「了承も貰ったし、遠慮なくすんぞ? 一応はゆっくりからしてやるけど」
と言いながら、身体を、と言うより腰を前後に動かし始めた。
擦れる中がヒリヒリし出して、アイシアは意識を少しずつ浮上させられていく。水音とその摩擦具合に、圧迫以外の『何か』が感じられるようになってくると、嬌声が漏れ出してきた。
「ふっ……ぁあっ⁉︎ レイ、フロ……さっ‼︎ 動くって……こんなっ⁉︎」
「まーだ、気持ち良くは……ねぇか。そうだ。……男が一番、感じれるのは……こう言うこったっ……はぁ……」
性交の、本当の意味での行為。
性器が埋まって、生殖機能を余すことなく使うと言うが、こんな感じだとは想像していなかった。
埋まってる部分だけなのに、身体全体が性感帯になったかのように痺れや快感が下腹部を中心にして伝わってくる。
レイフロも、感じてると言うことはそうなのだろうか。だとしたら、凄く嬉しい。アイシアだけ快感を得ては寂しいし、彼にも気持ち良くなってもらいたいから。
昂奮と快感を得たかのような吐息を聞いて、レイフロも気持ち良くはなっているだろうと感じ取れた。
「……はぁ……くぅっ……んんっ………シア……気持ち、いいか?」
速度を上げずに、レイフロはアイシアの反応を見ながら行為を楽しんでいるようだ。珍しく愛称で呼んでくれたので、アイシアはまたきゅんと胸が締まった。ついでではないのにあそこまで締め付けてしまい、レイフロに軽く息を飲ませてしまったが。
「きゃっ………ご、ごめん……なさい」
「……いーよ。そっか……愛称で呼ばれると……感じちゃうんだな?」
「えっ……と……ふっ、わぁあっ⁉︎」
レイフロがニヤりと口角を上げると同時に、いきなり速度が上がっていった。
あまりの急展開に、アイシアは意識を一瞬飛ばしかけた。それが気を遣ることだったらしく、レイフロに後で教えてもらった。
それよりも、壁とレイフロの剛直が擦れ合う感覚はなんとも言い難かった。前後に抽送するだけと思えば、指で調べ上げた的確な場所に押し付けたり、ぐりぐりしてみたりと。
ただ、性器の役割をするだけでないのか。
一度アイシアも成年指定本の女性向けを読んだ方が良いかとぼんやり考えた。
だが、考えられる余裕があるのがどうもいけない事だったみたいだ。
「……余裕、あんな? シア……何考え……てんだよっ」
そう言うレイフロも、若干の余裕があるように思えたが、集中している箇所が違うみたいだからで。
表情ではぼんやりしているアイシアに顔を寄せ、紅い瞳を細めると唇を強く押し付けてきた。
「……んぅっ⁉︎」
いきなりの刺激に息が詰まりそうだった。
下のは当然持続してるが、口にまで感じてしまうとどっちに集中していいのかわからなくなりそうだった。反射で出来た隙間に熱い舌を挿れられ、中でだらんとしてたアイシアのを見つけるとすぐ様絡め取ってしまう。
その動作だけでも意識して集中しなくてはいけないはずなのに、レイフロは下の抽挿と合わせて行ってきた。器用過ぎだろうと、どこか感心してしまう。
「……っ……後で、教えてもらう……からな? 今は、俺に集中しろよ」
「んぅ……んんっ……レイ……フロさんがっ……」
「あ?」
やっと彼の名を口に出来たせいか、レイフロは抽挿を弱めて唇も離してくれた。
出来れば律動も止めて欲しかったが、彼の快感を奪いたくないので、そこは我慢した。
「俺が、なんだって?」
「……レイフロ、さんが……感じられてるんだなって……わかりそうだったから……私も、少し勉強した方が、良いかな……って」
経験の差を埋めたいからと言ったら嘘になるが、少しでもレイフロが気持ち良くなって貰えたらなと。
もにょもにょと口籠りながらも伝えると、頭上からは大きな溜め息が降ってきた。反射で、アイシアは肩を跳ねらせてしまう。
(………呆れちゃった……のかな…)
だとしたら、この行為も終わりかと思いきや、いきなりその肩と頭に手を差し込まれて身体を起こされた。
「ふわぁっ⁉︎」
しかも、下半身は繋がったままだから擦れ合う音もそのままで、アイシアはまた締めそうだったからなんとか堪えた。
身体は気づけば硬いレイフロの胸の中で、アイシアは逞しい彼の腕に力強く抱きしめられていた。
呆れられたと思ってたのに、どうしてか間逆の行動。顔を見ようにも、抱擁の力強さで出来なかった。
「……おっ前、本当に天然だな」
「え?」
「……どうにか加減してやろうって、何度も踏み止まった俺の努力……なんだったんだよ? 俺のためって……初めてのお前にそこまで気ぃ使わせるなんて、情けねぇな」
「……だって……」
愛し合う間柄になったのだから、不平等を定義するわけではないけれど、こう言う行為は別物だろう。一方通行では意味がない気がしたのだ。
初めてのアイシアを大切にして貰えるのはもちろん嬉しいが、レイフロにも悦楽を共有してもらいたい。なにせ、彼にも久々の男女での性行為なのだから。
恥ずかしかったが、また小さい声で伝えると、今度は安堵したかのような溜め息が降ってきた。
「……そうだ、な。一方だけが感じてちゃ、お前に寂しい思いをさせちまうかもな?」
「……呆れます……?」
