※この作品はR-18です。

オリ主探訪日記   作:mimick

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46.レイナース現代編②ー3☆

 帝都の夜。屋敷にも闇の帳が降りて、昼を生きる物たちにとっては休息の時間となる。屋敷の外は昼と比較すれば静かではあるが、虫達が合唱し、夜行性の鳥類の鳴き声が木霊していた。

 

 屋敷の廊下を一人の女性が歩く。彼女の名はレイナース。この屋敷の主人であり帝国騎士をしている女だった。彼女はとある部屋を目指して歩いていた。時に立ち止まり、周囲の気配を探る。足音を立てないように、足早に移動した。彼女の足取りは時に軽くなったり、時に重く感じられたり、これから起きる事への期待と不安が混在しているようだった。

 

 レイナースは目的の部屋の前に立つと、手で髪を軽く梳き、軽く身だしなみを確認した。白のガウンにネグリジェ、おかしな所はない。髪を耳に掛けて顔を出した。呪いの痣を隠す化粧は事前にして来ている。

 

 軽く扉をノックする。するとすぐに男の声で返事があったのを確認し、扉を開けた。

 

「……少し、話が出来ますか」

「大丈夫だが、どうした?」

「失礼しますわ」

 

 ドアが開き、レイナースがサッと中に入った。部屋に備え付けられた魔道具の灯りが、中を仄かに照らしていた。

 

 男はレイナースの格好を見て動揺した。レイナースの格好は夜着なのか薄着姿で、男性ならば胸元や身体のラインに視線が吸い寄せられるのは至極当然であろう。まして、レイナースは見目の良い女性だ。それに、寝る前だと言うのに顔の呪いの痣を隠すように化粧もしていた。夜だからなのか、昼には見え隠れしていた妖艶さが前面に出て来ていた。

 

「話と言うのは……」

「此方に来てもらえますか」

 

 レイナースがベットに腰を下ろし、隣を軽く手で叩く。

 

「隣に来て欲しいのです。少々……大事な話ですから」

「あ、あぁ……」

 

 男が困惑し躊躇っていると再び促され、少し離れてその隣に座った。しかし、手を伸ばせば届く距離ではある。それほど離れている訳でもない。大事な話があると言ったレイナースの表情は少しだけ堅い。それは緊張、ともとれた。

 

「あなたにはちゃんと礼を言っていませんでしたから……この指輪を私に貸してくれて、ありがとうございます。この指輪のお陰でとても助かっています」

「あぁ、そういう……それなら良かった」

「……? 痛みと化膿した傷が無くなっただけでも、大分生活しやすくなりました」

 

 どうやら指輪の礼を改めて言いに来たという事らしい。レイナースに礼を言われ、男としては残念やら安堵やらで不思議な気分だ。

 

「前は帝城でも腫れ物を触るようでしたが、今では大分視線も軽くなりました。有象無象が近寄ってくるようになったのだけは面倒ですが……」

「隊長さんは元が美人だからな。そりゃあ男だって寄ってくるだろうさ」

「有象無象だと言いました。虫が飛んでくるようなものですから、不快なだけです」

 

 憮然とした表情で男の言葉に答えるレイナース。だが、美人だと言われた彼女の声に少しだけ嬉しさが混じったのは気のせいではないはずだ。

 

「……それより、あなたはいつまで隊長と呼ぶのですか? 私はあなたの上司ではないのですが」

「なら……なんと?」

「……それは、あなたに任せます」

「それじゃあ、呼び捨てでも怒らないでくれよ……」

「ふふ……好きに呼んだらいいと思います」

 

 レイナースは誘うような、妖艶な笑顔で微笑んだ。男は気恥ずかしくなったのか、彼女から視線を外した。

 

 そんな反応を見たレイナースは少しだけ距離を詰めるように男の隣に座り直す。膝がくっつきそうな距離だ。

 

「そ、そういえば、さっき帝城と言っていたが……今は帝城勤務という事なのか?」

「いえ、元々、帝城に勤めていますよ。あの時は少々厄介事に巻き込まれて地方に出ていただけですので」

 

 男から見たレイナースは、騎士団の小隊を指揮する隊長格であり、親が金持ちかもしれないという認識に過ぎない。小隊の隊長格ともなれば、帝城で勤めることもあるのだろうかという単純な疑問だった。

 

