芙蓉がマダラと去った後、マダラは里の脅威となり対策室が作られます。
そして柱間、扉間、樹は、思い悩みつつ芙蓉を取り戻すことを諦めません。
一方、芙蓉とマダラはついに夫婦の契りを交わします。
穏やかで幸せな生活が続く・・・
芙蓉はそう思っていましたが、マダラ語る『先の夢』の為の手段についてだけは
どうしても賛同することができません。
愛し合いながらも、二人の間に対立が生じます。
※マダラと芙蓉の濡れ場が多めです。
柱間は自分の顔岩の上に来ていた。
胡坐をかいて座り、里を見渡している。
五月に入り、里には初夏の香りが漂っており、人々の活気も一段と増している。
田植えが終わったばかりの稲が風に靡き、白鷲が餌を求めて周りを飛び回っている。
しかしそこに、友も、愛する人も、もう居ない。
あの日、マダラが放った須佐能の槍は柱間と扉間が破壊し、里には被害は無かった。
その後再び檜枝岐神社に戻り、マダラについての情報を調べたが、何も分からなかった。
芙蓉の捜索に当った上忍や、里の上役たちへは、芙蓉がマダラに術にかけられ連れ去られたと報告し、これから芙蓉の捜索も続けていくと伝えた。
しかし大半からは反対された。
マダラと芙蓉は元々恋愛関係にあり同棲もしていた。
今回の誘拐もただの恋愛のもつれだと判断され、忍でもない芙蓉がマダラに渡ったからといって里に被害は無く、捜索は無駄であり、マダラと鉢合せするリスクのほうが危険だという意見が大半だった。
柱間の結婚を知る者からは同情的な意見もあったが、火影として冷静な判断が求められ、組織として芙蓉を捜索することは諦めざるを得なかった。
一方、マダラに対しては奇襲に備える対策室が作られることが決まった。
数ヵ月前にマダラが里を出た時は殆どの者が気にもしていなかったが、今では里に仇なす者として敵視され、すっかり忌み嫌われる存在に変わっていた。
「マダラ・・芙蓉・・俺はお前たちに対して本当に無力だな。マダラ、俺はお前の苦しみを理解したつもりでいただけだった。扉間と里の者のうちはに対する偏見も消すことも出来なかった。・・・芙蓉、俺がもっとしっかりしていれば、お前の気持ちを一度も手放さずにすんだのにな。」
柱間の目の前が滲む。
急いで涙を拭う。そして再び里を見据える。
今自分にできること、そしてやるべきことは、里を守ることだ。
後悔に涙を流している暇は、無い。
「兄者・・・またここに来てたのか。もうすぐマダラ対策会議が始まるぞ。」
「ああ・・・分った。」
「落ち込むなと言っているだろ。芙蓉はマダラを倒さなければ取り戻せない。だから今はマダラを倒すことだけを考えろ。」
「解っておる。だが、なんとかマダラを説得し、里を守る方法は無いものか・・・」
「まだそんな下らない事を言っているのか!そんな事はあり得ん。あの時・・・マダラに留めを差していれば良かったのだ。その甘さがこうして危機をもたらしているのだ。」
「・・・・・・」
無言で返してくる柱間の背中に、扉間は自分が感情的になって不必要な事を言ってしまったと気づき、焦って言葉を続ける。扉間は芙蓉を失って以来、時々こうして感情的になる。
「言い過ぎた・・・先に行って待っているぞ。遅れるな。」
「・・・扉間。お前も少しは休めよ。」
甘い性格と紙一重だが、心優しい柱間の気遣いに扉間は胸が痛んだ。
一番辛いのは柱間だろう。
柱間は木ノ葉の里本部に戻り、会議室へ向かう廊下を歩いていると、樹が正面から早足でやってきた。
「火影様!お願いします。私もマダラ対策本部に入れて下さい!」
「前も言ったようにお前は本来の業務を行っていてほしい。マダラの事は俺たちに任せてくれ。」
「でも!一刻も早く芙蓉を救い出したいんです!どうか捜査部隊も結成して下さい。」
「お前の気持ちはよく解る。だが私情は禁物だ。お前にこの任務は適しておらん。それにマダラを捜査するための部隊も結成するつもりだが、マダラの感知能力は扉間に匹敵する。俺以外の忍がマダラに見つかれば殺されて終わりだ。こちらは迎え撃つ準備をした方が得策なのだ。解ってくれ。」
「・・・・何もできないなんて・・・私だって上忍なのに・・・」
「そんなことは無い。この里を発展させていくことも大切な任務だ。芙蓉が帰って来た時、今以上に里を発展させて驚かせてやろうぞ。」
「・・・・。」
樹は納得がいっていない様子だったが、会議の時間が迫っていたため柱間は樹の肩をポンと叩き、早足で行ってしまった。
樹は、芙蓉がマダラに禁固呪の札を仕込まれて思考や行動を縛られていたと知り、芙蓉が里を出る前提で、樹を守る為だけに柱間と結婚しようとしていたことにようやく気が付いた。
