「んあ……?」
気が付けば白い天井に薬品の臭い、背中には病室のベッド特有の硬い感触……。上半身を起こし辺りを見渡してからここが俺達の拠点の医務室だという事に気付く
「ようやく起きたか寝坊助ぇ」
声のする方向を向いてみれば自身に点滴を打っている悟の姿があった、寝坊助と言われて改めて周囲を見ると他のベッドには誰もいなかった。どうやら俺が一番最後に目を覚ましたようだ
「おはようさん悟……、取り敢えずラリ子倒した後どうなったか教えてくれ」
俺がそう言うと悟はラリ子と言う単語に首を傾げていた、ああそういやこれ俺の中だけでのあいつの名称だったな……。取り敢えずラリ子の事説明してからあの後の事を教えてもらう
俺はラリ子を倒した後、司に後の事を頼むと言ってその場で倒れてしまったらしい。そんで砲弾が飛んで来なくなったのを確認してから翔が大五郎達の背後から出ると、俺と九尺を担いで戻ってくる司の姿を見つけて大急ぎで回収したそうだ
悟が俺と九尺の容態を診たところ、九尺の方は直撃弾1発分のダメージだったそうだ。恐らく体格が小さかったから至近距離で砲撃を受けた時1発だけでかなり派手に吹き飛んだおかげと言ったところだろうか
問題は俺の方だったらしく、俺は数発程度だと思っていたんだがどうやらあの至近距離から50発くらいもらっていたそうだ……。どんだけ超速射してたんだよあいつは……、そんでよく無事だったな俺の身体……。因みに被弾した弾の数の多さは俺がダントツで1位、2位の輝の25発の2倍だそうだ、やったぜ嬉しくねぇ
そこから悟と光太郎、無事だった艦娘総出でやられた奴の応急処置を行い全員一命を取り留めたそうだ、いや~これはホント生き残る術講習やらせておいて正解だったな
それから本格的な治療をする為に俺達の方は拠点に戻ったとの事、ビス子とグラーフはプリンツを連れてドイツに戻ったそうだが、その時俺達もドイツに来るように言っていたそうだが悟が断ったそうだ。理由としては距離的に拠点の方が近いのとドイツの医者が深海棲艦の姿をした俺達に治療を施してくれるか分からなかったからだとさ
悟が今点滴打ってるのは、拠点に戻ってから不眠不休で俺達の治療してたからだそうだ、悟さんマジ感謝!
「とまあ、状況説明はこんなとこだなぁ。しっかしまぁおめぇももうちょい早く起きてりゃぁ、通と神通の聞いてるだけで糖尿になりそうなくらいそれはそれは甘ったるぅいトークが聞けたのによぉ」
ああもう馬鹿!馬鹿!俺の馬鹿!何でそんな面白そうな事が俺が寝てる間に起こるんだYO!もっと早く起きろよ俺っ!!!
「それはそうとぉ、アクセルから通信が来てたぜぇ。大方本拠地攻略前に言ってた宴会の話だと思うんだがなぁ」
そういやそんな約束してたっけな、攻撃受けた時の痛みとかももうスッカリ引いてるみたいだし今から返事するとすっか!
「せかせか、んじゃあ今からすぐ返事するわ。って事でちょっち行ってくるわ」
「おぅ、痛みは引いてるんだろうが精神的な疲れが残ってるだろうから適当なとこで終わらせてからすぐ自室で休むようにしとけよぉ」
「その言葉そっくりそのまま返すぜ、自分に点滴打ってるくらいなんだから悟も相当疲れているだろうからな。後はゆっくり休んでいてくれ」
俺はそう言い残して医務室を後にして、司令室へと向かうのであった
「アクセルオッスオッス、俺が寝てる間に通信入れてたんだってな」
『戦治郎!目を覚ましたのかっ!!!』
俺が通信を入れたらめっちゃ驚いた様子で通信に出て来たアクセル、一体どうしたぞ?