「厄介事?」

「……これでも私は結構な地位にあるのですが、貴族連中からは女だから与し易いと思われていたようです。ですが、そちらはもう問題ありませんので大丈夫ですよ」

 

 男には騎士団内の力関係や貴族社会の事情など分からなかったが、厄介なしがらみややっかみ、嫌がらせなどに巻き込まれていたと言う意味は理解した。

 

「貴族か……相手が面倒そうだ。……レイナースは帝国騎士団だとどういう地位にあるんだ? 厄介事に巻き込まれるなんて、それなりの役についてないと無いだろうし……」

 

 貴族とはあまり関わりが無いが、強いて言うのであれば王国でゲヘナに参戦した際、アダマンタイト級冒険者達と一緒に行動した事があった。確かその冒険者のリーダーが貴族出身だった筈。王国では貴族の腐敗が酷いと聞いていたが、彼女についてはそこまで悪い印象は抱かなかった。

 

 そんな事を何ともなしに思い出しながら男が聞くと、レイナースは苦笑した。

 

「やはり知らなかったのですね……私は皇帝直属の騎士、帝国では四騎士と呼ばれる者の一人です」

「えっ」

 

 男はレイナースの言葉に、どのように返すか悩み込む。思っていた以上に彼女の地位が高かった為だ。生憎と、帝国にいる期間が短く、特に体制を調べるといったこともしていなかったため四騎士と呼ばれる者達がいることすら男は知らなかったが……それでも皇帝直属となれば相当の地位である事くらいは分かる。

 

「……様って付けた方がいいか?」

「やめてください。怒りますよ」

 

 そうして悩んだ結果出てきた言葉がそれであった。

 

 一方で、男がレイナースの地位を聞いて萎縮しなかったので、レイナースは内心ホッとしていたのだが、そんな素振りは微塵も見せる事はなかった。

 

 それから二人は、あの討伐依頼の後の事や、普段の生活、騎士の仕事について話し、レイナースはこれ迄、誰に対しても絶対にする事の無かった自身をさらけ出すという行為を男にしたのだった。

 

 それでも……

 

 言いだせない事はある。肉親を断罪した話などどう伝えればいいのか。裏切り者だったと? 私を苦しめた者達だったと? レイナース自身は今でも断罪は間違っていたとは思わない。でも、それが男に受け入れて貰えるかどうかは別の話だとレイナースは思っていたから。それにこんな重い話を切り出して、今の雰囲気を壊したく無かった。

 

 だから、彼女は結局は一番重要な事を言い出すことが出来なかった。

 

 □

 

 部屋を魔導ランタンが照らす。投射された影は壁に大きく、二人の人間を写し取っていた。二つの影は実際の二人よりも距離が近い状態でベットに腰掛けている。

 

 男は、魔導ランタンの灯りが部屋内を橙色に染める中、レイナースの話を聞いていた。彼女の呪いが緩和したことで起きた変化、彼女が皇帝直属の四騎士である事とその大まかな仕事、休日は何をしているか、彼女の好きな物、好きな事……それは幅広く。

 

 話ははずんでいたが──そんな中、ふとした時に会話が止まる。男が時間を意識すると、もう大分話をしたと思う。恐らく、それなりに遅い時間になっているだろう。

 

 間を置いて、空気が入れ替えるようにレイナースがポツリと言った。

 

「……私の気持ちなのですが、何となくでもあなたは気付いてくれていますか」

「あ、いや、それは……」

 

 レイナースは男の手に自らの手を重ねた。その手は冷えていた。

 

 妙に好感度が高い事。それについては何となく感づいていた。普通であれば、殆ど何も知らない異性を家にあげることなどするわけが無いし、好意もしくは計算が無ければ、こんな風に身体に触れるなど考えられないだろう。

 

「……分かっているのならいいです。それと、覚えておいてください。私ならあなたの苦しみを理解してあげられるという事を」

「え?」

「同じ、呪いを持つ者ですから。ハッキリ言ってしまいますが、私ならあなたを支えられる。だから……」

「……」

 

 だから、一緒にいて私を支える事も考えて欲しい、とレイナースは言う事が出来なかった。それを言うには、まだ彼女自身、気持ちの整理がついていないという事に内心でモヤモヤしていたのかもしれない。

 

 好意はある。それに共感を共に出来る相手がこれ迄おらず、孤独感や寂しさを感じていることは自分自身でも気付いた。そして、寂しさを消してくれる存在を心の何処かで求めていたことも。

 

