芙蓉が六道仙人と会い、再び“六花”としてマダラの元へ戻ってからの二人のお話。
6月の在る日。
マダラと“六花”は古寺で雨宿りをしています。
六花として主であるマダラに仕える芙蓉は、かつてマダラと夫婦として過ごした日々を想い出します。
しかし目の前のマダラが愛するのは“六花”・・・
それは自分であって自分ではない。
それでも立ち添う二人。交わりつつも、決して交わらない絆・・・
※途中、六花のことを芙蓉と表記していますが、マダラから見た芙蓉=「六花」、芙蓉の気持ちは「芙蓉」で書いています。ややこしいですがご了承ください。
※【(15)契り。マダラとの新たな生活】をご参照頂けると芙蓉の気持ちがより分かって頂けるかと思います。
空が泣いている。
誰がそう最初に例えた言葉だろうか。
いや、きっと誰もが一度は心の中で呟く言葉ではなかろうか。
六花はそう思いながら霧雨で煙る景色に目を細めた。
「この時期の雨は待ってたって止まないよ。濡れながらでも走った方がいいんじゃない?」
左肩に載るゼツが六花に向かって言った。
六花がゼツに目線を遣ると同時に、六花の後ろでマダラが口を開く。
「不満ならお前だけ先に帰ってろ」
その言葉にドキッとして、六花は後ろへ振り返った。
マダラは六花に背を向け、左腕を枕にして横たわっている。
六花が焦って口を開こうとすると先にゼツが喋り出した。
「ちぇ。じゃあお言葉に甘えて先に帰ってるよ。あと一里(約四㎞)も無いこんな古寺で、もう一時間も雨宿りしてるほうが意味不明だし。六花も一緒に帰ろうよ?」
「お前も、帰りたいなら先に帰っても構わん」
「いいえ。私はマダラ様のお傍に居ります。」
「…フン」
マダラは少し不機嫌そうに寝返りをすると仰向けになり、今度は両腕を枕にして天井を見つめた。
六花はふと視線をマダラ越しの景色の方へと移す。
煙る景色の中、鮮やかな水色と濃い紫の紫陽花だけがくっきりと浮かび上がっており、その様はとても美しかった。
すると六花は、ふっと少しだけ微笑むとそのまま俯いた。
実は先ほどまで六花も、ゼツと同じ考えだった。アジトに近いにもかかわらず、こんな古寺で長時間雨宿りしている事に疑問を抱いていた。いつものマダラならば、例え雷雨だったとしてもアジトに急ぐはずなのに。
しかし、紫陽花と沈黙の後ろで響く優しい雨音で、その理由に気が付いた。
「あっそ。じゃ勝手にすれば~」
ゼツは六花の左肩からぴょんと飛び降りると、そのまま床の板の隙間をすり抜け地面へと吸い込まれ消えていった。
「ゼツったら、昨日買った団子が食べたくて仕方無いんだわ。ふふっ。ふふふふっ…」
「なんだよ、その笑いは・・・。ちょっと、こっち来い。」
「はい」
六花は微笑みながらマダラの隣りに歩み寄り、ゆっくり腰を下ろして正座した。そしてこちらに全く目線を遣らず、尚も天井を見つめているマダラの顔をそっと覗き込む。
「紫陽花、綺麗ですよね。いつも地下に居たら雨音も聞こえないし、お花も見えないですから…」
「ゼツの奴。俺の分身のくせに風情のひとつも分らんとはな…花より団子かよ。」
「あはははっ!お上手ですねマダラ様!」
「何がだよ…ったく。お前もゼツと同じ事考えてやがるくせに」
そう言って六花の顔をジッと睨みつけるマダラの表情は、どこか拗ねた少年のようである。六花は少し困ったように微笑み一度床に目線を落とした後、再びマダラの顔を見て言う。
「今後、ご命令が無くても、こうしてマダラ様のお隣に来てもよろしいでしょうか?」
「…ああ。」
「ありがとうございます」
サァァァァ―――・・・・
