今回(12)主な登場人物は、千手柱間、千手扉間、OC:芙蓉の親友・千手樹、水の国の女性2人と水の国の忍たちです。
樹のスパイ任務回避の為に動く芙蓉。今回は水の国の忍に近づきます。
自分の為に芙蓉が尽力していたことを知った樹は、ついに・・・
柱間と扉間を騙してまで樹を守った芙蓉。
しかしその二人の優しさに心が揺さぶられます。
※樹と芙蓉の濡れ場があります(女性同士)。ご注意下さい。
(作品紹介のタグにR18追加いたしました)
木ノ葉隠れの里が創設されて以来、他国から視察に来る忍が増えていた。それに伴い人の交流や物流も活性化され、様々な人々が里にやってくる。
一方それは里の治安問題にもなっていた。
その為、まずは視察団を受け入れるシステムと施設が作られた。
里本部の近くには視察団専用の宿泊・研修施設が建設され、それに伴い周囲には視察団相手の店が増え、新たな繁華街も出来上がっていた。
その日、その繁華街に芙蓉の姿があった。
ストールを頭から顔、首にかけて巻き、マントを羽織って人波をかき分けて歩いている。
人混みを抜けると、三階建の民宿の前に出た。ここは他国から来た一般市民や商人たちが良く利用している民宿だ。芙蓉はおもむろに中に入る。
一階部分は銭湯と食事処が併設されており、中央近くには番台があった。芙蓉は番台に向かって歩き出す。
「今日泊まりたいんだけど、空いてるかい?」
「いらっしゃい。女用の相部屋が空いてるよ。それでいいかい?」
「ああいいよ。あのさ、あたし水の国から来たんだけど、同じ水の国の客を誰か紹介してくれないか?女一人旅は心細くてね。出来ればイイ男がいいんだが。」
「おいおいお客さん。ここはそういう店じゃないよ。まぁでも女一人には事情があるんだろうし同情はするよ。…アンタ顔良く見えないけど不細工では無さそうだし、そう言うの目的なら視察団宿場に行ってみなよ。今年火の国と水の国の大名の子供同士が結婚するらしくてさ、それで水の国の忍が頻繁にここに視察に来てるみたいだし。」
「そうなのか?だが、あたしみたいなごろつきの女が入れるかね?」
「さあね。でも娼婦のやつらはウロウロしてるからそれに混じってみるとか。」
「はは。そいつはいいや。ありがとう。感謝するよ。」
芙蓉は宿泊手続きを済ませ、部屋に向かった。
部屋の扉を開けると、五人ほどの女が思い思いに過ごしていた。
「よう。邪魔するよ。あたし水の国から来たコウって言うんだ。よろしくな。」
部屋に入るなりいきなり勝手に自己紹介をする芙蓉に対し、無視する者、笑顔で挨拶をする者、ちらっと見るだけの者、無言で一礼をする者、五人はそれそれの反応をした。
すると笑顔で挨拶してきた女が芙蓉に話しかけてきた。
「私も水の国から来たの!出身はどこら辺?私は濃霧地方。」
「あたしは湖水地方だ。近いな。よろしく!あんた、里には何の用で?」
「忍の夫の視察に着いてきたの。でもあの宿場には妻は泊まれないから。せっかく新婚旅行も兼ねてるのに、最悪よ。」
「はは。夜這いに行ってやったらどうだ?旦那喜ぶよ?」
「やだーもう!でもそういうのなんか萌えるかも。うふ。」
芙蓉は笑いながらストールとマントを取り、その女の隣りに座った。
「あんたとは気が合いそうだよ。こんなに可愛らしいし。旦那の顔も見てみたいな。」
「あら。あならこそ凄い美人じゃない。独身?」
「ああ。男はご無沙汰でね。寂しくってしょうがないよ。」
「うっそー信じらんない。あのさ、この後夕食を旦那たちと一緒に食べるのよ。あなたも一緒に来ない?男ばっかりじゃつまらないし、独身男が多いから喜ぶわよ。」
「いいのかい?そいつは嬉しいな。ぜひ。そうだ、あんたの名前を聞いていなかったよ。」
「キヌアよ。一人で寂しかったから同郷のコウに会えて嬉しいわ。」
