詩乃達の今はというと、
「とりあえず、美濃に着きましたね」
「ここまでは順調に進みました」
「さあ、急いでハニーに追いつきましょう!」
「じゃな!ここは百段で「「「いえ、それはやめましょう」」」何でじゃ!」
美濃に到着したが一つ問題があった。それは・・・
「「「そもそも、どうして桐琴さんがいるのですか?」」」
同盟軍で一、二番の暴れん坊の桐琴が同行しているのだ。
「決まっているじゃろう、各務に抜け駆けされたからじゃ!」
「まあ、その気持ちはわかりますが」
「それに今の森一家は小夜叉さんが率いてますから抜けても問題ありません」
「何か、チンクシャが少しだけ哀れに思えますわ・・・各務さんと桐琴さんがいなくなったのですから」
梅が今の棟梁・小夜叉を少し気の毒に思った。何だかんだで、梅は小夜叉を気にしているのだ、
「ははは!アキラのいく道はこいつが教えてくれるから、わしがいる意味はちゃんとあるぞ!」
北落師門を持ち上げて、そのまま行こうとする先を指した。確かに、アキラの持つ紫微垣とこの武器は共鳴するので、どっちに行けばいいのか本当にわかるのだ。
ただ、三人は絶対についてくる理由は他にあるとみて、
「「「桐琴さん」」」
「何じゃ?」
「「「・・・ついてくる本音は?」」」
と尋ねた。すると、
「どうやら相模は鬼を好き放題殺せる場所になっているみたいだからな。そこにわしを連れて行かんのは絶対に許せんからじゃ!」
彼女らしい、予想通りの答えが返ってきた。だが、あまりにも予想通り過ぎて三人とも頭を抑えて溜息を吐いた。
「・・・何か、長久手の時を思い出します」
「それって、鬼を全殺しするために小夜叉さんと綾菜さんと歌夜さんとアキラ様で鬼の巣に行った時ですか?それはとても苦労したでしょう」
「歌夜さんも戦いが始めると、綾那さんと楽しんじゃうところがありますからね。詩乃さん、お疲れ様です」
「ありがとうございます、二人とも・・・はあ」
肩を落とす詩乃に二人が心から同情した。
「アキラ~~!着いたら、孕んで満足するまでねっちょりするからな~~!!」
そんな叫び声を出す桐琴に呆れながらも、
『『『それに、私も混ざろう』』』
その時は乱入する気満々な気持ちを持った三人。その日、宿で彼女らの部屋からアキラの名を呼びながら喘ぎ声が聞こえたのは気のせいではなかった・・・。
とある城の地下。
「ワレ、メザメタリ」
「っく!やはり、封印は限界だったか!」
「エモノガイル・・・カル」
「皆!今だけはこいつを朧と見るな!!」
「「「「は、は!サイ様!」」」」
「オニタチヨ、ジキハチマンノモトニアツマレ」
「な!まさか・・・いったん引くぞ!兵達「「ぎゃあああああ!」」っく!鬼達が集まってきてる!体勢を立て直すぞ!」
「「「分かりました!」」」
「アキラ、急いできてくれ!」
監視をしていたサイが窮地に陥っていた。
少し時間がさかのぼり、サイが窮地に陥る前。韮山城を出たアキラ達。すぐに小田原城に向かう。その道中に
「一二三、吾妻衆で相模の鬼の数と場所を調べてください」
アキラはその命令を彼女にした。
「ふむ、先の一手のためだね」
頭のいい彼女はすぐにアキラの言いたいことが分かった。
「ええ。鬼は人の力を越えた存在。私達のように鬼との戦いに慣れているのならともかく・・・北条はおそらくそこまで慣れているとは思えない。後手になると」
「ふむ、そこからは言わなくてもいいよ。そういうことなら任せてくれ。ああ、できるなら、伊賀衆も使わせてくれ・・・時間は三日あればできると思う」
「助かります」
命令を受けた一二三が隊列から離れて、その場所に沙綾が入った。
「話は聞こえておったが、それをする理由を教えてくれ」
「鬼というのは、強い鬼に従うものです・・・もし仮に氏康や綱成が鬼になったら」
「相模にいる鬼達を呼ぶ、ですね。アキラ様」
隣のエーリカの付け足しにアキラは頷いた。