 でも、今はまだ解呪に向けた打算の方が大きいのは確かだったから。だから近くに置いておく為に家に住まわせたのだし、逃げられないように男女の関係で繋ぎ止めるつもりでもいた。

 

 そんな打算ばかりを考えて、私の事を支えて欲しいと言うのが躊躇われたのも事実。多分それを気にしたのは、本当は打算だけの関係にはなりたく無いと心の何処かで思っていたからなのだろう。

 

「いいえ……忘れてください。解呪はまだ道半ばですが……私は確かに、あなたに救われました。今は……これも礼だと思っていただいて結構です」

 

 答えの出ない自問自答。その答えを出すには時間がかかることは分かっていたため、レイナースは一先ず男への礼と、男女の関係になり繋ぎ止めることを優先した。それならば、する事はシンプルに男を誘惑するだけなのだから。

 

 白い肌を赤く染めたレイナースは男の手を引き、自身の胸へと導いた。女の双丘。唐突な行動。その柔らかさに男は反射的に手を引こうとするが、レイナースの力が思ったより強くそれは叶わなかった。そして、男は押し付けた手の平でレイナースの心臓の鼓動を感じた。それは早鐘のように激しく鳴っていた。

 

 そして、男が拒まない事を確認すると、レイナースは隣の男に抱きつき、覆い被さるようにして押し倒した。

 

「ちょっ」

「……女は狡猾で狡い生き物なのですよ。私は呪いを解く為なら何でもしてきましたし、どうしても欲しい物はどんな手を使ってでも絶対に手に入れます」

 

 男は押し倒され、ベットに倒れ込んだ。そして、男の上体にのしかかるようにレイナースが迫る。レイナースは男の目を見て、誘惑する様に蠱惑的な微笑を浮かべた。

 

「ま、待ってくれ」

「待ちません。私は、あなたが欲しいのです。……衣食住でも足りないなら……私の身体も貸してあげます。だから、私に飼われなさい」

 

 レイナースが男を見下ろして迫った。彼女の言ったそれは契約に他ならなかった。衣食住の保証と、レイナースの身体を自由にする権利。その代わりに私のモノになれという。

 

「な、何を言ってるんだ。飼うなんて……」

「断れば……あなたが私に酒を飲ませて無理矢理犯したと訴えますよ。そうしたら、あなたは今度こそ本当に犯罪者になります」

 

 脅迫する言葉とは裏腹に懇願するような声音をしていた。

 

「う、ぐ……」

「お願い……」

 

 レイナースの髪が男の顔に垂れ下がる。男からは彼女の顔が良く見えた。近くで見ると、薄っすらと化粧では隠しきれていない呪いの跡が見え、彼女の瞳には不安が色濃く残っていた。

 

 ここで彼女を拒絶したらどうなるのだろうか。勇気を出して本心を打ち明けてくれたのに? きっと彼女は傷ついて、本心を打ち明けた事を後悔する。男として、そんなの断れる訳がないだろ、と彼は諦めた。

 

「……分かった。帝国にいる間はレイナースに飼われることにする」

「あ……ありがとう……」

「でも、対価は払って貰うからな」

「わ、分かっているわ……」

 

 歪んでいるのかもしれないが、傷を抱えた女が不安そうに懇願してくるのを見ると愛おしさが一気に溢れて来る気がした。

 

 そのままの勢いで、男はレイナースの身体を抱きしめ、彼女の身体の感触を味わう。レイナースが大人しく身を預け、男の腕の中にスッポリと収まる。騎士という職業に就いているにも関わらず、彼女の細身の身体はしっかりと女性特有の柔らかさを保っていた。

 

 密着した彼女の髪の甘い香りが男の鼻腔をくすぐり、男を性的に興奮させる。先程触れた彼女の手は冷たかったが、抱きしめた彼女の体温は高い。口では黙したままの彼女の心臓の鼓動が早鐘のように鳴っているのは、彼女も男を求めて期待していることの証左であろう。

 

「人は、こんなに温かいのですね……」

 

 ポツリと呟く。人に抱き締められるなど、いつ以来だろう。男に抱かれた夜を除けば、誰かの肌の温もり感じた記憶など久しく無かった。胸の中から男の顔を見上げ、気恥ずかしくなったのか顔を背ける。男から見えたその横顔は羞恥に染まっており、癖になっているのだろう無表情の仮面などはとっくに剥がれてしまっていた。

 

