今回は当たり前をして失敗した話です!
「まさか、本当だったとは」
「それ以外考えられません」
「いやはや、予想外じゃったのう」
一二三・湖衣・沙綾は苦い顔をする。何しろ、肩透かしを食らったのだ。それはアキラもエーリカも一緒だった。
「さっきの姫野の報告が、何より証拠です」
「はい、鬼との戦いがあるのに、旅人が夜に歩くなんてありえません」
「まさか・・・姉様が本当にその通りに仕掛けるなんて」
朧も氏康の事を知っているだけあって、彼女の行動には驚いている。
『夜の見張りの報告だけど、旅人が数人歩いていただけで鬼はいなかったって』
この姫野の報告があったためだ(報告の際に、案の定姫野と小波・各務のにらみ合いもあったが、アキラが頭を撫でると三人とも真っ赤になって静まった)。だが、これは皆の言う通り予想外で、夜襲を警戒していた自分達なら異常ともいえる報告だ。つまり、夜に旅人が歩くということは氏康が集めた鬼達は本当に玉縄城に籠城しているということになる。
ずっと、いつ襲い掛かるかと神経をとがらせていたアキラ達にとっては、姫野の報告は今までの策を考え直さないといけない報告だということだ。
「とりあえず、このまま玉縄城に出陣はしましょう」
「そうですね。どの道行かなければならないのだから」
アキラの進言にエーリカも頷いた。
「でも、玉縄城の様子の確認も必要じゃのう。籠城を本当にするかもわからんし」
「ですよね。北条氏康ともあろうものが、こんなに普通で、こんなに呆れるやり方を取るとも思えませんし」
「そこは我々吾妻衆に任せてくれ。少しばかりの危険もあるだろうけど、これをしないとどう動くべきかわからないからね」
沙綾、湖衣の疑問に一二三が行動する。更に、
「姫野、城塁の再確認をお願いします。これは、あなたにしかできないことです」
「ちょ!また全ての城塁を調べるの!」
「ふん、所詮その程度か。やはりご主人様の傍にいるのにふさわしくない」
「私達なら、喜んでやる(その後のご褒美をもらうために)」
「ぐぬぬ・・・はあ、わかったわよ。でも、時間はかかるからしばらく待っててね」
「もちろんです。(ぎゅ)ありがとうございます(ニコ)」
「(ぼん!)ひ、ひひひひ、姫野にお任せよ~~~!!(ドドドドド)」
姫野に再調査の依頼をした。渋った顔をしたが、小波・各務の小言に切れそうになったが我慢して了解した。その時にアキラの誑し笑顔(久遠命名)を間近で見て、一気に真っ赤になって忍びらしくない走りで陣を出て行った。沙綾以外のアキラ隊全員が、それを見て自分もされたいと思った。
その後、暁月の褒めてるのかけなしているのかわからない姫野への評価に苦笑いをしたり、彼女がアキラを呼び捨てしたことに朧が反応して彼女にも呼び捨てでもいいと言うと、躊躇いながらももじもじした姿に三日月が気持ち悪いと言う。そんな雑談も交えて、出陣準備を北条・アキラ隊ともに始めた。
陣を出てアキラは綾那と話をした。氏康の狙いが勘の鋭い綾那でも分からないことと、今の戦は氏康が主導権を握っていることだ。野戦の方が戦いに工夫ができるのにそれをしなかった氏康に、綾那も困惑気味だけど彼女は難しく考えずにいつでも戦えるようにしておくのが今一番することだと言った。
『全く持ってその通りです。四聖天の時と同じじゃないですか。いつでも戦えるようにする。単純なことなのにどうして忘れてしまうのでしょう。ふふ、この子は本当に私の原点を思い出させてくれます。ありがとう、綾那』
自分がかつての仲間と一番やっていた手段が最適だと言うことを、アキラはまた忘れていた。それを思い出させた綾那にこっそり心で礼を言っていると
