では、今回は間章です!
姫野を抱いて手籠めにした後、外に出たアキラは
「あ、アキラ様!」
「起きてしまわれたのですね」
「こ、こんばんは」
何やら、楽しそうに話し合っている歌夜・エーリカ・湖衣と会った。
「おや、ずいぶんと話が盛り上がってましたね」
「はい。ちょっと話し合っていたのです」
「氏康がいた玉縄城を自分ならどう攻めるか?です」
「いろいろと意見もあって面白かったです」
「なるほど。今はいないけど、いた時の戦略をどうするかを話し合っていたということですね」
「「「はい」」」
「ふむ、混ざってもいいですか?」
「「「もちろんです」」」
その話に興味が出たアキラは三人の話に混ざった。歌夜・エーリカはとてもうれしそうに、湖衣は少し照れくさそうに了承した。
その後の話でアキラが驚いたこと。小田原城と同じくらい玉縄城は攻めるのが困難であり、その城にかつて光璃と美空が攻めたが落とせなかったということだ。戦上手のあの二人が落とせなかったという言葉にアキラはびっくりした。いくら攻めにくい城でも、それなりの策はしっかり頭の中で作って攻める二人だからこそ湖衣の「落とせなかった」という言葉には目を大きく開けて驚いた。
「美空らしいですね。行きがけの駄賃で落とそうとする考えが」
「本当ですね。ふふふ」
「でも、もしいたとしても相手は千を超す鬼の兵と北条氏康です」
「・・・かなりの根気が必要となる戦いになってましたね」
「そうですね。一二三や沙綾も同じ返答をすると思いますよ」
三人と同意見のアキラが無明神風流殺人剣を使えばすぐに終わる気もするが、今回はそういうわけにはいかない。何故なら、同盟に入ってない北条の領地内の出来事なので京や駿府でやった青龍や白虎と言った奥義を使えない上に目立つこともやってはいけない。そう、戦うにも制限をもってやらないといけないし無視してやると、今度は同盟を動かしている妻達への評判にも関わり、十六夜のためにもならないので自重しなければならない。
「でも、どこかしらの隙はあると思うのですよね。稲葉山城や春日山城の時もそうでしたし・・・何しろ、氏康が大将なのに兵の鬼達はまとまりがないときてます。うまく忍び込めればそれを見つけ「「「・・・・・・」」」な、何です?その顔は」
「「「別に」」」
あくまで考え込んで出た独り言だが、忍び込む。という言葉が出た途端に三人の顔つきが真剣かつ不安な表情になった。
「あれ?声に出てました?」
「ええ。ばっちり出てました」
「えっと、その顔になっている理由は」
「言わなくても、わかると思いますが?」
「いや、あくまで考えだけであってやろうとは」
「思っていたんですよね?声に出すくらいに」
ジロっと見る三人の目つきに、少しだけ下がるアキラ。
「・・・・・ダメ、ですよね」
「「「当たり前です!」」」
そして、この一言に一気に不満を口から出した。
「ただでさえ、アキラ様は一人で動きたがりますし」
「同盟軍の中心的存在を自覚しても、やめる気がないですし」
「少しは私たち・・・もとい、御屋形様達のことを考えて行動してください!」
「は、はい、わかりました」
三人の妻からの心配に思わず頷くが、
「そう言っても」
「止まらないお方ですから」
「私達が注意するしかないんですよね・・・はあ」
その三人は溜息を吐いてアキラを見た。これがただの仲間ならともかく、愛する妻からなので話の筋を変えた。
「そ、そういえば、よくこの玉縄城の見取り図を北条が貸してくれましたね」
「はい。最初はただ話していたのですが」
「話を聞いた暁月さんが、参考にと貸してくれたのです」
「今晩限り、ですけど・・・それにしても、この城の見取り図でもわかるくらい玉縄城の作りは素晴らしいです。ああ、実際に見てみたいです~~」
