そんなこんなで今回はJKちーちゃんがちょっとひどい目に遭っちゃうお話しです。ぜひ最後まで読んでほしいっす。
ざわざわと耳を包む出勤ラッシュの喧騒。向かい側のホームの到着のベル、滑り込む電車、響く駅員のアナウンス。
その中の人々にもみくちゃにされそうながら、チトは仏頂面で電車を待っていた。その理由は単純明快、いつも一緒に登校しているユーリが隣にいないからだ。
遡ること数十分前、チトはいつものように高校に通学するためにユーリの住んでいるアパートに迎えに行くと、中から髪の毛がぼさぼさで半裸のユーリが出てきた。いつもの電車まで時間がないというのに、チトの鳴らしたチャイムで起きたというのだ。
「このバカ! 間に合わないぞ!」
「んあー、もう遅刻でいいから、ちーちゃん先に行きなよ」
「……あーもう、サボるんじゃないぞ!」
と、だらしない幼馴染を怒鳴り散らして去ったのであった。
自分の立っているホームのアナウンスが響き、電車がホームに滑り込む。朝の通勤、通学ラッシュの人の多さはうんざりである。ドアが開き、中からスーツや制服を着た老若男女がどば、と吐きだされる。その雪崩が終わるとチトは周りにもみくちゃにされながら電車に流し込まれ、反対側のドアまで押し付けられる。こんな時、ユーリが一緒にいてくれたら少なからず彼女がガードをしてくれただろう。
(うぅ……この人口密度だけは勘弁してほしい……)
チトは自分のほっぺがドアの窓にぺったりと貼りつかないように、精一杯距離を保つ。向かい側のホームの人間に自分の潰れた頬を見られたくないからだ。
ドアが閉まり、学校の最寄り駅を目指して走り出す。ここから数十分ほどの乗車。それまでこの人口密度に耐えなければならない。いつもならそんなに苦ではない。だが、それはユーリが居るからこそであって、一人で通学するとなると話し相手もいないから退屈で仕方なかった。
(こんなに人が多いんじゃ、本も読めないしな)
ゴトンゴトンと電車に揺られながら流れる景色を無心で眺める。遠くの方に見えるオフィスビル、少し手前にある少し古めのオフィスビル、お金持ちが住んでそうな高層マンションと時代を感じる一軒家と、色々な建物が視界に入っては消えていく。ああ、そういえば自分たちがこの電車で通学するときよりもビルが増えたなと気づく。
その時だ。
(……っ!?)
突然だった。誤魔化す気など全くない勢いで誰かの手が、スカートの中に入り、下着越しにチトの尻に触れた。
(ちょ、っと、うそ!?)
予兆も何もない、まさにそこにあったから触るとしか表現できないような始まり方だった。
チトに触れた手は、小ぶりながらも丸みを主張している彼女の尻をぬるりと撫でまわす。まるでチトの反応を試すかのように、時折ぎゅう、と強く握る。
「っ!」
危うく声が出るところだった。寸でのところで歯を食いしばって耐え凌ぐ。声は洩らさなかったが、周囲にバレてないか横目で確認する。左右のサラリーマンは、疲れ切った目でスマホを見下ろしていた。
(なんで、これ……痴漢!?)
チトが疑問に思う間もなく、尻に触れていた手はゆっくりと太ももの付け根に移動し、吟味をするかのように内腿を撫で舞わす。まずは右、次は左。そして左の尻をぎゅう、と掴む。これは予想していたからさっきよりは声を抑えることができた。
(なんでっ、なんで私なんだ!?)
理解が全く追いつかない。自分はユーリのような凹凸の激しい体ではないし、ルックスだって彼女ほど周囲を引き付けるほどでもない。いわば、地味なものだと思っていたし、ユーリにも似たようなことを言われたことがあった。
しかし、それと同時に目立たない人間こそ狙われやすいかもしれないという話も聞いたことを思い出す。そうだ、もしそれが本当だとしたら一人で乗っている自分は格好の的じゃないか。
(に、逃げなきゃ!)
思考をする間にも、痴漢の手はチトの尻の感触を楽しむように撫でまわす。どうにか抵抗しようとチトは体を可能な限り左右に振る。しかし、ラッシュの満員電車内で動ける範囲など、たかが知れていた。
なら次の駅でドアが開いた瞬間に逃げ出すしかない。気づけば正に次の停車駅の目前で、電車は速度を落としていた。それでも、痴漢の手はまるで余裕があるかのような動きで、ついに前の方へと滑り込んだ。
「ひっ!」
ひんやりとした手が回り込む。ブレーキの音でチトの洩らした声は聞こえなかったが、それでも耳まで真っ赤に染まるのが自分でもわかった。けど終わりだ、ここでドアが開いた瞬間に飛び出せば、助かるのだ。
停車する電車。勇気を出して前を向くチト。飛び出す準備が完了する。少しの間をおいて、電車の扉が開いた。
自分とは、反対方向の扉が。
(そんな!?)
