華燭の宴を挙げたその夜の熱い一時を。
ブラックコーヒー迄は要りませんね。
青白い月明かりに照らされた深夜。
ある鎮守府で催された華燭の宴。
華やかなその宴も終わりを迎え、鎮守府も静まり返っていた。
その一画にある、華燭の宴を終えた新婦の部屋の扉が軽く叩かれる。
既に時刻は深夜である。
時計の長針も、本日の最後の一回りに突入し、既に半周を刻んでいた。
「春風、入るぞ」
部屋を訪れる花婿。だが、その声に対しても、扉を軽く叩く音に対しても、中に居る筈の花嫁からは返事がない。
もしや、あまりに遅くなった為に、眠ってしまったのであろうか……と、思い浮かべながら、恐る恐るドアを開ける花婿――提督。
部屋の中は仄かな光が幾つも灯っており、かなり明るい状態であった。
「この燭台は夕張と明石の作品か……。センスと言い、技量と言い見事なものだ……」
燭台から目を移すと、寝台の上に花嫁の姿を容易に見つける。
「春風……眠ってしまったのか?」
呼びかける提督。花嫁は横になっており、彼に背を向けるように壁の方を向いたまま頭から掛布団を被っている。
『参ったな……あまりにも遅くなったから眠ってしまったか』
そう考えている提督に声がかかる。
「……寝ていませんよ」
「え?」
提督の思考を読み取ったかのように呟く春風。
そして掛布団を被ったまま身体の向きを変え、その円らな瞳を尖らせて提督に視線を向ける春風。
「司令官様……今、何時なのかご存知ですか?」
不満めいた色合いを帯びた声の春風。
彼女が怒っている事ぐらいは常日頃から朴念仁呼ばわりされている提督にも容易に察する事ができた。
「済まん……かなり遅くなってしまった。本当に済まなかった、春風」
事実、彼は反省すべきであったのだろう。
宴の後も他の艦娘達に強引に連れ去られ、断りきれぬまま何度も杯を飲み干し、部屋を訪れるのが遅くなってしまったのである。
二人にとって初夜は大切な儀式であった。
その事を承知しながら、提督は春風を待たせ過ぎてしまった。
そして時刻は、日付が変わってしまう直前である。
危うく結婚初夜が翌日になってしまう所であった。
その事だけでも、彼は春風から責められたとしても弁解の余地はなかった事だろう。
しかもその上に彼は大切な事を失念していた。
いや、覚えていたのであろうが、忘れていたと彼女に言われても仕方がない所であろう。
「司令官様、今日は何の日か覚えていらっしゃいますか?」
「今日……かい? 今日は、私達の大切な結婚式の日であって……そして春風の」
「ええ、今日は私の進水日です」
華燭の宴は春風の誕生日ともいうべき進水日であった。
「す、済まん……」
「済まんじゃありません! 初夜だけでなく、私の誕生日ももうすぐ終ってしまいます! 姉さま達との宴が悪いなんていいません。でも、今日は……今日は年に1度の私の誕生日なんです! そんな日ぐらい私の事を少しぐらい大切に考えてください!」
激昂する春風の双眸から一粒、二粒と煌きが零れ落ちる。
「司令官様はやはり、私の事などどうでもいいのですね。……そうですよね、今回の結婚は大元帥閣下が直々にお命じになった事でしたし。きっと司令官様は、御命令で結婚してくれたんですよね。そうなんですよね! はっきり仰ってください!」
放っておけば、更に春風は辛辣な言葉を連呼していたかもしれない。
それは、提督へ向けた憤りであったが、確実に彼女自身を傷付ける言葉でもあった。
その事を無意識に悟ったのか、提督はそっと春風の方へと歩み寄ると、掛布団に包まるように横になっている彼女をその布団ごと抱き締めた。
「……抱き締めるなんて……ずるいです」
責めるような口調だった先程までとは打って変わって、弱々しい物言いを覗かせる春風。
「遅くなってしまった事。そして、春風を蔑ろにしたと誤解されても仕方のない事は心から謝る。だがな……春風。これだけは絶対に譲らない。私は命令なんかで人を好きになったりできる程、器用な男ではない! 私は春風という女性を愛している! それは嘘偽りなんかじゃない! 心から……心から、君の事を愛している」
