(pixivでは元旦スペシャルとして投稿しました)
柱間、マダラ、扉間が木ノ葉の里の観光を盛り上げるべく、奮闘???します。
観光協会のメンバーである芙蓉、樹、カガミ、ヒルゼン、コハルはそれに振り回され・・・
お笑いありでお送りします(^^)
木ノ葉の里が設立して二年が過ぎ、里も安定し、繁栄を迎えていた。
これまで人の往来というと、行商や交易、そして他里からの忍の視察が大半であり、「観光」という目的で訪れる人は少なかった。
しかし最近は様々な施設が整い、楽しめる場所や見物できるものも増え、観光目的で訪れる一般人も増えてきていた。しかしそれらの観光客の一番の目的はやはり、千手一族とうちは一族が手を組んだという証拠をこの目で見ようという目的が多いようである。
そこで木ノ葉本部では、それらの観光客が木ノ葉の里で安全に過ごし、楽しみ、多くの買い物をして、そして里創設について知って貰うため、『観光協会』の設立が検討されていた。
◆
「はぁー…まだまだ里作りの実務で忙しいってのに、観光協会だと?もう少し後でも良いんじゃねぇのか…。俺は今はまだ、里の基礎固めのために一丸となって臨む時期だと思うがな。」
「マダラ、そうは言うが、現にもう一般人の観光客日に日にが増えてきておるのだ。やはりその者たちの為の組織が必要ぞ。客人は大いに歓迎し、もてなさなければならん!」
「そうだ。観光目的の者たちは里に金を落としていく。その事によって里はますます栄え、人々の生活も豊かになる。そして里本部の活動資金にもなるのだ。観光客を軽視するわけにはいかない。早急に対処せねばならん。」
マダラは柱間と扉間の意見に再び大きなため息をつき、椅子の背にだらりともたれ掛かって天を仰ぐ。
「また金かよ…金はうちは一族の賞金稼ぎと火の国からの任務でかなり稼げてるはずだがなぁ…。まぁだが、お前らの意見も理解できる。観光協会設立に反対はしない。だが、誰が主導してやるんだよ?俺たち三人共そんな暇ねぇだろ。」
三人はうーんと考え込む。
「上忍の誰かに…」
ガチャッ!ドン!!
「ハイ!!それ、私がやりまーす!」
突然、火影室の扉が開いて勢いよく樹が入ってきた。
「お前、立ち聞きしていたのか⁉マジで査定下げるぞっ!!」
扉間が樹に向かって怒鳴るが、全く悪びれる様子もなく樹が言う。
「私、秘書室の室長ですよぉ?ご用件でここに来たらたまたま聞こえただけですぅ~」
「ていうか扉間お前、感知出来なかったのかよ。ククッ…」
「いやっそれは…今チャクラを練っていないだけだ。」
「出た!『今チャクラ練って無いから』発言―っ!感知の扉間って呼ばれるくらいなら、常にチャクラ練っとくべきじゃないんですかぁ?ねぇマダラ様?」
「そうだな。その通りだ。」
「ぬぁぁにぃぃ~!!お前らぁ―っ・・・」
「こ、こらこら!いきなり喧嘩を始めるでないぞ!樹は秘書室長だ。別に立ち聞きするつもりではなかったのだろう。で、本当におぬしが観光協会設立の主導してくれるのか?樹よ。」
「はい!もちろんです。私にお任せください!」
樹とマダラVS扉間で睨み合っていた三人だが、柱間の言葉に樹が一抜けして柱間の前に身を乗り出した。自信満々の顔である。
「そ、そうか。では任せるとしようぞ!まずはおぬしの他のメンバーの人事案を作ってくれ。そうだのう…まずは四~五人位か?」
「上忍を五人もかよ⁉ただでさえ上忍不足なんだ。二人も居ればいいんじゃねぇの?」
「いや全員が上忍である必要性もないぞ。樹が上忍なのであれば他は中忍でよいのではないか?」
「ハイハイハーイ!思うんですけど、やっぱり一般人を一人、メンバーに入れた方が良いと思うんですよねぇ。ここは忍だけの里じゃないわけでしょ?それに観光客のほとんどは一般人なわけですから、やっぱり一般人の視点が必要だと思うんですよ。」
三人は確かに、という顔をする。
「確かにそうだ!流石は樹!良い事言うのう。ワハハハ!では一般人を含めた人事案を楽しみにしておるぞ。」
樹は火影室の扉を閉め、ウシシシと笑んだ。
・・・やった!!狙い通り観光協会設立決定!!