そうだ、思い出した。この路線だとしばらく自分がいるのとは反対方向の扉しか開かない。しかも絶望的なことに、それは自分の学校がある最寄駅より先でも続くのだ。
それはつまり、チトは残り数十分間、逃げる術がないということを意味していた。
乗客を下ろし、再び乗せて電車の扉は無情にも閉まる。電車はゴトリ、と動きだし、速度を上げていく。絶望のあまり頭が真っ白になったチト。それを見抜いたかのように、スカートの中に入っていた手がぬるりと下着の中に入り込んだ。
(しまっ!?)
ショーツの隙間から入りこんだ手は、直接彼女の秘部に触れることはせず、まずはじっくりとお尻から太もものラインを確かめるように撫でまわす。ゾワリ、と体が震え、体を嫌悪感が包む。
だが、その嫌悪感の中に、違うものが混じっていることにチトはまだ気づかない。
するり、と痴漢のもう片方の手がチトのセーラー服に入り込む。下半身ばかりに気を取られていて、上の方に全く意識が行ってなかった。完全に手玉に取られている。その敗北感がチトの抵抗する意識を蝕んでいく。
(やだ……やだぁ!)
上半身に入り込んだ手は直接的だった。チトのキャミソールの中に滑りこんだ手は、正確にチトの乏しいバストを覆っているブラのホックに到着すると、簡単に外されてしまった。
(!!?)
今や肩紐だけで不安定なバランスを取るブラの感触に焦りと周知を感じる暇も与えず、痴漢の手はチトのささやかな膨らみへと到達する。
「んんっ!」
むに、と乳房を包み込まれる。しかしその触り方はお尻を触ってきたときからは全く想像できないフェザータッチで、触れるか触れないかの接触を繰り返し、手の平全体で愛撫してきた。
時折指と指の間がチトの乳首を刺激し、その度にふるふると肩が震える。右の胸を堪能した後、今度は左胸に伸びてくる。直後、突然乳首を指で挟まれ、チトは跳ね上がりそうになった。
(~~~~っ!)
どうにか、どうにか声を上げずに済んだ。だがどれだけ持つかわからない。学校の最寄駅は? チトは外の景色に意識を向ける。何てことだ、さっきの駅からさほど離れていない。
「そん……な」
思わず漏れる呟き。しかしそんなチトに対しても痴漢の手は容赦なかった。まるで絶望するチトの反応を楽しむかのように、再び下着に入れていた手の動きを再開し、指先を割れ目にあてがった。
「んぅっ!」
押し寄せる情報量の多さに、チトは防衛をすることを忘れてしまっていた。その隙を突き、割れ目に沿って指が前後に擦られる。
(だめっ、だめっ、それ以上は……!)
チトは察した。間違いない、この痴漢はどこまでも自分の体を弄ぶつもりだ。つまり、この指が自分の膣内に侵入するのも時間の問題であるということだ。
(そんなの、そんなのやだ! ユー以外の人のなんて、入れたこと……ないのにっ!)
もう、声を上げるしかない。こんなことをされている自分を他の人間に見られるかもしれないのは恥ずかしくて仕方ない。だが、これ以上自分の体をユーリ以外の人間に犯されていくのがたまらなく嫌だった。
それに比べたら、周囲の注目を集める羞恥なんて!