「…あの、私も水の国の出身なんですが…」
先ほど芙蓉に一礼してくれた女が突然話に入ってきた。
「あ、そうなんだ!水の国が三人揃うなんて凄いな!」
「そうですね…。私、ネイっていいます…弟と一緒に絹の買い付けに来てます。」
「そうだ、あなたも一緒に食事どう?弟さんも一緒にいいわよ。」
「ありがとうございます…弟は接待なんで、私一人で参加させて頂きます。」
こうして芙蓉とキヌア、ネイの三人は水の国の偵察団の忍たちと夕食をとることになった。
芙蓉は思いもよらず二人もの水の国の女性に出会えただけではなく、こんなにも早く水の忍たちに近づけるとは、天が自分に味方してくれているような気がした。
サラサラサラ・・・
小川に優しい音を立てて水が流れている。近くには松明も焚かれ部屋は暖かい。
水床のあるこの料亭は水の国の人間にとっては心が安らぐようで、すっかり水の国の人間御用達になっているという。
「水の国に乾杯!」
水の国の忍の男四人、芙蓉を含め女三人。全員で盃を持ち乾杯した。
別室ではその忍の上司たちが食事をしているという。
「いやー男ばっかりだったから、美人の女性が二人も加わってくれて嬉しいな。」
独身三人の男たちは喜び勇んで芙蓉とネイを質問攻めにした。
「おい、キヌア。あんな美人二人、本当に偶然同室になっただけなのか?」
キヌアの夫が小声で質問する。
「そうよ。すっごい偶然よね。いいえ、これはきっと運命よ!誰かと結婚するかも!ウフフフ。」
「お前はすぐそういう話題に…一応いまは任務中だぞ。ってまぁ確かにそうなってくれると俺も嬉しいけどさ…」
食事の場は大いに盛り上がった。芙蓉も書物だけとはいえ事前に調べた水の国についての知識でなんとか話題に着いていくことが出来ていた。
食卓の上の皿が空になり、酒も空になりかけた頃、芙蓉が話し始めた。
「なぁ、せっかく盛り合っている所悪いんだが、水の国の忍さん達に会えたから、伝えときたいことがあるんだが聞いてもらえないか?」
全員が芙蓉に注目し、頷く。
「この前、この里の女二人が激しく言い合いしている場面にに出くわしたんだ。人の話を盗み聞きする趣味は無いがあまりに大声で言い合ってるもんだから、止めに入ろうかと思ったんだ。そしたらその会話に耳を疑ったよ。」
「何だ?」「何だったんですか?」「それで?」・・・
「どうやら一方はくノ一で、これからスパイになるって言ったんだ。今度水の国の大名の息子と火の国の大名の娘が結婚するらしく、くノ一はその侍女のフリをして火の国のスパイになるってわけだ。政略結婚だが水の国が裏切らないか情報収集する目的なんだろうな。」
一同は険しい顔になり、互いに顔を見合わせる。
「で、なぜ二人は言い合ってたんだ?」
「もう一方はそのくノ一の友らしく、スパイがバレれば死刑。場合によっては命に代えて任務を遂行する必要がある。友はそれを心配してくノ一にスパイを止めるよう説得してたみたいだ。だが火の国直接命令らしく、任務は断れないと言って揉めてたみたいだな。」
忍の男たちが更に険しい顔で考え込む。
「その情報、信ぴょう性は?」
「わからない。あたしはただ立ち聞きしただけだからな。だから特に誰かに報告しようとも思わなかった。だけどその女二人の会話でしか聞いたことが無い大名家同士の結婚を、さっき宿の店主から聞いて驚いたよ。女二人の話と辻褄が合うし、あれは本当じゃないかと思ったんだ。今日こうして忍の皆さんに会えたから一応伝えた方が良いかと思ってね。ごろつきみたいなあたしだけど、母国には愛着もってるんでな。」
「いや、情報提供ありがとう。一般人からのそういった何気ない情報が、実は重大なこともある。後で上司にも報告しておくよ。」
キヌアとネイは心配そうに顔を見合わせた。