たとえ芙蓉が本当に柱間を愛していたとしても、禁固呪の札の束縛により、結婚して里に住み続けることは絶対に出来なかったからだ。
その事が樹にとって、これまでの人生で一番辛かった。
柱間を騙して結婚の準備までしていた芙蓉の心は、どれだけ痛んでいただろうか。
マダラ以外の男に抱かれて、どんな想いだっただろうか。
樹は、芙蓉の心の痛みにひとつも気づけなかった自分自身が憎くてたまらなかった。
いや、本当は、樹は気付いていた。
侍女になってほしいと芙蓉が言ってきた時、気づいていたのだ。
芙蓉が心から柱間を愛し結婚したいとは、思ってはいない事を…
しかし、樹はスパイ任務を回避し芙蓉と一緒に居たい一心で、芙蓉の行動に頼り、芙蓉の心には目をつむったのだ。
愛する欲求を優先させ、結局は愛する人を苦しめていた。
樹は、それは自分が犯した罪だと思った。
・・・せめて、せめて私のこの手で芙蓉を見つけて、禁固呪の札を、そしてマダラから芙蓉を解放してみせる。・・・
◆
「今日も良いお天気!」
五月晴れの空の下、海風に吹かれて靡く髪を抑え、芙蓉は気持ち良さそうに目を細める。
芙蓉が里を出て一ヶ月が過ぎていた。
マダラのアジトは“山岳の墓場”と呼ばれる場所に在った。
そこは火の国に隣接しているものの、木ノ葉の里からはかなり離れた、海に突き出た半島の先端に在る。
この場所には抜け忍や闇商人たちのアジトも多かったが、ここで争いを起こせば仕事や商売に支障が出るため目立った争いは少なく、一般市民も混じって一見は地味な普通の港町ができ上がっていた。
だが、ここでは互いが他人同士、全く無関心である。
人と関わらない、深く詮索しないのが暗黙のルールだった。
誰もマダラのことは知らないし、芙蓉のことも知らない。例え知っていても関心を向けることはまず無い。ここではそれが自己防衛でもあるからだ。
マダラのアジトは町から少し離れた地下に在ったが、二人で暮らす家は人がまばらな町の外れに小さな家をマダラが用意していた。その家とアジトは地下で繋がっている。
芙蓉はアジトの真上の地上に出て、海を見ている。
カモメが数羽、鳴きながら目の前を横切っていく。棚田の向こう、遠くの沖に漁をする船が見える。
初めて海を見た時の感動は一ヵ月経っても、毎日見ても、全く色褪せない。
「また見に来てるのか。」
後ろからマダラが歩いて来て、少し呆れたように微笑んでいる。
そして芙蓉の隣りに立ち、目を細め、一緒に海を見渡した。
「よく飽きないな。」
「飽きませんよ。だってこんなに綺麗なんだもん。それに…こうやってマダラさまと並んで海を見られるのが嬉しいから、まったく飽きません。」
そう言って髪を靡かせながらマダラを見上げ、嬉しそうに微笑んでいる。
「でも俺は、ああも魚料理ばかり続くのは飽きるがな。」
少し照れくさそうな顔をして、マダラは芙蓉へのささいな日頃の不満を交えて答えた。
「フフフ…じゃあ今日はお肉にしましょうね。」
マダラは芙蓉の肩を抱き寄せた。芙蓉の頭がマダラの厚い胸板に触れる。
この幸せが、一生続くようにと芙蓉は願う。
いや、必ず続くに決まっている。
◆
その日はマダラと芙蓉が再会して初めての満月の夜だった。
小川では蛍が月明りに負けじと光りながら舞っている。
しかし芙蓉はもう、蛍を見ても母のことを想うことはなくなっていた。
記憶のさざ波と激動の時の流れが、否応なしに母の姿と幼少の記憶を消し去っていた。
そして二十一時を過ぎると、蛍は、ぽつぽつとその姿を消していった。
月明りが差し込む寝台の上に、マダラと芙蓉は並んで腰かけ、斜めに向かい合っている。
いつもの事が始まるのかと、芙蓉は目を閉じた。
するとマダラが芙蓉の左手を両手で握ってきた。
目を開けてマダラの顔を見て微笑む。
「芙蓉・・・散々待たせて、悪かったな。今夜、結婚しよう。」
照れ屋なマダラが、珍しく真面目な顔で芙蓉の眼を真っすぐ見て言う。
「は・・・はいっ!」
「証人はいないが、今宵の満月が証人だ。」
マダラはこの満月の夜を求婚のする日と決めていたようだった。
そう言うとマダラは立ち上がり、台所へ向かう。
「マダラさま!何か用意するなら私がしますよ?」
「いいから、俺に任せてお前は座ってろ。」
マダラを台所に立たせて何かをさせることに、後ろめたさを感じながら芙蓉は待つ。
暫くすると、マダラは盆に小さな白い盃と白い銚子を載せて芙蓉の所へ運んできた。