「アキラ君!報告が入った!・・・よくない報告がね」
一二三がいつもの笑顔を見せずに、緊迫した表情でやってきた。そして、その報告にアキラと綾那が驚いた。
「玉縄城に、鬼が、いない、です?」
綾那もキョトンとした。報告は玉縄城には鬼は一匹もいないとのことだった・・・そう、一匹もだ。見張りとかもいない状態で、もぬけの殻だと言うことだ。
『どういうこと・・・待てよ、綾那は私達がここにいることは氏康はもう知っていると言った。つまり、いつでも襲える立場でもあったという事!ということは!』
考え込もうとしたときに、綾那から氏康が平地である平塚に自分達がいることを知っていると言ったことを思い出し、すぐに結論が出た。
「一二三!すぐにアキラ隊に戦闘準備を!」
「え?ど、どういう(・・ドン)・・・ん?何だい、この音は?」
「!!戦の音です!」
アキラがすぐに指令を出したことに疑問だったが一二三だが、ある音に綾那が反応したことで気づいた。
「くそ!さすが、相模の獅子と呼ばれるだけはある!」
「アキラ様は綾那が守るです!」
一二三は悪態をつきながら、指揮をしに行った。アキラ達も、北条の本陣に急いだ。
そこにはやはり。という状況があった。
「皆の者!本陣を守れ!」
「十六夜姉様を死守するのです!」
「皆~~!頑張って~!」
北条本陣が、突如現れた鬼達と交戦していた。そう・・・鬼達が本陣を奇襲していたのだ。アキラが慌てたのは、奇襲の常套時間である夜ではなく今この気が抜ける朝に仕掛けてくると思ったわけだ。朝が一番力の抜ける時間であることは武将ならわかることであり、この相模を庭としている氏康なら近辺で鬼を隠せる場所も見つけられ、上手く奇襲できる体制にできる。
見事にアキラも北条勢も手のひらに驚されてしまったと言うことだ。その戦いの中で四人の姿を確認した。
「朧!十六夜!三日月!暁月ちゃん!」
「あ!アキラ様!」
「ご無事でよかったです!」
「おお~!綾那もいるよ~!」
「・・・やはりちゃんづけ」
すぐに皆と合流して、綾那は嬉しそうな顔で本多衆と戦いに行った。
「あははははは!もっともっと来るです~~~!!」
「「「「「おおおおおおお!」」」」」
その戦いに嬉しがる姿は森一家には負けるが、ちょっと狂気が入っているような感じがした。特に綾那は久しぶりにのびのびと暴れられるが嬉しいのか、笑い声が小夜叉に似ていた。
アキラは見慣れているから問題ないが、北条の皆は初めてだ。少し唖然としたが、すぐに朧が意識を取り戻し兵達に喝を入れて、綾那達と戦いを続けさせた。鬼達も綾那の気迫と兵の多さに後退しつつある。
「う~~む、これでは私が戦えないですね」
「えええ!アキラ様も戦うのですか!」
「十六夜姉様、アキラ様は同盟軍の中で一番強いお方です」
「綾那も十分に強いし、本多衆もうわさは聞いていたけど・・・これ以上に強いのかよ!」
ぼそっと言ったアキラの一言に十六夜と三日月が驚く。だが、彼女らの驚きを無視して、
「小波!各務!」
「お傍に!」
「いつでも閨に!」
二人を読んで戦況報告を頼んだ・・・各務の戯言を流して。報告によると先遣部隊のいない方向から本陣に数百匹の鬼に攻めさせ、更に後方には千の鬼を配置していたとのこと。
「奇襲は夜が当たり前ですから・・・それを逆手にとって朝に仕掛けるとは」
「みんな気が抜けている時から、これは驚く」
二人の言葉に頷く。何とか、アキラ隊を一二三と沙綾にそれぞれ分けて本陣の北と南から来ている鬼への対処に向かわせているようなので、後はこの本陣を守ることが今やる大事なことだ。だが、こうして別々の隊にされて攻め込まれていると中々全滅させることができない。しかも、鬼の数は二千五百の事。