「後悔しないか? 俺を飼うのは大変だと思う」

「……しませんわよ」

 

 彼女は男の首に両腕を回し、押し付けるように唇と唇を合わせた。柔らかな感触。興奮の度合いが飛躍的に高まる。そして……堪えきれなくなった男がレイナースと身体を反転させると、男が上、レイナースが下となった。

 

 レイナースは白のガウンにゆったりとしたネグリジェという姿。薄い布地は彼女の身体のラインをくっきりと形どっていた。男に組み敷かれた彼女は抵抗をしなかった。ネグリジェの薄い布、スカートになっている部分を捲ると、その下から細身の長い脚と真っ白な肌、魅惑の三角地帯が隠されていた。

 

 下腹部を覆う三角の白いショーツ。下着を顕にさせた彼女の身体のラインに沿って手を滑らせた。ネグリジェの中にも手を入れてスルリとした肌の感触を楽しむ。ブラはつけていないようで、傷どころかシミ一つない滑らかな肌だった。

 

「んっ……」

 

 その感触がこそばゆかったのか、顔を背けたレイナースの口から艶めかしい吐息が漏れる。それは普段の彼女を知る者からすれば、別人にしか思えない姿。最近になって雰囲気は和らいだものの、騎士としての普段の彼女は無表情の仮面を被る冷徹にすら感じられる態度を貫いている。そんな彼女がベッドの上では普通の女の表情をして組み敷かれていた。

 

 男がレイナースにのしかかり、首筋に吸い付いて音を立てると、彼女はこれから行われるだろう行為への期待感からか僅かに身体を震わせた。

 

「あっ……」

 

 男がレイナースの身体を弄る為に体勢を変えた。大きな手がレイナースの身体を這い、露になった彼女のショーツの中に侵入する。すると、そこは既に濡れそぼっており、彼女の興奮の程度を物語っていた。

 

「ずっと興奮してた? 俺が手を出すのを待ってた?」

「ち、ちがっ……あぁっ♡」

 

 耳元で低い声をかけられレイナースの背中にゾクゾクとした快感が駆け抜ける。胸がギュウった締め付けられるような心地がした。

 

 男はレイナースワレメに指を押し付けるようにして沈み込ませ、湿潤した谷間を撫で上げる。

 

「……ぁっ♡」

「こんなに濡らしているのに?」

「っ、だ、だめ、そこはっ」

「駄目? 何で。あぁそうか、ここが弱いんだろ」

「あっ、やっ……♡」

 

 上下に撫でるとレイナースは羞恥に頬を染める。そのまま膨らんだ突起を指の腹で円を描くように刺激するとレイナースが甘い声で鳴いた。それでも止めずに直接触れずに焦らしていると、どんどん息は荒くなっていった。

 

「どうして欲しい」

 

 男が問うとレイナースはフルフルと首を振った。

 

「そうじゃないだろ」

 

 今度は突起に直接触れ、クリクリと弄ってみる。レイナースの身体が明確に力み、感じる刺激に反応するように身体を、腰をヘコヘコと震わせた。そのまま腰を浮かせ、絶頂しようとした寸前で手の動きを止めた。

 

 レイナースの身体は絶頂を迎えるのに構えていたが、一向にその快楽が訪れることはない。

 

「どうして欲しい」

「あぁっ……♡ そんなこと……言えな……うぅっ」

 

 再び、男はレイナースの股を弄り始めた。先程と同じようにクリクリと陰核を刺激する。

 

「敏感だ。じゃあ、こういうのはどうだ?」

「あっあぁ……♡ あぁぁ……♡」

 

 陰核を指で挟むように擦りあげた。猛烈な快感が身体を駆け抜け、切なげな嬌声をあげる。それはレイナースが自分でするのとは、それこそ気持ちよさのレベルが違った。

 

 自慰ではない性行。思考が溶ける。快楽の虜になる。心の器に得体のしれない感情が満ちてゆく。

 

「し、して……もっとしてっ……♡」

「まだ聞いてないのに」

 

 指で挟むように丹念に擦る。それから触れ方を変化させ、指で掬うように突起を弾く。上から下へ。右から左。左から右。連続で。突起を弾く度にレイナースの息は弾み、少しだけ強めに刺激してみる。指の腹を陰核に添わせてグリグリと刺激すると、レイナースの身体は面白いように反応した。

 

「あっ、あひっ……♡」

「クリクリするの気持ちいい? ほら、イケ」

 

