※この作品はR-18です。

罪の向こう、愛の絆   作:千野 伊織

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今回(No.0)は千手仏間×橘水蓮(芙蓉の母)の性描写を含む小説です。

登場人物は仏間、水蓮、謎の男、名前のみで仏間の父・鏡間、水蓮の両親。
舞台は仏間が水蓮を無理やり抱こうとした夏(本編4話)から4カ月後の大晦日。
水蓮は『傾国の術』に思い悩み続ける反面、仏間への愛情は高まるばかり。
二人が初詣に出かけた帰り、謎の男が目の前に現れ仏間とバトルに・・・・
目の前で初めて忍の戦い、忍の仏間を見た水蓮は!?
二人の愛情は・・・・?

【 if you XXX 】は基本的に、芙蓉×誰かの濡れ場がメインです。
ですが、芙蓉が「誰とでもしちゃうイケナイ子」なのではなく、作者の都合で色んな相手とさせられていて可哀想って思ってあげて下さい。(芙蓉、ごめんね…)
また、「if」ということで、「もしも」がテーマなので、本編の話に沿いながらも、本編の展開とは関係ありません。



【 if you XXX No.0 】心の上に刃を置いて・仏間と水蓮

 

真っ暗な道を、手に持った小さな灯りと僅かな月明りを頼りに先を急いでいる。

吐く息が空気に触れて、頬をかすめる時には冷たい霧に変わってゆく。

雪が降っていないことだけが幸いである。

仏間の家までは歩いて三十分ほど。走れば二十分弱で着く。

しかし水蓮は晴着の振袖を着て、足元は足袋に底が厚い草履を履いている為、小走りでしか走れず、早歩きとさほど変わらない速さである。しかも晴着が着崩れないよう気を付けなければならない。

 

・・・新しい年に最初に会うのは、仏間じゃなきゃ、嫌・・・

 

家を出て十分ほど。

子の刻を過ぎた頃、千手一族の集落の入り口に着いた。

仏間の家に続く大通りには、もう既に晴着を着て集落の一番端に在る、千手一族の信仰する神が祭られている大神神社へ向かう人々の姿が見られた。

水蓮はやっと明るい場所に辿り着き、人の姿を目にしてホッとした。

零時にはまだ余裕があるが、誰とも顔を合わせないよう、俯きながら再び小走りで走りだした。

 

見慣れているはずの大きな屋敷の前に着いたが、正面の大きな門は固く閉ざされている。しかし小さな明かりが門や塀に点々と灯されているため周囲はほの明るい。

水蓮は塀の左側に回り、ある場所で立ち止まった。

そして巾着の中に入れていた、丸い花崗岩を取り出した。この石は、仏間と出逢って暫くした頃、河原で剣術の稽古をしていた時、仏間がくれた想い出のものである。近くの明かりに照らされ、花崗岩の中の白雲母がキラキラと光った。その様子を見て水蓮は微笑んだ。だんだんと胸が高鳴ってくる。

 

カン…カン…カンカンカン…カン。

カン…カン…カンカンカン…カン。

 

その花崗岩で、塀に付いた×印の部分をリズミカルに叩いた。

すると、三十秒も経たないうちに、フッと晴着姿の仏間が塀の上に現れた。

「よう!ずいぶん早かったじゃないか。道中大丈夫だったか?」

そう言うと飛び降りて水蓮の隣りに着地した。腰には、念の為なのか刀を差している。

「うん。大丈夫だったよ。家の近くは暗くてちょっと怖かったけど。」

「だから俺の方が迎えに行くって言ったのに…なんかあったらどうすんだよ。帰りは問答無用に送ってくからな。」

「泊ってくからいいよ。」

「はぁ⁉いやそれはっ・・・俺は良いけど・・・さ、流石に駄目だろ・・・」

「冗談に決まってるでしょ。ばーか。フフッ。」

「・・・・・。」

「もぉ~そんな事いいから早く行こう!お汁粉が売切れちゃう~っ!」

「それが目当てでこんなに早く来たのかよ…はぁ。」

 