「その話が嘘でも、やっぱり火の国の侍女に火の国側の人間、木ノ葉隠れの忍が侍女になって付いて来るのはなーんか信用できないかも…」
キヌアが分析したかのような顔で言う。
「そうですよ…水の国に嫁入りするわけですから水の国の侍女を使うべきです…疑われて当然の行為ですよね。」
ネイもキヌアに同調する。
こういう時の女の分析は結構正しい。男たちはそう思った。
芙蓉は二人の意見を聞き、ほんの少しだけ口角が上がる。
・・・やった。・・・
芙蓉たちは民宿へ歩いて帰りながらスパイの話や結婚の話で盛り上がった。キヌアもネイもどうやら相当に水の国への愛国心が強いらしい。
芙蓉は風呂に入ったあと、布団に入った。
自宅以外の布団で寝たのはマダラと出逢ったあの日が初めてだったことを思い出す。
マダラが今の自分を見たらどう思うだろうか…
そんなことが気になったが、コウ役を演じきり目的を果たした安堵でいつの間にか眠りに落ちていた。
◆
「柱間さま。樹ちゃんを私の侍女にしてくれませんか?」
「芙蓉…気持ちは解る。だが樹のスパイ任務は変えられんのだ。解ってくれ。」
「しつこいぞ芙蓉。お前はもう黙ってろ。」
芙蓉と柱間、扉間は火影室に居た。婚約者となった芙蓉は、もういつでも火影室へ入れるようになっていた。
「私は火影の妻になるのです。妻を持てば弱みを作るということです。私が誘拐され強迫されたらどうしますか?柱間さまに選べますか?里の利益を優先させ、私が死ぬことを。」
「いや、それは!もちろん何としてでも芙蓉を救う。そして里も守る!いや、まず誘拐などさせはしないぞ!」
「なら、里で最強のくノ一を私に付けるのは当然ではありませんか。」
扉間は、いい加減な柱間が芙蓉に言い負かされるのを黙って見ていた。
しかし、扉間の目には芙蓉の言動は妻になるという立場に少々驕っているようにも見える。そしてついに口を開いた。
「確かに兄者にはお前を見殺しにすることは出来ないだろう。そうして判断できないうちに里にも危険が降りかかるのは火を見るより明らかだ。だがな、お前は大きなことを一つ忘れている。」
芙蓉は忘れてなどいない。一番厄介で心配な事だからだ。
動揺もせず無言で扉間の次の言葉を待つ。
「俺が火影の相談役、右腕だってことをな。」
・・・どや顔で言われなくても分っている。・・・
だが、時が来れば否応なしに樹をスパイ任務から降ろさなければならなくなる。
その為に芙蓉はこれまで準備を周到に進めてきたのだ。
扉間が一人で偉そうにしようが、議会に芙蓉の意見が上がれば、議会はリスクを考慮して樹を自分の侍女にする事を考えざるを得なくなる。
だがそれよりも前に、水の国自ら樹を拒否してくるはずだ。すべては計算済みだった。
「二人とも、やめぬか。芙蓉、樹のスパイ任務については危険が少ないものにならないか今話し合っているところだ。もう少し待っていてくれ。」
「フン。議会で一蹴されたくせに。」
芙蓉は目を伏せたかと思ったらすぐに顔を上げて二人を交互に見て微笑んだ。
「分りました。お忙しい所、申し訳ありませんでした。失礼します。」
部屋を後にしようとする芙蓉に柱間が慌てて声をかける。
「まだ、そっちの家の片づけは済まないのか?いつ…一緒に住めるようになる?」
「まだ時間がかかりそうですわ。」
芙蓉はニッコリと笑顔でそう返すとさっさと部屋を出て行った。
「下心が丸見えだぞ。みっともない…別に結婚するまで同居しなのは普通の事だろ。」
扉間が呆れた顔で柱間を見る。いつものようにずぅ~んと落ち込み額を机に着けていた。
◆
三日後の事だった。
水の国から樹を侍女から外すように要請があった。
侍女は水の国の女に限ると決めたようだった。火の国はこれに反対したが、スパイ活動の情報がどこからか水の国に漏れたことが分かると、すぐさま水の国の要請を飲んだ。