「白い花萩焼の盃と銚子で酒を飲み交わすのが、うちは一族の結婚の儀式だ。酌人も居ないが、俺たちにとってはそのほうが丁度いいだろ。盃に酒を注いで貰って飲んだら相手に注ぐを三回交互にする。いいか。」
「解りました…それにしても素敵な花萩焼ですね。よくこの様な物が手に入りましたね。」
「里を出る時に持ってきた。」
「え!・・・この為にわざわざ・・・嬉しい!・・・」
芙蓉は驚きと喜びで胸が熱くなり、涙が込み上げてくる。
「おいおい泣くなよ。せめて盃を交わしてから泣いてくれ。」
「は、はい。」
「じゃあ、俺から注ぐぞ。」
芙蓉はそっと盃を手に取り、マダラの方へ差し出した。
マダラが持つ銚子から酒がゆっくりと注がれてゆく。三分の一くらいの量で止まる。
盃の中にゆらゆらと月が浮かぶ。思わず芙蓉がわぁ…と見惚れる。
「最高の月夜だな・・・」
マダラの言葉にハっとしてマダラの顔を見た。儀式を続けなくては。
「結婚、喜んでお受けします。一生マダラさまに着いてゆくことを誓います。」
マダラの目を真っすぐ見てそう言うと、そっと盃に唇を付けて静かに酒を飲み干した。
そしてその盃をマダラに手渡す。
今度は芙蓉が銚子を持ってマダラの盃に慎重に酒を注ぐ。
「夫として、妻である芙蓉を一生幸せにする。この月に誓う。」
マダラも芙蓉を見つめてそういうと、一気に酒を飲み干した。
酒の飲み交わしをあと二回続けて行い、儀式は終わった。
芙蓉は喜びと安堵、そして達成感を感じ、晴れ晴れとした気持ちになる。
マダラと今、ようやく夫婦になれた。
これまでよりも強く、二人が結ばれた気がした。
月は高くなり、月明りも更に明るくなっていた。
ふと、芙蓉の両目から涙がこぼれ、頬を伝っていく。月明りで涙がキラリと光る。
「フッ…お前は相変わらず、泣き虫だな…」
そう言うマダラの目も、気のせいか、かすかに潤んで光っている。
二人は抱き合った。
マダラも芙蓉も、まるでこの世界にたった二人だけのように感じていた。
だがそれは寂しいものではなく、もう二人を邪魔する者は何も無い、マダラの実現させたい夢の世界に居るかのようだった。
・・・平和というのは、人が愛し合う場所に在るものなのね・・・
芙蓉はそう思った。
二人は互いに服を脱がし合い、寝台の上に自然と横たわる。
芙蓉の上に覆いかぶさるマダラが口づけする。
何度繰り返しても、行為の始まりの合図には緊張して心拍数が上がる。
だが今日は少し違う。
緊張というより、マダラを求める欲望と興奮が優っている。
そんな気持に芙蓉は恥ずかしさを覚えながらも、夫婦になった喜びがそれを加速させる。
「これまでと変わらないが、これで本当にお前の身も心も俺のものだな。」
マダラはそう言って、優しく芙蓉の頬を両手で包み込む。
そのままマダラの唇は乳房に降り、舌先で乳首を弄び始める。両手も乳房に移り、優しく揉みしだいている。
「ああんっ・・・」
いつもよりも大きな芙蓉の吐息に、マダラは芙蓉が興奮していることに気づく。
少しきつく乳首を吸う。
「はああんっ!」
芙蓉はマダラの肩に爪を立てた。
マダラはその片方の手を外し、自分の乳首を触らせる。固い胸板とは対照的に柔らかな乳首の感触に、芙蓉の指先がジンジンと感じてくる。そして優しくさすってみる。
そのままマダラは芙蓉の首筋に吸い付き、むさぼる。
「いやんっ!あんっあああっ!あーっ!」
芙蓉の身体はどこも敏感だったが、首筋が一番の性感帯のようだ。
今にもいってしまいそうな芙蓉の様子に吸うのをやめる。
肩で息をして物欲しそうに眉間を寄せている芙蓉を見つめながら、芙蓉の右の人差し指にしゃぶりつく。
「・・・っ!」
唇で吸いながら指を口から出し入れする。そして中指も一緒に二本の指を同時にしゃぶる。
じゅるじゅるじゅるじゅる・・・
舌をからませながら唾液を垂らし、わざといやらしい音を立てながら出し入れする。
「あぁぁんっ!あんあっ!!」
その光景としゃぶられる感覚に、芙蓉は挿入されている時を思い出し、頭が痺れてしまいそうないやらしい快感に襲われる。
「欲しくなってきただろ?」
マダラがニヤリとして言う。芙蓉は恥ずかしそうにマダラの目を見て小さく頷く。
「その前に、お前の中に入るものに奉仕しろ。」
「・・・?」
芙蓉は意味が解るようで解らず、マダラを見ながら何度も瞬きをしていた。
マダラは芙蓉の身体を起こして座らせ、自分は仰向けに横になった。
いつも恥ずかしくて、手で触れたとしても見ないようにしてきたマダラの男根が、長さも太さも巨大に膨らみ、腹の方に向かっていきり立っている。
芙蓉は恥ずかしさに目を逸らす。
「芙蓉、俺のを舐めるんだ。」
そう言って、寝台についた芙蓉の右手を引っ張り自分の男根に近づける。
