今回(No.6)の登場人物は、扉間、OC/千手樹、うずまきミト、柱間。
結婚後、芙蓉は生きている設定。更に現代要素を取り入れています。
2回に分けてお送りします。今回はその後編です。
結婚三周年を迎えた扉間と芙蓉。
芙蓉は扉間に対してある作戦を決行しますが、どSの扉間に逆手に取られて・・・
しかし、芙蓉もただでは負けない!
卑劣には卑劣を!!愛溢れる夫婦対決♪
そして扉間は自分が登場した雑誌をもとに芙蓉へサプライズプレゼントをしますが・・・
結婚三年目の壁、二人はどう乗り越えるのか!?
※扉間と芙蓉の性描写があります。
【 if you XXX 】は基本的に、
芙蓉×誰かの濡れ場がメインです。
ですが、芙蓉が誰とでもしちゃうイケナイ子なのではなく、作者の都合で色んな相手とさせられていて可哀想って思ってあげて下さい。(芙蓉、ごめんね…)
また、「if」ということで、「もしも」がテーマなので、本編の話に沿いながらも、本編の展開とは関係ありません。
皿洗いの後、風呂を沸かし、扉間の着替えを用意した。一階から二階に居る扉間を呼ぼうと声を掛けようとしたが、言葉に詰まる。いや、でもここでくじけてはいけない。
「おい!風呂が沸いたよ!冷める前に入っておくれ。」
「・・・ああ。わかった。」
暫くすると扉間が階段を下りる音が聞こえ、風呂場に向かって行った。芙蓉は食卓にうつ伏せながらそれを聞いていた。すると足音がこちらに向かってくる。緊張で芙蓉の胸がドキドキと心拍数を上げる。
「おい。久しぶりに、一緒に入らないか?」
「…ああ!いいよ。」
芙蓉は顔を上げて笑顔で答えた。自分の言葉遣いはさておき、とても嬉しい。扉間もその顔を見て少しほっとして苦笑する。
「寒くなってきたから、こうして二人で入るのもいいな。よく温まる。」
「ああ・・・そうだな。あんたから誘ってくれて・・・嬉しかったよ。」
「そうか。俺もお前と一緒に入れて、嬉しいぞ。」
扉間はそう言って向かい合って湯船に浸かっている芙蓉を抱き寄せた。
・・・と、扉間さまあぁ~・・・
芙蓉はその嬉しさに、いつもの自分に戻って甘えたくなるがグッと堪える。
「なぁ芙蓉。たまには洋食でも食べに行かないか?」
「え?あ、ああ。いいね。行きたいよ。いつ?いつ行く?」
いつもの芙蓉であれば自分からいつ行くかと催促することは無い。扉間が言いだすまで待っている。だがそれをきちんと言うのも、この演技をしている理由である。
「明日だ。」
「え?でも、貴‥あんた、明日は仕事だろ?夜に行くのか?」
「いや、明日は休みを取った。たまにはお前と一日ゆっくり過ごしたいんだ。」
・・・どうせ、あの二人(樹・ミト)の入れ知恵なんだろうが、いつまでこのキャラを続けるつもりなんだぁ?ハァ・・・
・・・と、扉間さまあぁ~ああっ!・・・
心の中で大く溜息を吐きながら顔では微笑する扉間。そして明らかに、はにゃ~んと蕩けている芙蓉の顔は演じている『コウ』ではなく、芙蓉そのものだった。
二人は背中を流し合った後、風呂を出た。
「今夜はセックスするぞ。」
「はっ、はぁ⁉」
「なんだ?嫌なのか?」
「い、嫌・・・では、ないけど・・・そんなにハッキリ言わなくても・・・」
「ハッキリ言葉で言わないと分らないんだろう?ほら、行くぞ」
「えっえええぇ・・・そ、そうだけど・・・」
芙蓉は顔を真っ赤にして下を向いたまま、扉間に手を引かれて二階に上がる。
バタン。扉が閉められた。
芙蓉は部屋の中央でまだ俯いて突っ立ってる。
・・・ど、どうしよう。今日はしないって決めてたのに。扉間さまの勢いに負けちゃった…演技したままするの⁉でも今更断れないし…樹ちゃん、ミト様、どうしよう⁉・・・
「ほら、来いよ。」
扉間が寝台の上に先に座って芙蓉を呼んだ。しかし、どうしていいか分からず芙蓉は固まったままだ。すると扉間はすくっと立ち上がり、芙蓉に歩み寄った。