「私がいる間に相模の鬼を根絶やしにしたいですからね。だからこそ、鬼達のいる場所と数を知る必要があります。それに、エーリカの言う通りに相模中の鬼が集めることになると・・・どこから来るかの確認もしないと後手に回る可能性もあります」
「そういうことか」
沙綾はこの答えに納得した。だが、もう一つ理由がある。それは、海のルートで合流しようとしている八咫烏隊の船が止まれる場所の決定だ。鬼のいないところに上陸しないと玉薬の無駄になる。それを避けるためにも情報が必要なのだ。
そこで、地理に詳しい暁月に確認すると彼女が城主の三崎城ならそれがうまくいく場所と分かり、句伝無量で小波に八咫烏隊に伝えるよう頼んだ。
『さて、鬼と出るか、邪と出るか・・・と言いたいのですが、これは』
とりあえず手は打ったので、後は小田原城に着くまでの鬼に備えてすぐに戦えるようにしていたが・・・道中、その鬼達が一匹も現れなかった。北条勢は疑問そうにしているが、アキラと頭脳組は既にやばい状況だと確信した。
「全く、不安というのは的中してしまうから不安というのですね」
「「「そうだね(じゃな・ですね)」」」
この一言に、沙綾・一二三・湖衣も険しい表情で頷いた。
そして、ついに小田原城に到着した。到着時は既に夜だったが、幸いだったのが空に雲が全然なく北条勢も松明を照らしてくれたので周りが見えた。アキラも城についた時点で警戒を高めた。そんな中、
「あれ?ねえ、三日月ちゃん、暁月ちゃん・・・お城、おかしくない?」
十六夜の一言が聞こえた。
「え?姉ちゃん、何がおかしいんだ?」
「・・・あ、門番さんがいないね。だからおかしく見えたんだ」
三日月と十六夜は気の抜けたことを言っているが、
「・・・姫野、城内を探って」
「え?は、はあ・・・」
暁月はすぐに緊張感を出して、姫野に偵察の命令を出した。それは、アキラ隊の方も同じだった。
「湖衣、金神千里をお願いします。一二三はすぐに兵の隊列を」
「分かりました」
「すでにやっているよ」
「綾那と歌夜と各務は私の背中を任せます」
「「はい!」」
「大丈夫。皆殺しにする準備はできてる」
アキラの命令に湖衣は金神千里を発動し、一二三は兵に命令を出した。綾那と歌夜はアキラの左右にそれぞれ立った。物騒なことを言った各務の目に光がない状態で得物を持つ姿が怖い。
「やれやれ、百鬼夜行の会席料理とは・・・公方様の好物ではありませんか」
「ふふ!よくわかっておるな、幽!」
「食事が終えても、なお箸を動かすおつもりですか?」
「ふふふ・・・さあ、早く膳を出すのじゃ!愛刀が料理を待っておるぞ!」
「公方さんばかりにとられたくないっす!柘榴もやるっす!」
幽・一葉・柘榴が得物を抜いた。アキラ達も既に得物を持ち、戦闘態勢だ。金神千里を発動した湖衣からも、最悪の事態になっている可能性が高いと報告がきた。そして、アキラはエーリカと共に十六夜達を警護をすることにして、他の皆に指示を出した。
「十六夜ちゃん、三日月ちゃん、暁月ちゃん。偵察の姫野が戻ってくるまで城門から離れましょう」
「私達が、あなた達をお守りします」
「え~~、何だ「三日月姉さん。言う通りにして下さい」・・・む~、わかったよ」
「お、お願いします!」
渋々言いながら三人ともアキラとエーリカのところに来た・・・時だった。
「!!」
アキラは城門に顔を向けた。大きな気配を感じ取ったと同時に大きな音も聞こえた。そして、彼女らも鬼の気配も感じ取った。
「沙綾さん!退路の確保を頼みます!ここは狭い!」
「く!今すぐは無理じゃ。じゃが、やってみせるぞ!」
アキラや綾那・一葉・柘榴達といった実力者なら問題ないが、鬼との戦いが不慣れな北条勢や非戦闘員の十六夜達も一緒では守りながら戦うには不利な場所だ。沙綾も既に手はずを整えているが・・・
「音が、消えました!」
小波の言葉に全員の緊張感が高まった。北条勢はまだキョトンとしているが、アキラ隊は既に最大限の警戒をしていた。そこに、