「芙蓉!樹が侍女とスパイ任務から外されたぞ!良かったな!もう樹にも伝えてあるぞ。」
芙蓉が柱間の屋敷の玄関を入った途端、柱間が目の前に立っていて、突然芙蓉の両腕を掴んで言った。
「本当ですか⁉・・・良かった・・・良かったですっ」
芙蓉は思わず涙ぐむ。柱間が慌てて芙蓉を抱き締めた。
「泣くな!もう大丈夫ぞ。お前の侍女になる話は俺から樹にしてやるからな。」
芙蓉は柱間の胸を押し、体を離す。
「私、樹ちゃんの所に行かなきゃ!」
柱間が引き留める暇もなく、芙蓉は玄関を出て行った。
「芙蓉―!もう樹には伝えてあるぞーっ!明日でもよかろーっ」
後ろから柱間の声が聞こえるが無視して走り続ける。
スカートが捲れ、白い足が露になる。道行く人が思わず芙蓉の足に注目する。そんなことは構わずに、一秒でも早く樹に会いたい気持ちで必死に走った。
ハアハアハアハア・・・芙蓉は屈みこんで何とか唾を飲み下す。
樹の家の前に着いた。
やはり二人には強い絆があるのだろう。ちょうど樹が家から出てきた。
「芙蓉・・・どうしたの!」
「樹ちゃん!良かった!」
芙蓉は樹に飛びついた。樹は芙蓉をしっかりと受け止め、そして抱き締める。
「・・・ありがとう。芙蓉。これでずっと一緒に居られる。」
「・・・樹ちゃん。大好き!」
夜になり、二人は寝間着で一つの布団の中に入っていた。
この日、芙蓉は柱間の家に泊る約束だったのだが、無断で樹と一緒に自宅に居た。
二人は互いに片時も離れたくなかった。
「樹ちゃん・・・侍女の話は断ってくれても大丈夫だよ。侍女にならなくても、これからもいつでも会えるんだし。」
「ううん。侍女になればもっとずーっと芙蓉と一緒に居られるじゃん。私やるよ。」
「でも・・・柱間さまや扉間さまも一緒に住んでるよ?他にも沢山使用人やお弟子さん達もいるし、お家にもなかなか帰れないし、大変だよ?」
「平気だよ。そんなの!」
「ごめん…あのね実は、私から侍女をお願いしておいて申し訳ないのだけど…本当は樹ちゃんには私の侍女になって欲しくないの。」
「えっ!なんで!」
「だって・・・その・・・・見られたくないの。知られたくも無いし・・・」
「何が?お風呂だって一緒に入ってるじゃん。トイレ見られたくないとか?」
「それもだけど・・・柱間さまと・・・その・・・」
・・・なるほど。そういうことか。・・・
確かにそれは樹にとってもかなり辛い事だ。
目の前で見るわけではないにしても、同じ屋根の下、いや隣りの部屋で芙蓉が柱間に抱かれている所など考えたくもない。
芙蓉が樹に抱き着いてきた。芙蓉の胸が樹の胸に当たる。
「た、確かに・・・それは私も・・・すごく辛いし、嫌、かな・・・」
樹は芙蓉の背中に手を回し、背中をさする。
「だから、ごめんね…断ってくれる?」
「うん・・・分った。」
樹は不覚にも芙蓉が柱間に抱かれる場面を想像してしまい、急いで掻き消そうとした。
「・・・ねぇ芙蓉・・・キスしてもいい?」
芙蓉はドキリとしたが、以前樹から突然口づけをされた時、とろけそうになった感覚を思い出した。
芙蓉はゆっくりを樹の顔を見上げた。ただ真っ直ぐに自分を見つめている青い瞳に吸い込まれそうになる。美しい…芙蓉はそっと目を閉じた。
「芙蓉、愛してる。」
樹はそう言って芙蓉の唇に口づけをした。
樹の唇は芙蓉の頬に移ってゆく。そして樹の長い指が芙蓉の唇をなぞっている。
芙蓉は男女でするような事を女性の樹からされることに少し疑問は感じつつ、不思議と嫌な気持ちは全くしなかった。
それはセックスが愛情表現の大切な手段だということを、芙蓉は身をもって良く理解していたから…そして、マダラに対するものとは違うが、芙蓉にも、樹に対する愛情があったからだった。