「きゃっ!・・・な、なにするんだよ!じ、自分で行けるって!」
抱きかかえられた。芙蓉は反射的に演技を続けることを選んでしまった。
「呼んでも来ないからだろ?」
「や、や、やっぱり、今日はやめよう!明日にしよう!な?」
ドサッ。
「俺は今、芙蓉と、セックスが、したいんだ。」
・・・二回も言葉にして言わないでぇぇぇっ!・・・
扉間が仰向けになった芙蓉の服と下着を脱がしてゆく。芙蓉はどうすることも出来ずにされるがままで、間もなく芙蓉の真っ白な全裸が露になる。
・・・よし。黙って居よう。しゃべらなければいつも通り終わるわ・・・
「今日はどの体位からしたい?」
扉間が自分も裸になりながら訊いてきた。
「えっ、いや・・・どれでも、いいぞ・・・」
「言葉でハッキリ言わないと分らないんだろう?今日は全てお前の望み通りにしてやる。その代わり、ハッキリ言葉にして言うんだぞ。」
・・・木乃伊取りが木乃伊になるってこの事ねぇ(号泣)・・・
「どこから触って欲しい?それともキスからか?ほら言え!」
「き、キスからで・・・」
・・・ああ・・・死んだわ、これ・・・
チュッチュッチュッ…扉間が優しく芙蓉の唇を吸う。そして顔を上げる。
「次は?何をして欲しい?」
「えっと、じゃあ、胸を・・・触って・・・く、くれ。」
芙蓉はあまりの恥ずかしさで頭も回らず、なんとかコウの演技で答えた。
扉間の両手が芙蓉の両胸に伸び、鷲掴みにして揉みしだく。
「これだけで良いのか?んん?」
「あ、ああ…それだけで、いい。」
「そうか。じゃあ、次は?どうして欲しい?」
「・・・・・・。」
・・・これがずっと続くの⁉これじゃ拷問だわ!耐えられない!!
こうなったら兎に角早く終わらせるしかないわ・・・
「い、入れてくれ。」
「何をだ?」
「扉間さまの・・・その・・・・のを。」
「俺の何をどこにだ?ちゃんと言葉にして言え。分らんぞ。」
「・・・・・これだ!これをあたしの膣の中に入れてくれ。」
芙蓉は何とか明言を避けようと扉間の男根を掴んだ。
「・・・・。」
扉間は黙って芙蓉の股間に手を伸ばして膣の入り口を触った。
「全然濡れて無いが?これじゃ入らんな…濡らす方法はいくらでもあるなぁ…どうして欲しい?早く入れて欲しいんだろう?」
芙蓉の頭の中で、いつも扉間がしてくれる前戯がいくつか浮かぶ。しかし、それを一つ一つ全て言葉に出して指示しなければならないのか?考えるだけで恥ずかしくて死にそうになる。濡れるものも濡れるわけが無い。
「・・・・・私が悪かったです!!ごめんなさいっ!!!もう許して!」
ついに芙蓉が負けてしまった。いや必然的に負けてしまったというほうが正しい。
「ハハハハッ!やっと普通に戻ったか。ハハハ…いや、俺もやり過ぎた。悪い悪い。ハハハハッ!・・・って、おい、泣くなよ!!」
「だ、だって…酷いっ…酷すぎよっ…あんまりだわっ…」
芙蓉は顔を覆って泣き始めてしまった。
「俺が悪かった、悪かったって!泣くなって!!・・・」
扉間は寝台に横になり、芙蓉を抱き締め頭を撫でて慰めるが芙蓉は泣きじゃくる。相当辛かったようだ。扉間はつい乗り気、いや、やり過ぎた事を、僅かだけ、反省した。背中もさすり芙蓉が泣き止むのを待ちながらも、扉間の顔は明らかににやけている。
そしてようやく芙蓉が泣き止んだ。
扉間から身体を少し離し、扉間の胸元を見ながら言葉を絞り出す。
「・・・私も、ごめんなさい。あんな演技しちゃって・・・。言葉でちゃんと伝えて欲しかったの・・・色々。美味しいなら美味しい。愛してるなら愛してるって・・・それに、結婚する前みたいに、もっと私に関心を持って欲しかったの・・・」
扉間は夕食中の会話で、その意味に気が付いていた。
そうして直ぐに気が付くことが出来たのは、夕方、ミトに言われた言葉のお陰でもあった。
“釣った魚に餌をやらない”