「来る!」
「・・・(どごおおおん!)ぁぁぁああああ~~!」
アキラの一言同時に城門がぶち壊され、同時に誰かが飛んできてアキラ達のもとに倒れた。
「さ、歳世!」
「「「サイさん!」」」
それは、北条家当主・氏康の護衛でアキラの友人の歳世だった。十六夜達三人はすぐに彼女のもとに走った。
「歳世。越後以来お久しぶり、と言いたいですが」
「アキラ・・・すまない、力を貸してくれ!」
歳世はすぐに起き上がり、破壊された門の方に向いた・・・そこには、
「ウウグウ、アウググ。ギギギ!」
鬼の面をして、両手にアキラのように刀を持ち、背中には何本もの刀を背負い、鬼の気配が強く感じる
「そ、そんな、朧姉様!」
「う、嘘だろ!封印していたのに!」
「こんな姿。見たくなかったです。姉様!」
鬼と化した北条朧綱成の姿だった。その姿に妹達三人は絶句した。
「歳世。あの鬼が」
「ああ、こいつらの姉で北条綱成だ!」
「アキラ様!」
「まだ来るです!」
歳世の返答のすぐ後に歌夜と綾菜が槍を持つと、
「「「「ぎゃ~~がががが!」」」」
壊れた門を通って鬼が現れた。
「主様!」
「こちらもですぞ!」
「さあ、行くっスよ~~!」
「ご親族は私が命を懸けて守ります!」
一葉・幽・柘榴が壁の上に視線を向けた。そこには降りようとする鬼達の姿があった。エーリカは奴らの姿を確認するや、すぐに十六夜達の前に出た。
「歳世、あなたがまさか吹き飛ばされるとは」
「兵を守りながら戦っていたら、隙をつかれてしまったんだ。しかし、うまい具合に来てくれた」
「さて、ここからが私達の出番ですね。歳世は三人の護衛をエーリカとしてください・・・では、アキラ隊出番だ!」
「「「「おう!」」」」
隊の兵と同時にアキラも前に出ながら、襲ってくる鬼兵達に立ち向かった。ほかの皆に目を向けると、
「さあああ!行くですよ~~!」
「綾那には負けられないっすよ~~!」
綾那と柘榴が自分の兵を連れながら鬼を全殺ししながら、壊れた門を通って城の中にいる鬼達の全殺しに入った。一二三・湖衣・沙綾は隊を崩さないよう命令を出しながら退路を確保しようとしている。小波と各務は鬼の数や城の中の確認のため姿が見えない。歌夜はアキラの隣にいる。そして、一葉と幽が、
「グ、ウウ、ウウ!」
「ふん、鬼に堕ちたか」
「あの兵の時を思い出します・・・余り見たくないですな」
鬼となった綱成に対峙していた。このように、アキラ隊の皆は鬼が現れてもすぐに撃退の体制をとっていたが、
「お、おい!どうすればいいんだ!」
「お、おお、鬼だよ!」
「あああ、俺達、し、し、死ぬのか!」
北条勢が動揺している。かつて越後で鬼を見た兵もいたはずだが、あの時はうまく対処できずアキラ隊が大体倒していき空・名月が詩乃と雫からのアドバイスを適切に伝えたから何とかなった。だが、今回は自分達の大将・綱成が鬼になったという驚きと初めて鬼を見た兵達の恐怖でおろおろしているため、兵としての役割すらできていない。
『く!やはりこうなりましたか』
火事や詐欺の被害が来る前はただの傍観者だが、このように被害を受ける立場になると一変してどう知ればいいのかわからなくなってしまう。アキラの不安が的中したと思った時だった。
「皆~~!大丈夫だよ!皆の北条氏政はここにいるよ~~!私も一緒に頑張るから、皆も頑張って~~!」
十六夜が兵に応援をかけた。
「そ、そうだ!氏政様がいるんだ!」
「それに、サイ様も戦ってくれている!」
「アキラ隊に負けるな~!」
「ちっちゃい子ばんざ~~い!」
この一声が兵達の不安を勇気に変えた・・・一部ではアキラ隊みたいな反応をする兵もいたが、このおかげで北条の兵達は気合が入って戦い始めた。
その後、アキラ隊と北条勢が少しずつ協力し合うように戦いを始めた。おかげで、戦いの場は不利だが上手く戦ている。鬼となった綱成はというと、