女学校で教わった男女の営みは、子供を作る手段、男を満足させる手段として教わった。
もちろん建前で『愛情表現』と言われたが、やはり学校で教わったそれは、どこか昼間の生活とは別の世界の話のようで、まるでその時だけ違う世界に行ってしまうような感覚だった。
しかし芙蓉はマダラと暮らし、セックスは紛れもなく実生活の一部であるものだと身をもって理解した。
愛するマダラの端正な顔、眼差し、逞しい身体、何気ない繊細なしぐさ、会話の端々の中に、芙蓉の身体を熱くさせ何かを期待させるものがあった。
それはマダラに触れたい、触れられたいという欲情だった。
そんな事を考えていると、樹が芙蓉の寝間着のボタンをひとつ外した。芙蓉が嫌がらないことを確認し、次々と外していく。真っ白な胸が現れる。
見慣れている胸だが、触るのは初めてだった。柔らかそうに見えていた芙蓉の胸は実際はハリがあり樹の指を跳ね返す感覚がした。
「樹ちゃん・・・いいよ。樹ちゃんの好きなようにして。」
芙蓉は樹の頭を撫でながら優しく言った。
「芙蓉・・・」
樹はその言葉を聞くと胸がぎゅっと締め付けられた。衝動のまま芙蓉の乳首に吸い付く。
「あんっ・・・」
芙蓉の甘い声が洩れる。芙蓉の息は速くなり、胸が上下に大きく動く。
樹は自分も服を脱ぎ、裸になる。そして芙蓉のズボンと下着を脱がした。
「寒くない?」
「うん。樹ちゃんの忍術のおかげで部屋、いつも暖かいもん。」
風遁が得意な樹は、暖かい風でいつも部屋を温めていた。
「印を結ぶときの樹ちゃん、カッコいいよ。」
「ありがとう・・・」
美しい肢体を樹にさらしている芙蓉にカッコいいと言われて、樹はとても嬉しくなる。
再び芙蓉に口づけをする。そして芙蓉の股間に手を伸ばす。
「あっ・・・ああんっ」
唇を離し、芙蓉が快感にもだえる顔をしっかりと見つめながら芙蓉の固くなった部分をこすり続ける。
芙蓉がもだえる顔を想像しながら何度自分を慰めたか分らない。実際の芙蓉の表情はとてもいやらしく、普段の清楚で可愛らしい顔は面影も無い。
・・・こんな顔、マダラはいつもこうして見ていたんだ・・・
嫉妬と悔しさがこみ上げてくる。夢中になって芙蓉の乳首を吸いながら刺激を続ける。
芙蓉の膣からは男を迎え入れるための蜜でとろりと濡れている。
樹はその膣にゆっくりと指を入れた。
「ああんんっ・・・」
芙蓉のいやらしい声が洩れる。
同じ女である樹にはどこを触れば絶頂にいくのかよく解っている。その場所に指が辿りつくと、絶妙な力加減で刺激する。
「ああーーーっんっ・・・樹ちゃん、だめっ・・・恥ずかしい・・・」
「いっぱいいっぱい気持ちよくしてあげるよ。芙蓉・・・」
芙蓉はこれまで感じたことのない強い快感に、頭がおかしくなってしまいそうになる。
「・・・っ・・いっ樹ちゃん・・・気持ち良すぎておかしくなりそう・・・」
樹は芙蓉の言葉に嬉しくなり、自分も大きな快感を感じていた。空いている片方の手で芙蓉の美しくくびれた腰を愛撫する。
「芙蓉・・・とってもいやらしくて綺麗だよ。もっと綺麗になって・・・」
更に速く指を動かし、芙蓉を追いつめる。
「ああああっっん!・・・・あっ・・あっ・・・・ん・・・ん・・・」
芙蓉は身体をびくびくと痙攣させて果ててしまった。
樹は芙蓉を強く抱きしめる。脱力したままの芙蓉は樹の腕にぐったりともたれる。
「芙蓉・・・愛してる。愛してる・・・」
「樹ちゃん・・・私も・・・愛してるよ。ありがとう。」
・・・芙蓉を誰にも渡したくない。
誰よりも芙蓉を愛している自信がある。
大切にする自信があるのに、なんで自分は男じゃないんだろう・・・
樹の眼にはうっすらと涙が滲んでいた。
◆
チュンチュン…朝陽と共に、スズメの鳴き声が部屋に入って来る。