そんな自覚は無かったし、むしろ自分はその辺の夫よりも妻を愛し、それを充分伝えられているとさえ思っていた。だが、ミトの発言といい、芙蓉の突然の演技といい、自分に至らない点があり、そのことで芙蓉を悩ませているのだと分った。
それは、きちんと言葉で表現し、伝えられていないという事だった。
芙蓉の性格だ。面と向かって不平不満言うことは出来なかったのだろう。そこにきて、親友二人から入れ知恵された結果がこれだろう。
・・・それであんな演技をし、俺に不満を伝えようとしていたのか・・・
「お前には辛く寂しい想いをさせてしまっていたな…これからはもっと感謝や感想、愛情をきちんと言葉で言うよう気を付ける。許してくれ。」
そう言って扉間は芙蓉の額に口づけをした。
ようやく芙蓉は笑顔を見せ、二人は顔を見合わせて笑った。
そして、芙蓉は演技をすることになった経緯と理由を改めて扉間に説明して聞かせた。
「でも、扉間さまがあんな対応してくるなんて思ってもなかった…本当に死ぬほど恥ずかしかったんですからねっ!」
「いや、スマン。俺も悪ノリしすぎた。お前が頑なにキャラを突き通すから、つい楽し…いや、ムキになってしまってな。はははは。」
「た、楽しい?ひどいっ!」
芙蓉はそう言って頬を膨らまし、扉間の胸に抱き着いた。直ぐにその身体を扉間が離し、芙蓉に優しく口づけをする。そして再び仰向けにし、芙蓉の上に覆いかぶさると芙蓉の両手首を握り、耳元で囁く。
「…お前だって、して欲しい事はきちんと言葉で言わんと俺には伝わらないんだぞ?…昔も言っただろ。お前が望むことは全てしてやると…」
芙蓉はその言葉と熱い吐息に胸が高鳴り、身体が熱くなってゆく。
「でも…恥ずかしいんだもん…」
「だろ?俺だって恥ずかしいんだ…お互い様ってことだ。」
扉間は左手で芙蓉の乳房を掴み、もう片方の乳首に吸い付いた。そして舌で舐め回す。
「あっああんっ…それ、すごく気持ち良いわ。扉間さま…」
「…確かに。そう言葉で伝えられると更に嬉しいものだな。」
二人は見つめ合った。
「「愛してる」」
言葉が重なった。
芙蓉は身体を起こすと、扉間の両肩を持って仰向けにさせ、今度は自分がその上に覆いかぶさった。
「重くない?」
「フッ。いやまったく。」
芙蓉はその言葉を聞くと扉間の首筋にそっと口づけをし、舌でゆっくり上下させてなぞってゆく。
「ねぇ、扉間さまも首、気持ち良い?」
「ああ・・・気持ち良いぞ。」
芙蓉は舌を首筋から鎖骨へとなぞっていく。その快感に扉間は目を閉じ、芙蓉の頭をそっと抱える。そして今度は鎖骨へチュッチュッと口づけを始めた。
タートルネックを着ることが多い扉間の鎖骨は、きっと妻である自分しか滅多に見られないだろう。かつて結婚前、自分だけが知っている扉間の情熱を知った時の、あの何とも言えないむず痒さと嬉しさで胸がときめく。
そしてその唇は扉間の左の乳首に辿り着き、舌で丁寧に舐め始めた。
「ねぇ、乳首も、気持ち良い?」
「ああ・・・そこも、気持ちが良いな。」
芙蓉は扉間の顔を見てニコッと微笑むと、今度は右の乳首を舐め始める。扉間はその芙蓉の背中を指先で触れるか触れないかで愛撫する。
「あっ・・・あっ・・・」
扉間の愛撫で芙蓉が乳首から口を離し、背中を反らす。
そして今度は扉間が芙蓉の両乳首を両手で弄び始めた。
「あああんっ…あっあっ…はぁあんっ…」
芙蓉は果ててしまいそうになり、急いでぐっと扉間の男根を握った。
「…ふふっ。扉間さま、こんなにおおきくなってますよ?…早く入れたいの?」
「…ああ…早く、芙蓉の中に、入れたい」
「だーめ」
芙蓉はそう言うと扉間の足の間に入り、大きくなった男根を両手で握った。それ越しに、扉間の顔を見て不敵な笑みを浮かべる。
「・・・?」
「扉間さまがもう我慢の限界ってなるまで、入れさせてあげないわ」
