小田原城では壊れた門や城内の再建をしている。
「サイ様!門の修繕の見積もりです!」
「サイ様!こちら、城下の見回りした兵からの報告です!」
「うむ、ご苦労」
歳世が兵達から受け取った手紙を見て、それぞれ指示を出し兵達も動く。
「これでおおよそ城の修繕のめどはたった。やれやれ」
肩で息を吐いて落ち着いた。彼女のおかげで兵達もきびきび動き、修繕を任された大工達も歳世の美貌と笑顔に気合が入り頑張っている。中には、作業中彼女に見惚れて指を木のトンカチでグシャ!とやって痛がる大工も数人いた。
「さて、残る問題はあいつだな」
今朝方、城に風魔の使いがやってきて決着の時との知らせが入った。特に意識はしてないが、アキラ達のいると思う方向に向かって顔を向けた。
「アキラがいる以上勝てるだろうが・・・何を企んでいるんだ?」
勝ちを既に信じている歳世。だが、氏康には狙いがあることに気づいたが、それが何かまでは分からなかった。でも、確信していることは、
「北条のため、それがあいつの動く理由だ。決着がつくとき、果たして何が分かるか」
北条の為に動いていることだけだった。
決戦の地の北条本陣では、
「報告が入りました!本陣後方の暁月様、鬼の殲滅に成功とのこと!暁月様もご無事です!」
奇襲を撃退した報告が入り、
「ほ、本当!よ、よかったああああ!」
「暁月も大丈夫だったんだな!」
「兵は鬼の数より少ないのに、よく・・・よ、よかった」
不安だった三人は安堵した。特に朧は脱力しかけたが、かろうじて膝をつかずに立っていた。
「しかし、どうして殲滅できたんだ?我らの兵では、それができる数も戦いもできないはずだ」
「姉ちゃん!無事ならそれでいいじゃん!」
「いや、確認はしておきたい。今後のためにもな」
「う、うん!あの、どうして何でしょうか?」
三日月はもう満足そうにしていたが、鬼との戦いはまだ終わってないので、朧の真剣な確認に十六夜も同調した。
「っは!何やら、強力な助っ人が二人入ったとのことで!その二人で三崎衆が必死になって二百に減らした鬼をあっという間に殲滅したそうで!」
「「「・・・・・・は?二人で二百を殲滅?」」」
「聞けば、一人は足利将軍だそうです!あと一人はわかりませんが、細川殿曰く協力過ぎる助っ人なので問題ないとのことです!」
前線にいる綾那や柘榴が既にその倍は倒しているが、それを見てない彼女らは二人で二百という数字でも十分に驚いた。
そして、前線のアキラ隊でもこの報告を聞いた。その報告では
「なるほど、あの二人はそっちに行きましたか」
「まあ、ちょうどよかったですね」
「はい。ですが、ちょっと引っ掛かることが」
「二人、ですよね?一人は間違いなく公方様でしょうが、三千世界をすれば簡単に二百は倒せるはず・・・なのに二人で倒したと言う報告。面倒くさがりな幽さんが一緒に戦ったにしては違和感が」
桐琴の事は出なかった。その為、
「そんなことどうでもいいじゃん!よかった~~!」
「・・・そうですね。まずは、戦いを終わらせることですね」
アキラ・歌夜・湖衣・エーリカはその報告に疑問が浮かぶが、姫野の笑顔で後で確認すればいいか。と結論付けた。
「よし!小波!」
「っは!」
「八咫烏隊は?」
「もう、確認できる位置にまでいるとのことです!」
「よし!では、もうひと押し行きますよ!」
「「「おう!」」」
小波に八咫烏隊の位置を確認をして、
「アキラ様の妻が一人!榊原歌夜!」
「同じく、南光防空海!」
「そして、山本湖衣勘助!」
「「「邪魔するものは命を賭けよ!」」」
三人の勢いと、
「ふふ、氏康に当たらないようにするなら少しくらいフライングしてもいいでしょう・・・行きますよ!」
アキラは我慢できずに、
「夢氷月天!」
本気の一撃を鬼達に出し、何本もの巨大なツララを地面から出した。そのツララに刺さったり、氷漬けになったりと十数もの鬼達を倒した。
そして、そのツララが、
「あ~~!お姉ちゃん!あそこツララが何本もある!あれ合図だよね!」
「・・・」「弾は装填済みか?うん!ばっちりだよ!」
「よ~~!皆、思いっきり撃って撃って撃ちまくれえええ!」
「・・・」←サムズサインをして、射撃を開始した。
合図となり、八咫烏隊は発砲を開始した。
また、八咫烏隊だけでなく
「あ!あのツララって!」
「間違いありません!ハニーですわ!」