でもまさか主導役になれるなんて、それは超ラッキー♪・・・
樹は鼻歌を歌いながらスキップをして秘書室の前を通り過ぎて行った。
◆
「えー…なんで俺が?これ以上忙しくなるの嫌なんだけど…」
「千手代表が私だから、アンタはうちは代表ってことよ。それにアンタは上忍になったばっかなんだから、実績を作らなきゃ。」
「…まぁ、確かに。それに火影様と扉間様、そしてマダラ様も推している重要案件なら絶対に成功させないとな…」
「それで、やる?やらない?」
「フンッ!仕方ないな…やってやるよ。こんな重要な事、アンタだけに任せられねぇしな。」
「よしじゃあ決まりね!芙蓉も喜ぶわ~」
「おい、そうやって先生の名前を簡単に使う…」
「芙蓉もメンバーだよ?」
「え⁉な、なんでそれを早く言わないんだよ!!」
「だって、芙蓉がメンバーって言ったらアンタ、やりたくなくてもやったでしょ?そんなんじゃ困るんだよね。里の忍の大半が、たかが観光協会って思ってるけど、里の発展に関わる重要な事なんだ。それを解って無くて、色恋だけでやられちゃ困るからさ。」
その言葉を聞いてカガミは下を向いて頭を掻く。
「確かにまぁ…芙蓉先生が居るなら二つ返事でOKしてたかもな…でも先生は関係無く、観光協会設立は重要だと思うぜ。観光客が里で金を使えば里の経済は潤う。一度だけではなく何度も里に来て貰うためにも、しかっりもてなさねぇとな。」
「アンタ、良く解ってんじゃん!流石芙蓉の教え子、扉間の弟子だ!アンタを選んだ私の目にも狂いは無いってことね。フフッ。」
樹は考えていた以上にカガミが賢く、先見の目をもつ立派な忍だと感心した。そして嬉しくなってカガミの頭をクシャクシャと撫でた。
「や、やめろよっ!ガキ扱いすんな。」
「まだ十五歳じゃん。それに私よりまだ背ぇ低いしねー。アハハハ。」
「背は関係ない。俺はもう上忍だ。まぁ背丈の事をからかえるのもあと僅かだろうし、今のうち好きなだけ言えばいいさ。」
・・・か、可愛くないなぁ・・・
◆
「うちはカガミ、猿飛ヒルゼン、…んっ?橘…芙蓉⁉」
観光協会設立メンバー案を読み上げていた柱間と、それを聞いていたマダラと扉間が驚いて一斉に樹の方を向く。
「何か、問題でも?」
「い、いや、何も問題など無いぞ…だがそうなると…やはり…」
柱間が何か言いかけると、マダラがそれを遮る。
「あれから考えたんだが、やはり俺たち三人の誰かが観光協会を主導すべきじゃないか?」
「ああ!そうだな。だが火影は忙しい。ここは火影の右腕である俺が…」
「扉間!気を遣う必要は無いぞ!やはり俺自らが主導して民にアピールを…」
「てめぇらに務まるかよ!里の名付け親である俺がやるのが適任ってもんだろーが!」
観光協会の主導役を押し付け合っていた三人が、芙蓉がメンバーと知っていきなり主導権を握りたがる様子に、樹は顔をしかめて思い切り睨みつけた。
・・・まったくコイツらはぁ(怒)・・・
「ちょっと皆さん、あまりにも解りやす過ぎです!芙蓉が居るからって…そんな不純な理由でメンバーに入られては困ります。それに、主導役は私のハズですよ?」
『うっ・・・・』
三人は何も言い返すことが出来ない。
「観光協会の活動の中で皆さんには色々とご協力して頂きますので、その時は、よろしくお願いします。いいですねっ⁉」
「も、勿論だぞ!ワハハハ!」
「ああ・・・」
「ま、任せろ。」