『ビスマルクからの報告を聞いた時は本当に肝が冷えたぞ……、確か戦艦主砲を至近距離から50発以上受けたらしいな』
ああその話か……、正直自分でも何で今生きてるのか不思議なくらいなんだよな~……
「その件は俺自身驚いてるわ、あいつの連射性能もだけど俺自身の頑丈さにもな……」
『あいつ……、報告によるとル級1隻にやられたと聞いているんだが……』
俺はアクセルにそのル級、ラリ子の事を細かく説明する事にした。もしかしたら今後似たような奴が出てくる可能性もあっからな、アクセルの立場上是が非でも知っておいてもらわないといけない情報になるはずだ
『そいつも戦治郎達と同じ転生個体と言うわけか……』
「ありゃ放置したら世界がヤバそうだったから始末させてもらったわ、世界滅ぼしてから再建するとか頭おかしいだろ……」
『その上でこちらの話をまともに聞いてくれないときたら、そうせざるを得ないだろうな……』
あいつももうちょっち人の話聞ける人間だったら違った人生歩んでいたんだろうな……、まあ終わった事を今考えても仕方ねぇ
「取り敢えず、転生個体はあいつみたいに強力な奴がいるかもしんねぇから下手に手を出さない方が得策だろうな」
『そうだな……、もし見かけたら取り敢えず様子を見てからどうするか考える事にしよう』
「んだな、それがいいだろうよ。っとそれはそうと俺が寝てる間に入れた通信の内容って何だったんだ?」
『ああ、それなんだが……』
そう言ってアクセルがこっちに通信入れた理由を話し始めるわけなんだが、1つは俺の安否が気になったからで、もう1つは悟が言ってた通り宴会の件だった
俺の安否については今の俺の様子を見て安心出来たようだ。心配かけてすまんな、そしてありがとうなアクセル~
んで、その時ふと俺達が救出したプリンツの方はどうだったのかが気になって聞いてみたところ、どうやら悟が頑張ってくれたおかげでプリンツは一命を取り留めたそうだ。それ聞いてこっちも安心したわ~
そんで、宴会の件については当初は俺達が戻ってからすぐやる予定だったみたいだが、俺がぶっ倒れたせいで延期になってしまったとの事
んでアクセルが延期になってしまったのならばどうせだから一緒に参加させたいからプリンツの回復を待ってもらえないだろうかとお願いしてきた、勿論俺は即OKを出した。だって1人だけ除け者とか可哀想じゃん?つかある意味主役なんだから是非とも参加して頂きたいところである
そして今度は俺がついでにあの戦いで俺達に救助されたイギリス海軍の連中も呼んでやろうと提案する、通の友人らしいセオドールさんとやらに挨拶したいし、何よりもイギリス海軍に深海棲艦の情報が殆ど行き渡っていなかった件についてちょっち話を聞いておきたかったからだ
アクセルも後者に関してはかなり気になっていたらしい、言うのもアクセルは俺とのファーストコンタクトの後すぐに行動を起こし、俺が念押ししといた国には最優先で情報を提供したらしいのだ。それなのにあの時のイギリスの連中は普通の艦隊で戦おうとしていたのがどうも引っかかるようだ
そう言った理由もあってアクセルはイギリス海軍の参加にOKを出してくれた、これを切っ掛けにドイツとイギリスが提携出来る様になったらいいな~
『これでこちらの要件は全部話し終わったよ』
「ういうい、んじゃあ俺は今からその事を皆に伝えてから色々準備しますかね」
『準備?宴会はこっちでやるのではないのか?』
その事について、俺はアクセルに話し始める
まず宴会の会場だが、アクセル達からしたら場所が遠いかもしれないがどうしても俺達の拠点でやりたいと思ったのだ
だって俺達の見た目って深海棲艦じゃん?もし一般人が見ちゃったりしたら大変な事になりそうだからその対策として俺達のところでやりたいってのが1つ
もう1つはこの宴会が終わったら、俺達は日本に向けて出発しようと思っているからだ。今までここを拠点にして色々やってたからその感謝の気持ちを込めてここで盛大に騒ぎたいのだ
さっき俺が言った準備と言うのも、宴会の準備でもあるがここを出る為の荷造りの事でもあるのだ
「とまあこんなところだ、最後に我が儘言ってすまんな」
『いや、そう言う事ならば構わんよ。むしろ戦治郎達の船出を祝う為にも盛大にやらなければいけなくなってしまったな』
そう言ってもらえると助かるぜ、つかこいつホントいい奴だな~……、こいつと友達になれてホントよかったわ
この後、宴会で使う食材や酒はドイツの方で準備するから明日にでも取りに来て欲しいとの事だったので、明日の朝大五郎と翔を連れてドイツに向かうとアクセルに伝えて通信を切り、俺は宴会の件と日本に向けて出発する件を伝える為に皆に会議室に集合するようにと通信を入れるのであった
一方通行の歪んだ愛情
通が煙玉や空蝉と分身で使う人形を出せるのと同じように、ラリ子が持っていた特殊能力
自分の感情を砲弾に変えてぶっ放す為実質弾薬無限、相手をストーキングするかのように執拗に追跡する追尾性、相手の意見や感情を一切無視して自分の都合のみを一方的に押し付けるかの如く砲弾をばら撒く連射性を艤装に付与する
ただ使う為には艤装が必須の為、作中のように艤装を破壊されると効果半減若しくは無力化が可能
ラリ子はこの世界に来てからこの能力に依存した戦法ばかり使っていた為、これが使えない、或いは使えなくなった時の戦い方を碌に身に付けていなかったりする
ラリ子を倒す方法で一番手っ取り早かったのは、悟がラリ子を海中に引きずり込んでフルボッコにする事だったのだが、偶然ではあるが長門屋勢に負傷者を出して悟の動きを封じたおかげでラリ子の寿命は若干ではあるが伸びたのである
因みに九尺がわざわざ海上に上がってからチェーンソーで切りかかったのは、チェーンソーがガソリンで動くタイプ故、海中で使えなかったからである