言い終えて、提督は小柄な彼女を布団越しに強く抱き締める。
その量感に満ちた彼の腕の中で、春風はしみじみと幸せに浸るような微笑を浮かべながら口を開いた。
「司令官様……嬉しいです……」
「春風……。その、司令官様は止めてくれないか。今日から私達は夫婦になったのだから。出来ればあの時の様に名前を呼んで欲しい」
そう春風に言い聞かせ、自身の胸の中で彼女を抱き締めていた力を緩める提督。
そんな彼に、春風は微笑みを浮かべると、恥ずかしげな口調で答える。
「はい。……康夫、様」
一度はそう呼んだものの恥ずかしそうに頬を染める春風。
「ごめんなさい、慣れないことをするものではありませんね。夫とはいえ殿方のお名前をこれ以上お呼びするのはご容赦ください、旦那様」
恥ずかしそうな笑みを収め、転じて神妙な面持ちを浮かべると、おもむろに口を開く春風。
「旦那様の態度如何によっては、私も覚悟を決めようかと考えていました……。でも……旦那様に、最高の答えを態度と言葉で示して頂けましたから、改めて旦那様の妻としてお仕えさせていただきます」
「ありがとう……春風」
彼女の『覚悟』の意味を悟った提督は一瞬蒼褪めた。と同時にその危機を避ける事ができたか。と安堵のため息を洩らすのであった。
「……あの、そろそろ……」
「どうした?」
春風のためらいがちな言葉。
「……。今日は結婚初夜ですよね。今宵は私の純潔を司令官様に捧げるつもりでしたけど違いましたか」
「……いや、違わない」
15年近く年上とは思えないその鈍さに、春風は僅かに苦笑したものの『そんな所も好きなんです』と小さく呟きながら、すっと身を起こした。
そして、被るようにしていた掛布団を力一杯に投げ捨てると、春風は寝台の上で両膝を立てた姿勢で胸を張った。
「……どうですか? 旦那様。この格好は」
「ん。どう……と言われてもな。どうした? 春風がそんな格好するとは」
「えっ!? 提督、私のこの格好を見て、何も感じませんか?」
「……体操服だな、それは」
掛布団を取って露になった春風の格好は、体操服姿――白い半袖の体操服と紺色のブルマーの他に、短めの白いソックスを履くという念の入れようであった。
「どうしたのだ? 春風らしくもない」
「そ、その、何と申しますか……破廉恥ではないかとは思えたのですが、旦那様を喜ばせるコツを、この前吹雪さんに尋ねたところ『提督なら、このシチエイションは必ず萌えるわよ』と仰っていましたので」
頬を上気させ、俯きがちな春風。
「水着も薦められましたが、最近の水着は、その、何と申しますか……破廉恥ではないかと思い、お断りさせて頂きました」
「……吹雪(どうして、そこで水着も強く押さないんだ!)」
頭を振る提督。溜息を一つ吐くと、
「……彼女の言う事を真に受けないようにな。そのままでも、春風は充分に可愛い」
「そ、そうでしょうか? ……でも、浜風嬢や村雨嬢と比べると、殿方のお好きな、む、胸もそれほどありませんし。旦那様から見ても見劣りしませんか」
「そんな事はない。春風、確かに浜風や村雨達にもそれぞれの魅力がある。でもな、春風。君も充分、魅力的だ」
「そ、そうですか……」
恥ずかしそうに頬を染める体操服姿の春風をそっと抱き締めると、提督は更に口を開いた。
「春風の瞳は私のお気に入りだし、触り心地のいいこの髪も大好きだ。笑うと覗かせる白い歯も、手を合わせると守ってあげたいと実感できるこの小さな手も、全部、私の大好きな春風だ。そして、こうやって抱き締めると胸の中にすっぽりと収まる華奢な身体にも、とても愛しさを感じている」
「旦那様……嬉しいです。……嬉しい」
春風の双眸からは先ほどのように煌きがこぼれていたが、それが意味するところはまったく異なっていた。