 腰を浮かせて反らす。レイナースがいつもしているように、その長い脚を指先まで真っ直ぐに伸ばして絶頂する姿を見せつけた。

 

「はぁ……♡ はぁ……♡」

「足ピン絶頂可愛い。でも、それでしかイケないなら直そうか」

 

 クタリ、と脱力し荒い息をつくレイナース。しかし、男はレイナースを休ませる気など無かった。

 

 彼女の秘所に指を入れた。それだけで、くちゅっ と、水気を含んだ音がする。そのまま、手の平を秘所に押し付け、大きく振動させるように動かす。鉤状に折り曲げた指で彼女の中を捏ねくり回すように掻き乱した。

 

「うっ♡ っ♡ っ♡ っ……♡♡」

 

 ちゅちゅちゅ、と自らの身体で立てられた卑猥な音がレイナースの耳にも聞こえた。男が見れば、彼女は顔を赤くして目を固く閉じ、声を押し殺していた。しかし、身体では快楽をしっかりと受け取っているその様が、男にはいじらしく映る。どうにかして、その理性を崩したいと思った。

 

「んちぅっ……♡」

 

 レイナースの柔らかい唇が男のそれと重なり、舌が捻じ込まれる。腕枕をするような体勢で、ネグリジェの中にもう一方の手を忍ばせる。胸元から差し入れた手で彼女の胸をやわやわと揉んだ。同時に彼女の下腹部を弄る手を休める事も無い。

 

 全身を包む、快楽の波。三点での刺激はレイナースが悩ましげな喘ぎ声を出させるほどに翻弄した。

 

「んちゅ……♡ あ……♡ んっ……♡ ちゅ……♡」

 

 レイナースは自身の中に男の指が入り暴れている感覚に、口づけの齎す幸福感、胸の突起を触られる度に走る甘い痺れを享受した。そして、お腹の内側をグリグリと圧迫するように刺激され、全身を包む心地よさに身体の奥底から何か大きなモノが迫り上がってくるのを感じていた。

 

 ただでさえ余裕のない中、上に下にと翻弄され、息は荒く興奮はどんどん深まってゆく。

 

「気持ちいい?」

「っ、……♡」

 

 レイナースの耳元で囁くように男が聞く。くちゅくちゅという卑猥な音が自分の身体から鳴っている。それだけでも顔から火が出そうなのに、羞恥を煽る言葉に返す言葉など出てくる訳も無い。ただコクコクと首を振るしかなかった。

 

「っ……♡ っ♡ っ♡」

「我慢しないで、もっと声聞かせて」

「っ♡ ん……♡ ぁっ……♡」

「もっとだよ」

 

 連続的な男の手と指の動きに反応してか、レイナースの腰がまた浮き上がってくる。

 

「っ♡♡ ……っ♡ ……んぁっ♡ ……ひっ♡ ……あぁっ♡♡ ああぁ、ぁぁ……♡♡♡」

 

 ──そして、唐突に浮き上がった腰がガクン、と落ち、腰をガクガクと痙攣させた。それでも男の秘所を弄る手の動きは止まらない。むしろ、その反応に気を良くしたのか、更に激しく手と指を揺らした。

 

「いいね、可愛い」

「あっ……♡ だめっ……♡ すこし、やすませてっ……♡」

「へぇ、ここか?」

「だっ、だめっ♡」

 

 執拗に責め続け、もう一度身体をフルフルと震わせた。荒く弾む息。グッタリと脱力した身体。上気した頬。

 

 見れば、既にレイナースの表情は快楽に敗北したように蕩け、オスに発情したメスのものへと完全に変貌していた。その表情にはとてもソソるものがある。男はレイナースを褒めると、再び、舌と舌とを絡ませ合う。そして、レイナースもそれに応えるような積極的に舌を絡ませた。

 

「ん……ちゅ……はむ……♡」

 

 淫らな音がする。空間自体が淫靡な空気で満たされていた。本能的にかレイナースも男の股に触れ、下穿きの上からさわさわと撫で始めた。そして、それに気付いた男が下穿きを全て脱ぎ捨てる。パンパンに張った剛直をレイナースに握らせ指導するように手淫の動きを導くと、彼女は直ぐにそれを学習しいった。

 

 お互いの性器を弄り合い、興奮と快楽を高めてゆく。これから身体を重ねようという二人。身体の準備など等に出来ていた。レイナースの秘所からはとめどなく愛液が溢れて、男の手をしとどに濡らす。反対に男の剛直からは先走り液が漏れ出していた。

