どうも。原作では前話とこの話の間に間章があったのですが、そのまま続けて四振り目の後にまとめて間章にしようと思います。
今回は大津到着と作戦会議です!
数日後に京に来る北条の使い。その狙いを調べるために、大津にたどり着いたアキラ達一行。着いた時はもう夜だったのでその日は休んで、次の日に居場所を調べに分散した。
『それにしても、家の奥さん達は中々大胆ですね。いくら同盟国内と言っても、関所を全部無くすなんて』
一人で行動しながら、久遠達のやってきたことを思い返していた。その一つとして、関所を無くしたのだ。その理由は、それぞれの国の物流・人の流れをよくするためだと夫のアキラは思った。物流のいい国なら商人達は集まるし、違う国で商売をやりたいと思ったら甲斐・越後・三河などの大国にスムーズに行ける。つまり、同盟国内なら自由に移動が出来るという事だ。だが、同時に他国の間者のチェックもしないことになるが、
『間者など放っておけ。むしろ、どんどん調べていかせろ!』
久遠のこの言葉に全員が納得した。同盟国は鬼を討伐するために動く国なので、日の本全体に鬼の種がまき散らされた今なら、むしろ調べた情報で他国の当主達が同盟国に入ろうか考えるいい機会でもあるのだ。調べられて別に困ることはないし・・・彼女らの唯一の悩みは、同盟参加の時にせいぜいアキラに誑されて嫁になる人数が増えることくらいなのは嫁全員の内緒。
『変に警戒させて周り道させるより、存分に調べさせて同盟国に入れる最短の道を作る・・・先の目を持つ久遠達には本当に頭が下がりますね』
ここまでわかっていたからこそ、関所を廃止したのだろう。とわかり、アキラは改めて英雄の名を持つ自分の奥さん達に感服した。
「ご主人様。北条の居場所が分かりました」
そこに、小波が戻ってきた。
居場所が分かった小波の報告では、
「北条の皆は街の中にはいないで、間違いないんですね?」
「はい、山間に宿をとっております」
街の宿を取らずに、山間の宿にいると言う報告だった。
「そうですか。そうなると、調査がしにくいですね」
「その通りです。街中なら町民に変装して、近辺の情報収集が出来たのですが」
「私も経験がありますので、そのやり方は分かります。ですが、山間は人が余り通らない為、その手段が使えない。旅人としてその宿に行こうにも、その宿を完全に借り切っているでしょう」
「その通りでございます・・・申し訳ございません」
「謝ることはないです。彼らの居場所の確認ができただけでも収穫ありです」
そう、人通りの多い街中ならいくらでも手段はあるが、山間の宿ならそれが使えない。しかも、北条家がその宿を使うという事はその宿を借り切っている可能性も高い。久遠達に正式に会いたいと言ってきたなら、氏康に近い者が来るという事でもあるのでその宿に他の者を入れることはしないだろう。近くに草も配置して、警備しているだろうと推測した。
調べられることはここまでなので、調査をやめて引き上げることにした。
「さて、皆にも伝える前に」
「何かありますか?」
「ええ、小波。一緒に食事をしましょう」
だが、宿に戻らず別方向に歩き出した。
「・・・え?」
「まだ何も食べてないでしょう?いいですよね?」
「え、え、ええええ!」
驚く小波の腕を掴んで、食事処を探し始めた。そして、雰囲気のいい食事処を見つけて二人分の団子を食べた。
「はい、あ~~ん」
「・・・あ、あ~~ん///」
ただし、小波には手を使わせず、調べたご褒美という事で全部あ~んで食べさせた。その間、彼女は恥ずかしくてずっと顔が真っ赤だった。
『ご、ご主人様とふ、二人っきりで食事!ううう、しかも皆からも見られて、あ、あ、あ~んまでしてもらって、ま、まるで夫婦。あううう///は、恥ずかしい!で、でも、嬉しい・・・ご主人様が、私をこうして、嫁として、女として見てくれる。ずっとこうしていたい///』
内心もテンパっていたが、二人っきりでいられることに嬉しさでいっぱいだった。
食事が終わり照れ続ける小波を連れて、宿に戻った二人。ほかの皆も既に戻って来ていたので、早速北条の居場所を話した。
「ふむ、この宿は我々の道の通ったところにあるという事は」
「いつの間にか、通り過ぎてしまっていたのですね」
「気づかなかった」
「しかし、それだと調べるのが難しいですね」
皆も歌夜の言葉に頷き合った。調査をするために来たのに、それが難しい場所に北条は宿をとった。アキラも皆と共に困惑した表情で考えていると、
「何考えているですか!そんなの簡単ですよ!」
綾菜が笑顔で言った。
「簡単?」
「どういう事です?」
一二三と湖衣が疑問そうに聞く。アキラや歌夜もまた同じだ。
