どうも!再開です!とりあえず、少し短いですが、韮山到着と氏政との謁見までとしました。
京にて、
「「「久遠様、播磨から戻ってまいりました」」」
「うむ!詩乃・雫・梅、よくやった!しばらく休め・・・と言いたいのだが」
「っは。話は途中で聞いております。相模ですね?」
「話を聞いているなら早い。お前達の代わりに一二三・湖衣・柘榴・沙綾が出向してくれたが」
「分かりました。二、三日後には出陣いたします」
「準備もお任せください!ハニーのためなら、すぐにでもご用意しますわ!」
「よく言った!・・・そうだ、八咫烏隊の動きについて先ほどエーリカが出した使いが来てな」
「エーリカ様もご一緒ですか?」
「それなら心強いですね」
「あのお方ならハニーをお守りしてくれますわ!」
「うむ、あいつに万が一はありえないが今回は隊の編成も違うからな。頼むぞ!」
「「「っは!」」」
アキラ隊の片割れ、詩乃・雫・梅が戻ってきていた。八咫烏隊は評定の間に出ないで外で待っている。
「おいしいね!お姉ちゃん!」
「・・・(こく)」
「お兄ちゃんと一緒ならもっとおいしい?そうだね、いないのが残念だね」
否、二条館のリンゴの木に登ってリンゴを食べていた。場面を評定の間に戻す。
「早く追いつかないといかん!」
「そうですね!」
「急がないといけません!」
「さもないと・・・ハニーが」
切羽詰まった表情の四人が揃えて言ったことは
「「「「また嫁を増やすに決まっている!」」」」
アキラの身の安全じゃなく、北条の皆が誑されて嫁が増える心配だった。
駿府の宿を出て数日後。約一月ほどかけて小田原城・・・ではなく、その前の韮山城に到着した。夜となったが、おそらく暁月が出したであろう先触れのおかげか
「「暁(ちゃん)!!」」
夜にもかかわらず護衛もつけないで二人の少女が門の前で待っていた。その二人の姿を見た時、暁月の旅の途中ずっと緊張感を持っていた空気が霧散したのを感じたアキラ。暁月が二人のところによると額を出している少女と泣き顔のロングヘアーの少女がアキラ達が見ているにも関わらず彼女を抱きしめた。
「姫野、あの二人が暁月ちゃんの姉ですか?」
「ええ、そうよ。おでこ出している元気な方が三女の北条氏照様。そして、髪の長い方が嫡子にして次女の北条氏政様よ」
「ふむ、あの子が・・・」
しばし、じっと見た。そして、アキラが思った第一印象は
『駆け引きが苦手な子』
だ。正確に言うなら『流されやすい子』と言ったほうがいい。アキラ達が来ることは既に知られているので、久しぶりの再会でも涙を出す顔は見せてはいけない。だが、そんな顔を見せる当たりがそれを思った点だ。
「どうも、姉妹の再会を割り込んですいません」
「「あ!」」
しかも、アキラ達の存在を忘れるくらい暁月との再会を喜んでいる。よほど、情も強く持っているのも分かる。
「おそらく私の事はサイから聞いて知っているでしょう。私がアキラと申します」
「あなたが、サイさんが言っていた・・・」
「へ~~、あれ?サイからは目が見えないって聞いていたけど、目が開いてるぞ~」
「ふふ、ちょっとした理由で見えるようになりました。それで、私達はどうすれば」
「あ!ああ、そ、そうでした!」
「姉様、城内にご案内しましょう」
「あ!そ、そうだね!み、皆さん、お疲れさまでした!」
「あはは!姉ちゃん、ほら頑張れ!」
しかも、氏照や戻ってきたばかりの暁月のフォローまで受けている。隠し事は暁月がうまかったので少し警戒していたが、彼女とは真逆の隠せない性格であることがやり取りで分かった。
『ふむ、真相は簡単に聞けそうですね・・・だけど、歳世がいないことが気がかりですね』
話はスムーズにできそうと思ったが、友人の歳世がいないことに疑問を感じていた。
その後、氏照や氏政がまた失敗したので暁月がまたフォローしたり、姫野にアキラ達の案内をさせると言った時に不満を出して、やれやれと頭を押さえる暁月の姿に少しばかり同情してしまったアキラ。何故なら、まるで四聖天時代に後先考えない暴れん坊三人組(狂・梵天丸・ほたる)のフォローをする自分の姿に見えたからだ。
そんな昔の事を考えながら案内された部屋に入る。一人になったところに、屋根裏に視線を向けた。
「・・・いないですね」
いつも自分のそばを離れない小波の気配がないのだ。つまり、警戒されているということだ。
「当然ですね。光璃の時は私を受け入れるつもりでいたからこそ小波も潜入できましたし」