その時、女学校で教わったことを思い出した。
性行為で稀にある事で、要求されれば状況によって行うべきものとして教えられた事が、そういえばこれだった。
芙蓉は恥ずかしさと、何かいけないことをする罪悪感、そして近くで見る男根の大きさに怖れを感じる。
「怖いか?」
固まる芙蓉にマダラが優しく言う。
「・・・いいえ。良く解らなくて。でも、私もマダラさまを気持ち良くしたい。」
夫婦になるとうのは、体でも深く繋がるということなのだろう。マダラが望むなら、マダラが気持ち良くなるのならば、それを追求しようと芙蓉は決心する。
長い髪の毛を紐で束ねると、教えられた通りにマダラの股の間にうつ伏せになり、肘をついて両手で男根を握る。
破裂しそうにパンパンに張り、本当に人間の身体なのかと思うほど硬い。
こんなものがいつも自分の中に入っているのかと思うと驚きである。
だがその先端の亀頭だけはむにっと柔らかい。
芙蓉は恐る恐る、亀頭に顔を近づけ舌を出してペロリと舐めた。
いきなり口の中に、想定外のしょっぱい味が広がる。亀頭の割れ目から染み出る液体の味だった。もう一度舌を出して亀頭全体を舐め、そして筋をなぞるように舐めてみた。
「うっ・・・」
初めて愛する女に男根を舐めさせている支配欲と満足感に感じやすくなっていたマダラは、拙い芙蓉の舌遣いでも大きな快感を感じて、思わず声を洩らす。
「いいぞ・・・芙蓉。上手だ。」
芙蓉の頭を優しく撫でる。目をつぶって自分のものを一生懸命舐めている姿は、たまらない。
マダラは芙蓉に出会うまで、女とセックスするのは子を作る為か、無自覚に溜まる性欲を処理する行為くらいにしか思ってなかった。
愛しているからセックスがしたいと思ったのは、芙蓉が初めてだった。
そもそも、他人を心から愛すること自体が初めてだった。
血の繋がらない他人に対して、家族とはまた違った深い愛情を抱く自分に、マダラは最初とても驚いていたものだった。
それが今、こうして夫婦になり、お互いにより深く愛情を伝え合っている。
喜びと共に、心の奥底に沈んでいた優越感がどす黒く顔を出す。
芙蓉の初めての相手は俺だ。
芙蓉は誰をも魅了する美女。優しく聡明な性格・・・その女の愛情は俺だけのものだ。
芙蓉は柱間と扉間の許嫁だった。
だが俺に恋をし、愛し、俺を選んだ。
誰も手が届かなかった女神の秘部や痴態を、今こうして自分の妻として目の前で見ている。
「芙蓉、咥えるんだ。」
芙蓉は恥ずかしそうに一瞬マダラの顔を見て、再び男根に視線を戻し、口を開ける。
小ぶりの芙蓉の口には、亀頭くらいしか入らない。
困ったような表情で咥えたまま、上目遣いでマダラを見る。
「頑張るんだ・・・・・そうだいいぞ。」
芙蓉は身体を少し起こして、男根に対して垂直に咥えてみた。すると少し下まで口の中に入った。芙蓉なりに舌を使いながらしゃぶってみる。
賢い芙蓉は飲み込みが早く、コツを掴むのも早いとマダラは感心する。
「さっき俺がお前の指をしゃぶった様にやってみろ。」
一度口を離し、前髪が垂れないように指で押さえ、片方の手は男根の根元を握りしめ、息を吸ってから芙蓉は再び咥える。そして舌と唇を使いながら頭を上下させて、口から出したり入れたりをゆっくりと繰り返す。
「ううっ・・・あぁ」
余りの快感にまたマダラから声が洩れる。果てる時とは違うマダラの声に芙蓉は驚きつつ、マダラが感じていることがとても嬉しかった。そして自分も感じてしまい、膣がどんどん濡れてゆくのがはっきりと分る。
芙蓉の唾液がマダラの睾丸まで伝っていく。
懸命にしゃぶっている芙蓉の姿に愛おしさが込み上げ、再び芙蓉の頭を優しく撫でる。
「ありがとう。気持ち良かったぞ。」
そう言うと起き上がって芙蓉を抱きしめる。芙蓉はうっとりとして身を委ねる。
枕に芙蓉の頭を置いて仰向けに横たえると、芙蓉の膝を立て、左右に脚を広げた。
膣から溢れる蜜は尻の方まで滴っている。マダラを待ちかねていたのが分る。
亀頭を膣の入り口に僅かに入れると、芙蓉が蕩けた甘い声を洩らす。
相変わらず狭い膣の中にゆっくりと挿入すると、中は膨張していて男根に吸い付いて来る。
思いきり子宮の入り口まで突き上げる。
「あああぁぁんっ・・・き、気持いい・・・」
蕩けた瞳でマダラを見て微笑んでいる。みだらでいやらしい顔だ。
あとはもう、二人が互いの肉体で快感をむさぼるだけだった。
月は西に傾き、ぼんやりと滲んでいた。
しかし二人は、月が山入端に沈むまで互いの身体を何度も何度も求め続けた。
◆