その涙を拭くように、提督が着ている寝衣に目頭の辺りを擦り付ける春風。
そんな彼女を包み込むように抱き締め続けながら、提督は瞼を閉じて、穏やかな口調で話し掛けた。
「春風はかつて自分の事を魅力がない……って言ったが、出会ったあの頃に比べると、本当に魅力的になった」
「旦那様。私もいつまでもあの頃のままではありませんよ」
提督の胸の中に埋めていた顔を少し覗かせて、頬を膨らませる春風。
そんな彼女を見つめる提督は、いつしか遠い目になっていた。
昔……戦いの最中にあった頃の彼女。
気がつくと、『私』と自身を呼ぶようになっていた彼女が、まだ己を『春風』と呼んでいたあの頃。
そして私的な場では『兄上様』と呼び慕っていた頃の彼女。
輸送船団護衛を指揮している最中に深海棲艦の襲撃を受け、他の艦娘と離れてしまい、春風と2人で無人島に上陸した夜。
月明りもなく、周囲が暗闇に満ちていたあの時 ――互いに姿の見えぬ漆黒の中で、彼女は覚醒し凛とした姿を見せ、そして初めて彼の事を『康夫様』と呼んだ。
その瞬間、提督は『自分が生きている限り最後まで護り続けてあげたい』との想いを抱いた事を今でも鮮明に思い出す。
思えばこの時に二人とも恋に陥ちていたのかもしれない。
あの時、触れる事ができなかった彼女の唇。
その春風の唇にそっと口づけをすると、提督は笑顔を浮かべて、こう言った。
「誕生日……おめでとう、春風」
「……ありがとうございます。旦那様」
突然の接吻に、春風は頬を赤らめながら、彼の唇の名残を惜しむように、人差し指でそっと自身の唇をなぞって見せる。
提督が引退してからは街で再会する度、人目を忍びつつ唇を重ね、提督の口づけに慣れてきたつもりの春風。
だが、大人びてはいるが実は耳年増な一面を持つ彼女。
未だに提督から口づけを受ける都度、頬を染め、初々しい姿を覗かせてしまう。
春風は紅潮したままの頬をそのままに、恥ずかしそうに俯き加減になりながら、口を開いた。
「旦那様、ありのままの今の私を愛してください。……改となってあの頃より成長した私を愛してください」
その春風の願いに提督は黙って頷くと、膝立ちになっていた彼女をベッドに寝かせ、羽織っていた寝衣を脱いで一糸纏わぬ姿になり、小柄な春風を包み隠してしまうように伸し掛かっていった。
「春風、愛してる」
言い終えるが早いか、提督は再び唇を彼女の唇に重ねる。
それも今度は先程のような軽いものではなく、熱く、そして蕩けるように甘い求め合うようなベーゼであった。
「んんっ……んん」
春風にとっては初めてのベーゼである。
立っていたならば腰砕けになって倒れてしまいかねない程に、全身から力が抜けてしまった春風。
「はぁ、だ、旦那様。もっとして、ください」
春風にとっては提督のその接吻は禁断の木の実と同じ ――初めて交わしたベーゼに心を奪われてしまった。
そして春風の甘い願いに提督は逆らえなかった。
二度、三度と触れるだけの口づけで彼女の小さな唇を開かせたかと思うと、今度は深く唇を合わせる提督。
そして開かれた春風の口の中に舌を侵入させると音を立てながら彼女の舌へと絡み合わせる。
「んんっ!あ、はぁ……。んんっ」
ベーゼだけで快楽の渦の中に身を沈めつつある春風。
その姿を見て、提督は興奮しつつある自身を抑えながら口を開く。
「春風、先程の事は訂正する」
「え?」
春風は自分の格好の事をすっかり忘れ、今では提督の方が意識していた。
「体操服姿の春風にこんな事をしてるのは、禁忌を侵しているようで興奮してしまうようだ」
そして提督は、春風が着ている体操服の裾を捲くりながら、右手を入れて、彼女の素肌を愛撫する。
「あ。んっ……んん……。旦那様、貴方様もお、好きな、のですね」
咎めるような視線を含んだ甘やかな瞳に臆することなく、無言でその手を奥へ進める提督。
「やっ、あっ、そんなっ、いきなりっ」
「春風……体操服の下は何も身に付けてないんだね」