「遅い!遅いぞ!芙蓉はまだか!…もしかして、もう戻って来なかったらどうしよう…」
「ほんと昔から芙蓉の事になると兄者は馬鹿が更に馬鹿になるな。もうとっくに朝だぞ。もう既に“戻って来なかった”状態だろうが。」
柱間は、樹の事を聞いて屋敷を飛び出していったまま戻ってこない芙蓉のことを、一晩中寝ずに待っていた。
「仕方ない…迎えに行くか…」
「いやいやいや、ついに頭がおかしくなったのか?樹と一緒に家に居るのは分っているんだから、一日くらいそっとしておいてやれないのか。」
柱間は真剣な目つきで扉間を見て言い返す。
「昔、“ライバル出現”って言った事、覚えてるか?」
「・・・・あ、あぁ。確か芙蓉が女学校に入ったばかりの頃の事か。それがどうした。」
「あれな、樹のことぞ・・・」
「兄者、とりあえず寝ろ。うん。」
「芙蓉は気付いておらぬようだが、樹は、俺やお前の様に芙蓉を愛しておる。それがダメだとか不道徳だとか言いたいのではない。そういう愛もあるだろう。ただ、一生の別れになるかもしれない危機から脱した今の樹は、俺と結婚する芙蓉のことをどうしたいと思うかと考えるとな…心配なのだ。お前なら解るだろ?扉間。」
「・・・・・。」
扉間は言葉に詰まる。
・・・自分のものにならないのなら、誰かに取られてしまうなら、いっそのこと・・・
芙蓉を消そうとした時の気持ちを扉間は思い出していた。
「…告白も出来ない、友情を壊すことも出来ない。樹はそれでもずっと芙蓉の親友として傍に居る。愛する人が他の男を愛する姿を目の前で、ただずっと見せつけられても…辛かっただろうな。扉間、改めてお前のことも考えた。お前も樹と同じだったな。辛かっただろう…気付いてやれず、すまなかった。」
扉間は朝陽の差し込む窓辺に立った。
「いや、樹と俺は違う。樹は一生告白できないかもしれないが、俺はしようと思えばいつでもできたはずだった。許嫁の男なのにな・・・」
柱間はそう言う扉間の背中を見つめた。
・・・やはり扉間は今でも芙蓉のことを愛しているのだな・・・
「とにかく。心配しすぎだ。樹は親友として芙蓉をずっと守り抜いてきた。スパイ任務に不服を言わなかったのも、任務だから盲目に従ったわけではないはずだ。国を、里を守ることが芙蓉を守る事だと考えていたのだろう。だから…傷つけたりなどはしない。」
「…そうだな。やっぱりお前の方が、よく芙蓉のこと見ている。」
「うるせえ。」
◆
その日の夕方、芙蓉が大きな荷物を持って柱間の屋敷に来た。
「おお芙蓉!って、そんな大きな荷物、先に言えば俺が持って来てやったのに。」
「あの…昨日は申し訳ありませんでした。どうしても樹ちゃんと一緒に居たくて…」
「それはいいのだ。学校で授業もしてきたのだろう?疲れただろ。早く入って休むといい。」
屋敷に戻ってこなかった事も、樹と何をしていたのかも追及して来ない柱間の優しさに、芙蓉は少し胸が痛んだ。
柱間は芙蓉の荷物を持ち、芙蓉に手を差し出してきた。
「おかえり。芙蓉。」
芙蓉は柱間と手を繋いだ。二人はそのまま中に入って行った。
長い廊下の先、屋敷の端の部屋に連れてこられた。
「ここが芙蓉の部屋だぞ。自由に使ってくれ。」
柱間がなぜかニヤニヤしながら扉を開ける。
「えっ・・・これって・・・」
その部屋は以前の芙蓉の部屋とほぼ全く同じ間取り、床の間や遠い棚まで同じだった。
そして勉強机や芙蓉が気に入っていた鏡台がそのまま同じ位置に置かれている。ただ一点違う所は、窓が作られている所だった。
「ワハハハ。驚いたか?いつ芙蓉が帰ってきても良いように、この家を建てた時から用意しておいたのだ。以前は窓が無かったから窓だけ付け加えたがな。」
そう言って芙蓉にウインクする。
芙蓉は心に温かいものを感じた。消えかけていた灯りがともったような感覚だった。