三人は芙蓉をメンバーにするという案を思いつかなかったことに後悔し、こんなことなら最初から自分が主導役になっておけば良かったと心の中でうな垂れたのだった。
◆
里本部の一室。今日から当分はここが木ノ葉観光協会の本部となる。
樹、芙蓉、カガミ、ヒルゼン、そして本人希望で後日加入したコハルが机を囲んでいる。
「・・・よし。観光案内パンフレット、観光案内図の制作は手分けして情報を集めて、それを基に原稿を作って業者に発注するってことでOKだね。常設の観光案内所の設置場所は里の入り口の茶屋の隣りの敷地を借りられるよう交渉する。で、職員はとりあえず三人で求人を出す。なる早で予算案作って火影に提出しよう。」
そう言って主導役の樹がこれまでの話をまとめた。
「じゃあ早速明日から情報収集だな!」
ヒルゼンが腕を頭の後ろで組んで胸を張り、はりきる。
「そうだな。…あのさ、でも、なーんか物足りなくないか?目玉が無いって言うかなんて言うか・・・」
カガミはそう言って腕を組んで適切な言葉を探す。
「あ、私も思った!里は出来たばっかりで正直これっていう目玉の名所とか、名物ってまだ無いんだよねぇ…せめてなんかイベントでもあればいいんだけど。」
コハルがカガミの意見に賛同し、付け加えた。
「コハル!それよ!イベント!これから恒例になるイベントを作るのよ!」
樹がそう言って思い切り立ち上がり、拳を握る。
それを見上げて芙蓉が言う。
「確かに今は節句や季節のお祭りくらいで、木ノ葉の里ならではのイベントって無いね。里ならではっていうと・・・やっぱり火影さまなんじゃない?」
「「火影???」」
全員が頭をかしげる。確かに火影は木ノ葉隠れの里の“顔”ではあるが・・・
「火影さま自ら、イベントに参加して貰うのはどうかな?」
「うん確かに…。それは観光客が沢山集まりそうだね。いいかも!」
樹が芙蓉に同意して、早速考えを巡らせ始めた。
「いやいや。流石にそれは…火影様はお忙しいし…」
そこへカガミが苦言を呈した。
「一日くらいならいいんじゃない?扉間様もいらっしゃるし。火影様もそういうの好きそうじゃない?」
コハルは芙蓉と樹に賛成のようである。
「俺は個人的に、火影様が忍以外のことやってるの見てみたいかも!」
ヒルゼンは好奇心のほうが優っているようだ。
「柱間さまだけじゃなく、せっかくだから扉間さまとマダラさまにも参加して貰ったら、もっと盛り上がるんじゃないかしら?」
そして芙蓉は笑顔でとんでもないことをさらりと言った。
「いや・・・流石にあの二人は嫌がるんじゃないかなぁ?・・・」
流石の樹も少し引きつった笑顔で答える。
扉間もマダラも協力してくれると言ってくれたものの、流石にあの二人は表舞台に出るのは嫌がりそうだ。他の三人も同意見のようで、うんうんと頷いた。
「うーん…でも、扉間さまもマダラさまも、女性中心に人気があるから、盛り上がると思うんだけどなぁ。」
「あぁ確かにね…女性の消費、影響力って侮れないからなぁ…。協力するっつってたし。それに、芙蓉が頼めば二人共断れないだろうしぃ~。いいかもね!じゃあイベントの企画考えて持って行ってみる?」
「「賛―成―!!!」」
「えぇ――…」
うな垂れるカガミ以外の全員が右手を上げてニコニコと笑っている。
確かに芙蓉の頼みなら扉間とマダラも断れないだろう。
だが、柱間VSマダラ、マダラVS扉間・・・