「ようやく視界に入るところまで来れましたね!」
「はい!皆さん、すぐに戦える準備を!」
「雫さん大丈夫ですわ!準備はばっちりです!」
「行きましょう!私達の大将のところへ!」
待ち望んだもう一つの援軍にも知らせることになった。笑顔になった三人はそのツララのもとへ向かった。
八咫烏隊の射撃と歌夜達の猛追でどんどん鬼達を倒していく。そして、
「アキラ様!氏康が見えました!」
「私にも見えます!行きますよ!」
「「っは(うん)!」」
「うん!御本城様!待ってて!」
ついに、氏康がアキラ達の視界に入る位置にまで進められた。彼女達に氏康の周りにいる鬼達を倒させて、アキラは小波・各務・姫野と共に隙を潜り抜けて・・・ついに彼女のところまでたどり着いた。
「あら、ここまでこれたの?」
アキラは攻撃をする一瞬の間に、目を超視野化にして彼女の素顔を見た。この時だけは、意識を完全に顔に向けていたので彼女の裸体は目に入らなかった。
『あの目、間違いないですね』
言葉で語らずとも仮面の中の眼を間近で見てしっかり確認できた。自分の考えは間違ってなかったことに。
「ふふ、残念」
手加減したアキラの攻撃を防いだ氏康。本来のアキラの攻撃力ならその力に耐えられなくて彼女は吹き飛ばされるだろうが、彼女の捕獲が目的のこの戦いなので傷つけることは許されない。
「もう一度!」
「あらあら」
二回目の攻撃も防がれる。しかし、これでいい・・・何故なら、
「捕まえた」
他に意識を向けさせなければいいのだから。気配を消して近づいた各務が、彼女の空いている腕を掴んだ。え?と思ってそっちを向いた瞬間、アキラがもう片方の腕も掴んで各務と共に引っ張った。動きを止められた氏康が力をこめようとするが、
「今です!」
「は!・・・縛!」
「な!あ!・・・あ」
小波に伊賀の忍術で封印されて、意識を失った。
「御本城様!」
その彼女を姫野が抱きとめた。寝息が聞こえてホッとする。
「小波、本陣に報告を」
「は!」
「・・・ふふ」
小波に句伝無量の報告を頼むアキラ。隣では、嬉しそうにする姫野にこっそり優しい笑顔を出す各務・・・と思いきや、アキラに一人だけで密着しているのが嬉しそうにも見えた。
本陣に氏康確保の報告が来た。ちょうど、その時に暁月も帰還してその報告を聞いた四人は喜んだ。暁月と一緒にやってきた一葉・幽・桐琴はアキラなら出来て当然!と言ってのけた。その態度に三日月はいい加減だな~と堂々と言って十六夜と朧に説教を食らった。
「あとは、鬼達を全滅して氏康殿を連れて帰る。ですな」
「ああ、ふふふ。さっきのうっ憤を晴らそうか!」
「まだまだ、暴れ足りんからのう!」
「え、えっと・・・その」
「ああ、ご安心くだされ。いつも通りですから」
「あ、あれでいつも通りなのですか!」
「その通りなのですよ・・・はあ、たまには落ち着いてほしいのですが」
ギラギラな目で鬼達を倒すことに嬉しそうな一葉と桐琴の会話に十六夜が怖がり、落ち着かせる言葉に朧の驚きに幽が溜息を吐く。その彼女に
「そ、それより!アキラ様の方は大丈夫なのですか!」
「そ、そうだぜ!まだ鬼達だってたくさんいるのに!」
「ですが、母様が救出できてもアキラ隊への援軍は出せません。この本陣も守らないと勝てたことになりません」
「暁月の言う通りです・・・苦しい気持ちはわかります。ですが、私達の・・・愛する人を信じましょう!」
十六夜と三日月は慌てて確認をしたが、援軍が出せないのは暁月と朧の言う通りなのだ。四人は苦しい顔をしているが、
「ははは!主様なら大丈夫じゃ!」
「おうよ!わしらの夫が負けるはずがない!」
「ええ。大きく開花している二輪の牡丹の言葉ですが、これだけは某も自信をもって頷けます」
「「ほう、余(わし)を牡丹と呼ぶか。幽、後で小田原城裏に来い」」
「はて?某、何か言いましたか?」
主従漫才に桐琴も混ざったどこかの不良みたいなボケツッコミをしていた。既に笑顔の三人に
「な、何でそこまで勝てると、い、言い切れるのですか!」
十六夜は訪ねた。この言葉は朧・三日月・暁月も同じ気持ちだ。そんな彼女らにアキラを愛する妻達は、
「「「アキラは・・・信念を貫くサムライだからだ(です)!!」」」
笑顔でそう言った。幽は彼女達と残って、一葉と桐琴は本陣に来る鬼達を殲滅しに行くが・・・
「「ひゃああああっはああああ~~~!」」