二人は大神神社に向かって歩き出した。

大通りに出ると、水蓮がそっと手を握ってきた。仏間はドキッとして水蓮を見た。

先ほどまで薄暗くてよく見えなかったが、水蓮は赤地に蝶・藤・桜が描かれた鮮やかな振袖に金糸で織られた帯を福良雀(ふくらすずめ)で巻き、鶯色の帯揚と帯締をしている。そして黒く長い髪を綺麗に編み込み、可愛らしいつまみ細工の花の髪飾りをつけている。

その姿はとても美しい。

歩きながら水蓮の姿と横顔に見惚れていると、その視線に気づいて水蓮が仏間の顔を見た。

「今、私に見惚れてたでしょぉ?」

「み、見惚れてなんてねーよ!向こうの出店見てただけだ。」

「フフッ。素直に可愛いぞって言っても、いいんだぜ?」

「・・・・・。」

 

 

ゴーン・・・・ゴーン・・・・・・

 

二人は除夜の鐘の横で、無事に買うことが出来た汁粉を食べながら休憩所の長椅子に並んで座って居る。

神社の境内には千手一族だけではなく領地内の一般市民も混じり、思ったよりも多くの人で賑わっていた。

「もうすぐ年明けかぁ・・・今年も早かったなぁ。」

「うん。来年は私たち、もう十八歳だね・・・」

「そう、だな・・・」

二人の間に沈黙が訪れる。

しかし、二人の考えていることは同じである。

十二歳のとき偶然森で出会い、十四歳で許嫁になり、そしてついに来年は結婚する十八歳を迎える。ちょうど一年後、結婚式を行うことになっている。

長かったようで、過ぎてしまえばあっという間だった。

だが、喜びに胸を高鳴らせている仏間とは対照的に、水蓮は再び胸が苦しくなっていた。

・・・傾国の術・・・

十四歳のあの日、母から聞かされた生々しく、おぞましい一族の秘術。

仏間と交わってしまえば、仏間を洗脳する術にかけてしまう・・・

この三年間、仏間が一生自分を愛してくれるならそれでいいと自分に言い聞かせてきたものの、やはり自己嫌悪と不安は完全には払しょくなどできなかった。

水蓮はふと、隣に座る仏間の横顔を見上げた。

掘りの深い顔に太い眉毛、力強い一重の大きな瞳、高い鼻、意志の強そうな口元…それから仏間の手に目を移した。関節が太く長い指は男らしく、何とも言えず色気がある。水蓮はその指を見つめながら、自分の胸だけではなく、違う部分まで熱くなるのを感じた。

頭の中で首を振る。

・・・だめ。いけないわ…こんな気持ち・・・

「‥ん?どうかしたのか?」

「仏間の白玉団子、分けて♪」

「嫌だよっ!お前のそれ大盛りだろ?相変わらず食いしん坊だなぁお前は。肥えるぞ?」

そう言って汁粉をすする仏間の横顔を見て、水蓮はなんとか先ほどまでの邪な気持を押し殺した。

・・・ゴーン・・・

また一つ、除夜の鐘が鳴った。

その鐘は、一〇八あるという人間の煩悩を祓う為に鳴らすものだ。一〇八の煩悩の中に、人の心に迷いを生じさせる六つ、『六根』というものがあるらしい。

それは、眼、耳、舌、鼻、身、意(意識)の六つである。

水蓮はその事を思い出し、その六根の穢れが祓われるどころか、鐘の音を聞きながらその六根の煩悩が膨らんでいく自分を嫌悪し、恥じた。

しかし、愛する仏間の隣りに居ると、そこがどんなに神聖な場所だろうとも、いまは煩悩しか生まれないのである。

「いよいよ最後の音だ。年が明けるぞ。」

「うっ、うん。そうだね。」

 

・・・・ゴーン。

 

一〇八回目の鐘が打たれ、年が明けた。

「「明けましておめでとうございます」」

二人は顔を見合わせ、にこやかに挨拶を交わした。

「今年はいよいよ結婚だな。忙しくなりそうだけど、よろしくな。」

「うん、よろしくね・・・仏間。」

「・・・?」

仏間は水蓮の様子が少しおかしい事に気が付いた。

「無理して夜中に出て来てくれてありがとうね…。私、どうしても新しい年の最初に会う人は、仏間じゃなきゃ嫌だったの。だから…嬉しい!」

「水蓮・・・。ああ、俺も嬉しいぞ。」

二人は笑顔を見せ合った後、立ち上がった。

「じゃあ、帰るか。」「そうだね。」

 

 

 

二人は千手一族の集落を出て、芙蓉の家に続く暗い道を歩き始めた。

今度は仏間から水蓮の手を握った。水蓮もその手をぎゅっと握り返す。

 

ザッ!!