城の見取り図の貸し出しは本来無理だ。これ一枚で城の全体や攻められると弱い部分が分かってしまうが・・・今は協力し合っている立場なので、暁月もそれなりに妥協する意味も込めて貸したのだろう。
そんなことを話していると、城好きなエーリカの眼が輝いていく。少しうっとりとした顔になっていた。
「エーリカさんは生まれ変わった。と聞きましたが、やっぱりいつものエーリカさんですね」
「そうですね・・・思えば、小谷城や観音寺城を見た時もこうして目を輝かせてましたね。それほど年月が経ってないのに、不思議と随分前に感じます」
歌夜がそんな彼女を見て楽しそうに話すと、共に行動していたころの彼女を思い出して笑顔になるアキラ。
「も、もう、そんな前の事を思い出さないでください//」
「そんな前でもないでしょう?ふふ・・・あ」
少し照れた顔にもっとからかいたい気持ちも沸いたが、越前でキスしたことも思い出して言葉が止まった。あれは、アキラも少し照れくさい出来事なので言いずらかった。
「あれ?どうしました、アキラ様」
「何でもないです。そういえば、うちの隊の皆にはこの照れ顔が好評でしたよ。以前いた鞠と同じくらい輝いているって」
「・・・あ、もしかして小田原城で療養中の兵達が「鞠様と同じくらいの素敵な笑顔が見れた~!」と叫んでいたのを見たような気が」
「あ、あれは・・・(でも、ちょっと嬉しかったとは言えない)///」
ふいに止まった言葉に湖衣が訪ねたので、顔色を変えないで内心少し焦りながら何とか話の矛先を変えることに成功した。歌夜の追い打ちに更に真っ赤になるエーリカ。
「そ、それより!本当にもう、忍び込むと言う行為はやめてください!」
「エーリカさん、無理やりすぎます・・・でも、そうですよ。やめてくださいね!」
無理がある話の変え方に少し苦い顔の歌夜だが、頷いてアキラに問い詰める。そんな二人を見て
「ふふ、お二人ともそこまでアキラ様がお好きなのですね」
湖衣が楽しそうに聞いてきた。
「はい。私の為に(涙を流し(ぼそ))・・・私の全てを救ってくれ、私の想いを受け取ってくれた方ですから(にこ)」
「ちょ!湖衣さん!・・・ええ、それはその通りとしか言えません。追いつくには一生かけても遠すぎるお方ですが、絶対に離れたくない大好きなお方です」
そんな不意な問いかけにエーリカは堂々と答え、歌夜は顔を赤らめながらも応えた。それを聞いて
『私も、信念をもったあなた達を愛してますよ』
こっそり心で答えた。その後、笑っているとその二人から反撃された湖衣。エーリカからはあなたは「アキラ様をどう思ってますか?」と歌夜からは「一二三さんから聞きましたよ。解毒の時愛されたって」と言われてしまい、一気にテンパっていく。そして、
「どう、想っているかって。す、すごく頼もしいですし、素敵ですし、あの体に抱かれてもっと抱かれたいと思いましたし、アキラ様程のお方ならずっとそばにいられたら幸せと思い・・・っは!わ、私は何を!」
どんどん自爆していく。ついには
「いえいえいえ!何でもないです!そ、そりゃ、つながった時は快楽より嬉しさが・・・ああああ!うううう、私とんでもないことをおおおお!(ぼん!ドサ)きゅううううう」
目を回して倒れた湖衣に、三人とも微笑んだ。話も終わったので、歌夜が地図を暁月に返しに行きエーリカが湖衣を抱えて自分達の寝床に行った。
「さて、もうひと眠りと行きますか」
さっきの小屋に戻って、眠りにつこう・・・と思ったが、
「アキラ、どう?(ニコ)」
「ううう、ですから、わ、私は、そんなに可愛くないですって!」
前話から女子力向上を目指す各務が笑顔がどうかを確認しに来て、後ろでは小波はいろいろ言われたのかおろおろしながら少し弱弱しい赤い顔で否定していた。