更に提督の興奮の度合いが増す。
鎮守府の一隅で、背徳の逢瀬を重ねるような錯覚――幼い朝潮や春雨に手を出しているような錯覚――を覚える提督。
「くぅ、そん、なに胸を揉まないで、くだっ! ぁん」
提督を『兄上様』と慕っていた頃のような口調で甘やかな声を上げる春風。
右手は直に、そして左手は体操服の上から、春風の双丘を揉みしだく提督。
次第に大胆さを増していく提督は、胸が完全に開ける迄に春風の体操服を捲り上げ、姿を見せた薄い肌色の小さな乳頭を口に含む。
胸を撫でられていただけでも電気が全身を流れるかのような錯覚を受けていた春風は、乳房を揉まれ双丘の突端を舌で転がされてしまっては一溜りもなかった。
自身の胸を貪る彼の頭に手を添えながら、春風は身を震わせると、一気に頂へと誘われてしまった。
「春風……可愛いよ」
早くも達してしまった妻を前に、提督の興奮は更に増していく。
はだけさせた体操服はそのままにして、提督は彼女を抱き締める。
露になっていた春風の双丘は、提督の胸板に押し潰されるように形を変えていく。
その直接肌で感じ取る膨らみに、提督は心地良さを覚える。
未知の領域へと足を踏み入れた春風は暫くの間、身を震わせながら息を荒くさせ、提督の身体にしがみ付いていた。
そして、その呼吸もようやく穏やかになると、首元に押し付けていた顔を覗かせて、うっすらと笑顔を浮かべた。
「もう。……旦那様。好きなんですね、こういうの」
非難めいたその春風の物言いは、無論、本心ではない。
彼女なりに予習――経験がありそうな鈴谷や陸奥、知識だけはありそうな吹雪といった面々に心構えや体験談を聞く等――をして初夜に臨んだ演出が功を奏し、どこか満足そうな面持ちであった。
青春期の様な乙女心に疎い年代であれば、すぐに謝罪の言葉を口にしたかもしれない。
だが、年齢差とそこから生じる経験の差では一日の長がある提督は余裕の表情を浮かべる。
「おやおや、そんなことを言っていいのかな? 確かに私も好きだが春風も同じぐらいに好きだと言う事を知っているぞ」
言い終えるや否や提督は春風の耳たぶを甘噛みし、そのまま舌で舐め上げた。
「そんなっ、いきなりっ!」
「おや? 春風は耳たぶが弱点なのか? それとも、感じやすい体質なのかな?」
そのまま舌を這わせるように、春風の耳たぶから項を舐め続ける提督。
身をくねらせて官能を露にする春風。
「はぅっ! いじめ、ないで…ください」
そう言いながらも、提督の身体を撥ね退けようとはしない春風。
細い両腕が提督の背中にまわる。
身を震わせて、自身の愛撫を受け続ける春風の様子を見つめながら、提督は右手を徐々に彼女の下半身へと伸ばす。
春風のブルマーへ手を掛け、緩慢な動きで脱がせ始めた。
「あっ……だめ、で、す。恥ずかしい……です」
頬を赤く染めている春風だが、どこか淫らな色合いを浮かべている。
春風が身に付けていたブルマーを脱がせ、片足だけ抜き取る。
「春風、ブルマーの下は何もはいてなかったんだな」
「言わないでください……。大正の頃は……だったのですから。旦那様、そのように見られては恥ずかしいです」
ブルマーを脱がされ、秘部が露になる。
「きれいだよ、春風」
提督に見つめられているその熱い視線と吐息を下腹部に感じた春風は、身をよじりながら小さな両の手を伸ばして秘所を隠してしまう。
「春風、隠してはいかんな。ほら、手をどかしなさい」
提督が春風の股を開かせながら、身体を割り込ませる。
そのまま顔を彼女の秘所へと埋める提督。
同時に身をよじった際に伸ばされて春風の胸を隠していた体操服越しにその双丘を揉み始める。
「あっ! はっ! だ、だめっ! だめですっ!」
背を弓なりに反らして、身を震わせる春風。
「ひぃああぁっ! そんなの反則です!」
春風が予習の為に姉妹から貰い受けた書物にも図解入りで行為の説明が載っており、彼女は頬を真っ赤に染めながら事前に勉強はしていた。