「アキラ様らしく、堂々としていればいいのです!」
そんな彼女らに堂々と答えた。それを聞いたアキラ。
『私らしく・・・ふ、なるほど』
すぐに綾菜の考えを理解した。
「そうですね。私らしく、堂々と正面から話をしに行きましょうか」
つまり、こそこそではなく、堂々と会って調べるという事だ。
「「「は?」」」
「あ、なるほど」
まだ、一二三と湖衣と松葉が何言ってるの?という顔をする中、アキラ隊の歌夜はすぐに言いたいことが分かった。
「お菓子を持っていって、堂々と顔を見て話をして、はいさよならをした後に、そこから北条の意図を推理する。という事ですよ」
「です!」
最後の綾菜の決め文句で、三人の硬直が解けた。
「え。ええええええ~~~!!!!」
「く、くくく、あ~~っははははは!なるほど~~、こそこそより堂々としていれば、確かに向こうもこっちへの妨害もしないだろう。これはまた面白い手だね~」
「何で一二三ちゃんも賛成しているの!」
「大丈夫です!それに妨害なんてしちゃったら、北条は非礼をしたことになるのですから!」
「そうね。アキラ様は日の本中から注目されている同盟軍の頭的存在。その方の誘いを断るのは北条にとって不利益・・・残念だけど、これが一番かもね」
「はい・・・私も同じ意見です」
湖衣が驚く中、一二三の指摘に頷く綾菜。歌夜と小波も苦笑いしながら頷く。
「はあ~~、本当に仕方ないですね」
「大丈夫ですよ、湖衣ちゃんは私が守りますから」
「・・・自分の身は自分で守れます(ぽっ)」
「こらこら、湖衣。折角日の本で一番強い人からそう言ってくれたのだから『ありがとうございます。お礼は私の体で』って言わないと」
「・・・な、何言ってるの!(てれ)」
「最初に間が開いているあたり、満更でもないみたいですね」
「(かああああ)・・・そ、そんなことないです!」
一二三のからかいと歌夜の指摘に焦って返す湖衣。だが、否定する顔が赤くなる当たり、その指摘は間違いではないようだ。
「松葉はどっちでもいい。アキラを守って、仕事を終わらせる。そして、本当の妻にしてもらって、たくさん抱いてもら(どさ!)・・・湖衣、妄想もほどほどに」
「ふにゃああああ~~。たくさん、抱かれて~~」
「う~ん、夫殿の嫁となったなら松葉君が言ったこともこれからはしていくかもしれないからね・・・免疫をつけさせるためにも、歌夜君か小波君を抱いているところを見せて耐性をつけさせるべきかな(ニヤニヤ)」
「「な、何で、私なんですか!」」
「君達しかいないだろう~。この中で夫殿にたくさん愛されて、身も心も蕩け切って、今でも熱い眼差しで見つめる妻って」
「「う・・・」」
だが、松葉の段々危なくなる言葉についに倒れた湖衣。一二三の面白がって出した提案にツッコミを入れる歌夜と小波だが、彼女の指摘に反論が止まった。
「早くいくです!お菓子を持っていくならいい店知っているです!」
一二三が何やらピンクな空気にさせようとしていたが、綾菜の言葉で仕事を再開することになり、ならなくてホッとしたアキラだった。
早速綾菜おすすめの団子屋で団子を買って、一緒に連れてきた少数の兵も大津にいる間は休みにさせ、向こうに余計な警戒を持たせないために武器を宿に置いて無装備状態で北条のいる宿に向けて出発した。その道中で皆に確認した。
「さて、歩きながらですが最終確認を取ります。私がこれから会う人と話をして皆がその人の顔色を見て話を聞いて、意図を推測をする。これでいいですね」
「「「「「はい!(です!)」」」」」
「松葉はアキラを守る」
「頼りにしてますよ。終わったら、お礼はちゃんとします」
「(コクコクコク!)」
『・・・頭に犬耳が見えたのは気のせいではないですね』
顔を赤らめて頷く彼女に、頭だけでなく尻に勢いよく振っている犬尻尾も見えたアキラだった。
しばらくは和気あいあいとしていたが、
「・・・入ったようですね」
「はい」
「みんな見てるです」
「・・・囲まれています」
アキラの一言に皆警戒した。北条の警戒網に入り込んだのを確認し合った。敵意がないのを確認させるために、団子を入れた袋を両手で前に出した。
「使者の方と一緒にお茶をしたいのですが、お願いできませんか?この通り、お茶菓子も用意してきましたので・・・それに見ての通り無装備です」
アキラの言葉に気配がそれなりに動いたのを確認した。数分後に、
「全く、あんた達にまた会うなんてね・・・服部とはもう会いたくなかったのに」
身に着けているものが派手で忍びとは思えない女性が一人現れた。向こうは知っているようだが、アキラと服部・・・小波は、
「「・・・誰(ですか)?」」
覚えていなかった。
