにそれも知らなかったとなると世界情勢の件も望み薄でしょう……

 

「ああ~……、何かその……、すまん……」

 

ああ、謝らないで下さい……これは貴方が悪いわけではないのですから……

 

「気にしないで下さい、それよりも私の方こそすみませんでした……、助太刀しに来たのに結局犠牲者を出してしまいました……」

 

「いあいあいあそれこそ気にすんなって、その件はさっきも言った通り俺の見極めの甘さが最大の原因なんだから通が気にする事じゃねぇよ。それに見ろ、確かに犠牲者は出たがお前が来てくれたおかげでこれだけの人間が助かったんだぞ?犠牲者の事ばかり考えてないでお前が助けた生存者の事も見てやれよ」

 

彼が指し示す方向を見てみれば、未だに歓声を上げている生存者の皆さんの姿が見えました。セオドールさんの言葉を聞いてからか先程まであった心の重圧が消えてなくなっており、先程まで罵声として受け取っていた声も今ではしっかりと感謝と称賛の声として受け入れる事が出来るようになっていました

 

確かに犠牲は出てしまいましたが、私はこれだけの命を助ける事が出来た……、何だか皆さんの歓声が嬉しくもこそばゆく感じてきました

 

「セオドール大佐、先程から会話を聞いていましたが肝心なところが聞けていませんよ?」

 

「「えっ?」」

 

唐突に放たれた姫様の言葉に声を合わせて困惑する私とセオドールさん、何か抜けているところがありましたか……?

 

「通は本当にニンジャなのですか?先程からずっと気になっているのです」

 

ああ、そこですか……、先程も考えましたが今の私では忍者ではないと言えませんからね……、いっそ忍者を名乗って今後は忍者スタイルで戦っていくのもアリな気がしてきました

 

「そうですね……、では改めて名乗りましょう。私は神代 通、かつて北条家に仕えた忍者集団風魔一党の頭領である風魔 小太郎の子孫です」

 

私がそう名乗ると姫様から黄色い声が飛んできて、凄まじい勢いで質問攻めされてしまいました……。イギリスの皆さん、姫様の症状を悪化させて誠に申し訳ございません……

 

 

 

「もう行くのか?」

 

「ええ、私の仲間達が私の報告を待っているはずですからね」

 

姫様の質問攻めから解放されたところで、私は拠点としている小島へと帰る事にしました

 

「何から何まで本当にありがとうな、また会う機会があったらその時に飛びっきりの礼をしてやるからな」

 

「それは楽しみですね、それではまた会う日まで」

 

私はそう言って皆さんに一礼してから背を向けて移動を開始しました、後ろから皆さんの別れの言葉の大合唱が聞こえてきます

 

「またなー!戦友ー!俺はお前の事絶対忘れないからなー!」

 

そんな中からセオドールさんの一際大きな声が聞こえます、貴方は私の事を友と言ってくれますか……、ならば私も貴方の事を友と思いましょう

 

「さようなら、盟友!またいつか静かな海で会いましょう!」

 

私は1度振り返り手を振りながら叫び、再び拠点の方へと進み始めました

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。