先ほどよりも雨脚が強くなり、湿気を含みヒンヤリとした空気が室内まで流れ込んでくる。
「マダラ様、右手をお借りしてもよろしいですか?」
「…?…ああ。ほら」
マダラは不思議そうにしながらも右手を六花の膝の上に置いた。
「失礼します」
六花はその右手を優しく両手で握ると、丁寧に裏返して掌を上に向けた。そして自分の両手の親指をその掌の腹に当てると、ぎゅっぎゅっと指で押し始めた。
「ん―…」
マダラは小さく深呼吸をして目を閉じた。掌を指圧される心地良さに身を委ねると、自然と全身の身体の力が抜けてゆく。
六花はそのマダラの様子を見て優しく微笑み、再び掌に視線を移すと丁寧に揉んでゆく。
全身を包み込む冷たい空気の中、二人の掌だけがポカポカと温かい。
二人は何も言わず、雨音と互いの温もりだけに意識を遣る。
すると、二人はその沈黙の中で互いの鼓動が聞こえてくるように感じてきた。その感覚に焦ってマダラが口を開く。
「脚を崩せ。痺れるぞ」
「あ、はい。ありがとうございます。では反対側に移ってから…」
六花は立ち上がりマダラの左側へ移動し、腰を下ろして横座りをすると、今度は左掌を揉み始めた。
ザァァァァァァ―――・・・・・
雨脚は更に強くなっていた。
「閉められる雨戸だけでも閉めましょう。」
そう言って、六花がマダラの左手をマダラの腹の上に戻して立ち上がろうとしたが、マダラは六花の左手を引っ張ってそれを制止した。
バタッ!
「す、すみません!!」
六花は既に顔を横に向け足を浮かしていた為、思わぬ制止に身体が付いてゆけず、引っ張られた勢いでマダラの胸の上にうつ伏せて倒れてしまった。
六花はマダラの顔を見る前に急いで起き上がろうとしたが、左手はマダラに握られたままで、更にマダラはもう片方の手で六花の背中を抱いていた。
六花は恐る恐るマダラの顔を見上げる。
二人の目が合う。
マダラも六花の顔を見た。その瞳は紫陽花の葉の上に載った雨粒の様に丸く、そしてゆらゆらと揺らぎながら光っている。
「…こうしてりゃ、寒かねぇだろ」
「…は、はい」
六花は少し戸惑いつつも、マダラ言葉と行動に胸が熱くなる。顔を横に向けて、そっと頭をマダラの胸に委ねると目を閉じた。その口角はきゅっと上がっている。
そして、マダラの目には、真っ白な六花のうなじと首筋が写っていた。見慣れているはずの光景だが、自然光を受けて微かに青白く光って見えるその光景は、とてもそそるものだった。
しかも急所である首筋を何のためらいもなくマダラに晒しているのは“いつでも私を食べてくれ”と言っている様にも見える。また、それは一方で犬が主に対して腹を見せ服従している光景にも見える。実際、六花はマダラの下僕だ。
そう考えると腹の中のもう一人の自分が笑った気がした。その笑いの振動で身震いがし、身体全体が熱くなってゆく。
マダラは右手の指先を六花の首筋に這わせ、優しく撫でた。
「あっ・・・」
六花が驚きと快感でピクンと小さく悶え、微かな声を洩らした。ただそれだけなのに、マダラの下腹部が急速に熱くなる。
マダラは上半身ごと六花を起こして床に座らせると、そのままかぷっと六花の左の首筋に食いついた。
「あんっ!い、いけません…こんな場所で…」
六花の言葉を無視し、マダラは六花の首筋に何度も舌を這わす。六花は戸惑いつつも主であるマダラに逆らうことが出来ず、じっと目を閉じ声を殺した。
そしてマダラは舌を首の付け根の少し内側で止めると、唇と舌を使ってちゅうっと強く吸い付いた。
「あっ・・・んん・・・っ」
チュッ、チュッ、チュッ・・・チュッ。
「んっ」
