※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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穏健派の詳細と恐怖の音

「深海棲艦と人類との戦争が始まった当初は中枢様が深海棲艦をまとめ上げ、人類と熾烈な戦いを繰り広げていたのですが、戦いが長引くに連れて中枢様はこの戦いに虚しさを感じるようになったそうです……」

 

両陣営の被害、損失を考えるとそうなるだろうな……、リコリスは確か地球の支配権がどうのこうのとか言ってたが、意固地になってずっと戦いを続ければ歯止めが利かなくなってお互い落としどころが分からなくなった挙句、大量に血ぃ流して物ぶっ壊しまくった末に天下を取って仲間と喜びを分かち合おうと振り返ってみたら誰もいないし何もない、これを虚しいと言わずして何と言うか……

 

その事に気付けただけ中枢はリコリスより優秀な奴だったんだろうなぁ……、敵じゃなくってホントよかったわ……

 

「中枢様は上層部に召集をかけてその件を話して、そろそろ戦争を終結させようと話を持ち掛けたところリコリス様を筆頭とした強硬派が断固として反対した挙句、中枢様を裏切者として処分しようとしたそうです……」

 

わぁ、強硬派って馬鹿の集まりだったんだぁ。恐らくだが強硬派ってリコリスみたいにプライドめっちゃ高い奴、戦うの大好きな戦闘狂、戦争で私腹を肥やす強欲野郎で構成されてんじゃねぇの?

 

「中枢様は中枢様の考えに賛同、共感した部下達を連れて逃げ出す事に成功したのですが、強硬派にとって中枢様が生きている事は非常に都合が悪いようで今でも穏健派の総本山があるソロモン諸島に艦隊を送り攻撃を仕掛けています」

 

おいィ?今何つった?ソロモンに穏健派の総本山?しかも強硬派が攻撃してる?待て待て待て……、今すっげぇ嫌な予感がしているんだが……

 

「ほんの少し前までは強硬派と穏健派の戦いだったのですが、今では人類サイドの艦娘まで参戦して三つ巴の激しい戦いが展開され、日が経つに連れてその戦いはより激しいものへとなってますね……」

 

南方海域の難易度の高さの正体は、強硬派と穏健派をまとめて相手しているからでした~!そりゃまあ人類側からしたら見た目じゃどっちが強硬派でどっちが穏健派か分からねぇから仕方ない部分はあるが……、つかその状況でも陥落してねぇってどんだけ強ぇんだよ穏健派……、これならチビ達送っても安心出来るだろうなぁ……

 

「穏健派は艦娘達に何か言ったりしてねぇのか?穏健派は和平交渉する気あるんだろ?艦娘達に話しかけて上に報告させりゃぁ席を設けてもらえると思うんだが……」

 

「それが、艦娘達にまともに取り合ってもらえなかったそうです……。深海棲艦は全て人類の敵と言う認識が根付いているようで、穏健派の提案も情報を混乱させる罠だと思われているのか話しかける為に近づいたところを集中砲火された人もいるようです……」

 

あ~……、軍属の艦娘は皆最初の頃のビス子みたいな感じなのか~……、俺はアクセルのおかげで何とかなったんだが……ホントありがとうな~アクセル~、後で一緒に美味い酒飲もうぜ~。それはそうと和平申し込もうとしている相手から話もまともに聞いてもらえず殴りかかられる穏健派マジ不憫……

 

「取り敢えず中枢と穏健派の事は分かった、そんでおめぇらは中枢のとこ行くっつってたけどおめぇらは最初は穏健派じゃなかったのか?」

 

チビ達は兎も角ヲ改さんとツ級は今は何か穏健派っぽいんだけどそこんとこどうなのさ?最初から穏健派だったら中枢が逃げる時一緒に逃げてるはずだからなぁ……

 

「私達は最初は強硬派でしたよ~、でもチビ達のお世話するようになったら戦争続けるのも馬鹿らしくなっちゃってね~、それに戦争が続いたら大きくなったチビ達も戦場に駆り出されて戦わなくちゃいけなくなる。そこであんた達みたいなのと遭遇したらって考えると……」

 

返答してくれたツ級はそこまで言うと身震いし始めた。この2人は要はチビ達の世話してたら母性に目覚めちゃったのね、納得したわ

 