そう呟いていると、綾那と歌夜が部屋に入ってきた・・・後ろには小波もいた。一瞬唖然としたが、すぐに持ち直して彼女に訪ねた。
「小波、どうして二人と一緒に?」
「はっ。どうやら屋根裏に行くのは止められましたが、傍にいるのは許されるみたいで」
「上はだめでも、隣ならいい。ということですか?」
「そうなんです。私もあれ?と思いました。因みに、私達の部屋はアキラ様の隣です」
「部屋も、離さないで隣でいい・・・妙ですね」
「何かおかしいです。指揮がうまくできてないというか、真ん中がすっぽり抜けている感じがするです」
綾那の表現は的確であり、その指摘にはアキラと歌夜と小波も頷いた。他のメンバーの部屋もアキラの部屋のすぐ傍だった。
「屋根裏を警戒するのはわかりますが、隣はいい・・・意味が分かりませんね」
「統率が取れてないです。これじゃあ、攻められたら簡単に落とせるですよ」
「綾那の言っていることは私も同意です。アキラ様、これは想像以上に厄介な事態みたいです」
「そうですね。中心がなくおろおろしている状態と言った方がいいでしょう。そんな状態の中に私達がいる。気を抜いたら、動きようがなくなる事態になるかもしれませんね」
「はい。気をしっかり持って行かないといけませんね」
「そのつもりです。だが、この状態こそが当主・氏康に宿将・綱成が手も足も出せない状態になっている証拠とも言えますね」
「ご主人様のご推察の通りかと思います。一応、ここに入ってからいろいろな気配を探ってみたのですが・・・戸惑いの感情が多く感じ取れました」
「小波の洞察には私も同意見です。とりあえず、今は氏政との会談ですね。それと三人には状況がわかるまでは苦労かけますのでお願いしますね」
「「「はい(です)!」」」
頷きあった三人と一緒に、エーリカや一二三達にあてられた部屋に向かい、お互いの意見と推測を話し合うとやはり同じ意見だった。
自分の部屋に戻って数分後だった。
「アキラ殿、北条氏政様がお呼びでございます」
あの泣き虫に見える北条氏政からのお呼びがあったのは・・・皆と合流して、謁見の間にやってきた。下座に座っていると、上座にさっきの三姉妹、氏政・氏照に暁月がやってきた。だが、彼女らと一緒と思われた友人のサイはやはりいなかった。因みに、こちら側も各務もいない・・・というか、部屋の留守を頼む代わりに置いてきたのだ。アキラに関しての沸点が低いので、三姉妹の言動で万が一の行動に出られないようにするためである。
「どうも」
「は、はい!こ、この旅は、相模まで来ていただきありがとうございます!わ、我が名は北条新九郎氏政、通称十六夜とも、申します!お、お見知りおきを!」
「姉ちゃん、がんば!」
「す~は~、うん!お姉ちゃん、頑張るよ!」
軽くあいさつするだけで、彼女は焦っている。氏照から言われて、気合を入れた。暁月も何も言わないが、眼差しは頑張って。という気持ちがこもっているのがわかる。
『彼女は駆け引きに慣れてない。しかも、これはゆやさんと同じでまっすぐ自分の気持ちを持つタイプですね』
十六夜の態度や行動、表情を見てわかったので、話を続けることにした。
「先に謝っておきます。私は礼節といったものは習ってないので、このような口調になることをお許し願いたい。もし、気に障るのでしたらお叱りしてもかまいません」
「え、ええ!」
「ははは、楽しいな~、兄ちゃん!」
「もう~~、三日月姉さん!」
暁月に叱られながらも、楽しそうな三日月と呼ばれた氏照。
「ほう、仲がいいのですね。姉妹仲良しなのはいいことです」
「あ、ありがとうございます」
顔を赤くしながら嬉しそうにする十六夜。ここまでの彼女を見て、
『これは・・・良さそうですね』
アキラは一つの事がわかった。それと同時に、肩の力を下した。
「あ、あの、その・・・遠路はるばる、アキラ殿に来ていただいてあ、ありがとうございます!」
「いえ、こちらも長旅は楽しかったですよ」
「は、はい!あの、その、あ、アキラ殿に来ていただいたのは(す~は~、す~は~)お、お願いしたき儀がございます!」
途中で深呼吸もしながらだったが、まっすぐな瞳をアキラに向けて言った。
「ええ。その願い、聞き入れましょう」
だからこそ、アキラもまっすぐに返した。アキラがさっき良さそうと思ってわかった一つのこと。それは、彼女は本当に何も隠さずに全てを話す気があるとわかったからだ。
「あ。え、え、あえ~~~」
十六夜は呆然として目を回していた。慌てて、暁月がフォローに入る。