マダラの唇は六花の首筋を上ると、ついに六花の唇に辿り着いた。そして舌は六花の舌に絡みつく。
六花は堪らず両腿を擦り合わせて身悶えた。
マダラは唇を離さず、六花の左合わせの上着の両襟を掴むとぐいっと下に引っ張って脱がせた。そしていつもの様に唇を六花の乳首へと移そうとした。
「・・・」
「ぬ、脱ぎます…」
「いや、いい。」
「えっ!」
マダラは芙蓉の鎖帷子を引っ張ってたくし上げると、裾から右手を入れ、下着の肩ひもを下げた。乳房が現れ、赤く勃起した乳首が鎖帷子から透けて見てとれる。
マダラはその乳首を指でつまんだ。
「ああっ!」
六花は歪んだ顔を逸らし、身をよじらせた。
「おい、しっかり見てろ」
その声と、乳首にかかる息に、六花は恐る恐るマダラの顔を見た。
マダラはつまんだ乳首に顔を寄せると、更にきゅっとその乳首をつまみ鎖帷子へ押し当てた。そして六花の顔を横目で見ながら、鎖帷子の上から乳首を舐め始めた。
「ひゃぁんっ!・・・ああっ」
「顔を背けるんじゃねぇ。しっかり見てろ」
「は・・・い」
六花はマダラの舌の温かく柔らかい感触と共に鎖帷子の硬い感触が加わり、これまで感じた事の無い、なんとも形容しがたい快感…そして淫らな光景に恥ずかしさを感じて顔を歪め、閉じかけた瞼の間から、なんとかマダラに舐め回される己の乳首を見た。
「あっ・・・んんっ!!はぁはぁはぁはぁ・・・」
マダラは六花の乳首をねっとりと舐めながら、横目で乱れる六花の顔を見て眼で笑った。
六花はその眼を見てごくりと唾を呑んだ。
マダラは更に左手も鎖帷子の中に入れ、六花の右乳首を指で擦り始めると、六花は堪らず両手を後ろに突き、また顔を逸らした。マダラはそれでも両乳首を責め続ける。
「あんっ・・・んんん・・・んんんんっ!・・・はぁっ!!!」
六花は声を殺しつつ、遂に果ててしまった。
脱力し、後ろに倒れそうになる背中をマダラが受け止める。
「マダラ・・・さまっ・・・」
虚ろな目でマダラの名を呼ぶ。
マダラは六花の顔を見て舌なめずりをすると、ゆっくり六花を床に寝かせた。
それから上着を全て脱いで上半身裸になると、その上着を床に敷く。そして六花を抱き上げるとその上に寝かせ、帯を解き、上着とズボン、下着を剥ぎ取る。
六花は上半身は鎖帷子と下着、下半身はふくらはぎに布を巻いているだけという不思議な格好になった。
その格好はまるで、六花が何者かに襲われ凌辱される場面をマダラに連想させた。いつもは従順な六花を抱いているが、今は、六花を凌辱しているような気持になる。
するとマダラの息は上がり、肩は上下し始める。そしてマダラは六花の両足首を持ち、勢いよく左右に開いた。
「きゃっ」
六花はその勢いに驚き小さな悲鳴を上げた。そして濃い桃色の秘部がマダラに向かって口を開ける。それとは対照的に、六花の白い肌はますます青白く光っている。
「やっぱり駄目です!…誰か来たら大変です…」
「こんな大雨の中…って確かに忍なら居なくも無いか…フフ。じゃあ声出すなよ」
「そんなっ!あっ・・・ん・・・い、ぃやぁっ!」
マダラが右手の人差し指と中指を桃色の秘部に這わせると、ぬるぬるとした蜜に誘われるまま膣の中にその指を勢いよくねじ込んだ。六花は僅かな痛みで声を上げる。
「声出すなって言ってるだろ」
マダラは不敵な笑みを浮かべながら小さな声で六花を怒鳴ると、六花の腰を左手で押さえつけ、二本の指を六花の腹側に曲げて擦り始めた。
「んっ・・・・・んっん・・・!」
六花は握り締めた両手の拳を口元に当て、必死で声を殺す。その様子を見てマダラは再びニヤリと笑うと左手で六花の鎖帷子を首元まで捲し上げ、露になった左の乳首に吸い付いた。