『三千世界!』
何故かお家流で倒していた。戦いを見る限り、綱成は鬼になったばかりで鬼の毒にも侵され始めた感じで意識もその辺の鬼と同じくらいで一葉が有利だった。
「「てへ!」」
何故か幽と一緒にやっちゃった。的な感じで笑顔で舌を出す。大方、二人とも死ななければ問題ないという判断でやったのだろう。とりあえず綱成は意識を失っただけで何とか生きている。
「主様~~!余はやったぞ~~!」
「お家流で倒されてしまいましたが、生きております」
「む、余が全部悪いみたいに言うな!幽こそ止めなかっただろう!」
「・・・さあ、鬼はまだいますぞ。気を抜かないように「ごまかすな!」」
相変わらずの主従漫才。だが、気を抜いてはいけないのは確かだ。
「二人の褒美(ばつ)は後にするとして・・・」
褒美と書いてばつと読む。どうやら、やり方の問題にアキラは少し怒っているようだ。
「北条綱成は捕獲しました!後は、鬼を全殺しです!」
「皆~~!もう一息だよ~~!頑張って~~!」
アキラと十六夜がそれぞれの兵に喝を入れて、将も兵達もそれに答えるかのように戦い続ける。対する鬼達は大将が倒されて、さっきの北条勢みたいにオロオロしている。そんな鬼達を全滅させるのはもはや時間の問題だ。
そして、見る限りほぼ全滅に成功した。城にまだ残っているが、勝ちは決まったと戻ってきた小波と各務から聞いた。後は、城の中にいる北条の兵達だけでも十分に倒せるので、今は歳世が再び前線に出て兵達と共に城の中の掃除に入っている。
「さて、後は北条氏康だけです・・・が」
「綱成がこうなっているということは!!アキラ様!」
「ええ!」
おおよその状況を歌夜と確認しあっていたが、ある気配とプレッシャーを感じて視線を上にあげた。アキラ隊の将達も気づいたようで上を見た。十六夜達もアキラ達の行動に倣って上を見ると、
「・・・・・・」
そこには最も考えたくなかった現実がいた。鬼の面をかぶった北条氏康がいたからだ。
「どうやら、最悪の事態は避けられなかったようだね」
「はい・・・ですが、妙ですね」
「ああ。何故、降りてこない?」
「まるで、観察をしているかのように見えます」
一二三・湖衣・沙綾・エーリカは疑問を持ちながらも、氏康の鬼化にきつい表情をした。
「お。おい、どうするんだよ!」
「と、当主様が、お、鬼になっちまったよ!」
「お、俺達、氏康様に・・・刀を向けるのかよ」
北条側の兵の動揺はさっきの綱成以上だ。やっと、綱成の件が解決しそうだったのにそれ以上の問題に不安が大きくなって震えていた。アキラは戦いになることを予想して、紫微垣を抜こうとしたら
「皆!落ち込んじゃダメ!まだ可能性はあるよ!今は、生き残ることを考えよう!私が、北条氏政がいるから、皆についているから!」
必死に声を出す十六夜の叫びが出た。この叫びで
「「「「「そ、そうだ!氏政様がいるんだ!」」」」」
兵達は再び不安を消すことができた。この行動に、アキラは
『ふふ、本当に・・・私を見てるようです』
子供の時の必死に狂に追いつこうと頑張る自分を見たような気がした。紫微垣に手をかけたが、抜かないで視線を氏康から離さないで思わず笑顔になった・・・時だ。
「??」
アキラは超視野化を使って、鬼の面の奥の顔を見た。人の顔のままだが、甲斐で人の身でありながら中身は鬼と化した寅の一件もあるため油断しなかった。その時に彼女の服もすり抜けて全裸が見えたのだが、戦慄している状況なのでアキラは気にしなかった。
『笑・・・って、いる?』
だが、アキラにはそれがどんな意味がこもっているのかわからなかったが、笑ったことだけはわかった。
中途半端で済まない!ここで終わりにします!
歳世と無事再会しました。綱成は無事捕獲ですが、氏康は果たしてできるか・・・。次回は、葵と同じように綱成の鬼の毒抜きなので・・・しっかりとエロ展開です!できる事なら、毒抜き後の話し合いまでいきたい!