「「⁉」」

 

二人の前に突然、黒い人影が現れた。

「何者だ!!」

仏間は芙蓉の前に立って庇い、明かりを人影に向けて身構えた。

すると、目の前の人影が露になり、そこには180cmを越える仏間と変わらない、大柄の男が身構えて立っていた。

「フン…男と一緒とは面倒だが、せっかく見つけた上玉だ。男、お前には死んでもらうぞ。」

「水蓮、ここを動くなよ。」

仏間はそう言うと明かりを水蓮に持たせ、刀を抜いて構えた。水蓮は驚きと恐怖で声も出ず、ただ仏間に言われる通り足に力を込めて立って居る。

 

バサッ!!

ガシィィィンッ!!!

 

仏間が先に男に仕掛け、その男も即座に刀を抜き、二人の刀がぶつかった。

男が刀を離して空中に飛び上がり、仏間に向けてクナイの雨を降らせてきた。

仏間は刀でそれを全て薙ぎ払った。

「お前…忍か?」

「ああ。千手一族だ。そのチャクラ、お前は千手の忍ではないな。どこから来た?」

「それを知ってどうする。お前はここで死ぬのだ。まぁ、そこに居る女を差し出すなら助けてやってもいいがな…」

「なぜこいつを狙っている。言え!!」

仏間の問いに答えることなく、男はその場で印を結ぶ。

「土遁・焦土召還!」

地面が急激に熱くなり、石が焼けて赤く光りはじめた。

「きゃっ!」

仏間は水蓮のもとに走って行き抱きかかえると、そのまま片手で印を結ぶ。

「水遁・雲水烈雨!!」

ズァァァァァッ!!!

上空から鋭いガラスの破片の様な水の塊が、灼熱の道と男の頭上に降り注ぐ。灼熱に熱された地面からは水蒸気が一瞬立ち上るがすぐに消え、地面の温度は下がってゆく。

仏間は水蓮を離れた場所に座らせると再び走って男へ向かって行く。

男は土の壁を作って仏間の術を防いでいたのだが、仏間の術のほうが勝り、数本の水の板がその壁を突き抜け男の身に突き刺さった。

「ぐっ・・・クソッ!!!」

男が腕や足から血を流しながら、土壁の上に上り、再び印を結ぼうとした。

しかし仏間は手裏剣を何枚も投げつけ、それを阻止した。男が手裏剣を防いでいる間に仏間は刀を構えて男の頭上に現れ、刀を振り下ろした。

ザシュッ!!!

「ぐあぁぁぁっ!!!」

男の上半身を切りつけ、男は土壁から地面に落ちて気を失った。

「…口ほども無い。クズがッ!!!」

仏間は倒れた男を見てそう呟くと、急いで水蓮のもとへ駆け寄った。

「大丈夫か⁉怪我は無いか⁉」

「・・・う・・・うん・・・」

仏間は水蓮の身体を支え、ゆっくりと立ち上がらせると水蓮の晴着に付いた土を手で払う。

「着物…汚れちまったな。悪い。」

「…仏間っ!!!」

水蓮は今になって恐怖が押し寄せてきて、震えながら仏間の胸に抱きついた。

「もう大丈夫だ…泣くなよ。」

「怖かった!怖かったよ!!・・・仏間!仏間は怪我してない?大丈夫⁉」

水蓮は顔を上げて涙を浮かべた険しい顔で仏間の顔を不安そうに見つめた。

「ああ。俺は全く大丈夫だ。大した相手じゃなったしな。」

「・・・・。」

 