そう言うと芙蓉は男根を咥えた。何度か大きく口を開けながら、頑張って口の奥まで咥えると、舌と唇を使ってしゃぶり始めた。
じゅるじゅるじゅるじゅる・・・
大袈裟に音を立てる。
「うっ・・・・」
思わず扉間が身悶えて声を洩らした。その声を聞くと芙蓉は更に激しくしゃぶりつく。
「うっ・・・あっ・・・芙蓉・・・・・・」
芙蓉はすぽっと男根から口を離した。そして目を細め快感に浸っている扉間を見て、再び不敵に微笑むと、右手で男根を掴んだ。そして唾液でねばつく男根を激しくしごき始めた。
「・・・・・っ!!!」
・・・ヤバイ、ヤバイっ!いく!!・・・
「ふ、芙蓉・・・もう、もうお前の中に入れさせて、くれ」
「ふふっ。だめですわ」
そう言って芙蓉は扉間の左の乳首を舐めながら、さらに右手を動かし、しごき続ける。
「芙蓉!だめだ!でる!やめろって!!・・・」
焦る扉間の言葉も完全に無視し、芙蓉は刺激を止めない。
「・・・・・・・・っ!!!!うああっ!!!」
ついに扉間は果ててしまい、芙蓉の手と扉間のへその上に大量の精液が射精された。
「あらあら。扉間さまったら、お行儀が悪いですわ。ちゃんと私の中で出さないとだめじゃないの。ふふっ。」
扉間はいつになく大胆でいやらしい芙蓉の様子と、味わったことのない敗北感で顔を赤らめ、それを右腕で覆って隠した。
射精したばかりの男根は、その何とも言えない興奮で直ぐに再び大きくなる。芙蓉も精液で更にぬるつく男根を再びしごき始めた。ぬるぬるとした感触が芙蓉の膣の中を連想させ、あっという間に男根はすっかり大きく、固くなってしまった。
「芙蓉・・・頼む。もう中に、お前の中に入れさせてくれ」
「はい」
芙蓉は子供の様な屈託のない笑顔で返事をすると、扉間の上に跨った。
「⁉」
そして扉間の男根を支えながら、自分の膣の中へ挿入する。
「ああんっ・・・気持ち良い。扉間さまのおちんちん、すっごく気持ちが良いわ。大好き」
・・・だぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!・・・・・
さきほど芙蓉をいじめて無理やり言わせようとしていた言葉を、いま、言われ、扉間が恥ずかしさで思わず乙女の様に顔を両手で覆って隠した。
「ふふふっ。扉間さまったら、かわいいっ♪」
「うっ、うるさいわっ!!!」
扉間は芙蓉の腰を両手で掴み、鬱憤を晴らすように激しく芙蓉の中を突き上げた。
「あんっあんっあんっあんっ…ああっ…ああんっ…やっ…激しいっ…」
芙蓉の乳房と身体全体が激しく上下する。芙蓉は天を仰ぎ、快感の頂点に向かってゆく。
「ああっだめぇ・・・もう、いっちゃうっ・・・・扉間さまぁっ!!!」
「俺もお前の中にめいっぱいぶちまけてやる!」
「ああああぁぁぁぁああんっ・・・・・んんっ・・・」
芙蓉が激しく果てた後、続いて扉間も果ててしまった。
・・ハァハァハァハァ・・・
この夜、二人は久しぶりに思う存分、時間を忘れて夜の営みを愉しんだ。
◆
「悪いな。だがすぐ終わる。先に恩賜公園の御茶屋に行っててくれ。」
「分りました。焦らなくて大丈夫ですよ。私もお庭見てますから。」
「ああそうだ。お前の部屋(いまは二人の寝室)の入り口に茶色の紙袋が置いて在る。後でその中を出しておいてくれないか。頼む。」
「はい…あっ…いってらっしゃいませ!」
芙蓉が紙袋の中身は何なのかを聞く前に扉間の姿は消えてしまった。
二階に上がって寝室の扉を開けると、すぐそこに茶色い紙袋が在った。芙蓉はしゃがんでそれを開けて中を覗き込む。
どうやら衣類のようだ。だが扉間の服にしては鮮やか過ぎるような…手を入れてそれを引っ張り出した。
「・・・⁉」
それは、女性ものの洋服だった。
明るい赤紫色のベロア生地の、スカートが綺麗なドレープを描いているひざ丈のワンピースだった。襟と袖には白いレース飾りが付いている。
「・・・素敵・・・」