「た、たすっ——!」
現実は非情である。胸を触っていた手はいつの間にか抜け出し、チトの口を覆ったのだ。全く防御が追いつかない敗北感。チトは抵抗する意思が知らず内に消えていく。
割れ目に触れている指は、まるでチトの愛液の具合を確かめるようにぬるりぬるりとなぶるように動く。チトは浅い呼吸を繰り返してどうにか耐える。
だが、その反応を試すように、指が陰核を捉えてぎゅ、と指で押し込まれた。
「んぐぅっ!?」
押し寄せる強制的な快楽。どんな人間が触れても体が嫌でも反応する性感帯は、チトの脳内に媚薬をまき散らし、本能のままに声を上げる。皮肉にも、口を抑えられていたことで周囲に悟られずに済んだ。
トン、トン、トン。陰核を叩かれてその度に子宮がきゅう、と切ない反応をする。嫌なのに、なんで自分の体はこんなにも悦ぶのだ。チトは今日この日程、人間の三大欲求を恨んだことはなかった。
既にくちゅ、くちゅとチトの秘部から大量の蜜が溢れていた。こんなに出るなんて信じられない。ここはラッシュの満員電車の中、見つかったら大変だというのに。
まさか、自分は興奮しているとでも言うのか? この、状況で。
(あ……あぁ……)
その可能性を認識した瞬間、チトは顔が熱くなるのを抑えられなかった。違う、違う、自分はこんな、こんな変態じゃない! するときはユーか自分の家か、誰にも邪魔されない場所でなんだ。こんなことがあってたまるか。
(ち、がう……ちがう……)
必死の否定。しかし、考える間もなく、痴漢の指先が膣の入口へ入りこむ。やだ、来るな、入ってくるな。チトは抵抗の思考をするも、体は全く反応しなくなっていた。
ずぷっ、ずず……。
(や、だぁ……)
既に濡れ切った膣内は、痴漢の指を拒むことなく受け入れてしまった。ぎちぎちと入った指を締め上げる自分の膣は、快楽を脳に送りこむ。まるで、快楽が思考を乗っ取ろうとしているかのようだ。
「やっ……やめ」
そこでチトははっとする。口が自由だ、もう片方の手は? まずい。チトはとっさに歯を食いしばる。直後、もう片方の手がチトのセーラー服に滑り込む。そのまますっかり固くなり、自己主張する乳頭を摘まんだ。
「————っっ!!」
こりこりと摘ままれ、チトの全身はその度に震えあがる。それはもはや恐怖や嫌悪のものではない。快楽に身を委ねるための反応だ。
「っ、うぅ……」
間髪入れずに、膣内に入った指がくい、と曲げられてスGスポットを刺激される。チトがユーリに散々開発されてしまった、一番の弱点だ。
(だめ、だめ、そこっ……!)
いつもなら、ユーリが指を入れた時に弄んでくる場所だ。ここに指を入れた時のユーリは心底楽しそうで、意地悪で、そして愛してくれた。
その大切な場所を、見知らぬ人間に汚され、犯されている。大事な場所が、ユーリだけの場所が汚されていく。
その事実に、体が火照っている。それが重く、深くチトに突き刺り。
快楽を加速させる。
二本目の指が入りこむ。一層窮屈になった膣内は入った指を締め上げて悦びを欲する。もっと、もっと。
(違う、違う! 感じちゃダメ、だめっ……だめ!)
指の動きが早くなる。ぐりぐりと掻き回され、ぐちゅぐちゅとした感触が強く伝わる。その動きが繰り返されるたびに、呼吸が荒くなり、目尻が熱くなる。
(だめなの……に)
押し寄せる快楽にもはや抵抗の意思は無へと帰した。敗北感と羞恥、色々なものが混ざって考えがまとまらなくなり、ぽっかりと口が開く。その中に指がにゅるりと入る。ああ、そうだ。ユーリもこうしてくる。なんで、同じことをしてくるんだろう。
でも。
「んっ……」
チトは 無意識のうちに口の中に入った指を舐める。愛しいあの人にするのと同じように。
ぐちゃぐちゃに押し寄せる快楽は、チトの脳内に媚薬となって注ぎ込まれる。何もかもが真っ白になりそうで、その恐怖すらも快楽に感じてしまう。
掻き回される膣内。指が前後に動かされるたびに光が溢れ、下着を濡らし、太ももを伝って落ちていく。もう、何もできない。体の奥底から上り詰める感覚。それを意識したとき、チトは最後の抵抗試みる。
「だ……めぇ!」
ぐい、とスポットを押し込まれた。それがすべての引き金、抵抗虚しくチトの体は絶頂を迎えた。
「だっ……やっ、んっ、んぐっ……、~~~~っ!」
びくっ、と体が何回も痙攣を起こし、足が震えて力が入らなくなる。そのままくたり、とチトは痴漢にもたれ掛かる。何もかもされるがままだった。こんなに悔しいことはない。
絶頂を迎えてから、チトは少しばかり冷静になる。そして頭を満たす罪悪感。
(ユー……ごめん)
大切な人以外に絶頂させられた。恋をする少女にとって、これほどの屈辱はない。それでいて、まるでユーリとしているときのように体は悦んだ。
チトはこのまま自分が戻れないところに落ちてしまうのではないかと思う。それが怖くて仕方ない。でも。
電車がトンネルに入る。窓が反射してチトは絶頂を迎えてから初めて自分の顔を見る。
そこにいるのは髪の毛を乱し、上気した頬に荒い呼吸を繰り返す自分。ああ、なんて顔だ。
自分は、こんな場所で、知らない人間に、雌にされてしまった。
(ごめんね……ユー)
チトはぼう、と窓に反射する自分を見る。もうなんでもいい、どうでもいい。そんな感情が流れ込む。
そこで、ふとチトは気づく。自分の顔が反射して見えるということは、後ろにいる痴漢の顔も見えるということ。おぼろげな目でチトは自分の背後にいる人間の顔を見て、目が合った。
そこには自分より背が高い人間の姿。コバルトブルーの瞳。伸びる長い長い金髪はとても美しく、見るものを魅了するだろう。
……いやまて。まて、まてまてまて。チトは自我を一気に取り戻す。そんなこと考えなくても分かる。こいつは、今まさに自分を弄んだ痴漢の正体は……!!