その後、すぐに仏間は父の鏡間と上忍たちに報告に行き、男は拘束された。

仏間は男が水蓮を狙っていた理由が分からなかった事、相手が自分よりも格下の相手であった事もあり、男を取り調べる為に敢えてとどめを刺さなかった。

尋問した結果、男は土の国から来た抜け忍だった。

様々な犯罪に手を染め生活しているようだ。水蓮が仏間の家に向かう際、千手一族の集落の入り口で水蓮を見かけ目を付けていたという。水蓮を攫って弄んだあと豪商へ売ろうと考えたらしい。

 

 

二人は仏間の部屋で、二つ布団を並べ、揃って横になっていた。

先ほどの事件で当然、すぐに急いで水蓮の両親も仏間の家に駆け付けた。

もう心配は要らないのだが、未だ怯えている水蓮に両親は仏間の家に泊まらせて貰うように言った。水蓮は少し気は引けたが、やはり先ほどの恐怖が消えず、仏間と離れたくは無かった。

許嫁の二人。

当然のように芙蓉の布団は仏間の部屋に敷かれたのだった。

 

「この距離、意味なくね?」

「うるさい。文句言うな。」

二人の布団の間には、80センチほど微妙な距離が空いている。

「・・・助けてくれて、本当にありがとうね。仏間・・・」

「礼なんて言わなくていいよ。」

「・・・・」

水蓮は先ほどの仏間が戦っている姿を思い出す。

 

・・・あれが忍…。仏間はやはり忍なんだ。私は忍の妻になるのね・・・

 

そっと仏間の方を見る。

柔らかく温かい明かりに照らされていながら仏間は頭の後ろで手を組み、難しい顔をして天井を見上げていた。

「仏間?・・・どうしたの?」

「ん?ああ・・・俺は、駄目な奴だなぁって思ってさ。」

「なんで?」

「お前が何と言おうと、お前を夜中に一人で来させるべきじゃなかった。本当にすまない。お前を危険な目に遭わせたのは俺のせいだ。」

「仏間のせいじゃないよ!!だって、仏間が迎えに来てくれていたとしても、その時に襲われていたかもしれないんだし・・・でも、やっぱり仏間の言うことは聞いておくべきだったね。私も、ごめんね・・・」

水蓮は身体を仏間の方に向け、涙目になって言った。そして、布団から左手を出し、仏間に向かって伸ばした。それを見て、仏間も右手を出してその手を握った。

「…手ぇ、寒いんだけど…もっと、こっち寄れば?」

「んもうっ!」

水蓮はバサッと布団を除けて身体を起こすと、四つん這いになって仏間の布団に這って行った。

「⁉」

「ほら、もっと右に寄ってよ。入れないじゃない。」

水蓮は仏間の布団にもぐり込み、身体をぐりぐりと仏間に寄せ、布団の中で自分の場所を確保した。

・・・寄れって言ったけど、まさかこうなるとは・・・

仏間の心臓が高鳴る。恥ずかしくて水蓮の顔が見れず、それとなく顔を逸らす。

「あのね。実は今夜、お母様には泊まって来いって言われていたの…」

「え⁉」

「で、でも…流石にそれは気まずかったから、私は泊まるつもりは無かったの。でも仏間が家に私を迎えに来たら、母様が『今夜はよろしく』なんて仏間に言っちゃうと思って…そうなったら泊まらざるを得なくなるでしょ?…だから…迎えに来なくていいって言ったの。ごめん…」

「そ、そうだったんだ…」

二人は次の言葉に詰まる。

いや、言おうか戸惑っていた。

「仏間・・・私仏間のこと大好きだよ。仏間は?私のこと、好き?」

「あ、当たり前だろ!・・・す、好きだ。」

「一生?一生好きでいてくれる?私がどんな罪を犯しても・・・」

「ああ。俺は一生お前の味方だ。お前がどんな罪人、悪人になろうともな。」

「・・・嬉しい。」

仏間は身体を水蓮の方に向け、抱き締めた。

「水蓮・・・」

仏間の抱擁に、水蓮の身体には再び神社で感じた微熱、そして疼きが蘇ってきた。

胸が高鳴り、頭はぼうっとしてきて、このまま仏間に身体を委ねたくなる。

しかし…

 