木ノ葉の里ではマダラ奇襲対策室が立ち上がり、里の防衛が更に強化され、戦や忍術に関わる周囲の地理や自然環境の徹底的な調査が行われていた。
同時にマダラ捜査室も作ったが、マダラはあまりにも桁違いの強さの忍であるため、柱間以外は近づくことは危険とされ自然消滅していた。
そして、木ノ葉の里の周囲の地理を調査しているうちに、マダラとは違う脅威が発見された。
“ 尾獣 ”
それは九匹の怪物たちの総称であり、それぞれ一本から九本の尾を持ち、自然発生的に現れては人々を襲う強力な自然エネルギーの塊だった。
柱間は、その尾獣のうち三体ものエネルギーを各地で発見したのだ。
「まさか、マダラ対策の中で尾獣を発見するとはな…どうする兄者。回収を急いだ方が良いのではないか?」
腕を組んで柱間の机に腰かけている扉間が問う。
「うむ…まだ尾獣はどれも実体化しておらぬし、尾獣回収のために俺とお前、上忍を連れて不在にしている間にマダラに奇襲されては元も子もない。尾獣は幸い里から離れている場所だし、しばらく様子を見よう。念のため尾獣が実体化した場合の封印手順書を作っておく。」
「そうだな。そうしよう。」
尾獣対策室が立ち上げられ各地の監視に当ったが、それよりもマダラ対策が優先され、更に里の防衛は強化されていった。
◆
陽が短くなり、秋が深まって冬の足音がそこまで迫っていた。
外は冷たい海からの北風が吹きすさんでいたが、地下に在るマダラのアジトは年中気温は一定で、むしろ今時期は温かく感じるほどだった。
この日、芙蓉はマダラに見せたいものがあると言われアジトに一緒に来ていた。
マダラの命令で入り口に繋がる大部屋以外には立ち入ったことが無かったが、この日はその奥の部屋に初めて通された。
その部屋には何も無く、ただ正面に大きな岩で作られた扉があり、その扉の表面には術式のようなもので埋め尽くされている。
そして、その部屋だけ妙に寒かった。
いや、寒いというよりも、寒気のするような何か言い知れぬ嫌な感じがする。
芙蓉は怖くなり、マダラの腕にしがみつく。
「この扉の向こうに見せたいものがある。」
「…何なのですか?」
「これから里を襲う為のとっておきの兵器だ。まぁお前は怖がるだろうな。だが今は危険は無いから安心しろ。」
「・・・・。」
「悪いが少し離れててくれ。この扉を開くには印を結ばねばならん。」
「はい…」
芙蓉はマダラの腕から離れて後ろに下がった。
「子・寅・巳・辰・・・・」
マダラが素早く印を結ぶと、扉が轟音をあげながらゆっくりと左右に開いてゆく。
扉の入り口には封印札と呪印が蜘蛛の糸の様に張り巡らされている。
その奥、暗闇の中に何かが蠢いているのが見えた。
グルゥゥゥ・・・・
何か、獣の鳴き声のようなもの聞こえた。
芙蓉は口の前に握りしめた拳を付けて怯えている。
マダラが灯りで奥を照らした。
「きゃっ!!」
そこには巨大で凶暴そうな狐が寝ていた。
尾は一本ではない。一、二、三・・・七本以上あるように見える。
芙蓉はマダラに駆け寄りしがみ付いた。
「フフ…これは尾獣という九匹いる怪物の一匹で、九尾というんだ。尾が九本ある狐のバケモノみたいなもんだ。邪悪なチャクラを持ち人間を襲う。並の忍びが束になっても敵わない強さだ。今は縮小化しているが、実物はこの十倍の大きさだぜ。」
マダラは九尾を見てほくそ笑みながら芙蓉に説明する。
「この子に…木ノ葉の里を襲わせるのですか…?」
「そうだ。正確には俺がこいつを操って柱間と戦うんだけどな。」
「操ることが出来るんですか?マダラさまって本当に凄いんですね・・・」
「あのな、俺は九尾よりも強い忍だぞ。九尾など、この永遠の万華鏡写輪眼の瞳力があれば簡単に操れる。」
マダラは芙蓉に万華鏡写輪眼を発動させて見せた。
「写輪眼ですね。本当にいつ見ても綺麗・・・柱間さまと扉間さまと戦っていらっしゃった時にもこの眼をしていらっしゃいましたよね。」
そう言って微笑んでマダラの瞳を見つめる。
「相変わらず俺の眼は怖がらないんだな…しかも綺麗って…たいていの忍はこの眼を見たら生きて帰れないと恐怖すんだけどな。」
マダラが呆れた顔をする。
「そ、そうなんですね…でも本当にとっても綺麗ですよ。カッコいいし!」
忍ではない者にはそう見えるのか、それとも芙蓉にだけそう見えるのか。
どちらにせよ、芙蓉にカッコいいと言われて嫌な気はしない。マダラは少し得意げな顔をして見せる。芙蓉はその様子を見てクスッと笑う。
「…っと、流石にこの状態で長く居るのはまずい。その日まで再び封印だ。」
芙蓉はマダラが印を結ぶのを察してまた後ろに下がると、マダラはまた素早く印を結び、扉を閉めて九尾を再び封印した。
