「……っとまあこんなとこか」
戦治郎が司令室に集まった皆にフラリンから聞いた話の内容を伝える
「部下が艦娘に攫われたって……、それってもしかして……」
「多分加賀さん達だと思う、空母や戦艦がいない素材集めがやり易い場所を見つけたって言ってたからね……。本当はそんな事やりたくないけど、そうしないと薬を渡すのを止めると脅されていたみたいだから……」
天津風さんの言葉に神風さんが答える、まるで麻薬の取引のようだな……
「だったら尚の事早く神風の泊地の件を片付けねぇとなぁ、ヤク抜きも後遺症も俺がちゃっちゃと始末してやっからよぉ」
付き合いの長い俺達以外には分からないレベルで怒っている事を隠蔽している悟が言う、俺としても望ちゃんの件があるので早くそちらに向かいたいところだ
「そうなると、神風の泊地の件を片付けてからマダガスカルに向かうって事でいいのか?」
「いや、それがそういうわけにもいかないんだ」
木曾が戦治郎に尋ねているところにフラリンが割って入る
「お前達の事情は戦治郎とやらから聞いている、その件に私達の同胞が巻き込まれている以上早く解決して欲しいとは思うが、マダガスカルの方も色々と問題が発生していてな……、急いでどうにかしなければいけないと言うほどではないが、あまりそちらに時間をかけ過ぎると港湾棲姫様との面会どころではなくなるかもしれない……」
「かーっ!ま~た厄介事かよっ!?んで?マダガスカルってとこはどんな問題があんだよ?」
少々うんざりしながら輝がフラリンに問う
「今までは強硬派と日本の艦娘くらいしか襲撃してこなかったのだが、最近になって変な輩が度々襲って来ていると聞いているんだ」
「変な輩?一体何がどう変なのよ?」
変な輩と言う単語に反応した陽炎さんがフラリンに尋ねる、陽炎さん……尋ねるのはいいんだけど尋ねた後に俺達の方見るのは止めてくれないか……?
「それがガラの悪いヤンキーのような連中が少数ではあるがフランス領南方・南極地域あたりから襲撃してきているそうだ。襲ってくる時は深海棲艦でありながら水上バイクに乗って来るとかなんとか……、少数だからと油断していたらかなりの被害を被ったそうだ……」
うん、まごう事無き変な連中だな……、襲ってくる時ヒャッハー!とか言ってるんじゃないか?肩に棘の付いた肩パッド付けてたりとかしてないか?と言うか水上バイクは何処から持って来たんだよ……?
「酷い時は強硬派や艦娘と戦ってる最中に乱入してきて、誰彼構わず攻撃を仕掛けて来るそうだ……」
それ、最悪四つ巴戦とかになるんじゃないか……?応仁の乱もびっくりな混沌とした戦場になってるんじゃないか?
「なぁ、もしかしてそいつらはお前にミサイル寄越した奴の仲間なんじゃないか?」
「いや、それはない。そいつと会う前からヤンキー騒ぎはあったからな、私も取引の時気になって尋ねてみたんだがあんな低俗な連中と一緒にするなという具合にきっぱりと否定していた。それどころかいいカモとか言ってたような……」
摩耶が自分の推論をフラリンにぶつけるも、あっさりと否定される。しかしカモって……、それってヤンキー達はミサイル寄越した奴に都合よく利用されてるって事じゃないか……
「しかし、三下とは言えマダガスカルにかなりの被害を与えたとなるとかなりの実力があるようですね……」
「三下て……、ヤーさんみたいな言い方すなや瑞穂ぉ……。それはまあ置いといてぇ、案外そいつらも戦治郎さん達みたいに転生個体やったっけ?別の世界の人間が深海棲艦に生まれ変わったっちゅう奴、その類やったりするんちゃう?」
瑞穂さんがヤンキー達の実力に注目し、その発言から龍驤さんが仮説を立てる。もしかしたらその可能性はあるかもしれないな……、生まれつき深海棲艦だったら水上バイクなんて使おうとも思わないだろうからね……
「もしそいつらが本当に転生個体だったら厄介ですね……、最悪マダガスカルが陥落する可能性すら有り得ますね……」
確かに、通の言う通りそいつらが頭数を揃えてマダガスカルに襲撃したら瞬く間にマダガスカルはそいつらに落とされるかもしれない……、そうなると港湾棲姫との面会どころじゃなくなってしまう……、しかし……
「そこで俺から提案なんだがいいか?」
唐突に話を切り出す戦治郎、何かいい考えでも浮かんだのだろうか?