「「「「「・・・・・・どっちが鬼?」」」」」
鬼達を狂喜乱舞で殺していく二人の姿に、北条の兵達は彼女らの方が鬼では?と思ったそうだ。
前線のアキラは氏康を連れて隊に戻ってきた。無事、氏康を捕獲したことに作戦は半分成功した・・・そう、半分だ。
「さて、後は」
「鬼達を全滅させて、勝つだけ・・・ですが」
エーリカの言葉に出てきた残り半分がまだ残っている。
「厳しいですね。八咫烏隊のおかげで鬼達も行動がバラバラになってきてますが」
「せめて、鬼達をさらに動揺させるにも、もう一手が欲しいです」
「なら、任せてもらいましょう!」
『『『・・・やれやれ』』』
しかし、戦況はよくない。雀・烏達の援軍のおかげで北条の兵達も持ち直したが、後一手欲しいところだ。その一手をアキラが笑顔で出すことにした。その笑顔に歌夜・エーリカ・湖衣は内心ため息だった。
「・・・力を出しなさい!努力!友情!紫微垣!」
隊を抜けて紫微垣も抜き口にくわえ、そして三本の刀を構えた。三本ともアキラの声にこたえるかのように光りだした。
「ふふふ、はははは!ここまでずっと溜めていたうっ憤を晴らさせてもらいましょう!せっかく綾那や柘榴、更に一葉が暴れているのに、私がダメとは不公平ですからね!」
『『『・・・はあ、やっぱりこうなった』』』
本陣の近くにいる二人と同じようなことを言うアキラに、三人は頭を抑えた。小波も苦笑いしながら笑うアキラを見ていた。
『アキラ、格好いい!ステキ!ああ、欲情する!(キラキラ)』
そして、各務は・・・やっぱりこうだった。目を輝かせて、戦場の真ん中で堂々と自慰を始めた。
「いきます!四大奥義、同時出し!」
その刀の刃をある一か所に着けると、光り輝き・・・無明神風流殺人剣の四大奥義の同時出しをした。朱雀は鬼達をどんどん燃やし尽くし、白虎は鬼達をどんどん噛み殺し、青龍は鬼達を上空に持ち上げた後に地面にたたきつけ、玄武はこの三つの奥義を逃れた鬼達の動きを止めて・・・その鬼達をアキラ隊の兵達がどんどん殺していく。一気にたくさんの鬼達を、たった一人の漢が出した技で倒されていく。
姫野以外はかつて上洛前に見た夢の中の技が出たことに驚いた。
「え、こ、これって、あの京で、あの漢の人が出した技!」
「・・・すごい、アキラ」
「・・・・・・」
朱雀・白虎・玄武・青龍の四つを一度に出した事に、歌夜達はもちろん小波と自分の胸と股間をいじっていた各務も言葉を失った。姫野に至っては余りにとんでもないものが出たことに、戦場なのに口をポカーンと開けて目も点にして四つの奥義を見た。というか、
「・・・姫野ちゃん、夢にいるの?」
現実にいることにすら疑いを持ったほどだった。
因みに本陣の方でも、
「・・・朧姉様。ひ、火の鳥がいます!」
「竜巻もいきなり出たぜ!ど、どどどどど!どうなっているんだよ!」
「あ、ああああ、あれが・・・あれが、アキラ殿の技!人知を超えた強さを持つ、アキラ殿の!」
「ほ、本当に、アキラはと、とんでも、ないです」
距離があるため朱雀と青龍しか見えなかったが、その二つだけでも十分に驚くことだった。
アキラは叫ぶ。
「さあ、鬼達よ、光栄に思いなさい!かつて鬼神と呼ばれた男の技です!」
この四大奥義同時出しであっという間に千近くの鬼を撃滅して、鬼達は一気に恐怖に陥った。しかもそこに、
「ハニ~~~!あああ、またハニーの凄さを見ることになるなんて!」
「ああああ、アキラ様!梅さんと同じことを言いたくないですが、ほ、本当にすごいです!」
「我が主は、またとんでもないものを出しましたね」
アキラの援軍。アキラ隊の主軸ともいえる梅・雫・詩乃もやってきた。三人ともようやく会えた愛する人との再会に我慢が出来ずに、思いっきりアキラに抱き着いた。
「おや、皆さんも来たのですね」
「はい!ハニーの居場所が海を越えた陸地でも、どんなに大きな山の先でも、愛と想いと全てを持って必ずたどり着いてみせますわ!」
「そうです。私達アキラ隊はアキラ様と一心同体です!」
「何より私達はアキラ様の妻であり、アキラ様の隣に立つ女でもあります。さあ、アキラ様!私達を存分に使ってください!」
頼もしい妻の言葉。その言葉に答えるためにも、
「ふふ、では・・・一二三!いるのでしょう!」
「おや、気づかれていたかい?」
「もちろんです。今よりアキラ隊の指揮権をあなたから詩乃と雫に移行します。いいですね?」