反射した窓で目が合う。ということは向こうも気づくだろう。その窓の中で奴は「あ、やべ」と言いたそうな顔をしていた。
言うまでもない。そこにいたのは、痴漢の正体は、ユーリだった。
「……こ、の……!」
そうだ、だからか。だから痴漢はユーリと同じ行動をしたのだ。普段ならすぐに分かったことだ。
けど、こいつは悟られないために、ある種の極限状態にさせて私を弄んだのだ。
快楽などいざ知らず。溢れる憤怒、煮えくり返るマントル。わなわなと右手が震え、チトは拳を作り上げる。振り返った瞬間に怒鳴って、殴って、殴りまくってやる。
「ユーリ——っっ!?」
思いきり振り返り、ユーリを殴ろうとしたまさにその瞬間、ユーリはチトのほっぺを両手で掴み、唇を塞ぎこんだ。しかも、最初から舌を突っ込んできて、チトの声を徹底的に抑え込む。何をする、やめろ、私は怒っているんだぞ。
(こんな目に、こんな目に遭わせやって! ゆるさない!)
ちゅる、とユーリの唾液が入りこむ。チトはそれを押し返そうとして、しかし分が悪いと思い、飲みこむ。
(ゆるさない……ゆる、さな……)
怖かった。知らない人間に辱められることが。知らない人間に汚されていく自分が。知らない人間で快楽を覚えてしまった自分が。
でも。そうじゃなかった。全部全部、こいつの……ユーリの悪戯だった。
故に、許さない。愛してくれないと、許さない。
ぬろり、とユーリの舌がチトの歯を舐め、再び口の中に侵入する。ユーリ、ユーリ、ユーリ! チトはユーリの腰に手を回し、ぎゅうと密着すると自らの舌をユーリの口の中に押し込む。
頭が、体が、心が静かに燃え上がる。そこが満員電車であるということも忘れ、チトはユーリと貪るようなキスを繰り返す。
ゴトン、ゴトン、と電車は二人の世界にメトロノームのようなテンポを奏でる。それが妙に心地よくて、気持ちよくて。
チトは、そのまま溶けていきたい。そう思っていた。
*
それがようやく終わったのは、何個目かわからない駅に到着した後だった。
すっかり腑抜けにされてしまったチトは、ユーリに背負われながら電車を降りる。暫しして冷静になった彼女は、自分が満員電車の中でしたことを思い返し、恥ずかしさのあまりユーリの背中に押し込んだ顔を上げることができずにいた。
「ちーちゃん、あんまり顔押し込まれるとちょっと痛いよ」
「うっさい黙れ!」
「もーごめんってば。ちょっとちーちゃんに悪戯してみたくなっただけだよ」
「バカクズゴミ!」
あちゃー、どうしたものかな。ユーリは駅員に二人分の定期を見せて改札から抜ける。
ユーリはチトが迎えに来た時、わざと着替えていないふりをして、チトが出ていった直後に大急ぎでセーラー服に着替え、チトに気付かれないように駅まで追いつき、真後ろまで迫ったのだ。
なぜそんなことをしたって? やってみたかったからだ。
「お前のせいで学校にも間に合わない……というか、汚れた下着何とかしろ」
「いっそ履かなくていいじゃん」
「殴るぞ」
「めんごめんご」
休むために女子トイレに入る。ちらりと鏡を見ると、にへら、と笑うユーリの顔が見える。こいつ絶対反省していない。チトはそのままユーリの背中に噛みついてやろうと思ったが、その前にユーリが口を開く。
「でもさ、ちーちゃん」
洗面台にチトを乗せると、その直後にくるりと回転してユーリはチトの唇を奪った。熱い、熱いユーリの唇。その行動が示す意味を理解した体が、子宮が疼く。
つー、と混ざりあった唾液が垂れ落ちる。切なそうな目でチトはユーリを見つめ、ユーリは獣のような目でチトを見る。
「気持ちよかったでしょ?」
その言葉を拒否することができなかった。肯定の言葉も出なかった。ただ、チトは気づいていない。自分の唇が、期待に胸膨らませて釣り上がるのを。
ユーリはぺろりと舌を舐めずりすると、チトの手を引いてそのままトイレの個室に連れ込むと、がちゃりと鍵をかけた。
平日通勤ラッシュが過ぎ去った午前10時。一時だけ生まれる秘密の花園。そこへ邪魔をする者が現れることはなかった。
了