芙蓉は暫くワンピースに見惚れた後、ふと紙袋の中に目を遣ると、袋の中にはまだ白いコートが入っており、その横に水色の封筒が挟まって入っていた。
急いで封筒を取り出し開けてみると一枚、便箋が入っていた。
『芙蓉へ 今日はこの服を着てきてくれ 楽しみにしている 扉間』
扉間の文字でそう書いてあり、芙蓉は思わず目をぎゅっと閉じて笑顔になり、その手紙を胸に抱き締め身をよじらせ深呼吸をした。喜びで胸が熱くなる…嬉しい。
芙蓉は逸る気持ちをなんとか抑えながら、早速その服に着替えることにした。
◆
「扉間さま・・・先に、来てたのね。」
その声に茶室の窓枠に手を掛けて池を眺めていた扉間が振り返る。無論、芙蓉の気配にはとっくに気づいていたのだが、自分から先に振り返ることが出来なかった。
「あ、ああ。早く終わったんだ。・・・うん。よく、似合ってるじゃないか。それ」
「フフッ!そうですか?良かったぁ!」
芙蓉はそう言ってその場でくるっと一周回って見せる。スカートのドレープが空中で美しい流線を描くと同時に芙蓉がまた前を向いた。
「扉間さま!こんな素敵なお洋服、ありがとうございました!…って、あ!扉間のセーターの色とお揃い?…扉間さまもとっても素敵!カッコいいですわ!!!」
そう言って芙蓉は扉間に駆け寄った。目を輝かせ自分を見上げているその視線に恥ずかしくなり、扉間は目を逸らして言う。
「そ、そうか?…いや、せっかく貰った服だからな…着てみようと思って…」
扉間はそう言うと漆塗りの机の上に置いて在った雑誌を手に取り、ページを捲ると芙蓉の目の前に差し出した。
「ほ、ほら・・・これだ。」
「あら!!!扉間さまが雑誌に載ってる!!!…あ、しかも、この写真、ここの場所ですね!わぁ~扉間さま本物のモデルさんみたい…って、これいつ撮影したんですか?知らなかった!」
芙蓉は驚きと感動で更に目を輝かせ、扉間の写真が載っている数ページを何度も捲り返して写真をじっくり眺めている。
写真はカメラに向かってポーズを取らされて撮った写真だけでは無く、休憩時間に切子グラスで冷茶を飲みながら編集長と雑談していた時の顔も載っていた。
最初は素に近い自分の表情(かお)を撮られて恥ずかしいとも思ったが、自画自賛ながら、なかなかイイ感じ(男前)でもあると扉間は思った。
本当は昨夜、雑誌を見せるつもりだった。しかし、芙蓉の思わぬ演技によってそのタイミングをすっかり失ってしまったのだ。しかし、撮影場所で見せるというのもいいかもしれないと思って扉間は今、見せた。
芙蓉は扉間に促され、赤いビロード張りの椅子に腰かけると、扉間のインタビュー記事を読み始めた。扉間は片膝をついてしゃがみ、一緒にその雑誌を覗き込む。
「…うん、うん…なるほど…流石、扉間さまですね。素晴らしい言葉ですわ!!!…えっと、それから…奥様に一言?・・・・うん、うん…扉間さま…いつも私に対してこんな風に思って下さっているのね…嬉しい!ありがとうございます!!!しかも、それを大勢の人が見る雑誌で言ってくれるなんて…大丈夫でした?」
「ん?ああ・・・・・・・・・って、はぁ⁉」
芙蓉の言葉に扉間は若干の違和感を感じ、芙蓉の目線の先の文章を読み、驚いた。
『左手に光る指輪は奥様の贈りもだそうで、任務以外では必ず着けていると嬉しそうに教えて頂きました。「妻は料理が趣味でつい作り過ぎていしまうのが玉に傷」と言いつつ顔ほころばせるその表情からは愛情が溢れていました。最後に「仕事と家庭を両立しながら自分を支えてくれていることに心から感謝している」と奥様に感謝の言葉を述べられていました・・・』
・・・って、俺は自分でこんな事言ってなぁ―――いっ!!!・・・
「どうかしました?」
「い、いや・・・なんでも無い・・・ははは。」
・・・しまった。昨日、編集長が見せてきたページしかチェックしてなかった!