『仏間に抱かれそうになったら、拒まず抱かれなさい。一刻でも早く、男を自分の虜、思い通りに洗脳するのよ。』

 

十四歳の頃のあの夜、あの母の言葉が蘇ってきた。

一瞬、心臓が止まるような感覚に息が詰まる。

その時、仏間が身体を離し、水蓮の顔を覗き込むようにして顔を近づけてきた。

目が合う。

水蓮は思わず目を泳がせ何度も瞬きをしたが、仏間は目を閉じ、水蓮に口づけをした。

このまま目を閉じてしまえば、全てが始まり、そして、全てが終わってしまう…。

・・・どうしよう、どうしよう。どうしたら良いの・・・

仏間は水蓮の唇を優しく吸い続けている。

・・・でも、もっと、もっと仏間に触れたい…触れてほしい・・・

 

抱かれることで仏間を洗脳してしまうことへの恐怖、自己嫌悪、迷い…

しかし、その迷いの中に混じって、確かに水蓮は仏間を求めていた。

 

気付けば、水蓮は仰向けにされ、仏間は身体を起こして水蓮の寝間着の帯を解こうとしていた。

「仏間・・・」

水蓮はその手を掴んだ。

「去年の夏のことは本当に悪かったって思ってる。でも、俺は‥俺は心からお前を愛してる。お前が、欲しいんだ…」

「・・・・うん・・・私も・・・」

 

仏間と水蓮は裸になり、抱き合った。

パチッ…

「きゃっ!」

火鉢の中の炭が割れた音に水蓮が小さく悲鳴をあげ、仏間の背中に回している手に力が入る。先ほど襲われた恐怖が思い出された。

「大丈夫だ。大丈夫だから…お前を誰にも傷つけさせたりしない。絶対に…」

仏間も水蓮の背中をきつく抱き締めた。

「私・・・昔、仏間の前で、忍なんて嫌いって言っちゃったこと・・・本当に、ごめんね。凄く反省してる。」

そう言うと水蓮は身体を離し、潤んだ目で仏間の顔を見上げた。そして続ける。

「仏間はいつも、私の知らない所で、ああやって私たちのことを命を懸けて守ってくれているのに・・・ごめんなさい。」

そう声を震わせて言うと、両目から涙が零れ落ちた。

「いいんだもう。あの言葉は俺にとって刃(やいば)だった。あれからいつも、あの言葉を心に突きつけ、忍として何が正しいのか問うて、そして律してきた。俺がここまで忍として成長できたのも、お前のあの言葉のお陰なんだ。感謝してる。」

仏間はそう言いながら、長い人差し指で優しく水蓮の涙を拭った。

「仏間・・・」

水蓮は仏間の頭を抱き寄せ口づけた。

これまで一ヶ月、二ヶ月…長い間会えない事は何度もあった。

再会した時はいつも、熱く長い口づけを交わしてきた。

しかし今の口づけは、これまでになく熱烈なものだった。

互いに愛と身体を欲し、そして互いに与え合う。

仏間は水蓮を横たえると、その唇を真っ白な乳房に移した。丸く柔らかい乳房を舌でなぞり、もう片方の乳房を左手で優しく揉みしだく。それから舌と左手の指先を水蓮の乳首に移して愛撫する。

