「ひゃっ⁉︎ な、なんで‼︎」
「だ……から、無意識に……煽んなってのっ。この、天然姫さんはっ‼︎」
「煽ってって……わ、私……そんなこと、してなっ、ひぅっ⁉︎」
弁解しようとしたら、レイフロに両脚を肩に担がれてしまい、一気に奥に突き進められた。抽挿も更に激しさを増していき、アイシアは呼吸が儘ならずはくはく口を開けてしまうばかりだった。
それと、脳裏がなにかチカチカし始め、ただ絶頂を迎えるだけでない事が理解出来た。堪らず、レイフロの背中に爪を立ててしまうが、彼は小さく呻いただけで気にするなと返してくれた。
「むしろ……アイシアの処女膜切った痛みに比べたら……全然、大したことないしよ。それに……情事に女が爪を立てんのは付き物だぜ?」
最後のは余計だと、もう少し強く立てようとしたが無駄に終わった。と言うのも、力を入れている余裕もないまま、アイシアが絶頂の域に達しそうだったからだ。
「……だ、だめっ‼︎ レイ、フロさっ……わ、私……イキ……そう、ですぅ⁉︎」
「……いいぜ。俺は、もう少し……かかるが。そん時にも、アイシアなら……一緒にイけそうだしな」
「な、何度も……って、きゃっ……ぁああああああぁぁっ⁉︎」
一際大きく穿たれた瞬間、アイシアは絶頂を迎えてしまった。
それに併せて膣道が酷く収縮してしまうが、レイフロはなんとか達するのを堪えていた。
「……はっ……すっげぇ、締めつけっ。……マジで、耐えんのしんどっ」
「………はぁっ……はぁー……はっ、はぁ」
身体が異常に熱を持っている。
ただの体温上昇じゃない。劇的な運動による酸素欠乏と、性行為への愉悦が精神を侵食しているからだろう。
アイシアはレイフロにしがみついてた腕の力が抜け、ベッドに身体を落とした。元々そこまで浮かんでいなかったので、すぐにシーツの感触が背中に伝わってくる。
レイフロもアイシアの両脚を解放して、息を整えようとしている彼女の頬や髪を撫でてやった。
「……すっげぇ、色っぽい顔してんぞ。シア?」
「……はぁー……わ、からないで……す」
「鏡見してやりてぇが、今ないしな?」
「……いいです」
恥ずかしくてそっぽ向くに決まってる。
むっ、と頬を膨らませていると、何故かまたレイフロの瞳が紅く染まり出した。
急な出来事に、息を詰めてしまう。
「……息整ったとこ悪りぃんだが……俺まだなんだよな?」
「……あっ……えっと……」
結局、アイシアだけが達してしまっていたから、レイフロがまだであったのを忘れていた。瞳が染まったのは、まだ情欲が冷めきってない証拠で。
(……すっごく高まると……染まっちゃうのかな?)
最中の間も気づかない時に、そうなっていたのかもしれない。レイフロがコントロール出来てるか定かではないが。
「……シア……ダメか?」
切なそうに囁かないで欲しい。
未だ繋がったままの下腹部が、きゅっと締まってしまうではないか。今も当然そうなってしまい、レイフロの柳眉も皺を寄せてしまった。
「……何。俺の声で、感じた?」
「レ、レイフロさんの……意地悪っ‼︎」
「ははっ。俺いい男だし? 声で快感を引き出すのは……アイシア限定で、お手の物だかんな」
ふっ、と耳元に唇を寄せてきて、息を吹きかけてきた。以前にも、悪戯に仕掛けてきた行動。
あの頃は嫌悪で歯向かっていたが、今はレイフロが言う通り、快楽を引き出す手管と化している。その証拠に、アイシアの吐息が切なくも甘いものになっていた。
悔しくてまた歯向かおうともしたが、レイフロの悦楽がまだ終わってないのと引き出されたアイシア自身の欲情に、絆されたなと諦めた。
ただ、仕返しでもないが、レイフロに唇を寄せてキスを強請った。その小さな願いに、レイフロは一瞬惚けたが、すぐにニヤっと口端を緩めて自分のを合わせてきた。
水音が静まった室内に響き渡り、二人の男女の耳にも直に届いている。
「……んっ……はっ……ぁ……んむっ」
「…………くくっ……キス強請っといて、もう終いか……?」
「…………だって……」
レイフロのキスは媚薬に等しい。
薄くて柔らかくて、少し苦くて甘い口付け。
初めてのアイシアの官能を引き出す手管がここにもあった。でも、生来負けず嫌いなアイシアだったから、悔しくてレイフロの口内に自身の舌をなんとか押し込んでみた。
当然驚いたレイフロは、少しだけ目を丸くした。
拙い動作だが、小さい舌が歯茎、上顎に下顎と嬲り、肉厚な舌を見つけると必死に絡み付こうとする。
けれど、大きさの違いもあってか、なかなかアイシアの舌では引っかからない。呼吸が苦しくなる手前で引き抜こうとしたが、観念したレイフロが絡みやすいように差し出してきた。
「………ふぁ……?」
「欲しかったんだろ?」
くぐもった声で、レイフロが降参の意を示してきた。初めてのことで、アイシアは堪らなく嬉しかった。嬉々として舌を絡めていくと、段々と焦ったくなってきたレイフロに結局は主導権を持っていかれた。
だけど、アイシアも構わなかったので、その愉悦に溺れていく。同時に快楽も感じ取り、蜜口の奥が溢れ出していくのを身体でわかっていた。
繋がってる結合部から水音が湧き出してきたのが、耳に届いてきたのだ。レイフロにも、彼の方が耳が良過ぎるから当然バレているだろうし。