だが、所詮は机上の知識に過ぎず、実戦の前では何の下準備にもならなかった。
春風がかつて自身も経験した荒天時の航行の時の様に、どうする事もできず提督に身を任せ続けるのであった。
提督の舌が、少しずつ秘所の奥深くへと侵入していく度に、春風は激しく身を震わせる。
そして、体操服越しに彼女の胸を愛撫し続ける彼の手は、段々と荒々しさを増していき、鷲掴みと言えよう程に揉みしだくのであった。
「旦那様ァァ! お願いっ! もう、だめです! 早くお願いしまっ!」
春風の蕾は次第に花弁が開かれ、内側からは甘酸っぱい蜜が滴り始めていた。
自身の天を突かんばかりに猛々しさを露にしている槍が此処に収まるのだろうかと、提督は僅かに危惧したものの、自身も興奮の最中に置かれている。
愛する妻から求められているというのに、我慢できよう筈もなかった。
春風の股を割ったまま身を起こすと、己の槍の先端をあてがい、潤滑剤を塗り付けるように春風のクレバスから溢れ出来る愛液を擦り付けた。
「もうだめっ! 変になってしまいます! 早く! 旦那様、お願いっ!」
求めに応じかけた提督であるが、大本営から釘をさされていた言葉が脳裏によぎる。
『結婚は構わぬ。むしろ奨励されるべき慶事である。だが避妊は確と行え。決戦が近づいている今日、春風を孕ませるわけにはいかぬ』
幾分の躊躇い。それを振り切るかのように、
「ああ。いくぞ……春風」
「はい……」
僅かに震えながら春風は頷いた。
提督の槍は隆々としており、春風の蕾も、たっぷりとした愛液で潤い続けている。
その蕾の花弁を押し開くように、提督は己の先端をあてがうと、春風の蜜壺へと少しずつ侵入させ始めた。
「痛いっ! 痛いぃっ!」
提督の槍が春風に入り始めた途端、苦痛を露にするような声が上がる。
「大丈夫か?」
「はい……大丈夫です。ですから……どうか、貴方様の望むままに」
大丈夫である筈はあるまい。
一見優男に見える提督。
だが、入浴時などにそれを偶々目にした同期にも一目置かれる程の巨大さを誇る槍の所有者だった。
その槍が己の身体を貫かんとしている。春風は、自分の身体が壊れてしまうような、そんな錯覚さえも感じていた。
しかし、続けて欲しいと訴える彼女の声に押されるように、提督は更に己の槍を春風の奥深くへと挿入し続けた。
「つぅぅっ!」
「痛い」とは決して言わない……と、必死に耐える春風。
痛いと叫べば、提督は営みを止めてしまう。
最後まで捧げたいと誓う春風。
愛する新妻の誓いを知らずとも、春風が懸命に苦痛に耐えている事は、提督も察していた。
少しでもその痛みを和らげたいと思いながら、提督は緩慢な動きで己の槍を彼女の膣内の奥深くへと沈めていく。
堪らず提督の背中に爪をたててしまう春風。
彼女の破瓜の痛みが少しでも和らいで欲しいと願う提督。
彼女の両足が大きく開かれ震える。
その片足の足首に残っていた濃紺のブルマーが儚げに揺れるのであった。
既に純白のベッドのシーツには、ぽたりぽたりと破瓜の血が滴り落ちて、辺りを赤く染めつつある。
それは痛々しくも、大人の階段を着実に昇って行こうとしている春風の気持ちを示しているようでもあった。
そんな彼女の様子を慮りながらも、提督は早くも自身が果ててしまいそうな前兆を感じ取り始めていた。
『凄い……こんなに窮屈で、こんなにも締め付けられてしまっては……』
その侵入を拒んでいたような膣内の動きが、今では全てを搾り取ろうとするかのよう。
収縮を繰り返して提督の槍を責め続ける。
僅かに2~3分程度という所で限界を感じる提督。
早いと言えばあまりに早すぎるが、実は春風の秘所は俗に俵締めと呼ばれる、男にとっては極上の名器であった。
苦痛の声があがる。
だが、その声を上げたのは春風ではない。他ならぬ提督であった。
春風を孕ませるわけにはいかず、気を抜けば今すぐにでも放ってしまいそうな状態の中、必死に耐えていた。