「・・・分散している鬼をできる限りまとめる必要がありますね」
アキラは自分の刀・・・努力と友情を叩いた。つまり、自分に集めると言うことだ。
「主様の愛する妻!ここに参上じゃ!」
「アキラ殿!ご無事でよかったです!」
その時、小波があらかじめ句伝無量で呼んだ一葉と幽がやってきた。
「よし、ちょうどいいところに。一葉、今から鬼を集めますので暴れてもいいですよ」
「何!・・・って、集める?」
「・・・アキラ殿、愛刀を使うのですか?」
「ええ。ここ最近は鍛錬に使っていましたが、この力を使ってなかったですし。それに・・・言ってくるのですよ。忘れるなと」
努力・友情を抜くアキラ。
「・・・はあ、アキラ殿はそんな顔をしてほしくなかったのですがな」
「何を言う!余と同じ顔をしているだけじゃろう!」
「だ、か、ら、ですよ!」
その時の顔に幽は溜息を吐く。何故なら、一葉が鬼を全殺しするときの心から楽しむ顔に似ていたからだ。
「ふふ、大丈夫です。そこまでキ〇ガイな事はしませんよ・・・それに、万が一があっても、幽あなたを絶対に守って見せます」
「余は!余はどうして名前がないのじゃ!」
「一葉は自分で守れるでしょう」
「某も自分で守れますぞ・・・でも、お願いしますぞ(全く、その言葉に某をときめきメモリアル・・・ではなく、ときめかせるのが好きなのですか。抱かれる時と同じくらいドキッとしましたぞ)」
心がときめいた事を顔に出さない幽とアキラに諭されて既に暴れる準備OKな一葉。小波と各務もアキラの背後にいて背中を守る準備ができている。
「では、やります・・・努力よ!友情よ!久しぶりの出番です!」
そう叫びながら日本の愛刀を空に掲げた。すると、刀が光り輝き・・・かつての鬼殺しの力のあるあの頃の刀へと変わった。
『『行きますぞ!』』
そんな声が聞こえたような気がしたアキラだが、気にせず努力と友情を天に掲げた。
「綾那!一葉!幽!そして・・・皆!私の背中は任せましたよ!」
「ハイです!」
「三千世界で薙ぎ払ってくれる!」
「某の背中もお願いしますぞ!」
「「「「おまかせください!お頭!」」」」
「「絶対にお守りします!」」
今いるアキラ隊に背中を任せて、刀の輝きをさらに強くした。
「来たです!皆~~!いくですよ~~!」
「は~~はははは!来るがいい鬼共!!主様を守る妻の力を見せてやろうぞ!」
その輝きに導かれて、北条を襲っていた鬼達もこっちにやってきた。その数に目を妖しく輝かせた綾那と一葉は嬉しそうに全殺しにかかった。
「本当に楽しそうなお二人ですな(ざしゅ)」
「似た者同士ですからね(ざん)」
「ですが、ついていけなくなる時もあるのですよ。公方様がそうなっている時は、アキラ殿のせいにしたいです(ずん)」
「ああ、その気持ちはわかります。私もそんなときは幽のせいにしたいですね(ざくり)」
「「・・・私達も似た者同士でしたね(ずぶり)」」
狂気が入った二人の姿を見ながら、背中を合わせて鬼をどんどん斬っていくアキラと幽。時には幽が前に出てアキラがトドメを刺し、その逆もしたり・・・その姿はもはや二心一体と言ってもいい動きだった。
「さすが私の妻です。思いと意思はすぐにわかってくれます・・・愛してますよ」
「戦場でも口説くとは・・・さすが某の夫です(某も愛してますぞ)」
「おお!幽も強いです!綾那も負けられないですよ~~!」
アキラの愛の囁きに心を高鳴らせる幽はさらに動きが鋭くなり、それを見た綾那が彼女の隣に立ってまだまだいる鬼達を殺しにかかった。
「ふふ、愛するアキラにいいところを見せたいがために頑張るのう。幽も何だかんだで気持ちが高ぶっているのがよくわかる」