「ちっとも。セックスなんてって奴には否定されるだろうが、俺は違うな。アイシアと同じくらい、俺だって気持ちよくなりたいぜ?」
「……良かった……」
胸板に擦り寄ると、レイフロはアイシアの長い黒髪を梳いてくれた。そして、耳元に顔を寄せて、
「……せっかくだし、このまま続きすっか?」
「……このまま?」
対面でなど可能だろうか。
体位をまったく知らないアイシアには首を傾げる疑問だった。
当然わかってたレイフロはくつくつ笑うと、アイシアの両腕を首に回させてきっちり対面座位の姿勢を取った。
「しっかり掴まっとけよ?」
「これで?……って、きゃっ⁉︎」
いきなりグラインディングが始まり、下からの突き上げが再開された。
(……な、っにぃ⁉︎)
体位があるなんて本当に無知でいたアイシアには、未知の感覚だった。
奥にあったと思ってたレイフロの剛直が、更に奥まで突き進んでいて、先端がアイシアの最奥にまで到達しているような具合。
それに中だけでなく、結合している外側まで接触具合が凄くて。下生えや陰核ばかりか、レイフロの膨らんだあの箇所まで、アイシアの恥丘にぶつかって擦れている。
こんな接触が行為の中にあるものだろうかと、アイシアは羞恥で心が戦慄いていた。
しかし、羞恥だけではない。
「きゃっ⁉︎ レイ……フロ、さんっ……なんか、深いっ‼︎」
「どーやら……シアにはっ、お気に召したようだな? んじゃ……これからは、この体位必ずシような」
「そ……じゃ、なくてっ……苦しっ……んくっ‼︎」
「奥まで行くからな、これっ。……やべっ、シアにつられて俺まで……感じてきた」
感じてきたのは、アイシアにもわかった。
アイシアがまた締めた途端に、レイフロの怒張が幾分か肥大したのが感じ取れたからだ。たしかそこだけは、アイシアの足りない知識にも刻まれていた。
突き上げが激しくなってきて、アイシアはまたイキそうだと思ったら、レイフロが体位を再び正常位に戻そうとベッドにアイシアを横たえた。
「……イくんなら……どーせだったら、一緒がいいだろ?」
掠れ声の具合に、レイフロもようやく達しそうなのが伺えた。それが素直に嬉しくてアイシアはしっかり頷いた。すると、彼はアイシアに顔を近づけてきた。
レイフロの紅い瞳はもう正常色に戻ってはいたが、情欲の焔は消えていない。彼は、アイシアと唇が触れそうな手前で顔を寄せるのを止めた。
「……愛してんぜ、アイシア」
「……っ。私も、愛し」
続けようとした言葉は、キスで奪われた。
でも、伝わってると確信しているから構わない。
唇を合わせて、吐息をも交わす。
レイフロは舌を挿れてくるキスはせずに、触れ合いを終わらせると唇はそのまま口端から頬、耳元に唇を滑らせて、最終に首筋に顔ごと埋めるとアイシアの白い項にキツく吸いついた。
「ひゃっ⁉︎」
アイシアが反応すると、楽しいのかそれから何度も吸い付き、項だけでなく次第に鎖骨にまで唇を這わせていく。
下はその間何も動かずでいて、アイシアはまだなのかともどかしかった。イキそうだった手前、二人で達しようと決めたのにレイフロの行為の意味がわからないでいた。
快感は得られるが、これではさっきと同じではないかと。
「……ん? どうした?」
レイフロはアイシアの声が聞こえなくなってから、楽しそうに問いかけてきた。
どうしてそんな調子なのか、アイシアはやっぱりわからない。じっと彼を見上げると、レイフロは何故か苦笑いしていた。
「……強請るのは、まだ無理か?」
「ね……だる?」
さっきしたと思ったアイシアだが、レイフロが意味するところはどうやら違うようだ。
首を傾げていると、彼は『その内言わせてやる』と口端を上げて、またいきなり腰の突き上げを再開した。
「ぁああぁあっ⁉︎」
あまりの突き上げの速さに、結合部が擦れる痛みを忘れてアイシアは喘いでしまう。
レイフロのリードに上手く誘導されて、処女だったアイシアの官能を引き出そうと、彼はどうやら懸命になってたようだ。
アイシア自身、無意識ながらも腰が揺れていた。
「……いい具合に……腰、揺れてんな? イキそ……っ、か。シア?」
「ひゃっ⁉︎……っ、うっ……い、イキ……そですぅ」
切れ切れながらも、なんとか口から紡いだ。
頷くだけではレイフロに伝わりにくいと思っただけでなくて、彼からの声掛けにちゃんと応えたかったからだ。
レイフロの方も、聞き取れたその応答に、ストロークを益々速めていった。
「っ⁉︎……あぁっ……ふぅっ……ぁあっ‼︎」
身体がガクガク揺れてしまい、離れそうだったぬくもりにアイシアはレイフロの背中に腕を回してしがみついた。アイシアの乳房がレイフロの胸板に押し付けられて潰れるが、アイシア自身気にしてる余裕がもうない。
レイフロの与えてくれる激しい快楽の中に、もう身も心も溺れていたから。
「ちょっ……シアっ、煽り過ぎだろっ⁉︎……こんなんじゃ……すぐ、出ち……まうじゃねぇか」
出るって、何が。
小さく呟いてしまっただけだが、至近距離なのでレイフロには当然聴こえていて。ぐっ、と更に彼自身が肥大してしまい、受け止めてたアイシアは息が詰まった。