「例の泊地の事も何とかしねぇといけねぇけど、先の事を考えるとマダガスカルの件も放ってはおけねぇと思う。そこで俺はアムステルダム島とマダガスカルへの二正面作戦を提案する」
「つまりチーム分けして両方の問題を片付けるって事ね~、あまり戦力を分散させるのは経験上良くないとは思うけど、今までそれでやってこれちゃったからね~……」
戦治郎の提案を聞いて、内容を要約しながら頭を抱える剛さん
「望ちゃんは確定として、ヤンキー共の方も転生個体の可能性があるからチーム分けは慎重にやるさ。んでそれぞれの旗艦についてはもう決まってる、マダガスカルの方は俺が、泊地の方は光太郎に任せようと思っている」
俺が泊地の方の旗艦か……、戦治郎の奴気を遣ったな……。でも助かる、今度こそ彼女の事を助けたいからな……っ!
「それで、マダガスカルの方はフラリン、輝、翔、姉様、瑞穂が確定、泊地の方は神風、悟、護が確定だ」
「あのぉ……、確定しているメンバーはどういった理由でそうなっているのでしょうか……?」
薄々勘付いてるようだけど、敢えて姉様が戦治郎に尋ねる
「フラリンと神風はそれぞれの案内役だな、それで泊地の方の面子はそこの艦娘達の治療の為の悟に、例の首輪をどうにかする為に護に行ってもらおうと思ってな。マダガスカルの面子なんだが……、泊地の方は時間勝負な部分があるから速力を高速で統一しようと思っているだ。悟は艤装の改造で速力が高速+くらいあるから一緒にいけるんだが、姉様達は低速だからな……、申し訳ないが俺の方に力を貸してくれないか?」
戦治郎が確定メンバーの選定理由を話し、やはりと言った表情で納得した事を伝える為に頷く姉様、ちょっと心苦しいが事情が事情の為我慢してもらうしかなさそうだ……
「取り敢えずチーム分けはこっちで考えるから、その間皆はしっかり休んで疲れをとっててくれ。ミサイルの相手で皆疲れてるだろうからな」
戦治郎がそう言うと、皆は素直に各自に割り振られた部屋へと向かって行った。確かにあれはきつかったからな……
「ん?光太郎どした?皆もう部屋に行ったぞ?」
未だに司令室に残っている俺に気付いた戦治郎が声をかけてきた
「いや、頼みたい事があってな……、前に放水砲の更なる増設の話しただろ?」
「ああ、あの話か……、もしかしてやるのか?」
「それもなんだが、ちょっと思いついた奴があってな……」
俺はその思い付きを戦治郎に話すと、戦治郎はニヤリと口角を上げうんうんと頷いた
「いいなそれ!OKOK、俺の方はチーム分けでちょっち忙しいから空の方に頼むとやってくれると思うぜ!俺の方からも連絡すっから行ってきな!」
「分かった、ありがとうな戦治郎」
俺は戦治郎に一言礼を言うと、足早に空のところへと向かって行った
俺達がこんなやり取りをしている時、この拠点に近付く影があった
「皆済まない……」
「無理して喋らなくていいからっ!今は大人しくしてて!」
「彩雲がこの先に大きな拠点を見つけたんだけど、哨戒してる奴が見当たらないってどういう事……?」
「もしかしたら誰もおらんのかもしれんな!あの中を探ってみればバケツの1つは見つかるかもしれんぞ!」
「でももしそれが罠だったら……」
「例え罠だったとしても行くしかないと思います……、警戒しながら進みましょう」