その構図がイベントを混乱させなければいいのだが…とカガミはとても不安に思った。
◆
「ちょっと・・・なにこれ・・・」
樹が顔を引きつらせて、怒りを込めて目の前の三人を見ている。
「これじゃ人力車の意味、全く無いな…」
カガミも腕を組み、冷たい目でそれを見ている。
まず試しに開催してみる事にしたイベント第一弾として考え付いたのは、火影自らが抽選で選ばれた観光客を人力車で観光案内するというものだった。
火影だけではなく、扉間とマダラにも参加してもらうことになった。勿論、二人は最初嫌がったのだが、芙蓉が潤んだ目で訴えると速効OKした。
各人が案内するのは一人10人。コースは僅か500m。里の入り口から里本部までだ。
「順番ぞ!ちゃんと皆と握手と自撮りするから安心せい。ワハハハハ!」
扉間は抽選で選ばれた若い女性たちに囲まれ、その肩を抱きながらデレデレし、一緒に写真を撮り続けている。いっこうに人力車が出発する気配は、無い。
「ちょっとーっ!早く出発して下さぁい!!後つかえてますからぁっ!!!」
樹が柱間に叫ぶが聞こえていない。
「運べばいいんだろ。何か問題あるのか?俺の術を体験できるだけでも充分すぎる価値があるだろ。」
扉間は、飛雷神の術で目的地まで往復していた。あっという間に順番待ちの客の数が減ってゆく。
「いやいやいや!!人力車の意味無いしっ!!ちゃんと歩いてっ!!!」
「・・・めんどくさっ・・・」
「いや、結局めんどうなだけ⁉」
そして、マダラはというと・・・
「なんで俺が背中を見せんといかんのだ。フンッ。有り得ん。」
引いて行くはずの人力車を、なぜか押している。
しかも、当然押して動かす物ではないため、途中で動かすのが面倒になったのか、連れて来ていた部下二人に押させている。
「せめて、せめて自分で押して下さぁーーーいっ!!!」
樹が涙目で叫ぶ。
「俺に指図するな!」
「はぁ⁉私、観光協会の主導役ですけどぉ⁉」
「マダラさま!お願いします。私もお手伝いしますから、一緒に人力車を引きましょう?」
芙蓉がマダラと樹の間に割って入り、マダラを説得する。
すると人力車に乗っていた五十代とおぼしき女性が申し訳なさそうに、恥ずかしそうに、言って来た。
「あ、いえ・・・これだと里の景色も、マダラ様のお顔も同時に見られるので、むしろ嬉しいですわぁ。ウフフッ!」
「「・・・・・」」
三人は固まった。
これはこれで、需要があるようだ…。
◆
「駄目!!!ずえんっぜぇん、駄目!!!何、あいつら・・・」
樹が机を叩いて怒っている。
グダグダなお試しイベント第一弾が終わり、樹と芙蓉たちは観光協会本部の部屋で反省会を始めていた。
「樹ちゃん、ごめんね・・・私が柱間さま、扉間さま、マダラさま達なんかに、お願いしようって言ったから・・・」
「芙蓉先生は悪くないよ。案自体は、良い案だったと思うよ?」
カガミが落ち込む芙蓉を励ました。内心は三人が変に争い合わないで済んだだけで良かったと安堵している。
「いやいや芙蓉さん、遠回しにあの御三人やっぱダメって言ってますよ?それ…」
コハルが申し訳なさそうに突っ込んだ。
「俺はあれはあれで良かったって思ったぜ?三人の個性が出てて。忍の里ならではって感じだったんじゃないか?なんだかんだお客さんも見てる観客も盛り上がってたしな。」
ヒルゼンがニコニコしながら言った。