「あの、写輪眼は忍の修行をして会得したものなのですか?」
「お前、本当になーんにも知らないんだな。」
芙蓉とマダラはアジトの大部屋に戻って机の椅子に座る。
「す、すみません・・・。」
「柱間の家に十年居てここまで何も知らないで居られた事に驚くっつーの。逆に凄ぇよ。」
「私、十五歳になるまで屋敷の敷地の外に出たことが無かったし、屋敷の中では絶対に忍についての話は聞かせられないようにされていましたので…それにしても無知すぎですよね。自分が恥ずかしいです。」
俯いて落込む。
「いや。別にいいんじゃねぇのか。困らんし。まぁ最初会った時は俺が忍最強の男で、うちは一族の長だっつーことくらいは知ってて欲しかった気もするが…今となっちゃ逆にそれで良かったって思うぜ。」
「ありがとうございます!やっぱりマダラさまはお優しいですね!」
落込んでいた芙蓉の顔が急に明るくなって、満面の笑顔で少し首を傾けた。
「ゴ、ゴホン…で、写輪眼の説明の続きだが、写輪眼はうちは一族だけが持つ遺伝能力だ。強い瞳力で忍術と体術全ての力を増大させられるんだ。万華鏡写輪眼は写輪眼の進化系って感じだな。」
うちはが誇る写輪眼、弟に貰った永遠の万華鏡写輪眼の説明がこんなんでいいのかとマダラは自分自身にツッコんだ。
「マダラさまって本当に、本当に、すっごい忍なんですね!」
「うん。解ってる。」
純粋に感心している芙蓉に、引きつった笑顔で返した。
「でも・・・出来れば里の人には手を出さないでくれませんか?・・・」
マダラは急に不機嫌な顔に変わる。
「まだ言うか。敢えて殺めるつもりはないが、里の者など死んでも構わん。」
「腹癒せ…ですか?うちは一族を差別し、マダラさまの忠告を聞かなかったことへの…」
芙蓉は机の上を見つめながら、小さな声で呟くように言った。
「解ったような口をきくな!…言っただろう。目的は柱間と戦うことだ。奴とは本気でやり合わなければ意味が無い。」
「ならば里の人は関係無いじゃないですか。夢の世界では里の人たちも幸せに暮らせるのでしょう?だったら傷付けないで下さい。」
「里を傷つければ否応なしにあいつは本気になる。それには多少の犠牲は仕方ない。なに、死者も残された者も、皆夢の世界では幸せになれる。」
「だとしても!・・・」
「お前は黙って居ろ。お前は俺と夫婦の誓いを立てたはずだ。忘れたのか。」
「・・・・。」
芙蓉はマダラのためなら悪にでもなる、神にも背くと決心していたものの、やはりマダラの非業を黙って見ていることなど出来なかった。
愛する人が正義を振りかざして悪に手を染めるところなど、見たくない。
「平和のための戦いなんて矛盾しています。平和のために必要な犠牲など無いはずです。」
「お前は…俺の死んだ兄弟たちのことまで否定するのか?平和協定はまやかしの平和だが、あれは多くの犠牲の上に成り立っている。多くの忍や一般人の死だ。」
「そ、それは・・・・」
「これ以上言うと、たとえお前でも許さんぞ…」
マダラは怒りを込め、写輪眼の瞳で芙蓉を睨みつけた。
ゾッ・・・芙蓉の背筋に冷たいものが走る。美しいだけではない、写輪眼の力が分かった気がした。
芙蓉は涙目になって俯く。そして席を立ち、走ってアジトを出て行った。
マダラは追いかけず、腕を組んでただ黙って座っているだけだった。
当初、マダラはこれからの計画について芙蓉には何も言わず実行しようとも考えた。
優しい芙蓉がこのような反応をするのは容易に想像がついたが、結婚して半年近く経ち、流石に理解していると思っていた。それにこの先の計画を進めるうえで、芙蓉に何も知らせておかないわけにもいかなかった。
「計画が進んでいけば、いずれ芙蓉も解るだろう。」
芙蓉の涙の訴えを見ても、マダラは自分の計画を変える気は微塵も無かった。
芙蓉は冷たい海風に吹かれながら灰色の海を見た。
マダラには、里の人たちと共に自らの夢を叶える気など更々無い。
それどころか里を潰しても良いとさえ思っている。
思い出さないようにしていた樹の顔が浮かんできた。そして自分を慕ってくれた数少ない女学校の生徒たち、親切にしてくれた里の人々・・・
傷つけたくない。死んでほしくない。
・・・今、マダラさまの計画を知っているのは私しかいない。
どうにか里の人たちに知らせる事は出来ないかしら・・・
そう思った瞬間、急にとてもつも無く心臓の辺りが痛くなり、思わずその場にうずくまる。
以前から時折何度か味わってきた痛みだが、今回はそれ以上の痛みだった。
・・・苦しい・・・マダラさま助けて!・・・・