まだ後ろにもインタビュー記事が載っていたとは…
って、あの休憩時の写真といい、この休憩時の会話といい、まんまとあの編集長に嵌められたな・・・
「扉間さま…私、昨日は本当にごめんなさい…扉間さまは私に今でもしっかり関心をもってくれていて、感謝までしてくれているのに…私ったら…」
扉間の動揺に気付かない芙蓉は悲しい顔になって雑誌の扉間を見つめている。
「き、気にするな!!意外と、楽しかったぞ?ははは…それに言葉に出して伝え合うことは大切だ。な?ははは…はは‥」
・・・言葉にしないと伝わらないとはいえ、こうも文章であれこれ書き立るのは勘弁してくれっ!・・・
「そうですよね!ありがとう!!!扉間さま!」
そう言って芙蓉は右隣にしゃがんでいる扉間に口づけをした。
ガチャッ!
「「結婚三周年、おめでとーっ!!!」」
ヒューヒュー!パチパチパチパチ!
「「⁉」」
突然茶室の扉が開くと、柱間、樹、ミトが手を叩きながら乱入してきた。
「お、お前らっ!今日は休館日で貸しきりにしてあるのに!」
「だからでしょ。ここでサプライズするの丸分かりですよ?アハハハハ!」
樹はそう言うと、顔を引きつらせ固まっている扉間の顔を見て大笑いをした。
「お前がサプライズをすると聞いたからのう、俺たちもサプライズしてやろうと思ってな!!これぞ『必殺・サプライズ潰しの術!』なんてな。ガハハハハ!」
柱間も腹を抱えて大笑いしている。
「ふふっ。サプライズ、大成功だったみたいですわね。扉間様。それに、芙蓉さんも。うふふふっ!・・・はい、結婚三周年おめでとう!」
そう言ってミトは椅子に座って固まっている芙蓉に大きな花束を手渡した。
「あっ、ありがとうございます!!!・・・って、もぉービックリしたぁ・・・アハハハハ!」
芙蓉も入って来た三人の顔を見ながら一緒に大笑いをし始めた。
「ひとのサプライズを潰すんじゃねぇっ!!!」
扉間が柱間の背後から首を絞めるが、柱間はそれでもゲラゲラと大笑いしている。
その隙に樹とミトが芙蓉に近寄って顔を寄せる。
「ねぇ、昨日どうだった?扉間の奴、驚いてたでしょ?」
「う、うんまぁうまくいったよ…でも途中から逆手を取られて大変だったよ…」
「けど、いい刺激になったんじゃない?フフフッ」
「はい!それに扉間さまの“参った”って顔も見られたしスッキリしたました!」
「わぁそれ私も見てみたかったわぁ!フフッ!やったじゃん芙蓉!」
柱間に向かって散々文句を言いつつ、扉間は横目でコソコソ、クスクス笑っている三人を見た。芙蓉はとても嬉しそうに笑っている。そして昨夜のことを思い出した。
「な、なんぞ?急に笑って。気持ちが悪いのう!」
「フフッ…ああ、いや。ありがとう。兄者。」
「・・・。フフッ。ったく、最初から素直にその一言を言わぬか!ガハハハハ!」
扉間は今のこの状況に、そして、大切な人たちに囲まれている現実に胸が熱くなる。
自分は大切な人たちに囲まれ生きている。
日頃、里の為に里全体を見渡して尽力しているが、ふと立ち止まって自分の近くを見渡した時、自分もまた大切な人たちに支えられ、愛され、尽くされて生きている事に気が付く。
扉間はこれからも愛する者の為、誰かが誰かを愛し愛されるこの里の為に、尽力していこうと心に誓った。
おしまい
【 if you XXX 】シリーズはとりあえず、これでいったん中断いたします。
また新しい if を想いついたら書きます(^^)
というかですね、【 if you XXX 】に関して、
「こういう濡れ場が見たい!」「こういう展開の話が読みたい」
というリクエスト&ネタ提供をして頂けると嬉しいです。
・・・お待ちしております(^^;)
さて現在、本編『罪の向こう、愛の絆』の続編を執筆中です。
主人公はもちろん、橘(千手)芙蓉です。
扉間が二代目火影に就任するところから、その後死亡するところ、場合によっては猿飛ヒルゼンが三代目に就任するところまで書けたらいいなって思っております。
柱間の出番は少なくなりそうですが、二代目としての扉間の様子、そしてマダラと芙蓉の新たな展開を書くつもりです。
気長にお待ちいただけると幸いでございます。
あと、そろそろ本気でオリジナル小説も力を入れて書いていきたいところでございます。
その為に小説の基礎や色んな分野の知識を勉強中です。
今後ともよろしくお願いいたします。
千野伊織