「ま、まぁ、確かにヒルゼンが言う通りな所もあるけど…でも、見てるこっちが恥ずかしかったっつーの。あれが里を代表する三人だよ?最初くらい真面目にして欲しかった!」
樹はそう言うとブスッとして腕を組み、ドスンと椅子に腰かけた。
「どうします?もう一度、人力車企画、リベンジしてみます??」
コハルが樹に訊ねた。
「もういいんじゃねーの。違う案だそうぜ…出来れば火影様だけに参加してもらうイベントをさぁ。」
カガミが斜めに視線を落としてぼそりと言った。
「でもやっぱり、柱間さまだけより、せめて扉間さまかマダラさま、どちらか一緒にして貰った方が良いと思うなぁ・・・」
芙蓉が少し申し訳なさそうな笑顔で言った。
「うん。だってアホだもんね火影様。一人だと何かやらかしそうで心配だわ~」
「失礼ですよ!樹さんっ!!!ちょっと天然さんなだけですよ。」
コハルが樹をすかさず諫めた。流石に火影は尊敬しなくては…。
「あのね、マダラさまから聞いたんだけど、柱間さまと昔子供の頃、色んな事を競って修行してたんですって。だから里を作った二人の友情を表現できるような、何か二人で競争するものが良いんじゃないかな?」
その芙蓉の発言に、カガミがぎょっとして芙蓉を見つめた。
・・・何を言い出すんだ先生っ!!トラブル起こすだけだってぇーっ!・・・
「あ、それいいんじゃない?柱間VSマダラ。かつてのライバル対決再びって、ウケるよ絶対!」
「俺もそれすっげー見てみたい!!!」
「ヒルゼン、あんたの興味はどうでもいいんだって…」
コハルがそう言って目を輝かしているヒルゼンの肩を叩いた。
「で、でも競争って、どんなことで?平和の象徴の里なんだからさ、ゆったり、穏やかなやつが良いと思うんだけど・・・。たとえば将棋とか!」
柱間VSマダラ企画の話の流れを変えられないと悟ったカガミが、せめて穏便に済むようにと考えて発言した。
「えーでもそれって見てて楽しい?私楽しくない。」
コハルがカガミに意見した。
「お、おい、お前の興味は良いのかよっ!」
ヒルゼンが焦ってコハルに突っ込む。
「昔よくやっていたのは『垂直崖上り』だって言ってたかな・・・ほら、顔岩がある崖があるでしょ?あそこを上っていたんですって。」
「おっ、それいいじゃん!エピソードもちゃんとあるし、スピード感があって見てる方も盛り上がるよ!!!」
樹がぱんっと手を叩いて明るい顔になった。
「それにしようぜ!!!俺も絶対それが良いと思う!!!」
「かつての修行を今また二人で再現する…いい話ですよね。私もそれが良いと思う!」
・・・どうなっても知んねぇからなぁ・・・
カガミはまた、ひとりうな垂れた。
◆
「柱間、お前とまた勝負できるとは嬉しいぜ。まぁ勝つのは俺だがな!」
「何を言う、勝つのは俺ぞ!」
柱間とマダラが甲冑を身に纏い、顔岩の足元に並んで互いに睨み合っている。
周りには観光客だけではなく、多くの観客が集まり、スタート前の二人に声援を送っている。
屋台や出店まで出て、まさにお祭り騒ぎ。イベントとしては実に良い盛り上がりだった。
「二人共ノリノリだし、お客さんもこんなに集まってすっごく盛り上がってる。良かったよね、この企画にして!!」
コハルが隣に居るヒルゼンに嬉しそうに話しかけた。
「うん。良かったぜ!やっぱ真剣勝負は盛り上がるよな!あ~楽しみ!!」
風が吹き抜け、そして無風になる。
スタート進行役の樹がそれを確認すると、向かいに居るカガミに目で合図する。