因みにチビ達見た時から疑問に思っていた深海棲艦の艦娘で言うところの建造のシステムってどうなってるのか聞いてみたところ、深海棲艦は基本大人の状態で海上に唐突に発生するそうでチビ達みたいに子供の状態で出てくるのはレアケースらしく、子供の深海棲艦を育てるとかなり強力な個体になる可能性があるらしいので大切に育てるんだそうだ

 

「OK、大体の事は分かったから脱出していいぞ。っと正面の方は俺達の仲間がいるから一応連絡はするが間違えて攻撃されないように別のところから出た方がいいかもな」

 

「分かりました、では皆行きまs……えっ?」

 

ヲ改さんがこの部屋から出る為に扉の方を向いたところで扉が開き、驚きの余り言おうとしていたセリフを引っ込めてしまった

 

「翔?お前悟達と一緒に脱出しなかっt……」

 

この部屋に入って来たのは翔だった、それも俯いて鼓翼を抜いた状態でだ……。様子がおかしかったので声をかけようとして言葉が詰まる、翔が纏っているこの雰囲気って確か……

 

「うおおおぉぉぉっ!!!」「ぎゃあああぁぁぁっ!!!」「ヴェアアアァァァッ!!!」

 

俺と弥七は装甲姫から勢いよく飛び降りるなり床に腹這いになり顔を伏せた状態でヲ改さん達の方へと匍匐前進を開始し、シゲはロメロを解除した後装甲姫を遠くにブン投げてから匍匐前進で俺達に続く

 

「おめぇらも腹這いになれ!顔を伏せろ!死にたくなかったら早くしろっ!!!」

 

状況が掴めずオロオロするヲ改さん達に向かって叫ぶ、これは冗談抜きで緊急事態なんだよっ!!!翔がブチギレるとマジでヤバイんだってっ!!!

 

俺の言葉に従って腹這いになって顔を伏せる4人、後はこれで翔の怒りが収まるのを待つばかりだ……

 

「あの……、これはどういう状況なのですか……?」

 

「俺達の仲間の1人が完全にブチギレてやがるんだ、絶対にあいつと目を合わせるなよ?今のあいつだったら確実に殺しにくるから……」

 

翔のあの目を見たらどんな奴だろうと間違いなく恐怖の余り動けなくなっちまって、動けなくなっちまって……ダメだ、何されるかホント想像出来ねぇ……。情報ソースは俺んち住み込み組、1度翔をガチギレさせたときあの目を見たんだが俺も空も悟でさえも動けなくなって必死になって謝ったっけな~……

 

「何で腹這いになるのさ?普通に顔伏せるだけじゃダメなの?」

 

「顔伏せただけだと下から覗き込んで来んだよあいつ、その対策で腹這いになってんだよ」

 

疑問を投げかけるツ級に答えるシゲ、こう言っているシゲが実際にそれをやられました。唐突に視界に映った翔の目が今でもたまに夢に出るそうだ……

 

翔の眼力の原因、それは翔が先天性白皮症、所謂アルビノという奴で身体にメラニンが一切ない為肌と髪は真っ白で瞳は薄紅色になっていて、原理こそ分かってねぇけど翔がガチギレするとターゲットを見逃さないようにする為なのか瞳孔ガン開きになった上で瞳の色が薄紅色から血のように真っ赤になってそれがホント怖い事怖い事……。尚髪は自身がアルビノだというのを分かり難くする為に普段から黒に染めていた模様

 

瞳の色は泊地水鬼になった今でも変わっていない、これは司の超極絶美形が残ったのと同じように翔が翔であったという名残といったところだろうか……

 

まあこんな事考えているのは現実逃避みたいなもんだ、だって後ろの方からクレーンが動く音がしたかと思ったら装甲姫の短い変な声が聞こえて、それからその声が声にならない悲鳴に変わると同時にザクザクと肉を切るような音が聞こえて来てだなぁ……、シゲも弥七も震えてやがらぁ……

 

俺達は背後から聞こえる音に恐怖し、怯えながら翔の怒りが収まりその音が止むのをひたすら待ち続けるのであった……




ブチギレた翔の目は、いりす症候群!のいりすの例の目をイメージしてもらえたら幸いです
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