提督は迫り来る臨界に抗うかのように必死の様相で耐えに耐えていた。
苦痛の声ばかりを洩らしていた春風が、僅かに艶めいた声を上げる。
同時に提督の槍を締め付ける秘肉の収縮の動きは活発になっていく。
「くぁぁぁっ! も、もう、だめだ、春風っ!」
「えっ!? ま、待ってください! 私、やっと……」
やっと痛みが薄れ始めて、感じてきたのだと言葉を続けようとしたその時であった。
己のモノを春風の膣内で出し入れしたかと思うと一気に引き抜く提督。
獣のような絶叫とともに、提督は耐えに耐えていた精を一気に解き放つ。
迸るものが春風に降り注ぐ。
そのあまりの勢いに思わず悲鳴を上げた春風。
だが、伸し掛かってきた提督の恍惚とした表情を目の当たりにすると、満足そうな笑みを浮かべる。
愛する旦那様は私を感じてくれたのだ……と。
春風自身は達する事ができなかったものの、夫を気持ち良くさせたのだという実感だけで充分であったようだ。
「旦那様……愛しています」
「ああ……私も……愛してる」
息を荒くさせながら提督が応えを返す。
息を整えながらも言葉を紡ぐ。
「済まん、春風……汚してしまったな。それに早過ぎた………本当に済まなかった」
「そんな……謝らないでください、旦那様。早かったのは、私を感じてくれたからですよね? それに」
顔にかかったものを手に取り、
「汚れたと言っても、貴方の物ですから、私は大丈夫です」
舐めてみせた。
「……少し苦いのですね」
苦笑を浮かべる提督が彼女を抱き締めた。
「春風……君を好きになって本当に良かった……。そして、ありがとう」
「私も幸せです……。提督に私の純潔を捧げる事ができましたから」
抱き締め合う提督と春風。
その抱擁は熱く、ずっと続くように思われた。
そんな時間は唐突に終わりを告げる。
春風が提督の腕の中から抜け出し、寝台の上で身を起こす。
汚れてしまった体操服を脱ぎ取ると形の良い乳房を敷布で隠す。
笑顔を浮かべて口を開く春風。
「旦那様、一緒に湯浴み致しましょう。旦那様の身体を清拭させていただきます」
「湯浴み? 一緒にか?」
春風のどこか吹っ切れたようなその言葉の意味がわからず躊躇する提督―― だが、その甘美な誘いを断れる筈も無く ――。
「いいですよね? 一緒に」
という春風の誘いに頷いた。
「私、今日の結婚式の時に歩いている最中に転んでしまったんです。洋風のドレスに合わせてハイヒイルを履いてみましたが、慣れない靴は履いてはいけませんね。痛くて、歩けません」
その言葉の意味を察した提督。
身を起こして、寝台から降りて立ち上がると、両手を彼女に差し出した。
「来なさい。可愛い妻に痛い思いはさせられない」
「ありがとうございます。旦那様」
提督の両腕に身を預けて抱き上げられる春風。
その顔は嬉しそうな笑みを湛えていた。
以前より抱きかかえて貰いたいとの想いが叶った春風。
その願いも果たし終えて上機嫌であった。
「浴場まで抱えてくださいませ、旦那様♪」
「仰せのままに。何処へなりと参りましょう」
提督は小柄な彼女を軽々と抱きかかえたまま、寝室を後にして提督専用浴場へと向かい――。
浴場から一晩中嬌声が聞こえたと、翌朝松風から指摘され互いに頬を染める事となる。
春風提督の皆さま、春風穢してごめんなさい。
ついでに、春風が色々と聞きに行った鈴谷と陸奥、吹雪達は、実は揃いも揃って耳年増で実際はおぼこ娘であったと言うオチを記載できませんでした。
初めの頃に出ていた、春風の台詞の「覚悟を決めようかと~」ですが、提督の選択如何では自ら解体を大本営に申し出て、人間化した後は提督の前から永久に去るつもりでした。提督もそれを悟ることができたので、一瞬蒼褪めたのです。
提督の名前の康夫は、春風艦長の一人である佐藤康夫海軍中将(艦長当時は少佐)からとっています。
誤字脱字・ご意見等ございましたら宜しくお願いします。