「柱間さま・・・ありがとうございます。」
目の前の景色が滲む。気が付くと芙蓉は涙を流していた。
今でも勿論マダラのことは心から愛している。
しかし、芙蓉は心の中に柱間への想いという灯りが、しっかりと残っていることに気が付いた。心の消えかけた灯りは、紛れもない柱間への愛情だった。
マダラに対する愛情。それは恋焦がれる情熱的な愛。説明のできない欲求の追求。
だが、柱間に対する愛情は、大きな優しさと大きな愛に包まれる安心と信頼だ。
以前はそれを家族愛だと納得していたが、やはりそれとは少し違うようだ。柱間の自分に注がれる愛は特別で芙蓉だけに注がれている。そしていつも直球である。
初めて柱間に抱かれた時は樹を守る為とはいえ、酷く屈辱を感じた。だがそれも良く考えてみればこれまでいつそうなってもおかしく無かったはずなのに、柱間はずっと結婚まで芙蓉の貞操を大切にしてくれていたのだろう。芙蓉に触れないことも柱間の強い意志と愛情だったはずだ。今の気持ちに気づいた上で抱かれていたら、もっと違っていたかもしれない。
「芙蓉?大丈夫か?おぉ泣かなくてもよかろうに。よしよし。そんなに喜んでくれるとは、俺も毎日掃除していた甲斐があるぞ。ワハハハ。」
芙蓉の考えている事を知る由もない柱間は、芙蓉の頭を撫でながらいつものように豪快に笑っている。
だが、やはりマダラへの罪悪感で素直に柱間に抱き着くことが出来ない。
一体これから自分はどうなってしまうのだろうかと、言いようのない不安が襲う。
いや、正確に言うと、自分がどうしていけば良いのか分らなくなりそうで不安なのだ。
頭を撫でてもピクリとも動かずに涙を流し続ける芙蓉の様子に、柱間は手を止める。
「・・・芙蓉。どうした?なにかあったのか?」
そう言って柱間は芙蓉の前に出ると芙蓉の目線に合わせて腰を曲げ、ハンカチで芙蓉の涙を拭った。心配そうな顔で見つめてくる。
「す、すみません。大丈夫です。感動しすぎちゃって…」
芙蓉は焦って、無理やり笑って見せた。
「芙蓉。昔お前は俺に『絶対大丈夫』って言ってくれたな。俺はその言葉でここまで生きてこられた。だがな、人間誰しも大丈夫じゃない時もあるぞ。そんな時の為に、家族や友達、恋人が居るのだ。我慢しなくていい。無理はするな。」
芙蓉はその言葉を聞くと、柱間に抱き着いて声を出して泣き始めた。
柱間は黙って芙蓉を抱きしめ、頭を撫でる。
「・・・ごめんなさい。私、これまで柱間さまのこと、いっぱい裏切ってしまって。それなのに、私はこれからも貴方を裏切るかもしれません・・・だから・・・」
「いいんだ。俺は裏切られたなんて思ってない。芙蓉はただ素直な気持ちで選択してきただけだ。俺はそれを認めている。どんな選択をしようが、俺は芙蓉をずっと愛している。」
どこまでも優しすぎる柱間に芙蓉は溺れてしまいそうだった。
・・・私が溺れずに、柱間さまの為にできることは何?・・・
芙蓉はこれから毎日、それを考え、実行していこうと決心した。
庭の芙蓉の木の新芽はまだ固く、早く春が来るのを待ちわびている様だった。
◆
その夜、芙蓉は珍しく夜中に目が覚めてしまった。
再び目を閉じて眠ろうとしたが、眠れない。隣で眠る柱間を起こさないように静かに起き上がり、部屋を出て手洗いに向かう。
そして再び部屋に戻ろうとした時、廊下で扉間の部屋から洩れる明かりに目が留まった。
木ノ葉の里が完成し柱間が火影になってから、扉間は更なる激務に追われているようだった。きっと今夜もまた仕事をしているのだろう。
芙蓉はふと、夏に扉間とノウゼンカズラの咲く坂で会った時のことを思い出した。
扉間はいまも、自分の感情を抑えているのだろうか。
自分が柱間と婚約し、この家に一緒に住んで居る事をどう感じているのだろうか…。