「…………さて、続きしよっか?」
覗き込まれた瞳は、紅から真紅にまで濃く染まってる気がした。
レイフロの情欲の昂まり具合が、そのまま反映されているかのごとく。
だが、それはアイシアとて同じかもしれない。
幾度か絶頂を迎えていると言うのに、愛する彼を求めていたのだから。
「…………は、い……来て、ください……」
「っ⁉︎……ほんと無意識でそんな台詞言うなよなぁ? 俺が、マジで我慢できなくなんだろうが」
「…………レイフロさん……ダメですか?」
「……ダメじゃねぇって。俺以外、絶対言うなよ? チェリーにもだ」
「……? チャールズさん? どうして?」
「ものの例えじゃねぇが……俺以外に気ぃ許してる男は、あいつしかいねぇだろ」
「……仲間、だからですけど……?」
「そーだな。シアはそう言うと思った。……じゃ、遠慮なく俺もイカせてもらうぜっ‼︎」
「きゃっ⁉︎」
どさっと、ベッドに深くアイシアを沈ませて、レイフロものしかかるように覆いかぶさってきた。
重いと抗議しようとしたアイシアに、レイフロは有無を言わせないように深く口付けてきた。
そして舌を絡めてきた際に、腰の動きも再開させた。
「ぁあっ⁉︎ きゃっ……そこは……んんっ‼︎」
「いい、だろ?……擦って突いて、俺ので感じてくれてんじゃねぇか。締まり具合も……マジで、やべぇっ⁉︎」
遠慮がないと宣言した通り、レイフロの突き上げはさっきより容赦がなかった。慣れが早い身体でこの時良かったと、アイシアはこっそり思った。擦れた痛みが快感で緩和されてたから、今では本当に快楽だけで満たされていた。
(…………でも、レイフロ……さんは?)
霞む視界で彼を見上げてみたが、レイフロ自身も昂奮して悦楽を感じているようだった。
行為が始まってからの中で、一番恍惚とした表情でいたから。堪らなくなって、アイシアは本当に鼻血が出そうだと顔を背けた。またすぐに、彼によって正面に戻されたが。
「……っ……そんなに……俺が感じてる顔……やべぇのか?」
「…………っ」
「……シーア? アイシアちゃーん?……俺にちゃーんと答えてほしいんだけど?」
そんな甘えたな声で問いかけても、恥ずかし過ぎる。始まったばかりの時にもちゃんと告げたのに、二度も言えというのか。
とは言えど、レイフロが絶頂を迎えさせるのが目的だから、アイシアも観念して口を開いた。
「……そうですっ。……レイフロさんの……そう言う顔って、心臓に悪いんですもんっ‼︎」
「ははっ‼︎ 心臓に悪いって、俺お前の急所を顔だけで突いてんのか?」
「そうですっ‼︎」
直接的でないが、レイフロはいつもアイシアの心理を掻き乱してきた。悪戯な態度だけでなくて、不意打ちに甘い雰囲気を醸し出してしまう狡猾さも。
全部、全部アイシアを陥落させていた。
今では、恋仲として更に質が悪くなっている。
嫌という意味ではなくて、胸が高鳴り過ぎて、レイフロ無しではいられなくなる意味でだ。
それだけは、まだアイシアの性格から言えないが、どうせ聡いレイフロだから、大方察しているだろう。抱き付いてる今も、嬉しそうに笑みを零しているのが聴こえてきたから。
「ほーんと、俺が好きなんだな?」
「…………レイフロさん……余裕過ぎません?」
「……見栄はってるだけだって。愛してる女に、そこまで想われるなんて、男冥利に尽きるもんだろ?」
「見栄……?」
「いーいの。シアは知らなくって。これは、男としての心情だから……な?」
「……はぁ……?」
「つーわけで、再開させんぜ? 俺もう限界寸前なんだよ色々とっ」
「きゃっ⁉︎」
ストロークが再び始まり、アイシアは落ちないように咄嗟にレイフロの肩にしがみついた。
嬌声はひっきりなしに口から漏れ出し、それだけでレイフロを感じさせているとは思わないでいた。アイシアが声を上げる度に、なんだか動きが益々激しくなっていくから。
時折、なにかを耐えているレイフロの声もアイシアの耳に届くが、問いかけをする余裕がないでいた。
また、アイシアの絶頂が近づいていたからだ。
「…………だ……めっ……レイ、フロさん……わた……し、イキそっ」
「……ちょうど良かったぜ……俺も、マジで…………ヤバいっ‼︎」
「……………よかっ……た」
望み通り同時に達せるのが、心底ほっとした。
安堵感を得てしまったためか、しがみついてた腕の力が抜けてベッドに落ちてしまった。それと同じくらいに、レイフロの動きも更に激しさを増していき、吐く息が荒くなるのを肌に感じた。
アイシアも呼吸が整わず、荒い息のまま幾度か快感で背が弓なりにしなった。
「……っシア‼︎ アイシアっ、俺……マジで、イキ……そうだっ‼︎」
「……イって、くださ……いっ‼︎……受け止め、ますか……らぁ‼︎」
「……っくっ⁉︎……サンキュ……なっ⁉︎」
その言葉と同時に、アイシアの最奥がなにか熱いもので満たされた。
一度でなく、二度や三度に分けてそれは注がれたが、達してしまったアイシアの脳裏ではそれがなにかわからなかった。
ただ、レイフロがようやく絶頂を迎えられたことだけは感覚的に伝わっていたので、酷く満足していた。
レイフロも脱力感を得れたらしく、少し息が整うとアイシアにゆっくりと覆い被さってきた。