「・・・はあああああ!何!私を覚えてないっていうの!」
「会いましたっけ?」
因みに演技ではなくて、アキラは本当に忘れていた。何しろ、越後内乱の後に甲斐に連れていかれ光璃と祝言して、美空と光璃の妻同士の喧嘩を止めて、鞠との約束を果たすために駿府を奪還して、ついに京に着いて吉野との対決時にエーリカと狂達と驚きの再会をして、最後には狂と戦って勝った。これが短い期間で行われたのだ。記憶のかなり奥に押し込まれても無理はない。
「というか服部!越後であんだけ追い回した姫野を忘れるなんて!」
「???確かに誰かに追われたが、お前だったか?」
小波まで忘れていることに更に切れる女性。
「きいいい~~!ムカつくムカつく~~!!」
「っぷ、ふふ、あ~~っはははははは!あれ~~、見覚えがあるぞ~~」
「一二三ちゃん、ワザとはやめなよ」
「???」
怒りの叫びをする女性に一二三はワザと言って、湖衣は呆れた。因みに、綾菜もアキラと小波と同じように忘れているため、思い出すことで必死だった。
「とりあえず、お茶の誘いの事を使者の方にその事を伝えてくれませんか?」
「ううう・・・わ、分かったわよ」
悔しそうに道の先にある宿に入っていく女性。彼女を憐れみながら、
「皆さん。意地悪ですよ」
「「「え?」」」
「ははは、いい反応だったからついね」
歌夜がさっきまでの皆の反応を非難したが、一二三以外はキョトンとしていた。
「え?ま、まさかアキラ様。本当に忘れたのですか!しかも、小波に綾菜まで!」
「ええ。あれ?あの人って、会いましたっけ?」
「ひどい人達だね~~。ねえ、湖衣」
「知っててからかう人の方がひどいと思うけど~」
「あの、誰でしょうか?」
「う~~ん、思い出せないです」
アキラ・小波・綾菜の返答に唖然とする歌夜。待ち時間に女性・・・姫野の説明をして、やっとアキラと綾菜は北条お抱えの風魔忍軍の棟梁だという事を思い出した。しかし、小波は今だキョトンとしていて怪しい感じだ。
「いいわよ、着いてきて!」
そこに姫野が戻って来て、宿に入れる許可を貰えた。
「ありがとうございます。姫野さん」
「な!わ、私を名前で!」
「先ほどはすいませんでした。あなたの策にはまってしまって、情報をうまく引き出すことが出来なかったのですよ」
「え?」
「中々凄かったですよ。あなたほどの人が私達をはめたのですから」
「・・・えへへ~~。そうでしょ!姫野様は凄いんだから!」
さっきの不機嫌から一転、アキラの言葉をあっさり信じてどや顔しながら胸を張った。そんな彼女に
『『『・・・チョロイ』』』
一二三・湖衣・歌夜はそう思った。綾菜は声に出そうとしたが、歌夜が慌てて口をふさいで止めた。
「お願いできますか。風魔一の忍びである姫野さん」
「勿論よ!さあ、着いてきなさい!」
「ええ。お願いします。可愛い姫野さん」
「えええええ!ひ、姫野、か、可愛い!」
「可愛いし、素直だし、真っ直ぐだし、私は好感が持てます」
「(かああああ)ふ、ふーん!これで姫野を誑せると思った大間違いよ!」
真っ赤になりながらもアキラに照れる姫野。そんな彼女を見て十分に誑されているだろ。と思う後ろの一二三達。先を歩く二人を面白そうに見る皆。
「ははは、面白いものを見させてもらったよ」
「あ~あ、一二三ちゃんの目がからかいたくて仕方ない!ってなっているよ」
「松葉も言って欲しい」
「もう~~、どうして口を閉じるですか!」
「ダメよ、思っても言っちゃ」
「・・・ご主人様、小波もああしてほしいです」
一二三のニヤニヤに湖衣は姫野を哀れに思った。松葉はアキラをじーっとみて、綾菜は歌夜に口を抑えられたことに文句を言っていた。そして、小波は今まで忍びで誑されたのは自分だけだったので、同じ忍びの姫野が誑されていることに不満みたいだ。
宿に入って進むと清々しい感じがする庭に出た。これから駆け引きが始まるのに、その庭の風情に不思議とリラックスした一行だった。その庭の一部に日傘とがあり、その下に
「・・・あの子が使者ですか?」
雀・烏くらいの女の子がいた。しかし、お茶を飲んでいる姿は絵になっている。
「そうよ、北条氏規様。通称・暁月様よ。当主氏康様の五女よ」
「なるほど、可愛い子ですね」
ただし、アキラは感じていた。
『油断できない』
非力に見える容姿だが、空気は明らかに油断したらダメだと感じていた。
『さて、どんな話をしましょうか』
アキラ、北条暁月氏規との駆け引きが始まった。
今回少し短かったですね。本当は駆け引きの様子も書こうと思ったのですが、姫野ちゃんとの再開でここまででいいと決めました。
次回は暁月との駆け引きと宿で推測の話し合いです!