「あんっ・・・・・んんっんん・・・んんんっ」
膣と乳首の両方を同時に刺激され、芙蓉は快感を抑える耐える苦しみの方が優り、苦しそうに声を洩らす。喉は風邪でも引いた時の様に熱を帯び、気管支は狭まっている。喘ぎ声をあげられないことが、これほどまでに苦しい事とは知らなかった。
しかし“芙蓉”は初めて味わう苦しみで、また思い出してしまう。
自分にとって男は、マダラだけでは無いという事を。
そして、今でも己の心は扉間の妻のままである事を。
それからもう一人の自分。いや、今マダラの目の前に居る“六花”の事を考える。
六花にとってマダラは、この世でたった一人の男だっただろう。
たった一人の男に抱かれていた六花は、どれほど幸せだっただろうか…
そう考えると、芙蓉は六花のことを妬ましく思ってしまい、胸が苦しくなるのである。
芙蓉が耐え苦しんでいる事など関係無く、マダラの指と唇・舌は止まるどころか勢いを増して追い詰めてくる。
「んんっ・・・ああっ!!マダラさま許してっ!」
その声にマダラは顔を上げる。
六花の顔は眉を寄せ涙目になり、唇を噛みながら顔を歪めている。これまで何度と無く厳しい修行をつけたが、こんなに辛そうな顔をしているところは見たことが無い。余程苦しいのだろうか。
サ――――・・・
いつの間にか雨脚は弱まり、辺りは少し明るくなっていた。
マダラは身体を起こすと、黙って六花の鎖帷子と下着を脱がせて裸にした。そして六花の股の間に両膝をついて座ると固く大きく勃起した男根を膣の入り口に押しつける。
「フッ…仕方が無いな。じゃあ思いっきり声を出せ。誰か来てお前の裸を見たら、俺がそいつを殺してやる。」
「そっ、そんな…そんなの駄目です!」
「そうか。じゃあ声を出さなきゃいい。フフッ!」
そう言うとマダラは六花の腰を掴み、いっきに男根を膣の中に挿入した。
「ひゃああああんっ・・・あっ・・・」
「声出しても良いんだぞ。ほら出せ!」
「だめぇっ・・・」
マダラは激しく腰を動かしながら、両手で口を強く抑え顔を背ける六花を覗き込む。
来るかどうかも分からない誰かの為に、必死に声を殺している六花の様子を見て、マダラの胸の中で何か柔らかい物が転がるような感覚がした。それが左右に転がる度に、六花の理性を壊してやりたい気持ちと、優しく抱き締めたい気持ちに揺れる。
マダラは六花の両手を無理やり退け、その両手首を握って床に押し付けた。そしてまた腰を動かし六花の膣の中の感じる部分を擦り上げる。
「んんっ!!・・・・あっ・・・ん」
「出せと言っているんだ。俺の命令が聞けないのか」
「でっ、でも・・・誰か・・・来たらっ・・・」
「お前は誰のものだ?」
・・・・『お前は、誰の、もの』?・・・
いつかの記憶と重なる。
あの時、確かに二人はこの世にたった二人だけの存在…夫婦だった。
「答えられないのか?」
マダラは不敵に笑いながら細めた目で問うている。
その表情は明らかに今の状況を楽しんでおり、あの時とは全く異なっていた。
そして、目尻にはカラスの足跡の様なシワが在り、髪には白が目立っている。
何より、マダラが見ているのは、もう芙蓉ではなく“六花”なのだ。
芙蓉は目を閉じてマダラの問いに答える。
「・・・マダラさまの・・・ものです・・・」
「だったら俺の言う事をきけ」
マダラはそう言って六花の両方の乳房を鷲掴みにすると、尖った乳首を親指で擦り始めた。
芙蓉は硬く口を結んだまま、薄く目を開け、眉を寄せながらマダラを見ると目が合った。マダラはそれを合図に再び腰を動かし始める。
「・・・っ・・・あっ・・・ああんっぁぁんっ!!ああああ!!ああんっ!!」
