マダラがどうやって九尾を手に入れ、そして扉間とどう対立していたかを描いています。
今回(2)の登場人物は、うちはマダラ、千手扉間、敵の三姉妹(o.c)です。
三隅村を支配している忍犯罪集団への攻撃は部下たちに任せ、
マダラと扉間は2人で尾獣の捕獲・封印へと向かいます。
しかし、目の前に、忍犯罪集団の親玉である美人三姉妹が現れて・・・!?
※『封神演義』ネタが入っています。
※本編の関連話:(8)~(10)および、(15)、(16)をぜひお読み下さいませ♪
まだ八月だというのに肌寒い気温で、野分の様な強風が吹き荒れている。
雨は降っていないものの、鉛色の重苦しい雲が太陽をしっかりと隠しており、昼前とは思えない暗さである。
ここはマダラが調査時に術で造っておいた横穴の中。
マダラと扉間、そして二人の部下の上忍と中忍から選ばれた先鋭たちで結成されたスリーマンセル×五班の十五人がマダラの描いた地図を覗き込んでいる。
「ここから北東に二キロ先が三隅村、北西に六キロ先辺りが尾獣の居るであろう場所だ。手順は何度も確認した通りだ。まずは第一班が炭坑を破壊しそれを伝書鷹で全班に知らせる。二班から五班までがそれを合図に第一弾の任務を開始し、完了したら五班が俺たちに向かって伝書鷹を飛ばす。…何か質問は?」
マダラが言い終わると一人が左手を軽く上げ、発言する。
「あの…“敵の親玉の女三人が我々の力でも敵わないようなら即撤退”というのは本当にそれで良いのでしょうか?やはり、誰かマダラ様と扉間様に知らせに行くほうが…」
「それも何度も言ったはずだ。尾獣の捕獲・封印にお前たちが来るのは邪魔だ。」
マダラが答えると、扉間もそれに言葉を付け加える。
「敵との戦いを長引かしても、俺たちの所へ知らせに来ても、ただ犠牲者を増やすだけになる。一刻も早く里に帰り兄者に報告をして作戦を立て直すんだ。いいな。」
『ハイ!』
部下たち全員が返事をした。
全員で横穴を出るとマダラと扉間、そして十五人で向かい合う。
「あれこれ考えず自分の任務だけに集中しろ。」
『ハイ!』
十五人全員がマダラの言葉に返事をすると、今度は扉間の言葉を待つように全員が扉間の顔を見る。
扉間は特に何も言う気は無かったのだが、その視線に応える様に、ひとつ咳払いをして口を開く。
「貴様ら、頼んだぞ」
『ハイ!!』
「では、散!」
部下たちは一斉にその場から姿を消した。
二人きりになったマダラと扉間は、暫く黙って前を向いたままでいた。
するとマダラが先に背を向ける。
「こんな所で突っ立って待っているつもりか?俺は中に入ってるぞ。」
「…ああ。俺は暫くここで、部下たちの動きを感知する。」
「フッ…お前、自分の部下が信じられないのか?」
「違う。貴様は撤収しろと言うが、実際に敵の親玉が強敵なら、逃げるどころか全滅する可能性もある。ならば俺たちが行って先にその敵を倒すべきだ。我々木ノ葉の里側の優秀な人材を犠牲にしてまで、あの小さな炭鉱の村を助ける重要性は低い。新たな取引先を探せばいいだけだ。」
「俺は行かん。尾獣捕獲を最優先にする。行きたいならお前ひとりで行け。尾獣が完全復活すれば木ノ葉にも被害が及ぶぞ?部下十五人の比ではない犠牲が出る。」
「…そうか。解った。」
「…ま、尾獣の封印なんて俺に取っちゃ朝飯前だ。直ぐに終わらせて助っ人に行ってやってもいいけどな。寧ろその展開の方が良いんじゃないか?フン…」
そう言うとマダラは横穴の中へと向かって歩いて行ってしまった。
「・・・・。」
扉間は顔だけマダラの方に向け、その足音が小さくなるのを黙って聞いていた。
カァッ カッカッカッ。カァッ カッカッカッ。
伝書鷹が上空からマダラと扉間に向かって、部下たちの第一弾任務遂行を知らせた。
「フン。お前の心配も杞憂に終わったようだな。」
「ああ・・・行くか。」
「せいぜい俺の足を引っ張んなよ、扉間。」
二人は同時に飛び上がり、北西に向かって走り始めた。
深い森。
二人は大木の枝から枝へと飛び移りながら無言で走ってゆく。
扉間は右斜め前を走るマダラの背中に、ふと目線を遣る。
・・・マダラは毎日芙蓉と…今この時も、芙蓉はマダラの帰りを・・・
「この森を抜けたら作戦開始だ。手筈は解ってるよな?」
扉間の視線に気づいたのかどうかは分からないが、マダラは扉間へと振り返って言った。
「ああ。一度聞けば理解できている。心配するな。」
扉間はマダラと眼を合わすこと無く、そう答えた。
尾獣の居るであろう場所へは、ここから約二キロ。
マダラと扉間は冷静な頭と共に、僅かの緊張を抱きながら走り続けた。
ズサッ!!