そんな事を考えながら灯りを見つめて立っていると、部屋の扉が少し開いて扉間が顔を出した。芙蓉は驚いて思わず固まる。
「いつまでもそんな所に突っ立ってないで早く部屋に戻れ。風邪引くぞ。」
扉間は芙蓉が部屋から出て手洗いに立ち、廊下で足を止めていることに気づいていた。
「…すみません。眠れなくて…扉間さまはまだお仕事ですか?」
「ああ。眠れなくても横になっていろ。兎に角早く部屋に戻れ。」
「あ、あの、お茶でも淹れましょうか?」
「ハァ・・・じゃあ、頼む。」
扉間は芙蓉が部屋に戻りたくないのだと察し、仕方なく芙蓉の申し出を受けた。
芙蓉は台所に行って湯を沸かし、急須に茶葉とお湯を注ぎ、湯呑と一緒に盆に載せて扉間の部屋に持って行った。扉をノックする。すぐに扉間が扉を開けた。
「お待たせしました。ほうじ茶です。」
「身体が冷えただろ。部屋に入って少し温まって行け。」
「…はい。ありがとうございます。お邪魔します。」
芙蓉は緊張した面持ちで部屋に入る。
机の上には大量の書類や本が積まれており、床にも資料や忍術の巻物が入った箱が並べられている。想像以上に仕事は大変そうな様子だ。
「散らかっていて悪いな。まぁ座れ。」
扉間は座布団を二つ、火鉢の隣りの畳の上に並べ、その一つの上に座った。芙蓉は扉間の目の前に盆を下ろして座り、急須から湯呑へほうじ茶を注ぐと、湯気がふわりと立ち上り香ばしい香りが部屋に広がる。
「こんなに遅くまで、大変ですね…」
「今日は特別だ。火の国に提出する書類の期限が迫っているからな。あと、どうしても早く完成させたい忍術もある。」
話が続かず、二人の間に気まずい沈黙が訪れる。
「・・・あの、ご無理、なさらないで下さいね。健康第一ですので・・・」
「ああ。」
シン・・・。冬の夜は静寂に包まれている。
「あの、もし私にお手伝い出来る事があれば何でも言って下さい。」
「ああ。このお茶で充分だ。」
芙蓉は伏せていた目をそっと扉間に向けてみた。
扉間は静かにお茶をすすっている。湯呑はそんなに小さくはない筈だが、扉間が持つとずいぶん小さく見えることに気が付いた。今更ながら扉間の体格の大きさに驚く。柱間に劣らずとても頼もしい。
そして、扉間は優しい。
芙蓉は、改めて反省した。
扉間だけではなく、自分も扉間と向き合うことを避けてきたことを。
いつからか扉間に恋をしてしまうことを怖れ、そして扉間から愛されることを怖れ、扉間が自分に対して冷たく接してくることを敢えて深く考えないようにしていた。
それを考えてしまえば、二人の心は通じ合ってしまったかもしれないから…
しかし、きちんと向き合っていれば、扉間も自分もこんなに辛い想いをしなくて済んだのかもしれない。
扉間が芙蓉の視線に気が付いて、目が合う。反射的に二人は目を逸らした。
「・・・身体が温まったら、戻って寝ろよ。」
「はい。もう温まりました。ありがとうございました。もう一杯お注ぎしますね。」
芙蓉は再び扉間の湯呑にお茶を注ぐと、空になった急須を盆に載せ立ち上がった。扉間は芙蓉の顔を目だけで見上げる。
「おやすみなさいませ。」
芙蓉は静かに部屋を出て行った。
扉間は閉められた扉をしばらく見つめたあと、湯呑の中の茶に目を落とした。
扉間の、芙蓉がマダラの企みに加担しているのではないかという疑念はもう消えていた。
柱間との婚約・同居、芙蓉が樹を守ろうと必死になっている様子、里の為に役に立ちたいと一生懸命働く姿を見ているなかで、ついに疑う根拠を見つけられなかった。
一方、個人的な感情としては芙蓉がマダラと愛し合うことが自分への罰だと思っていたが、芙蓉が兄と結婚する今、何を罰だと思えばいいか分らなくなっていた。
やはり、芙蓉とは永遠に結ばれることが無いことこそ、罰なのだろうか。