 

「そろそろ挿れるぞ」

「っ……はい♡」

 

 有無を言わせない声に、レイナースは恥ずかしげに同意した。男はレイナースのゆったりとした薄手のネグリジェと、その下の白いショーツを剥ぎ取る。その後に残るのは、生まれたままの姿に剥かれたレイナースの姿。部屋の中は明るいとまでは言えないが、全体のシルエットが確認できる程度の明度はある。レイナースは流石に恥ずかしくなり、手で身体を隠した。

 

 レイナースが魔導ランタンを完全に消していいか許可を貰おうと男の方を見た。そこにあったのは……

 

「あ……」

 

 究極の肉体美だ。レイナースは男が服を脱いでゆく姿に見惚れていた。それは非の打ち所がない肉体。実戦で最適化された分厚くも稼働を邪魔しない筋肉、贅肉など存在を否定しているかのような芸術美。固く、しなやかであり、熱を孕んだ女たちの夢。騎士団で見かけるような男性騎士の未熟なものとは、それこそモノが違った。

 

 男の剛直は天を衝かんばかりに反り返っている。レイナースの細い指とは比べ物にならない、もしかしたら彼女の使う槍よりも太いかもしれない竿。大きく張り詰めた亀頭、血管が浮き出た赤黒い肉棒は、女を狂わせる為にあるようだった。

 

 これから、これに犯されるのかと思うと、それだけで気をやってしまいそうな心地だった。興奮で心臓がバクバクと鼓動した。レイナースの秘所から、とろり、と愛液が溢れる。

 

 

「っ……ラ、ランタン……けしますわ……」

「あぁ」

 

 訪れた暗闇の中、影と影が重なる。仰向けに寝転がるレイナースに、彼女の股座の位置に座する男。レイナースの秘所に男の剛直があてがわれ──そして、そのまま彼女の中に男という存在を割り込ませるように、ゆっくりと挿入していった。

 

「っ♡ ……ぁ♡ ……ぁ♡ ……ぁ♡ ……あぁっ♡♡ ああぁぁぁっ♡♡♡」

「……ちょっときついな」

 

 ゆっくりと、男の剛直が自身の中に入ってくるのを感じた。股に太い棒が差し込まれ、身体を貫かれてゆく。そして、あと少しで、という所で男は一気にズンと、剛直を押し込んだ。奥を叩かれた衝撃で喘ぎ声が漏れ、膣がギュッと締まった。

 

「あ……♡ ぅ……♡ はぁ……♡ はぁ……♡ はぁ……♡」

 

 レイナースの膣は男の剛直でミッチリと埋まり、それでも尚、男のモノをキツく締め上げる。余程敏感になっているのか、挿入だけで身体が震え、肩で大きく息をしている彼女に余裕は無さそうだった。男はレイナースの緊張を解すため、そのまま動かさずに慣らせる事にした。

 

「痛くないか?」

「だ、だいじょうぶ、ですわ……♡♡♡」

 

 股ぐらに挿入された剛直。レイナースは腹の中に自分の体温とは異なる、熱い棒が入っているのを感じた。レイナースが下腹部をそっと触れば、少し下腹部が張り詰めているようにも感じた。

 

 レイナースは、これは男が私を支配する為の楔だと思った。こんなのを続けられたら逆らえる訳が無い。男に組み敷かれれば私でも抵抗は出来ない、ただ快楽を受け入れるだけの玩具に成り下がってしまう。男の操る快楽に支配されてしまう、と。

 

 だが一方で、既に快楽への欲望に抗う気概などとうになく、レイナースはそれでもいいと思った。人間は痛みには強いが、快楽には弱い。支配されてもいい。無茶苦茶にされたい。もっと気持ちよくなりたい。頭の中はそんな欲求でいっぱいになっている。

 

「んぅっ……♡ んっ……♡ んあっ……♡♡」

 

 男がレイナースの胸を掴み、揉んだ。指でピンと立った先端を弾くと彼女の口から艶めかしい声が暗闇の中に響く。

 

 男はレイナースに挿入したまま動かず、彼女の膣が慣れるのを待っていたが、その反応からこれ以上待つ必要は無いと判断し、少しずつ腰を動かし始めた。抽送に抵抗は無い。ただ、それでもズルズルと挿し引きされる感覚を強く感じているのかレイナースは身悶えした。