「あっ・・・あんっ・・・・」

甘い声を洩らし、水蓮は仏間の頭を優しく抱き締めた。

暫くすると仏間は顔を上げ、息を上げて虚ろな目をしている水蓮の顔を見た。

「水蓮・・・可愛い。いや、綺麗だ・・・」

そう言うと今度は水蓮の首筋を舌でなぞる。

「あんっあああっ・・・・ん」

水蓮の下腹部は更に熱を帯び、まるでそこに心臓があるかと思うほどに疼く。

堪らなくなって仏間の背中を抱き締めると身体を起こし、今度は仏間の身体を押し仏間を仰向けにさせるとその上に載った。

「仏間もとってもカッコいい。本当に素敵よ・・・愛してる。」

そう言うと水蓮は仏間の耳に、はぁ、と熱い吐息を吹きかけた。

「んっ・・・」

仏間が僅かに身悶える。それを確認すると水蓮は仏間の耳を唇で軽く噛み、舌でなぞった。そのまま首筋に舌を移して上下に何度もなぞった。

「あっ・・・水蓮・・・」

仏間は水蓮の顎を掴んで引き寄せ口づけをし、自分の身体の上に載る水蓮の滑らかな背中を指先で愛撫した。

「はぁっ・・・あん・・・あああっ・・」

水蓮は快感に思わず唇を離し、身体を反らせた。

その浮いた尻を仏間が両手で鷲掴みにし、まさぐる。尻を押さえつけられた水蓮のへその下に、仏間の固いものが当たっている。

水蓮は右手を伸ばし、その固くなった男根を握った。

「仏間、凄い…」

水蓮は母に教わった通り、握った手を動かして固くなったそれをしごき始めた。仏間の男根は更に固く大きくなってゆく。もういつでも中には入れそうだ。

「うぁっ・・・・うっ・・・」

・・・気持ち良すぎる。このままじゃすぐ出てしまう・・・

仏間は急いで身体を起こし、また水蓮を仰向けに横たえた。

そしてその両足をもってゆっくりと開いた。

初めて見る女の秘部は、まるで夏の夕方に咲く、八重咲の酔芙蓉の花の様だった。

仏間はそこへ誘われるように顔を埋めた。

もうそこはじっとりと濡れており、甘酸っぱい香りを醸し出している。頭がくらくらしてきそうだった。だが、なんとか舌で探るようにそこを舐める。

「あっ…んっ…もっと、もっと上…そう、そこ。そこよ、仏間っ…気持ち良い…ハァハァハァ…」

水蓮が仏間を誘導し、仏間も探していた地点に辿り着いた。そこを何度も舌で弾き、吸い付く。

じゅるじゅるじゅるじゅ・・・

思わずいやらしい音を立ててしまい、仏間が焦って顔を上げた。

「・・・仏間。気持ち良いよ・・・・・ねぇお願い・・・きて。」

あれだけ仏間と一つになることを迷っていたはずなのに、気が付けば水蓮は自ら仏間を招き入れようとしていた。

 

・・・もうどうなってもいい。仏間となら・・・

 

仏間は少し震えた手で、男根を芙蓉の陰部に当てた。そして上下に動かし、蕩けた蜜が溢れ出している入り口に辿り着くと、恐る恐るそこへ挿入する。するりと亀頭がそこへ入った。

「あっ!!!」

「だ、大丈夫か?痛いか?」

「大丈夫・・・」

仏間は水蓮の腰を両手で掴むと、更に奥に挿入した。

「ああああっ!!!あんっ・・・」

水蓮は痛みと快感に両手で敷布団を掴んで身をよじらせる。

仏間はその様子を見て、これまでになく興奮してきた。

・・・やっと、やっと水蓮は俺だけのものになった・・・

気づけば一気に、水蓮の奥まで貫ていた。

「ああああああんっ・・・・・んっ・・・ぶ、仏間・・・」

水蓮は少し苦しそうな顔で仏間に微笑んで見せた。

「水蓮!」

仏間は無心で腰を振る。水蓮の膣がその度に締まり、更に腰の動きを速くさせる。

もう理性という文字は無い。

ひたすら、これまでずっと夢見て見上げていただけの、憧れの絶頂に向かってゆく。

「あんっあんっあんっ…はぁっはぁっ…ああああん…」

水蓮にも痛みと共に、痛みより大きな快感の波が押し寄せていた。

「水・・・蓮・・・愛して・・・るっ!!!」

仏間は思い切り子宮を突き上げ、その中で射精した。

その瞬間の感覚に、水蓮の快感も絶頂を迎え、仏間の男根を締め上げた。それでもなお男根は暫くびくびくと波打っている。

 

水蓮は仏間の顔を、目を見なかった。

しかし、ただ願った。

 

仏間が今以上に多くの人を守る立派な忍になれますように・・・と。

 

 

 

おしまい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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