そう思った瞬間、胸の痛みは消えた。
何だったのだろう。
「どうした!大丈夫か!」
いつまでも戻ってこない芙蓉を流石に心配したマダラがアジトから出てきて、体を震わせうずくまっている芙蓉を見て駆け寄る。
芙蓉はゆっくりとマダラの顔を見上げる。
「急に胸が苦しくなって・・・でも大丈夫です。もう治りましたから。」
「そうか・・・だが早く家に帰って横になるんだ。」
「はい…」
芙蓉の身体を支えて歩きながら、マダラの頭に芙蓉の胸の痛みの原因が浮かぶ。
・・・まさか、芙蓉は俺のことを・・・
マダラは急いで芙蓉の横顔を見る。
芙蓉は眉間を寄せ険しい顔で胸に手を当てている。
・・・いや、芙蓉は俺を裏切ったりはしない・・・
マダラはまた前を見てゆっくりと芙蓉を支えながら歩いた。
「ごめんなさい。心配かけて…」
芙蓉はそう言うと寝台に横になって目を閉じた。マダラが隣に座り、芙蓉の頭を優しく撫でる。
芙蓉の胸はもう痛みはしないが、疲れていたのか、マダラの掌の温もりに導かれるように眠りに入った。
目の前にマダラが背中を向けて立っている。
近づきたいのに近づくことが出来ない。愛おしさと寂しさが芙蓉を襲う。
マダラの見つめる方向の風景が、次々と変わる。
満開の桜の木の下には黄色の菜の花が広がり蝶が飛ぶ。
次は眩しい太陽に青い海、セミの声が聞こえる。
かと思うと錦に紅葉した山々が現れ、モミジが舞う。
最後は真っ白の雪原に数本、葉を落とした木が影を伸ばしている。
芙蓉はその様子を見て、季節と共にマダラが去って行くのだと思った。
マダラには二度と触れられないことを覚悟した。
目が覚めると、芙蓉は自分が泣いていることに気づく。
マダラは芙蓉の眠る寝台の隣りに椅子を持ってきて本を読んでいた。
部屋の中が灯りで照らされている。どうやら暗くなるまで寝てしまったいたようだ。
「マダラさま…私、寝すぎちゃいましたね…」
「目が覚めたか。気分はどうだ?…おい、お前泣いてるのか。どうした!」
「なんだか凄く寂しい夢・・・マダラさまが居なくなってしまう夢を見ました・・・」
そう言って、芙蓉は両手をマダラに向かって伸ばした。
マダラは芙蓉を抱きしめる。芙蓉も腕をマダラの背中に回し抱き締めた。
「もう大丈夫だ。そんな夢はすぐに消える。」
「私・・・心からマダラさまを愛してるんです・・・だから・・・」
「解っている。」
マダラは芙蓉の言葉を遮るように言った。芙蓉が言おうとしている事はなんとなく分った。だが、何を言われようとこれからの道を変えるつもりはない。
芙蓉には、ただ自分を信じて付いてきてほしかった。
誰に道を邪魔されようと薙ぎ払えばいいだけだ。
だが芙蓉にだけは邪魔されたくない。
愛しているから。
「…私の母は、忍が嫌いだったそうです。忍が居るこの世界を認めないって。はじめはその意味がよく解りませんでしたが、今なら解る気がします。」
「お前も嫌いになったのか。」
「いいえ。きっと、終わりなき戦いが続くことが嫌だったのかなって。だから、私もマダラさまの夢を応援しています。マダラさまならきっと実現できるって信じています…」
芙蓉は身体を少し離し、潤んだ目でマダラの目をじっと見つめた。
マダラはそのまま芙蓉を抱き起して寝台に座らせ、少し俯いて芙蓉に問う。
「芙蓉・・・なぜ忍はこの世に生まれたと思う?」
「なぜ、忍びが生まれたか・・・。何か大きな敵が現れたため、でしょうか?」
「いや違う。人々はまだチャクラという概念すら無い時代からずっと争い続けていた。」
その言葉を聞くと芙蓉は俯き、顔を斜めに逸らして言う。
「・・・やっぱり、忍が存在しているから争いが続いているわけではないのですね・・・。」
僅かな沈黙の後、マダラが語り始める。
「その昔、神樹という神の力を宿した木が存在した。その木には千年に一度、実が生るのだが、その実には決して手を付けてはならないと伝承されていた。だが、ある時、その実を取り口にした者がいた。」
お伽話のような話に少し首をかしげながら、芙蓉はマダラに問う。
「なぜその人はそんなことをしたのでしょう?その人はどうなったのですか?」
「人々の争いを鎮め、自ら国を治めるためだ。名は、大筒木カグヤという。カグヤは神樹の実を口にしたことで神の力を得た。そしてその力を利用し、たった一人で争いを鎮めたという。その後、人々に女神として崇め怖れられ、一人で国を統治したのだ。」
「もしかして、そのカグヤさんが得た力というのは…チャクラなのですか?」
マダラは芙蓉の顔を見て、フッと少し笑い芙蓉の推測力に感心する。