 

「んっ……♡ あっ、あぁっ♡♡」

「気持ちいいか?」

「……は、はぃ♡ でも、少し刺激が強くて……」

 

 レイナースの膣はキツく締まっている。しかし、その中は柔らかく、ねっとりと絡みつくように男の剛直を包み込んでいた。男はレイナースが痛がっていないか気にかけ、彼女の表情を見る。彼女は顔を快楽に歪め、切なげな吐息を漏らしていた。

 

「私のことは、いいですから……好きに動いて貰って……大丈夫です」

「俺はレイナースが悶える姿を見たいんだ」

「っ、ヘンタイっ……」

「どっちがだ? 分かってるぞ。いつも一人でしてるんだろ?」

「なっ、なんで……んあっ♡」

 

 動揺したレイナースに一突き。レイナースはすぐに表情を崩して身悶えした。男に子宮を押され、その快感に耐えようと本能的に膣内が締まる。男もレイナースの締め付けに、おぅ、と思わず声を漏らした。

 

 男が再びレイナースの上に覆い被さり、彼女の両手首を片手で拘束し、抵抗を奪う。やはり、レイナースの力でもその拘束は解けなかった。もう片方の手では彼女の胸の先端をクリクリと弄くり回す。

 

「あっ♡ や、やめっ……♡ んぁっ♡」

「ほら、もっと声を聞かせてくれ」

「ひぅっ♡ あんっ……♡」

 

 くりくりと快感の感覚を分散させるように捏ね回し、腰の動きも本格的に稼働させ、レイナースの膣を犯していく。腰をギリギリまで引いて、ズンと勢いよく打ち込む。強い刺激にレイナースの身体が弓なりに跳ねた。レイナースはそんな乱暴な動きにも快楽を見出していた。

 

「ん……ここか」

「そ、そこは……♡ まっ……♡ まって♡ そこっ……♡♡」

 

 男は一端剛直を引き抜くと、レイナースをひっくり返してうつ伏せにし、再び彼女の上に覆い被さる。寝バックの体勢だ。

 

 そして、挿入。レイナースの嬌声が響く。レイナースの臍の裏あたりを刺激するようにグリグリと剛直を押し込んだ。レイナースはベッドのシーツを握り、身体を駆け巡る快楽を耐えるのに必死の形相だ。

 

 レイナースの膣はキツく、ねっとりと絡みつくように男のモノを締め上げている。その感覚は、まるで彼女の膣自体が意思を持っているかのようだ。その膣壁を、剛直で擦り上げ、奥の子宮口に刺激を与える。

 

「あ♡ あ♡ あっ♡♡ だめっ♡♡ これ、だめっ♡♡ おかしくなっちゃうっ♡♡」

「おかしくなって良いぞ。もっと気持ちよくなれば良い」

 

 白い肌の背筋を撫でる。ゾクゾクとした快感が駆け抜けた。

 

「ひぁっ♡♡ だ、だめっ♡♡ こわれっ♡♡ こわれるっ♡♡♡」

「大丈夫だ」

 

 男がレイナースの手に自らの手を重ねた。逃げ場などなかった 彼女に出来るのはただただ快楽を受け止める事だけ。

 

「っ……♡♡♡ んぁっ……♡♡♡ ぁっ♡♡ ぁっ♡♡ ぁっ……♡♡」

 

 バチュバチュと水気を含む音と腰と尻肉がぶつかり合う音が響いた。腰を打ち付け、剛直を抽送する度に、彼女の膣内はそれに応えるかのようにぎゅうぎゅうと締め付けてくるのだ。そろそろ我慢の限界だった。射精感の高まってきた男は力強く深く、激しく攻め立てる。

 

「んお゛っ──♡♡♡♡♡♡♡」

 

 ズンッズンッと子宮を揺さぶるストロークにレイナースの思考が麻痺してゆき──とうとうレイナースは身体をガクガクと震わせ、脚をピンと伸ばして絶頂を迎えた。

 

 絶頂を迎えた快楽を余さず受け取る為、彼女の膣はぎゅうっ、と男の剛直を締め上げた。その強い快楽に悶えている彼女に何度も何度も腰を打ち付け、彼女の最奥部をねちっこく抉る。

 

「おぐっ♡♡♡ おぐぅっ♡♡♡ あ゛ぁっ♡♡♡ あ゛ぁっ♡♡♡ あぁ、ぁ……♡♡♡」

 