『どうと言われても・・・いや、確かに可愛い笑顔ですけど、後ろでおろおろしている姿と弱弱しい顔をする小波の方が魅力的で可愛く見えるんですが』
可愛いけど、後ろの小波がもっと可愛いと思ったアキラ。どうやら、各務の女子力向上はまだまだ時間がかかりそうだ。
そんな二人のやり取りが終わり、仮眠をとって朝を迎えた。当然小屋にいた各務は抱き着いて一緒に寝た・・・ただ、抱かれなかったことに少し不満だった。仕事の顔に戻った小波から越後に放った草から手紙が届いたとのことなので一通り確認すると、朧達の家族である名月からの手紙もあったのでそれを渡しに北条の陣に向かった。
陣に入ろうとしたら、姉妹の話声が聞こえた。
「アキラ様に師事ですか・・・確かに、あれほどの強さなら教えを請うのも」
「え。朧姉ちゃん、まだ強くなろうと思っているの?」
「あのお方は姉様より強いとサイも言ってましたし、今回の件が片付いてもまだ佐竹や北関東の件が残っています。今以上に強くなるのも北条の為になります」
「お、朧姉様もアキラ様に?」
「それもいいかな?と思っただけです。するかはまだ決めてません」
「三日月姉さんもやったら?十六夜姉様を守れるくらい強くなりたいんでしょう?」
「おお!それもいいかも!」
「おやおや、それならまずは私に勝たないといけませんね」
「う・・・先が長いぜ」
笑い声が聞こえたところにアキラが入った。十六夜・三日月はアキラが来て笑顔になり、暁月は変わらない無表情のままに見えるけど少し嬉しそうな空気が漂っていた。だけど、朧は
『(どき!)な、何です!このドキドキは!』
アキラの顔を見ただけで体中が熱くなり、心臓もドキドキが速くなった。動揺を見せないようにするだけで精いっぱいだ。
「こんにちは、皆さん。今日はお届け物があります」
「そ、う、ですか」
こんな全然何気ない会話だけでも、彼女の心はさらに熱くなっていく。しかも、頭の中にはアキラに抱かれた時の愛欲と熱情が混ざった解毒の記憶を思い出す。
「えっと、何ですか?」
「実は「あの・・・すいませんが、用を思い出しましたので」・・・は?」
「え!ちょ、朧姉ちゃん!」
「どうしたのですか?それなら、兵に」
「いいのです。では、失礼します」
その記憶を早く振り払いたいのか、かろうじて顔に出さないように足早に去っていった。彼女の奇行に疑問に思いながらも、アキラは手紙を三人に出した。
「さっき越後から草がきまして、実は名月君の手紙を持ってきてくれたのです」
「え!名月ちゃんが!」
「おおおお!早く見せてくれ!」
「私も、見たいです!」
三日月と暁月が目を輝かす。早く頂戴!という、お菓子をねだる子供のような笑顔でアキラから受け取った手が意味を見た。だが、十六夜だけは暗かった。
「あの、その、前に来たのに、門前払いしちゃって・・・怒ってませんでした?」
「「あ・・・」」
同盟が成立して間もない時に駿府を責める際に、隣国の相模にいる彼女達への使者として空・愛菜・貞子と共に来た名月を小田原城に入れないで追い返してしまったことを不安に思っていたためだ。その事を口にすると二人の妹も心配そうにしたが、手紙を読むよう促して読んでいくとすぐに笑顔に戻った。不安な考えが的中しなくて心底ほっとしたようだ。
「そうそう、明日にはその草を越後に向かわす予定ですが・・・ちょっとした手荷物くらいなら持っていってくれるとのことです」
「え!じゃ、じゃあ!」
「姉ちゃん!返事書こうぜ!」
「では、すぐに準備しましょう」
アキラのこの一言で、すぐに返事の手紙を書こうと決めた三人。
『さて・・・もう一人の家族にもこのことを言わないといけませんね』
笑顔で何を書こうか話し合う三人から読み終わった手紙をもらい、逃げていった朧の後を追いかけた。
陣とは反対に森の中に入ってしまった朧。ちょうど沢があったので、顔を洗って一息ついた。