「その通りだ。カグヤがチャクラを最初に手にした人間だった。そしてカグヤはその後、二人の息子を産む。二人は生まれながらにその身にチャクラを宿していたのだ。」
ここまで聞いてもなお、芙蓉にはそれがお伽話に思え、現代となかなか繋がらない。
「だが、そのチャクラの実を奪われた神樹は、実を取り戻そうと動き暴れ出した。」
「!」
「それが十尾だ…暴れ出した神樹の姿だ。それを止め、封印したのがカグヤの息子の一人、ハゴロモだ。ハゴロモは十尾を九体の尾獣の姿に変え封印した。そのうちの一体がさっき見せた九尾だ。そしてハゴロモは、チャクラの概念を人々に教え広める忍宗というものを始めたのだ。」
「つまり、そのハゴロモさんが最初の忍?」
「正確には、忍の祖。すべての忍術を作った、伝説の六道仙人と呼ばれている男だ。」
先ほど見た禍々しい大きな狐の九尾の姿を思い出し、そして目の前の最強の忍であるマダラの顔を見て、芙蓉の中で全てが繋がった気がした。そこでようやく驚きが沸き起こる。
「・・・そう、なのですね!そのお話は忍のなら皆さん知っている事なのですか?」
「いや。現世で知っているのはおそらく俺だけだな。だからこそ、俺にしかこの先の夢の世界は作れないのだ。」
「え⁉じゃあ、マダラさまはなぜその事を知っているのですか?」
「うちはに伝わる碑石に刻まれている事実だ。うちはの瞳力が無ければ解読できないものだ。しかも俺のレベルの瞳力を持つ者でなければな。」
芙蓉は、マダラがよく家を留守にし調査に出かけていた時のこと、そして離れていた数ヶ月間のことを想い出し、考えた。
「碑石にはこんな事も書いてある。“相反する二つは作用し合い森羅万象を得る”…これは全てに当てはまる道理だ。つまり、相反する二つの力が協力することで本当の幸せがあると謳っている。」
それを聞いて、芙蓉は木ノ葉の里のことが真っ先に頭に浮かんだ。
長きに渡り戦い続けてきた千手一族とうちは一族が協力して生まれた平和の場所だ。
やはりマダラは今でも里のことを想い、これからの柱間と協力し合うことを考えていてくれたのかと嬉しくなる。
芙蓉の心の中の霧が晴れ、希望の光が灯った気がした。
「相反する二つの力が協力…つまり、争い合っている同士も、手を取り合えば本当の幸せがあるということですね!」
明るい表情でマダラの手を両手で握りしめ、身を乗り出して問いかけてくる芙蓉から目を逸らしマダラが続ける。
「だが、別の捉え方もできる。」
「・・・?」
「その両方の力を手に入れられた者は、幸せになる・・・」
「どういう・・・意味ですか・・・?」
「うちはの俺が、千手の力を手に入れるということだ。」
芙蓉は希望の灯りが再び遠ざかってゆく感覚に、眩暈がした。
マダラの手から手を離し、自分の膝の上で拳を握りしめる。
「相反する二つによって森羅万象が形作られているならば、それは永久の真理です。その二つが一つになってしまえばその真理は成り立たなくなり、必ずそこには歪が生まれます。千手の力を手に入れるのではなく、手を取り合い協力することが真理のはずです。」
バタッ!
マダラは芙蓉を寝台に押し倒し、両手を抑えて無理やり口づけをした。
「男の俺と女のお前はこうして一つになれるじゃないか。それが一番の幸せのはずだ。」
「それは私たちが愛し合っているからです。一方的に奪うのとは違います。」
部屋の灯りが芙蓉の瞳に映り込み、まるで瞳の奥に炎が燃え滾っているように見える。
「お前はなぜ俺の考え、俺の行動にそこまで文句をつける。俺の意思はお前の意思ではなかったのか?」
「そうです。マダラさまの夢は真の平和ですよね。私も同じです。マダラさまなら、もっと良い方法でそれを実現できると思うからです。」
「それが俺に反抗しているというのが分らねぇのか。俺のやり方に文句をつけるな!」
「・・・今の里は、千手一族だけが統治しているのと変わらない状態です。それも先ほどの真理に当てはめれば、きっといつか歪みを生み破綻の道を歩むでしょう。そこにはうちは一族の力、マダラさまの力が絶対に必要なはずです。」
「解ったような口ばかりききやがって・・・俺に指図するな!俺は、里になど興味は無い。俺が目指すのはこの世すべての平和だ!」
マダラは芙蓉の服を無理やり剥ぎ取り、再び無理やり口づけをし芙蓉の脚を開いた。
「お前は誰のものだ?答えろ。」
「マダラさまのものです…」
芙蓉は怒りで写輪眼が浮かび上がったマダラの目を、僅かに涙で潤む、強い目で見つめ返した。
マダラと芙蓉の身体がひとつになる。
一つになった二人の影が無言で壁に蠢いていた。