「ああ、頼むよ・・・ふう、疲れた。やっぱりいつもの吾妻衆じゃないからな」
やってきた一二三の持っていた隊の指揮権を二人に戻した。ようやく、解放された喜びを体で表した。
「でも、いい経験だったんじゃないですか?」
「バカ言わないでほしいよ。アキラ隊は異質極まりない隊だからね。今後の戦いの参考にもならない」
「なら、今まで頑張ってきた妻の一二三にはご褒美を上げないといけませんね」
「ほう、それは楽しみだ」
「「(じ~~)アキラ様、それはもちろん」」
「私達もですわよね!」
「もちろんです。では、頑張ってください」
「「「(ぱあああ)はい!」」」
その一二三に労いと書いて愛の囁きと読める言葉をかけたアキラに死線をぶつける三人だが、すぐに同じ言葉で機嫌を治した。
「ふふふ!ハニーとの愛の営みが好きなだけ、しかも毎日してくれるなんて・・・ハニーの妻としてこれ以上ない幸せなことですわ!」
「・・・は?」
「では、ハニー!お願いしますわ!私は、柘榴さん達のところへまいります!」
しかも、梅から出たそこまで言ってないだろ!と言いたい言葉に一瞬思考が止まるアキラ。それがミスだった。
「ふふふ、ハニーの愛を貰える私の前に出る鬼など滅殺して差し上げましょう!見せてあげましょう!蒲生家お家流!蜈蚣切丸・神威千里行!」
そのミスをしたせいで、梅の言葉を撤回するチャンスを失ったのだ。彼女のお家流により、彼女の姿が消え
「どわ!だ、誰っす!」
「な、何じゃ!」
あっという間に、隊の殿を任されている柘榴と沙綾の場所まで行ってしまったからだ。あまり見ないアキラのポカーンとする姿だが、
「アキラ様」
「楽しみにしてますよ」
「も、もちろん、私達も」
「わ、忘れないでください!」
「うふふ・・・濡れる!」
「わ、私もですか!ううう、で、でも、断れない」
「ははは、湖衣。私も加わるから安心しな」
それを気にしない妻達が雁首揃えて要求した・・・撤回ができなかったことで彼女達もまた同じように毎日愛することが決定してしまった。そして、どっかの誰かさんは既に妄想して自慰をしていた。
その後の戦いは全てが順調にうまくいった。川から上陸した八咫烏隊とも合流して、氏康という指揮が無くなった鬼達は何とか取り戻そうとするが、
「あ~~ははは!もっと来るです!」
「綾那ちんには負けないっすよ~~!」
「お~ほほほ!ハニーぱわー全開!ですわ!」
「手ごたえがありませんね。全く・・・」
「アキラ様!お願いですから、下がってください!」
「歌夜さん、湖衣さん。諦めましょう。アキラ様も何も考えないで戦いたかったのですから」
「そ、そうですね」
隊の前を綾那が、殿を柘榴と梅が、隊の中間をアキラと歌夜・エーリカがそれを許さない。一騎当千の武将に万夫不当のアキラに今孔明に賢人の指揮の下で動くアキラ隊に八咫烏隊の一斉射撃なども加わり、どうすることもできないうえに、北条本陣では
「ほらほらほらほら!もっと来ないか!」
「わしらをもっと楽しませろ!」
最凶タッグが大将を守っている。これでは、どうあがいても鬼達に勝ち目がない。
そして、一刻後に集められた五千の鬼を全滅することに成功した。ただ、北条はもちろんだが・・・アキラ隊も犠牲は出た。その数は百だが、この数はむしろ少ないと言える。アキラのあの奥義を出したおかげで残った鬼達も再び出されると思い、恐れて動きが鈍くなったのだ。
また、本陣にいた桐琴がもっと鬼を殺したいがために単独行動して(一葉は幽に止められた)アキラ隊と合流した。そこで、同じ村正の武器を持つ者同士の二人のコラボアタックによる攻撃が更に鬼達の恐怖を高めたのも一つの理由だろう・・・因みに桐琴がいた事にアキラを含む隊の全員がびっくりして、勝手に隊を抜けられた詩乃・雫はまさか北条の本陣にいたとは思わなくて呆気にとられた。だが、これらがなかったらもう百の犠牲が出て北条の兵達もまた多くの死者が出ただろう。
戦いの勝利したことで、十六夜が勝利の声をあげ北条もアキラ隊も皆が喜びを分かち合った。だが、最後の問題が残っている。
『さて・・・後は、彼女ですね』
それは、北条氏康だ。彼女の企みを確認しないといけない。
次は北条氏康とアキラの一対一の対談と・・・原作やった人ならわかりますよね。
そして、次回の本章が終わったらしばらく間章です!