二人が同時に森から飛び出し、目の前の草原へと着地した。
『⁉』
二人は身構える。
「あら、なかなかイイ男じゃない。ねぇ?青藤(せいとう)、青柳(せいりゅう)?」
「本当ね、青蘭(せいらん)姉さま。左の髪の長い男なんて、青柳の好みじゃない?でもなんだかとても野蛮そうだわ。」
「う~ん、顔はまぁまぁだけどヤル事が姑息!こういう男見ると、私イジメたくなっちゃう~」
マダラと扉間の目の前の空中に、突然、三人の青い髪の毛をした美女が現れた。
「…親玉がこっちに現れたか…俺たちの動きに気付けるとは、やるじゃないか。だがこれも想定内…扉間、チャクラからしてもやはり大した奴らじゃ無い。第一、女だしな…さっさと片づけるぞ!」
「ああ。まずは…」
「あーっはははははっ!」
二人の会話を、ストレートの髪の毛が腰まである長女・青蘭が大笑いして遮った。そして続ける。
「この世で一番強い生き物は何か、知ってるぅ~?」
『かわいい女!』
ショートカットの次女・青藤とツインテールの三女・青柳が二人同時に背中を見せ、声を揃えて答えた。
二人の背中には“KAWAII❤”と書いてある。
『・・・・。』
マダラと扉間は、眉毛をぴくつかせたまま言葉が出ない。
「行くわよ二人共!」
青蘭の声にマダラと扉間が我に帰り、同時に地を蹴りその場から姿を消す。
「あら❤三人の中で私が一番好みなの?嬉しいわぁ❤」
マダラと扉間に挟まれた長女・青蘭は、焦ることなく両頬に手を遣り、首をかしげて微笑んでいる。
「この毒婦が!!」
マダラは“神器・うちは”の鎌を、思い切り青蘭に向かって振り下ろした。扉間も同時に青蘭に向かって刀を振り下ろす。
ガァンッ!!!・・・・・ズジャャッ!!!
『…何⁉』
青蘭は二人の攻撃を両腕の服の袖で防ぎ、マダラと扉間の鎌と刀はその勢いで跳ね返され、二人は地面に着地した。
「今のは何だ?チャクラの変化は感じなかった…何かの法具か?」
扉間が、空中の三人を睨みながら落ち着いた声で言った。
「ガードが堅い女ですってか…フン」
マダラも三人を睨みつつ、口角を上げて言った。
「私たちのこの服、素敵でしょ?“返照布帛”っていう布で出来てて、野蛮な物理攻撃ならすべて跳ね返してくれるのよ。難点は、身体のラインがハッキリ出ちゃうことだけど❤」
青蘭はそう言って体をくねらせて見せた。そして妹二人も言葉を続ける。
「ところでアンタ達ふたり、女難の相が出てるわよ」「特にそっちの髪の長い方!」
そう言うと二人は青蘭の前に出てきて並び、構える。
「混元銅鈴!!」
最初に仕掛けてきたのは三女・青柳だった。
両手に持った青銅の鐘を振ると、カラーン・カラーンとさほど大きくもない音が鳴る。しかし、その音の振動は津波の様にマダラと扉間に襲いかかって来た。
マダラの鎌、扉間の刀が振動し、それを握っている手がジンジンと震えたかと思ったとたん、鼓膜に強烈な痛みが走り、二人は咄嗟に武器を捨て、口を開き、耳を塞いだ。(※鼓膜破裂を防ぐ為)
「ふふ。驚いて開いた口が塞がらない?次は私の番よ。混元銀鏡!!」
続いて次女・青藤が丸い銀製の鏡を胸元に両手で構えた。すると、太陽は分厚い雲に隠れ辺りは薄暗いにも関わらず、あらゆる方向から光の玉が線になってその鏡に集まってゆく。そしてその鏡はギラっと光ると、マダラと扉間に向かってまばゆい光線を放った。
マダラと扉間は目を閉じると前転し、その光線を避けた。
しかし目を開けると、目の前に横断幕の様に光が広がっており、再び二人は眩しさで目を閉じてしまった。