堰を切ったように芙蓉は声を上げた。そしてマダラの両腕を掴み、僅かに腰を浮かせると膣の中の感覚に集中し始めた。
マダラは六花の様子と、急にぎゅっと男根を締め上げられる感覚に、ようやく六花が理性を捨てた事を感じ取った。そしてマダラも男根の感覚だけに集中し、更に素早く腰を振る。
激しく、しかし確実にその場所を男根に突き上げられ、芙蓉はもう高まる快感に迷うことなく身を委ねる。快感を思う存分噛みしめることを許された膣は更にぎゅうぎゅうと締まり、マダラの男根を捕らえて離さない。
「六花・・・んっ・・・ああっ」
「あんっ・・・マダラ、さまっ・・・はぁんっああ!」
マダラが絶頂を迎えビクビクと男根が暴れる感覚に芙蓉も一緒に小さく絶頂を迎えたが、尚も固いままのマダラの男根に刺激され続け、後から来た大きな波に飲まれそうになって深呼吸をした。そのまま大きな声で叫んでしまいそうになり、芙蓉は咄嗟に身体を少し起こしてマダラの頭を抱き寄せると口づけをした。
「んっ!んっ!んっ!んんんんんっっっ・・・・!!!」
芙蓉は大きく絶頂を迎えた喘ぎ声に、何とかマダラの口で蓋をした。
マダラは六花の声が口腔内を通じで脳天まで響いている感覚に、果てた後に残る快感の余韻が震え再び大きくなるのを感じ、マダラも芙蓉の頭を抱き寄せた。
しかしマダラの男根は固さと大きさを保つことは出来ず、少しづつ小さくなってゆく。マダラはそれを悟られまいと急いで男根を膣から抜いた。
「んっあっ!」
芙蓉は、ぬるりと男根が膣から引き抜かれる感覚に最後に小さく悶えた。
そして、二人はどちらからともなくゆっくりと唇を離し、肩で息をしながら見つめ合う。
「フッ…うまい事考えるじゃないか。俺の口で声を殺すなんてな」
「そっ、それは…咄嗟の事で、その…すみません…」
「謝らなくていい」
マダラは優しくそう言いいながら六花の頬を両手で包み込み、再び口づけをした。
「遅かったね。もうとうの昔に雨止んでるのに、いったい何してたの?」
「フン…」
アジトの入り口で二人を待っていたゼツが、並んで入って来たマダラと六花に声を掛けた。マダラはその言葉を無視して、ゆっくり奥へと歩いて行ってしまった。六花はそれを横目にゼツへと歩み寄り、前屈みになると掌を揃えて差し出した。するとゼツはぴょんとその掌の上に載る。芙蓉は掌のゼツを顔に近づけると、優しくニコニコと微笑んで見せた。
「何?妙に嬉しそうにしちゃってさ。さてはマダラと甘味でも食べて来たんじゃないだろうねっ」
「・・・ふふふっ。まぁ、そんな所かな。」
「えええっ!僕を出し抜いたのっ」
「情緒も趣も分らない子供には、まだ早いってさ」
「はぁあ⁉意味わかんないしっ!ずるいよ!ずるい!」
「ゼツだって昨日買ったお団子、どうせ私の分まで食べちゃったんでしょう?お相子よ。」
「うっ。それは…」
水色・灰色・紫・桃色・黄色・橙・・・
そして、雨上がりの夕焼け空には短い七色の虹が架かっている。
芙蓉はアジトから出て、ひとり木の上からその空を見晴らしていた。
「虹なんて、いつ以来だろう」
夕焼け空は大好きなのだが、それは、昔らか芙蓉に死者の世界を連想させる。母が死んだ時からだろうか。また、死することを“虹の橋を渡る”と表現をするのを聞いたことがあるが、夕焼け空に虹がかかる風景は、まさに死者の世界への入り口に思えてならなかった。
芙蓉は目を閉じて思う。
・・・ごめんなさい扉間さま。この世に生きる間だけ、マダラさまのもので居ることを許して下さい。そして、マダラさまのことを再び愛してしまうことも・・・
おしまい