 身体を駆け巡る快楽の波。レイナースは頭の中が真っ白になり、快楽を享受する以外、何も考えられなくなった。レイナースが絶頂に達するのと同時に男も射精した。ドクドク、とレイナースの膣に精液を流し込んでいった。

 

「い゛、ぐっ♡」

 

 流し込まれた精液の熱さを感じた。何度も打ちつけられ敏感になった子宮口に灼けるような精液を流し込まれ、レイナースは果てた。

 

 

「はぁっ……♡ はぁっ……♡ はぁっ……♡」

 

 胎の奥深くで未だ感じる熱に、レイナースは陶酔感を覚えていた。今まで、一人で致してきたものとは比べ物にならない。

 

 前回に男とした時は酒が入っていた為か、細かい事はよく覚えていなかったのだ。覚えていることと言えば、とても気持ち良かった事、満足感を得られた事、久しぶりに安心感を感じられたことだけ。

 

 それが今回は酒も入っていない、意識がはっきりとしている中でしたのだ。全てが鮮烈だった。大きな快楽に振り回されたのもそうだが、疲労感も大きく身体の芯から震えるのは初めてといってもいい経験だった。そして、得られた満足感も。一人でする時は一度始めると気が済むまで中々止められなかったが、今日はもう安心して眠れそうだった──

 

「もしかして、終わろうとしてる?」

「え……?」

 

 男の声が耳元で聞こえた。と、同時に背中に感じる温かさと重み。レイナースが首だけで横を向くと、そこには嗜虐的な笑みを浮かべた男の顔があった。そして、臀部には固く熱いものが触れている感触がある。男の剛直は未だ萎えていなかった。

 

「飼うからには、しっかり餌やらないと。まだ、したりないよ」

「え、あ、いや、まって……」

「大丈夫、まだまだ時間はあるから」

 

 男はレイナースをうつ伏せから仰向けの状態に再びひっくり返すと、彼女に覆いかぶさったのだった──

 

 □

 

 やや白みかけた空がガラス窓から見える。二人は一糸纏わぬ姿のまま、ベットの中で一晩中抱き合っていた。

 

 激しく求めあったせいでレイナースの顔の化粧はすっかり取れてしまっていた。露わになった呪いの赤い痕。呪いの跡は痛々しかったが、この時ばかりは男は当然としてレイナースも気にすることはなかった。なぜなら、そんなものを気にする必要がないくらいに、二人は満たされていたからだ。

 

 男の胸板を枕にしたレイナースは、心地良い疲労感と襲い掛かる睡魔に抵抗して、今自身が安心感を得られていることを繰り返し確認していた。そして思う。この関係を永遠にしたい。手放したくない。この関係を長く続けてゆくには隠し事はやっぱり少ない方がいい、と。

 

 だからこそ──ようやく手に入りかけている温もりを失ってしまうのは本当に怖いことだったが、……レイナースは少しでも勇気のある内に彼女自身の罪を告白した。

 

「……私は……過去に両親を処刑したんです……あなたはそんな私を恐ろしい女と……そんな女信じられないと思うでしょうか……」

「そう、なのか……きっと大変な過去があったんだろうな」

 

 男の大きな手がレイナースの頭を撫で、彼女はこそばゆげに目を細め、男の肌に身体をより密着させた。その全身で感じる温もりの安堵感に泣きそうになった。

 

「でも、何故それを今?」

「……あなたに嫌われたくはないからこそ、黙ってはいられないと思いました……」

「……レイナースには勇気があって凄いな……」

 

 安堵したことで更に強まった眠気により判然としない意識の中、ポツリ、ポツリとレイナースは語った。彼女が元貴族であった事。呪いを受けて家を追い出された事。それを恨み、皇帝の力を借りて自身を裏切った家を、両親を断罪したこと。

 

「もっと……もっと、早くにあなたに出会えていたら……私は恨みを捨てられていたのかもしれませんね……」

「……」

「……もし、あなたがよければ……呪いがとけたら……二人でどこかに……でかけませんか……行き先は……お任せ、します……あなたとなら、どこへでも……」

 

 そう言い残し、レイナースは安らかな表情で寝息を立て始めた。それに対して……男の目は闇を閉じ込めたかのように昏い。

 

「そうか……いつか行けたらいいな」

 

 男はそう呟くと、眠りについたレイナースの額に、そっと自身の唇を触れさせたのだった。

 

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