「はあ、はあ・・・ふう。や、やっと落ち着けました」
さっきまで、アキラの顔を見るだけでドキドキが止まらなかったが、水の冷たさに気持ちが落ち着いたようだ。
「せっかくアキラ様が来てくれたのに、ああ、何で思い出してしまったのでしょう」
「何をです?」
「それは・・・って!あ、アキラ様!」
「何か焦ってますが、どうしたのです?」
『あ、あなたが原因です!って言えない!』
そんな彼女の背後にアキラが現れたことで、再び慌てた。
「こちらを・・・名月君からの手紙です」
「え、名月から!」
でも、名月の名前が出た途端真剣な顔になった。アキラが手紙を差し出したが、
「・・・やめておきます」
一度は受け取ろうとしたが手を引っ込めた。
「どうしてです?」
「あの子は越後の北条名月景虎です。御館の乱であの子はそう私に言った。ならば、それにあった対応をしないといけません。ましてや、今は鬼との・・・姉様との最終決戦だってあるのです」
「十六夜達は返事を書こうと張り切っているのに、あなたは書かないのですか?」
「はい。対等の立場として見ないといけませんので」
立場を考えてそう言っているようだ。
「対等の立場として見るのなら、余計にちゃんと手紙を見て返事を書いた方がいいですよ」
「・・・え?」
「名月君は越後を空と建て直そうと頑張っています。その頑張りを見て、返事をする。それこそ、対等の立場で立つ者のすることですよ」
「・・・・・・」
だが、アキラはだからこそ返事はするべきと言った。何故なら、
「私もかつての仲間にそれをしたいですが・・・絶対にできないですから」
アキラは絶対にできない立場にいる。追いかけてきた時人達ならともかく、狂や紅虎達にはどうあがいても不可能だ。そんな仲間の事を思い出しているアキラの眼を見て
『・・・どれだけ大切に想っていたのだろう。その仲間の事を。それこそ家族の様に、私達の様に』
朧はアキラの夢を見てないので知らないが、強い絆があったことだけはわかった。そして、再度アキラは手紙を差し出した。
「もう一度言います。こちらをどうぞ」
今度は受け取った。
「返事は十六夜達と一緒に書くといいでしょう。大切なのは立場だけではなく、繋がっている絆。それは、あなた方も分かっているでしょう?」
「はい。本当にありがとうございます」
「では戻りましょう。あの子達もあなたと返事を書くのを心待ちにしているかもしれませんし」
「ふふ、そうですね」
そう言って二人は一緒に陣に戻った・・・彼女は気づいていない。今、アキラと一緒に歩くと言うことは
「名月君を溺愛するあなたが彼女との立場を気にするとは」
「う、そ、それは言わないでください!(母様やサイにも言われたことを!)」
まるで恋人の様に密着して歩くと言うことだ。さっきまではとても意識していたが、今は名月の話題のおかげで忘れている。そして、その事に気付けたのは
「あああ!朧姉ちゃん、アキラ様とくっついている!」
「はううう、な、何かずるいです!」
「アキラ、いくら朧姉様を抱いたと言っても・・・少し近すぎでは?」
陣に戻って三人に言われた時だった。特に暁月は面白くない顔でむすっとしていた。その時の朧の対応は・・・まるで昨晩のエーリカと歌夜に追い詰められた時の湖衣を見ているかのようだったと、傍にいたアキラは語った。
今は携帯やメールにラインにツイッターなど、簡単に離れている人とやり取りできるけど昔は手紙だけで、しかも何日もかかります。でも、だから手紙は昔の人からすればそれだけ思いがこもっていたのでしょう。
皆さんもたまには手紙で遠くの家族や友人に送ってみてはどうです?ちょっとしたサプライズでやると喜ばれるかもしれませんよ?
次はまた本章・・・ついに原作第七章目。大詰めにはいります!