「目的や理由。それを聞こうとしないのですか?」
「全くだ。それを聞く前からそう答えるなんて」
「アキラ殿、頭おかしいですよ」
彼女の言葉に一二三・湖衣は同調する。
「もちろん最初はそのつもりでしたよ。ですが、彼女の表情と気持ちが心の眼がなくても分かるくらいまっすぐだとわかりましたからね。駆け引きはいらない。と分かったから、あの答えにしたんですよ」
「じゃがのう~、こっちの事も考えてほしいわい」
「ははは、すいません沙綾さん・・・さて」
ここまでは笑顔を見せていたが、
「十六夜ちゃん。確認します」
ここからは真剣な表情になって、彼女の目を射抜いた。
「は、はい!」
彼女はびくっとしても、そのアキラの視線に負けないよう姿勢を崩さなかった。
「君は私を欲している。それは間違いないですか?」
「はい!」
「前言を撤回する気はありません。君の真剣な想いも感じ取れたからこそ協力します・・・が」
「は、はい」
声色を下げたので、十六夜も戸惑いの表情を見せた。
「私の強さはサイから聞いていると思いますが、私にも限界はある。その時は、私の後ろにいる頼もしい仲間や、君達の力も借りるつもりでいる」
最後の試しを彼女にした。彼女の持つ信念に揺るぎはないか。
「それでもなお、あなたは私の力を借りたいと、言えますか?」
この一言に満足のいく答え。それを彼女が出すか。たった一言だが決断のいる一言だ。少しだけ間はあったが、
「はい!」
彼女は自分の信念を声と顔・・・そして、まっすぐな目で返した。
「分かりました。では、聞きましょう。私への頼みを」
その答えにアキラは満足して、話を続けた。
その話というのが、北条家当主であり彼女らの母でもある氏康と宿将・綱成が鬼の厄災を受け、呪われてしまい身動きが取れなくなってしまったということだ。このことにアキラ達全員が唖然とした。だが、彼女らはすぐに自分達を封印するよう命じたため完全な鬼になっているわけではないこと。
その封印されている間にアキラを連れてくるよう氏康が命令したことだ。つまり、今までの曖昧で統率のないともいえる対応はただ氏康からの命令に従っていただけだったために、細かなところまでは言われてなかったためその部分があやふやになってしまったということだ。
「お、お願いです!アキラ殿、か、母様と、姉様を、助けて下さい!」
涙目で必死に頭を下げる十六夜。三日月と暁月も思いを込めた目で見ている。
『母様!』『美空様!』『母上!』『母!』
その眼差しが娘の立場にある空・名月・愛菜・小夜叉に見えた。そして、
『お願い!父様を殺さないで!』
あの戦いで見たあの烈火のサムライの娘を思い出させた。そんなことを思い出しつつ、
「ええ、助けましょう」
頷いて彼女の想いに答えた。綾那・歌夜・小波・エーリカ・柘榴・一葉・幽は賛成したが、頭脳組の一二三・湖衣・沙綾はまだ納得ができなかったので十六夜達からさらに詳しく話を聞くことにした。封印した二人の居場所は小田原城の地下牢に閉じ込めており、万が一を考えて二人に対抗できる実力を持つ歳世が残っており、その封印をしたのが姫野だということ。彼女のうっかりが出ても抑えられるように、の意味も込めて歳世が残ったのでは?とこっそり思ったアキラはそれを口にしなかった。
それを聞いて、アキラと頭脳組はすぐに向かったほうがいいという結論を出した。歳世も十六夜達に言っていたらしく、三か月の間続いているがその封印がいつまでも続くとは思えないし、いつ壊れるかもわからない。どの道、氏康・綱成のように力強い武将が鬼になるのは危険でもあるので調べに行く必要があるということになり、明日になったらすぐ小田原城に向けて出陣することになった。
とりあえず十六夜達が準備したアキラ達の歓迎もあるし、自分達や兵達もそれなりに疲れはあるのでその言葉に甘えることにした。
『娘の信念と想い・・・思わず杏樹を思い出してしまいました。今はアンテラとなりましたが、それでもクビラの想いはしっかり持って生きているはず。十六夜ちゃん達もまた、それは同じ・・・同じ結末は二度も絶対に作りませんよ。今度こそ、親を大切に思う娘の心を助けて見せます』
アキラの数少ない辛い戦いの一つ、烈火のサムライを死なせることになった戦い。同じ結末にさせないために、彼女達の願いを必ずかなえる。そう決意した。
娘の親への愛情を感じさせる一面として、SDKのあの一コマを出しました。あの話は、かなり親子の愛の強さも感じられましたし。
一回だけ間章を挟めて、その次にやっと小田原城です!