「それは夫として嬉しいですね」
アキラの隣に一葉が立ち、幽の心を見抜いて楽しんで見ている。だが、その目は自分も言ってほしい気持ちがこもっているのが分かる。そんな妻の気持ちをアキラも見抜いた。
「一葉」
「うむ」
「あなたの自分の行く道を曲げずに突き進むが、私は心から好きです。とても、愛してますよ」
「・・・・・・ふ、ふふふふふ!余もじゃ!余も、主様の数多くのいばらのある道をどんなに傷ついても突き進もうとするその姿と心と・・・その信念を語る背中が大大だ~~~~い好きじゃ!」
だからこそ、アキラの愛しているはとても大きなカンフル剤となった・・・いや、麻薬と言ってもいいくらいにハイテンションになった一葉。
「三千世界!」
お家流を放って、本陣を襲ってきた鬼達を全滅させた。
「見よ、主様!あっという間に終わらせたぞ!」
ぴょんぴょんと飛んでアキラに抱き着く。そんな一葉の頭を撫でて、褒めるアキラ。
「あああ!綾那、まだ暴れたりないです!」
「ふう、すぐに終わってよかったですぞ」
そこに不満な綾那とやれやれな幽がアキラのところに戻ってきた。北条の皆も鬼がいなくなったことでやってこれた。その後、まだ残っている千の鬼達をどうするべきかを話し合った。
大将の十六夜が出した答えは
「母様に一矢報いたいです!行きましょう!アキラさん!」
アキラの提案した鬼の本陣への進軍だ。その後、一気に指揮をしていく彼女の真剣な顔を見て
『ふふ、これは素晴らしい。彼女は力はなくとも、心はまるで狂の如く成長・・・いや変貌と言ってもいいくらいのすごさを見せる。一瞬、本当に一瞬ですが、狂の空気を思い出しましたよ』
短期間でこれほどの心の成長のすごさに、アキラは一瞬狂のどんどん大きく強くなる空気を思い出し笑みを浮かべた。皆への指揮も終わり、
「行きますよ皆さん!」
「全軍突撃~~!!」
「綾那についてくるです~~!」
気合十分で進軍していった。綾那もまだまだ暴れられることを知り、嬉しそうに先陣の部隊と共に走っていった。
「主様!余と幽と主様の一騎当千三人衆で暴れたいのじゃ!いいじゃろう!先っちょだけくらいは!」
ただ、まだ暴れたりない上にすぐに終わらせてしまった一葉は不満だった。だが、個の戦いは北条内の戦いなので、他国のアキラ達があまり目立つのも困るから抑えてくれるよう頼んだ。
その代わり、全部終わったら幽と一緒にたっぷり愛を囁き閨で熱く抱くことを約束させられた。幽は最初は口を出したが、一葉の追及に照れを隠せずに赤くなってその赤い顔のまま「お願いします」と言ってきた。少しの間残っていた暁月もその話を聞いて真っ赤になった・・・どんな妄想したのか?
その後、句伝無量で小波と各務に残っている鬼達の確認した。一二三と沙綾の隊はどうやら持ち直したが、まだ全滅するには時間がかかるのでアキラ達との合流は時間がかかるとのこと。これからも各務と協力して報告をくれるよう伝えて、現場に意識を戻した・・・句伝無量を盗聴器代わりにしている各務から、一葉と幽の閨には必ず自分と小波も混ぜるようなことを言っていたが聞き流した。
「さて、いよいよ北条氏康との本当の対面ですね」
いったいどんな思いを持っているのか、それを確認するためにも歩を進めた。
当たり前は時には失敗する元にもなるので、時には考えを変えることも生きていく上で大事なことですね!実際お笑い芸人が小説家になるなんて、普通は考え着かないことですからね・・・。
次回はついに氏康鬼との戦いです!・・・ペースが遅くなっているな。北条編もそこまで長いわけじゃないからな。何とか間章とオリジナルのエロ話で頑張ってみよう。