・・・ったく。なんで俺の写輪眼をこんなことに・・・
カガミはフライングや不正が無いか写輪眼で見ている役立だ。
「それじゃ御二人共、そろそろスタートしますよ・・・準備はいいですか?」
「ああ。」
「おう!!」
二人が身構え、ゴールのある頂上を見上げた時だった。
「柱間さま~!マダラさま~!頑張って~!!!」
扉間と二人でゴールテープを握っている芙蓉が僅かに顔を出し、二人に手を振っているのが見えた。
・・・絶対、負けられない戦いが、ここにあるっっっ・・・
崖の上に居る扉間には、芙蓉の声援で二人のチャクラが更に強まり、更に張り切っているのが伝わってきた。明らかに先ほどとは気合の入りようが違う。
「・・・・。」
扉間も少し顔を出し、無言で二人を眺めた。
「では、よーい、スタート!!!」
「「うぉぉぉぉぉぉーーーー!!!!」」
二人が物凄いスピードで垂直に崖を走り、上り始めた。
観客の声援の声も更に大きくなる。
最強の忍の二人である。あっという間にゴールに近づいてゆく。
「・・・すっげ。二人共まったく差がねぇし・・・」
カガミが写輪眼で見上げながら驚いている。
「さあ、どっちが勝つかねぇ。まぁ同着でもいいんだけどさ。」
樹も額に手を当てながら二人を見上げている。
二人の目にゴールテープが見えた。
あと一歩踏み出せば崖を上りきる。
「「⁉」」
二人の目の前に一瞬だけ、扉間が写った。
「「うっわぁーーーーーっ!!!!」」
ゴールを目の前に、二人が崖から落ちてゆく。
「え⁉なに⁉何が起こったんでしょうか!急に二人共落ちて行きましたけど…」
「さあな。」
驚く芙蓉の問いに扉間が先ほどと変わらず二人でゴールテープを握ったまま、無表情で答えた。
「と、扉間ァ・・・てめぇ許さんぞ!!!ぜってー殺す!!!」
「コラ!扉間!!なんてことをするんぞ!!危ないだろう!!」
「すまーん。足が滑ったー。」
「「はぁ⁉」」
二人が崖の下に着地し、崖の上の扉間に向かって叫んでいる。
観客は急に崖の上から落ちてきた二人を見て爆笑している。
「・・・・」
樹とカガミは呆れて何も言えない。
ゴールに扉間を置いたのが間違いだった…。
その後、二人は改めて勝負をすることになった。
ゴール地点に写輪眼のカガミを置いたが、何度やっても同着ばかりが続いた。もういい加減、同着で終了しようと皆で説得したが聞かなかった。
勝負の回数が四十回を超えたあたりから、観客が目に見えて減っていった。
「あのぉ…まだあの御二人、勝負続けてるんですか?」
「うん。勝敗がつくまで続けるんですって。あ、コハルちゃんも白いご飯要る?」
陽はとっぷりと暮れ、空には満月が浮かんでいる。
観光協会のメンバーは、芙蓉の家で水炊き鍋をつついていた。
「やっぱアホでも火影様ピンのほうがいいねー。で、なんで、卑劣、様がここに居るんですかぁ?」
樹が無表情で鶏肉を口に運びながら言った。
「うるさい。文句があるならお前が出て行け。」
扉間が無表情で熱燗の猪口をぐっと飲み干す。
「ねぇヒルゼン君もまだ勝負を見ているの?」
「二人の熱い勝負を見届けるんだってさ…」
芙蓉が追加の鍋の具を運んできてカガミに訊くと、カガミは無表情で白飯を口にかき込みながら答えた。
「ぜってー負けねぇっ!!!いい加減諦めろ柱間ァ!!!」
「俺だって負けんぞぉ!!!お前が降参しろマダラ!!!」
この日も、平和に木ノ葉の里の夜がふけてゆく。
おしまい♪