「黄河陣!!」
長女・青蘭の声が響いたと同時に、マダラと扉間は目を開けた。
「・・・こ、ここは?」
「どうやら相手の作った異空間に閉じ込められちまったようだな」
マダラと扉間は気が付くと、小さな丸テーブルに着き、小さな椅子に座って二人で向かい合いっていた。
二人は辺りを見回す。
そこはピンクを基調とした可愛らしい装飾が施された洋室で、ウサギや熊の縫いぐるみがいくつも置いて在り、フリルの付いたクッションが並んだソファ、サイドテーブルにはティーセットが置かれ、反対には白い鏡台も在る。
しかし、これだけ物が在るのに、その部屋はとても小さい。
二人が着いている丸テーブルも直径60センチ程と小さく、椅子も子供用だ。
すると、頭上から声がした。
「おーい、おーい!お二人共~こっちこっち~!」
『⁉』
さっきまで目の前に居た三姉妹が、天井から顔を覗かせ、こちらに手を振っている。
「で、でかいな・・・」
「いや、俺たちが小さいのか?」
実は、マダラと扉間、二人は人形遊びの人形ほどの大きさ(約20cm)になっている。
「あはは!可愛い。握り潰せちゃいそうだよ~」
「青柳、お人形は優しく扱わないとダメよ。いくら男でもね。ねぇ?青蘭姉さま?」
「そうね青藤。…お二人共、ここで一生お人形として私たちと遊び続けるか、それとも降参して三隅村から手を引くか、どちらがいい?選ばせてあげるわ」
青蘭は冷たくも美しい笑顔で、マダラと扉間を交互に見つめながら問うた。
「人形かぁ…そりゃ苦痛だな。だが俺にとっちゃ今、この男とこの距離で向かい合ってる方が苦痛なんだがなぁ」
「貴様!それは俺も同じだっ!・・・で、どちらも断ると言ったら…?」
「このお部屋から出て、灰になってお空に消えて貰いまーす❤」
「なぁ。お前ら三人、こうやって顔見ると、すげぇいい女だな!俺はお前らの人形になら、なってもいいぜ?」
その言葉に、三姉妹は目を見開いてマダラの顔を見たかと思うと、急に恥じらってもじもじとし、三人でヒソヒソと話し始めた。
「マダラ!何言ってる⁉」
扉間がマダラに怒鳴ったが、マダラは写輪眼を浮かべ、三姉妹を見てニヤついている。
「じゃ~あ~、あなたには“大きなお人形”になって遊んでもらおうかしら❤」
「いいなぁ。それ」
三姉妹は笑いを堪えるような、何かを期待するかのようないやらしい笑顔でマダラを見つめている。
「俺はこんな奴らの人形にされるなんて御免だ。」
「俺もに決まってんだろ。」
マダラと扉間の目の前の草原には、幸せそうな笑顔で眠っている三姉妹が寝転がっている。
「こいつらが幻術と空間忍術を組み合わせた術を使ってくれたお陰で、逆に俺の幻術をかけ、万華鏡写輪眼でカンタンに脱出することが出来たぜ。あ、お前も出れてたのか?」
「あれくらいの空間忍術くらい直ぐに術式は解ける。貴様こそ、女と思って手を抜き過ぎだ。物理攻撃が効かない法具と分かった時点で須佐能乎を使えば良かっただろ!」
「五月蠅い。そのままあの部屋に一生閉じこめられておけばいいものを…」
「貴様やはり俺を…」
「本当の敵は無能な身内、なんて言うしな。あの程度の術を己で破れないなら、俺の足手纏いってことだ…さぁ尾獣の所へ急ぐぞ。さっさと感知を始めろ」
「まったく貴様は減らず口だな…言われなくてもする!」
扉間はしゃがんで人差し指と中指の二本を地面に着けると、尾獣の正確な位置を感知し始めた。
・・・このままで終わると思うなよ・・・
二人は心の中で同じ事を呟いた。
つづく